2017/05/16 - 2017/05/16
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motogenさん
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激しい雨は夜半には止み、朝の空気は潤いのある、快いものに変化していた。
ボントックへ移動する。
バス停車場には、ボントック行きのジプニーが常に停まっていて、客が集るしだい発車するようだ。
ボントックはマウンテン州の州都だ。
州都であるが、何もない小さな町だと聞いている。
東に流れているチコ川に流域にあって、物流の中心となっているらしい。
バキオまでの道中、面倒をみてくれた親子の故郷でもある。
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8時半過ぎ、荷物を背負って停車場に行くと、ジプニーは満車に近い状態だった。
「え~と・・」
どこに乗ろうかと困っていると、手を引っ張ってくれる人、席をつめて隙間を作ってくれる人、みんな親切だった。 -
後には、バギオ行きのバスも停まっていた。
それに乗りこむ人もいる。 -
満車だったのに、次々に乗り込んでくる人がいて、荷物とからまって車内は大混雑。
なんと楽しいジプニーだろう。
肌触れ合えば、みんな親しい仲間だ。
乗れきれなくて、若者は屋根に上に登っていく。 -
出発して15分も山を下っていくと、チコ川に沿った幹線道路に達した。
後方の山に、サガダへ登っていく道が見えた。 -
川辺を走ること15分、あっという間にボントックの町に入った。
道路沿いに『CHURYA-A』ホテルがある。
近くでジプニーが停まったので、急いで降りた。
『CHURYA-A』は目星をつけておいたホテルの一つだ。
すると、全員がここで降り、空っぽになったジプニーは、角を曲がって消えてしまった。 -
泊まるのは『CHURYA-A』にしよう。
白にベージュ色が混ざった4階建ての、見栄えの良いホテルだ。 -
1階は雑貨店になっていて、2階から上がホテルだった。
入口は細い階段となっている。
しかし歩道からは看板が見えず、似たような階段を持つ建物もあって、いつも迷ってしまう入口だった。
間違って別のホテルに入ってしまい、「部屋がない、部屋がない!」と慌てたこともあった。 -
フィリピン北部のホテルは、パスポートもデポジットも必要なく、名前と国籍を記入するだけで、いとも簡単に部屋を確保できた。
チェックインの時刻も、うるさいことは言われなかった。
そしてこの時期のホテルは、どこも泊まり客はほとんどいなかった。
『CHURYA-A』は700ペソ(1700円)と、初めて2000円を切った。 -
部屋は狭く、簡素なベッドと簡素なテーブルがあるのみだ。
荷物はベッドの片隅に置くことにする。
心配したコンセントはあるので、これで良しとした。 -
バギオ同様、トイレには便座がない。
なぜだ?
タイのGHのように尻を洗うシャワーもない。
それに代わってあるのは、バケツとひしゃくだ。 -
気に入らないのは、温水シャワーのノズルが天井に固定されていることだ。
ノズルは大きく、水を温める装置が内臓されている。
初めて見る温水装置だ。
水が侵入して感電しないか心配になる。 -
道路沿いにあるベランダに出て、町を眺めてみる。
町を貫くメイン道路を走るのは、サイドカー付きバイクのトライシクルばかりだ。
時代をワープしたジオラマのような町に見える。 -
ひなびたた商店街に見えるけど、これがなかなか良いではないか。
さびついた屋根も、はがれかけたスレート壁も、ちょっと暗めの店の中も、昔の田舎町の記憶を蘇らせる。 -
四方を山々に囲まれた盆地の町で、チコ川の南東側には、バナウェイに続く山々が並んでいる。
-
バナウェイ行きのバスの発着場を探しに、町で出てみた。
この樹木の立っている場所が、町の中心らしい。
交差点となっていて、南東方向に曲がればバナウェイに続く道が伸びている。 -
行き交う人にバナウェイ行きのバスを尋ねるが、知らない人ばかりだった。
バナウェイに行ったことのない人ばかりなのか?
幾人か目に、バナウェイを知っている若い女性に出会え、この道にバス停があると教えてもらったのだが、いくら探しても、それらしきものは見つからない。
付近の人に聞いても、首をかしげるばかり。
不安になってきた。 -
「ジプニーなら知っている・・」
と言ってくれたのは、パンやのおじさんだった。
『CHURYA-A』に戻った先にあるらしい。
その教えに従って歩いていくと、声をかけられた。
「バナウェイ・・・バナウェイ・・・」 -
ジプニーではなく、ミニバンが客集めをしていた。
バナウェイ行きのミニバンらしい。
朝の一番発は8時に出るという。 -
ボントックの町には見所がないが、町から直線距離4.5km、道則にして8km離れた場所にマリコンの棚田があるという。
そこでマリコン行きのジプニーを探すことにした。 -
裏通りにはニワトリ商売をしている店が多い。
かごの中から生きた鶏を取り出して、羽毛をむしり、残った羽毛をバーナーで焼いている。
その残酷さに驚き、目を離すことができなくなった。 -
息子がそれを手伝って、こげた羽毛をナイフで削り、つるつるに仕上げている。
次々に丸裸のチキンが完成していく。
それを袋に2~3羽詰めて買って行く人もいる。
ジプニー探しを中断して、30分以上も見学することになってしまった。 -
マリコン行きのジプニーは、町の中心の市場の近くにあった。
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朝の8時から営業が開始され、客が集りしだい出発すると言う。
明日はこれでマリコンに行くことに決めた。 -
市場の近くには公官庁や学校の並ぶ広場があった。
きれいな広場だ。 -
その広場の入口に、Provincial Plazaの看板をつけた立派なビルが立っている。
この建物は何だ? -
中に入ると、1階にレストランやカフェがあった。
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昼食をとることにする。
壁に貼られてたメニューを見ても、文字は読めるが、どんな料理なのか分らない。 -
分かったのはフライド・チキンライスのみ。
これを注文する。
95ペソ。(230円)
赤飯に添えられていたのは、チキン以外に春巻きと野菜の煮物、目玉焼き。
野菜の煮物は少し臭みがあって、美味くない。
フィリピンのローカル食は、単純なしょっぱ味たけで、出汁の効いたうま味も、スパイス効いた複雑な味もない。 -
でも贅沢は言わない。
健康を維持できれば、それで良いのだ。
裏通りを通って帰ろうとすると、『BONTOC MUSEUM』の看板を見つけた。 -
入ってみると、無人の学校ではないか。
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一度は退出したが、未練が残ってもう一度確かめに行くと、死角となる場所に『MUSEUM』の建物が隠れていた。
閉められている。
12時から2時までは、昼休みのパネルが出されていた。 -
市場の中を食料の調達をしに歩いた。
-
どの店にもマンゴーが大量にあり、安いので買い込む。
東南アジアに通うようになって15年以上になるが、丸ごとのマンゴーを買うのは初めてだ。 -
栄養豊富そうなトマトも買っておく。
トマトは好きではないが、健康維持のためだ。
海外では生野菜が不足気味になっている。 -
部屋は狭く、ベッドの上もテーブルの上も荷物でゴタゴタしているが、住めば都、自分の城だ。
こういう生活も捨てたものではない。 -
食べるもの、飲むものもがたくさんあると、秘密基地に閉じこもった気分となってくる。
コーヒーでも作って、のんびりしよう。
優雅な生活だ。 -
歩き回って汗になった服は、トイレのバケツで洗濯し、ロープを張って干すことにした。
ブンブンとうなる扇風機の風を当てておけば、朝までにに乾くだろう。 -
午後も遅くなると、いつもの雨が落ちてきた。
空の様子はあっという間に変わってしまう。
日が落ちると、人通りはパタリとなくなって、トライシクルが時折通っていくだけとなった。 -
雨の中で、夜遊びなどしている人は誰もいない。
真に健全な田舎町だ。 -
夜も早いというのに、家々の灯りはしだいに減って、町全体が眠りについていく。
この灯りのどこかに、お世話になったボントック親子の家かあるはずだ。
電話でもしてみようかな・・・
と思ったが、親戚縁者との楽しみのじゃまになってはいけないと、思いとどまった。 -
ボントック中心街のMAPです。
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この旅行記へのコメント (1)
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- trat baldさん 2017/06/18 07:30:51
- ヤバイよ、日本と云う本拠地&奥さんを忘れちゃう。
- ひたすら生きていくだけだよね、なまじ快適や便利が有るとその豊かさを求めて時間や心を切り売りしてお金を手に入れちゃう。
ルソン島北部でもド田舎って有るんだねぇ、、、、、
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