2017/06/01 - 2017/06/01
4位(同エリア326件中)
montsaintmichelさん
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- 旅行記366冊
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前報では鶴仙渓を紹介いたしましたが、今回は山中温泉の街歩きをレポいたします。メインとなるのは、「スイーツめぐり」です。お気に入りのスイーツを片手に、街中を闊歩してきました。
山中温泉は、奈良時代に高僧 行基が発見したと伝えられています。行基は丸太に薬師仏を刻んで祠を造り、温泉のお守りとしました。多くの人が山中を訪ね、その湯で病と疲れを癒したとされます。
時を経た平安末期、源平合戦でも知られた能登の領主 長谷部信連は一羽の白鷺が傷めた足を小さな流れで癒しているのを見つけます。その場所を掘ると薬師如来像が現れ、美しい温泉が湧き出しました。信連はここに12軒の湯宿を開き、それが山中温泉旅館のルーツと語り継がれています。その中心になったのが共同浴場「菊の湯」でした。
江戸時代の元禄年間には、俳聖 松尾芭蕉が弟子の曾良を伴って日本各地を旅した『おくの細道』の途中で山中温泉を訪れています。旅の中で最長の9日間も逗留した芭蕉は、薬師堂を参詣し、温泉に浸かり、山紫水明な景色を心ゆくまで愉しんだそうです。それ以来300年余の歳月が過ぎた今もなお、山中の地には滾々と湧く出湯と豊かな自然、和の美と心が連綿と受け継がれています。
「スイーツめぐり」のリーフレットです。2018年3月31日まで開催中。
https://www.yamanaka-spa.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/スイーツめぐりチラシ2017.pdf
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- JR特急
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-
まずは定番のご当地「マンホール」です。
絵柄は、鶴仙渓の「こおろぎ橋」と山中温泉の起源となった「白鷺」があしらわれています。
さて、小腹もすいてきたため、鶴仙渓のゴール地点「黒谷橋」から、今度は「スイーツめぐり」に衣替えです。3枚つづりのクーポン券は600円とそれだけでも割安ですが、山中温泉宿泊客は、ホテルのフロントで購入すれば500円 になります。 -
山中温泉 芭蕉珈琲
最初に目指したのは、「芭蕉珈琲」です。
昨年創業50年目を迎えた、珈琲焙煎士嘉野勝仁氏が自家焙煎にサイフォン式で淹れてくれる自家焙煎珈琲とワッフルが自慢のショップです。 -
山中温泉 芭蕉珈琲
お目当ては、このキューブ状珈琲ゼリー入りのコーヒー風味のアイスクリームです。甘さを抑えた珈琲テイストのアイスクリームをベースにしたものですが、ほろ苦い珈琲ゼリーがアイスクリームに食感の変化を与えると共に焙煎の香ばしさをもプラスする優れものです。 -
山中温泉 山中石川屋
次に目指したのは、山中石川屋です。
創業は明治38年、当初は小さな駄菓子屋だったそうですが、時代の流れの中で加賀名物「娘娘万頭」を製造販売し、これが大ヒットしました。現在は、山中温泉の観光土産として地元を代表するメーカにまで成長しました。
加賀温泉駅からの道中では、「娘娘万頭」の文字のない電柱を見つけるのに苦労するほど、PRに力を入れておられます。こうしたサブリミナル効果で知らぬまに脳裏に刷り込まれ、無意識に食べたくなってしまうのでしょうか?
恐るべし、山中石川屋! -
山中温泉 山中石川屋 娘娘(にゃあにゃあ)万頭
娘娘(=娘さん)と言う加賀言葉から名付けられた銘菓で、黒糖と地産味噌の仄かな香りをほどよく調和させ、まろやかに甘さを抑えた温泉万頭です。
山中温泉の老舗旅館の主人が「娘娘という名前で加賀の名物菓子を作れないか」と先代に持ちかけたのが始まりです。娘娘万頭のコンセプトは、加賀美人の上品さを「つぶ餡」ではなく「こし餡」で表現し、形はただ丸くて大きいだけでは色気がないことから、大きな口を開けなくても一口で入るような小判型としています。「口に入れるとふわっと溶けてまろやかな味がする、それが加賀の娘のイメージで、とにかくかわいい菓子としたい」との思いが込められた万頭です。 -
山中温泉 御菓子調進所 山海堂
2年程前にテレビ東京『ガイアの夜明け』で紹介されたショップです。
明治38年創業の老舗和菓子店舗です。「出会い、出し合い、分かち合い、そこに創造がある。“たべもの”という域を超えた、五感で感じてもらえる和菓子をお届けします」というのがポリシーです。 -
山中温泉 御菓子調進所 山海堂
後を継いだ5代目 麻実さんは、先代 黒田清彦氏の薫陶を受けながら、「ゆきふわり」のアイデアを捻出されたそうです。
まさに「父子鷹」を彷彿とさせる和菓子店です。5代目は、カナダ留学の経験を活かし、海外からの観光客に和菓子体験教室を開くなど、将来が楽しみです。 -
山中温泉 御菓子調進所 山海堂「そっとひらくと」
もなかの皮を開くと、中には可愛らしい季節の御干菓子と「辻占い」の御札が入っています。見て、感じて、そして味わえる新感覚の加賀御干菓子です。
「そっとひらくと」シリーズには、季節に合わせて4種類(はるほのか、なつきらり、あきゆらら、ゆきふわり)あります。日本の四季が小さなもなかの中にぎっしり詰まっており、目でも愉しめるお菓子です。
「The Wonder 500TM(経済産業省)」認定商品(日本が誇るべき優れた地方産品を選定し、海外に広く伝える)
「日本おみやげグランプリ2016」準グランプリ受賞
「石川のおみやげコンテスト」グランプリ受賞 -
山中温泉 御菓子調進所 山海堂 なつきらり
もなかにも季節毎の絵が描かれており、「なつきらり」には夏の代名詞「あさがお」です。
自然の恵みで育った素材と風味をそのままに、伝統を生かした技法で丹念に創られています。素材から水に至るまで妥協せず、成保存料、防腐剤等は一切使用していません。妥協を許さない、職人の矜持が伝わってくるお菓子です。
販売期間:5~8月 -
山中温泉 御菓子調進所 山海堂 なつきらり
撫子、西瓜、ひさご、青楓、星、巻水、金平糖、辻占いの御札が詰まっています。各々リアリティーにも拘りが感じられ、口に入れるのが惜しいほどです。金沢にはおみくじを餅生地で包んだ「辻占」と呼ばれるお正月の縁起菓子があり、それを模したおみくじです。因みに占いの御札は、98種類あるそうです。
干菓子のうち「打物(うちもの)」の原材料は、砂糖と寒梅粉(もち米の粉)を使った生砂糖生地です。それを着色し、型で抜きます。上品な甘みがあり、口の中に入れるとジワ~っと優しく溶け、懐かしい味がします。 -
山中温泉 北市漆器店
石川県には大別して「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」の3つの漆器産地があります。この「山中」には、樹脂の生地にウレタン等の塗装を行なう近代漆器技法があります。この技法で伝統工芸の大量生産が可能となり、漆器の存在を広く世に知らしめる原動力になっています。近代漆器はカジュアル漆とも呼ばれ、気軽に使えて扱いが楽なのと、デザインとカラーバリエーションが豊富なこと、そして何よりもリーズナブルであることが魅力です。
北市漆器店は、明治24年創業の老舗ですが、受け継いだ「漆」の技術を時代の変化に呼応させています。既成概念に捉われない発想と革新の技術を駆使した漆器は、伝統を守りながらもどこか斬新な感覚のものです。グラフィックデザイナーとコラボした重箱や、メタリック調の器など、漆器の常識を覆したものが揃っています。 -
山中温泉 漆芸 文平堂
漆芸 文平堂で購入したお椀です。
国産で安心安全をモットーに、製造から卸販売までを行い、「made in yamanaka」に拘った地の職人さんの「技」を一つひとつ器に託し、温かく味のあるものづくりをされています。また、産地価格で手に入るのも魅力です。
山中漆器の発祥は、今から450年前、越前の国の挽物師が加賀の国大聖寺川上流に移住し 、挽物を業としたことに始まり、燭台や茶托等を温泉客の土産物として製作されたそうです。 -
山中温泉 山中座と菊の湯「おんな湯」
山中温泉は、奈良時代に高僧 行基が発見したと伝えられています。行基は丸太に薬師仏を刻んで祠を造り、温泉のお守りとしました。多くの人が山中を訪ね、その湯で病と疲れを癒したとされます。
時を経た平安末期、源平合戦でも知られた能登の領主 長谷部信連は一羽の白鷺が傷めた足を小さな流れで癒しているのを見つけます。その場所を掘ると薬師如来像が現れ、美しい温泉が湧き出しました。信連はここに12軒の湯宿を開き、それが山中温泉旅館のルーツと語り継がれています。その中心になったのが共同浴場「菊の湯」でした。
江戸時代の元禄年間には、俳聖 松尾芭蕉が弟子の曾良を伴って日本各地を旅した『おくの細道』の途中、山中温泉を訪れています。旅の中で最長の9日間逗留した芭蕉は、薬師堂を参詣し、温泉に浸かり、山紫水明な景色を心ゆくまで愉しんだそうです。それ以来300年余の歳月が過ぎた今もなお、山中の地には滾々と湧く出湯と豊かな自然、和の美と心が連綿と受け継がれています。 -
山中温泉 石彫「風の記憶(2005年)」
八ケ岳の中腹、原村の山中で石彫の制作を続けられている、下川昭宣氏の作品です。この作品は、八ケ岳の雄大な山並を表現しているようにも思えます。
何故、この地にあるのかは、残念ながら情報がありません。 -
山中温泉 からくり時計
山中座の前広場の南側にあり、2005年に「山中町」が加賀市と合併することを記念して設置された「からくり時計」です。上部のパネル3面と本体中央部の下見板は、山中漆器の技術を活かした山中塗仕上げです。7:00AM~10:00PMまで1時間毎に「こいこい音頭」が演奏され、人形が踊ります。 -
山中温泉 総湯 菊の湯「おとこ湯」
平安時代の開湯以来1300年の歴史を誇り、芭蕉は、身体の芯まで染み渡り、身も心も潤す有馬・草津と並ぶ「扶桑三名湯」のひとつと称賛しました。「菊の湯」の名は、芭蕉が訪ねて来た時に詠んだ「山中や 菊は手折らじ 湯の匂ひ」に因みます。
「おとこ湯」は、緑色の変り瓦を葺いた天平風の優雅な造りをした総湯で、温泉が発見された時に湯ざや(共同湯)が造られた場所に建てられ、腰まである深い浴槽が特徴です。また、驚くほど広々とした湯船と、豊かに湧き出る無色透明の湯が自慢です。山中温泉は九谷焼発祥の地でもあり、九谷焼タイルを使った大壁画にも圧巻されます。
湯は、無色透明、さらりとしており、それでいて肌触りがやわらかく、入浴し易いものです。手足を伸ばせば、自然に疲れもス~ッと抜けていきます。
芭蕉もこんなふうに旅の疲れを癒し、入浴を愉しんだことでしょう。山中温泉の長い歴史に思いを馳せて湯船に浸かってみてはいかがでしょう。 -
山中温泉 総湯 菊の湯「おとこ湯」
足に怪我をした白鷺が傷を癒していたのを見て、そこを掘ったところ仏像と共に温泉が湧いたというのが山中温泉旅館の始まりと伝わり、この白鷺伝説を象ったモニュメントが菊の湯の「おとこ湯」の前に置かれています。
また、鉄道ファンならご存知だと思いますが、金沢と名古屋を結ぶ特急「しらさぎ」の名前はこの山中温泉の白鷺伝説が由来です。 -
山中温泉 飲泉処「菊の露」
山中の温泉に水素が豊富に含まれていることが、研究調査により判ったそうです。水素には、老化、癌、肥満、生活習慣病などを引き起こす「活性酸素」を取り除く作用があり、現在は人気が沸騰し、ペットボトルでも湯を汲み易いように整備されています。
そのまま飲むこともできますが、ここの源泉は熱いので気をつけてください。
因みに源泉の温度は、約63℃もあるそうです。温泉のお湯は、地下水を足して43℃にしているようです。
泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
効能:外傷、神経痛、慢性皮膚病、筋肉痛、関節痛、五十肩、冷え性、動脈硬化症、火傷など。
飲用:慢性胆のう炎、胆石症、慢性便秘、肥満症、糖尿病、痛風など。 -
山中温泉 ゆで処
「おとこ湯」の前にある山中温泉の源泉が流れ込む「ゆで処」では、「温泉たまご」が作れます。自分好みのプルップルの半熟たまごが簡単に作れます。
卵は「おとこ湯」の番台にて購入し、卵を竹篭ごと「ゆで処」に浸します。所要時間は、好みに合わせて40~90分とあります。番台で温泉たまご専用のハサミを借り、殻を割っていただきます。
温泉や足湯に浸かってのんびり気長に待つという趣向でしょうか? -
山中温泉 足湯「笠の露」
「からくり時計」の右隣には、無料で利用できる足湯「笠の露」があります。
山中温泉は『おくの細道』の芭蕉と曽良の別離の地でもあり、芭蕉は「今日よりや 書き付け消さん 笠の露」と別れを惜しんで詠みました。その句から命名された足湯です。
なるほど、屋根が笠の形をしています。 -
山中温泉 足湯「笠の露」
飲用にも適し、柄杓が置かれています。熱いお湯ですので気を付けてください。 -
山中温泉 菊の湯「おんな湯」
明治神宮宝物殿と同じ瓦を用い、丸みを帯びた華麗で優雅な曲線美をなす造りを魅せ、浴槽には浅い所と深い所があります。このように男女別棟になっている総湯は全国的にも珍しく、「おんな湯」には山中節の館「山中座」が隣接しています。 -
山中温泉 山中座
2002年、山中温泉の元湯にオープンした山中座は、漆塗りの柱や格子戸風の壁面、蒔絵を施した格天井など山中漆器の粋を集めた格調高い造りが特徴です。
毎週土・日・祝日には芸妓連の「山中節四季の舞」が観賞でき、山中節の唄や芸妓の踊りなど山中伝統の芸能に親しむことができます。
開湯1300年の歴史を誇る山中温泉の総湯「菊の湯」、温泉民謡「山中節」、全国一の生産額を誇る「山中漆器」と山中温泉の3つの魅力をワンストップで体験できる館です。 -
山中温泉 山中座 ロビー
天井は、山中漆器の伝統技法「蒔絵の研ぎ出し」により、金・銀をベースとしてその上に色漆で彩色し、更に下地の金を研ぎ出して仕上げられた作品です。70平方mの巨大キャンバスに描かれているのは、『わらべたちのまつり』です。当地の最大イベント「こいこい祭り」をモチーフにした、「お椀」と「獅子頭」のお神輿です。
蒔絵では子供たちがお神輿を担いでいますが、元々は「お椀」の神輿を漆器職人たちが、「獅子」の神輿を芸妓たちが担いだそうです。その由来は、芸妓を獅子と呼んだことです。芸妓が置屋から旅館に通うのを忍び風呂敷を被った姿が、獅子舞に似ていたことに因みます。 -
山中温泉 山中座 ロビー
ロビーに入ると、艶やかに照り輝く漆塗りの柱に目を奪われます。見上げれば蒔絵技法を駆使した格天井が広がり、柱や壁は木目の美しさを活かした欅の拭き漆技法で仕上げられ、木の色艶が半端なく綺麗です。 -
山中温泉 山中座 ロビー
山中芸妓初代 米八が愛用した三味線や着物などが展示されています。
山中節は、元禄時代に北前船が運んだ歌とも言われています。船頭衆は、「山が赤くなる」冬が近づくと山中温泉で湯治をして1年間の疲れを癒しました。習い覚えた北海道の松前や江差の追分を湯船に浸かって唄い、それを外で聞いていた浴衣ベーと言われる女子たちが節に合わせて言葉を掛け合ったことから生まれたと伝えられています。
こうして歌詞をじっくり噛みしめると、切ない気持ちが伝わってきます。
「山中節」
忘れしゃんすな、山中道を 東や松山、西や薬師
薬師山から湯座屋を見れば 獅子が髪結ふて、身をやつす
送りましょうか、送られましょうか せめて、二天の橋までも
桂地蔵さんに、わしゃ恥かしや 別れ汨の、顔見せた
浴衣肩にかけ、戸板にもたれ 足でろの字を、書くわいな
山が高うて、山中見えぬ 山中恋しや、山にくや
谷にゃ水音、峰には嵐 あひの山中、湯のにほひ
薬師山から、清水を見れば 獅子が水汲む、程のよさ
今宵も来ぬかと、月黒谷の ぐちを岩間の、水の音
山が赤なる、木の葉が落ちる やがて船頭衆がござるやら -
山中温泉 山中座 大ホール 舞台
舞台は総檜造です。松が描かれた鏡板は、山中漆器近代技法のシルクスクリーン金蒔絵で仕上げられています。
欄間には欅の木を用い、繊細な細工を施した七宝組で、しかも拭き漆仕上げです。
開演中でなければ、自由に見学ができます。 -
山中温泉 山中座 大ホール
180人を収容できる大ホールです。内装全体が「漆を使った芸術品」と称賛される伝統芸能の館です。扉や松羽目、欄間に手すりや肘掛に至るまで、山中漆器の粋を凝らした豪華な造りです。また、意匠を凝らしたデザイン、山中温泉縁起絵巻の入浴場面を266色の色糸で表現した緞帳など、その空間自体が見事な芸術作品となっています。
館内を飾る提灯に施されたマークは、山中温泉の湯本12軒だけが使用できたものです。
世界で最初に漆を活用したのは日本だそうです。北海道では、約9千年前の縄文時代前期の遺跡から漆を塗った装飾品が出土しています。抗菌力や防腐力に優れ、装飾のための接着力にも優れた漆は、生活用品をはじめ、仏像や建築物などに幅広く活用されてきました。17、18世紀には日本の漆芸品が海外に輸出され、その精巧な美しさで絶賛を浴び、「japan」と書けば漆器を表した時代もありました。
そうした漆の魅力を存分に体感できるのが、山中座です。総湯「菊の湯」の「おんな湯」を併設し、芸術ホールを有する建物です。名産品である山中漆器の粋を集めて建造されたもので、内装工事には延べ2000人の漆器職人が携わったそうです。自分たちの街の「矜持」をかけ、その細部に至るまで実直で丁寧な仕事がなされているからこそ、その美しさが身に染みるのでしょう。 -
山中温泉 山中座
館内の意匠のミニチュア版が展示されています。
中央左側にあるドアノブは、人間国宝 北川良造氏の作品です。
右端の下にあるのが、欄間の七宝組拭き漆仕上です。 -
山中温泉 山中座 轆轤の四季
日本一を誇る山中木地挽物技術を活かして 四季折々を巡る山中の風情を「桜」「朝顔」 「菊」「雪」を象って表した、躍動感溢れる作品です。
漆塗りパネルに配された木地は、職人が轆轤でリング状に挽き、それをカットしたものです。
監修:長谷川清(一水会会員、日展会友) -
山中温泉 芭蕉の館
建物は、芭蕉が逗留した「泉屋」に隣接していた1905(明治38)年築の「扇屋」の別荘を改築したものです。山中温泉最古の「宿屋建築」だそうです。館内では、芭蕉所縁の品々や伝統工芸「山中漆器」の秀品等が展示されています。
玄関前には、芭蕉と病んだ曽良との有名な別れのシーンが表現されています。芭蕉が山中を旅立つ時を迎えました。これは『おくの細道』で苦楽を共にしてきたふたりの別れの時でもありました。1689(元禄2)年8月5日(新暦9月18日)のことです。ふたりは今までの旅を振り返り、それぞれの思いを句に託しました。
曽良は腹を病て、伊勢の国長島と云う所にゆかりあれば、先立て行に、
「行行(ゆきゆき)て たふれ伏すとも 萩の原」
(病身のまま旅立ち、このまま行けるところまで行って倒れたとしても本望だ。できることなら萩の咲く野原で死にたいものだ。それくらい旅にかける志である。)
それに対して芭蕉は、「今日よりや 書付消さん 笠の露」と返しています。(共に旅を続けてきた曽良とはここで別れ、以後は一人道を行くことになる。笠に書いた「同行二人」の字も消すことにしよう。笠にかかる露は秋の露か、それとも我の涙か。)
また、立花北枝も山中を去る気持ちを詠んでいます。
「きくの里 みるたびなかむ ゆの名残」
やがて芭蕉と北枝は、曽良や山中の俳人たちが見送る中、黒谷橋を渡って那谷寺に向かって旅立ちました。曽良もまた、後を追うように大聖寺へと旅立ちました。
その後、曽良はどうなったのか?
一時は消息が途絶えた曽良は、晩年、身分を武士に戻し、忽然と表舞台に現れました。1709(宝永6)年、幕府の諸国巡見使「岩波庄右衛門正字」としてです。翌年、唐津を見回り、対岸の壱岐島に渡りました。北端の勝本まで辿ったところで病に倒れ、そのまま客死しています。享年62歳。
旅立ちを前に詠んだ辞世と受け止められる句があります。
「春に我 乞食やめても 筑紫かな」 -
山中温泉 手挽きガソリンポンプ
燈明寺脇の公園のような小広場に展示されています。
大正15年(1926)製のガソリンエンジンを搭載。こうした「手挽きガソリンポンプ」は、大正~昭和時代初期にかけて全国に普及し、山中温泉の大火(昭和6年)の際にも10台が出動したと記されています。 -
山中温泉 ゆげ街道
温泉の祖 長谷部神社を中心に、共同浴場の総湯「菊の湯」からこおろぎ橋付近まで600m程の目抜き通りを「ゆげ街道」と呼んでいます。山中漆器や九谷焼などのギャラリー、カフェやお食事処が軒を連ねて温泉街の情緒を醸します。人気のコロッケ店など個性ある魅力的なショップも沢山あり、宿泊客が浴衣姿で行き交う目抜き通りです。
見た目がスッキリしているのは、電柱や電線がなく幅の広い歩道が整備されているからです。開放的な温泉街の情緒を愉しみながらのんびりと散策ができます。
正面に山頂だけ覗かせているのが均整の取れた富士写ヶ岳です。 -
山中温泉 ゆげ街道
ショーウィンドウに整然と並べられているのは、山中商工会女性部が制作しているエコバッグです。荷造り用再生紙テープを用いてバッグを編み、そこに山中塗りを施しています。カラーは、22種類もあるそうです。
まさに、手作りバッグと山中漆器職人の漆器技術が融合した究極のエコバッグと言えます。漆塗りがなされているため、紙製品ながら雨に濡れても大丈夫です。1リットルの牛乳パック6本の重さにも充分耐えられる強度を持つそうです。 -
山中温泉 ゆげ街道
ひょうたん型の窓に風趣がある建物です。 -
山中温泉 ゆげ街道 いずも堂
鬼瓦が、カラフルな久谷焼です。
ゆげ街道沿いにも九谷焼を扱うショップは幾つかありますが、現代風にアレンジされた漆器や九谷焼など、この地の作家さんの作品が並んでいます。
古九谷の起源と消滅について記された史料に、1736(享保21)年の『重修加越能大路水経』があります。そこには、「制禁あるようで、今は絶へたり」と記してあります。これは製造禁止を意味し、その理由は幕府からの猜疑を回避するためと推測されます。その猜疑とは「九谷の陶工の中にキリシタンがおり、大聖寺藩が匿っている」というものです。藩の取り潰しを恐れ、嫌疑を晴らすためにやむなく古九谷を自ら廃絶したと考えられています。
そこに芭蕉が関与したとの説もあります。伊賀生まれで健脚な芭蕉は、実は幕府の隠密であり、大聖寺藩は直ちにキリシタンが働く古九谷窯を隠蔽する必要に迫られたとの仮説です。
目から鱗で、芭蕉が山中温泉に異例の9日間も逗留した謎が解けたような気がします。温泉三昧に現を抜かしていたわけではなかったのかも…。 -
山中温泉 ゆげ街道 ギャラリー桂寛
漆工芸家 多田桂寛氏のギャラリーです。
1877(明治10)年創業の漆工芸の老舗で、山中漆器を代表する茶道具、塗汁椀等を工房直売価格で販売すると共に、人間国宝「川北良造」の作品を多く所蔵し、これらを展示しています。
店頭には、中山温泉に古くから伝わる「龍伝説」の「龍」が立ち、「龍をさわるとあなたの願いが叶うかも」とあります。 -
山中温泉 ゆげ街道
ご当地「自動販売機」です。
「加賀鳶」をあしらっています。加賀鳶とは金沢の義勇消防団のことを言い、江戸本郷にあった加賀藩邸に出入りする鳶職人で編成したお抱え消防夫が始まりです。江戸時代の消防組織の1つである大名火消の中でも、特異な装束と威勢の良さ、見事な火消し活動で名高かったそうです。
明治維新以後その加賀鳶を江戸から招き、手押しポンプ、鳶口梯子を使った消防体制を組織して現在の義勇消防団ができ上がりました。
その左側にある写真は、加賀温泉郷が町興しのパロディーとして立ち上げた観光ユニット「レディー・カガ」です。米人歌手「レディー・ガガ」をパクッたとして、本家「ガガ」側からクレームが付いたそうです。ネット上にアップされたPVは差し替えとなり、多額のロイヤリティを支払ったそうです。親日家で知られ、震災復興への観光大使の役目も果たしてきた世界の歌姫にしては、意外な一面です。何が彼女の逆鱗に触れたかと言うと、BGMに彼女の楽曲を無断で使用したことにあります。因みにこのユニットは、現在も健在です。
一方、「レディー・カガ」とは、大型空母にして一航戦の一艇であり、ミッドウェー海戦にて撃沈された「加賀」の総称でもあるのですが…。 -
山中温泉
お城のような形をした民家です。
以前は、民宿だったのかもしれません。 -
山中温泉 天狗岩
山中温泉には、大聖寺川を挟んで、西にこの「天狗岩」、遥か東に「大巌」があり、温泉郷を見守ってくれています。 -
山中温泉 天狗岩
標高350m水無山の南東斜面に見られる流紋岩でできた天狗岩(3つの岩)は、遠くから見ると天狗の横顔に見えることから「天狗岩」と呼ばれ、昔から毎朝手を合わせてお願い事をすれば、願い事が叶うと言われています。真ん中の岩は天狗の鼻のように尖っています。上の写真の右端にある一番大きな岩が天狗岩かと思ってしまうのですが、違うようです。因みにこの位置からでは、天狗の横顔には見えないそうです。もう少し奥へ行かないと無理だそうです。
天狗岩の下方には鳥居が有り、天狗岩は見る角度や天候により表情が変ります。また、天狗岩の麓の湧き水は名水として地元民に愛飲されているそうです。水無山と言うほどですから、貴重な水源だったことでしょう。
かつては登山道もあったそうですが、現在は熊が出没するとのことですので、立ち入らない方が無難です。
因みに流紋岩は、山中温泉一帯に広く産出します。この鉱物起源の土は、上質の焼物素材になるそうです。こんなところからも、九谷焼発祥のつながりが見えてきます。 -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中
2泊3日でお世話になったホテルです。
道路側から見ると2階建てのこじんまりした旅館のようにも見えます。
山中温泉の中心部から少し離れているため、至って閑静な環境です。 -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中
大聖寺川に架けられた「かじか橋」から眺めると、このように崖に面して建てられていることが判ります。
フロントが5F、6階建ての大規模ホテルです。 -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中
ビジネスホテルを展開している「セレクトグランド・グループ」が、山中温泉でオープンしたホテルです。元々は、山中プリンスホテルの建物でしたが、それを雰囲気のよいデザイナーズホテルにリノベーションしています。 -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中
夕食は、約50種類の和・洋・中ビュッフェが愉しめます。また、一部オープンキッチン形式も取り入れられています。
チョイスしたメニューは、嗜好が染まってしまったのか、お互いに変わり映えしないのが夫婦の絆です!
2泊しましたが、提供されたのはいずれも同じ種類でした。コスパ重視で選んだのですから、これはやむを得ませんね! -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中
こちらは、朝食ビュッフェです。
加賀温泉駅からホテルまでの送迎バスは、14:30、15:30、16:30、17:30の4便あり、全て予約制となります。また、ホテルから加賀温泉駅へは、8:50、9:50、10:50の3便に限定されますので注意が必要です。
ホテル発は、途中のバスターミナルで降ろしていただけます。2日目の金沢観光は、そこから北鉄「ゆのさき特急バス」を利用し、金沢「香林坊」で下車しました。
北陸鉄道グループの路線バスも運行していますので、送迎バスの時間が合わない場合は検討なさってください。ただし、近所の療養所を2軒回って寄り道するため、「もみじ谷」~「加賀温泉駅」間は、40分程見ておく必要があります。 -
山中温泉 セレクトグランド加賀山中 フタバカゲロウ
宵の口から明け方まで雷がドンチャン騒いでいました。おかげで、芭蕉も傾聴したとされる河鹿の鳴き声は、露天風呂に浸かっている時に聞けたのが最後でした。
翌朝、カーテンを開けると、ガラス戸にカゲロウが雨宿りしていました。
節足動物門昆虫綱カゲロウ目(蜉蝣目)に属する昆虫の総称です。昆虫の中で最初に翅を獲得したグループの一つと考えられています。
カゲロウは成虫になって1~7日の命と言われています。このことから儚い幻のような喩えから、「陽炎(カゲロウ)」と命名されました。水中での幼虫期を2~3年間過ごした後、羽化して成虫になります。しかし、羽化すると口はほとんど役に立たず、何も食べません。つまり、食を摂らず自らの遺伝子を後世に伝えるためだけに交尾して死んでいく宿命です。何となく哲学的な昆虫と言えます。
この続きは、問柳尋花 加賀紀行③山中温泉 無限庵でお届けいたします。
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