2017/05/20 - 2017/05/20
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地酒大好きさん
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今日は、滋賀県の犬上郡多賀町と米原市にまたがり、鈴鹿山脈の北端にある霊仙山(りょうぜんさん。1094m)に登ってきました。添付のルート図では、榑ヶ畑(くれがはた)登山口から、汗ふき峠に上がり、左回りに山域を一周してくるルートです。毎年この時期にはヤマシャクヤクを求めて同じルートを歩いています。
名神高速道路の関ケ原ICを下りて国道21号線を滋賀県に向かいます。醒ヶ井養鱒場(さめがいようそんじょう)を経て、廃村になった榑ヶ畑集落にある登山口に車を置いて登り始めます。登山口の駐車スペースは午前7時半にはすでに満車で、仕方なく林道の片隅に駐車しました。大阪や京都などの関西の車が多いようで、かなり人気の山です。特に今の時期は、ヤマシャクヤクが咲くというので多くの登山者が訪れます。
汗ふき峠までにはオオルリやアオバトの声が聞けました。峠から大洞谷にいったん下りて、落合や今畑という廃村に向かいます。途中の大洞谷ではミソサザイの個体数が10以上確認できました。以前聞いたことがあるアカショウビンの声はしません。今畑登山口からはいよいよ西南尾根に向かう急な道を登ります。途中にある今畑集落は1970年代に廃村になり、今では民家はほとんど残っていなくて土蔵と寺だけがかろうじて残っています。毎年観察する、捨てられたNEC製のブラウン管テレビを写真に収めました。当時、庭に咲いていたと思われるクリンソウが数を増やしているようでたくさん見かけました。
笹峠までに観察したことがあるヤマシャクヤクの大群落は昨年からなくなってしまい、今年も見ることができません。シカの食害にあったのか、盗掘にあったのか分かりません。倒れた枯れ木にはキツツキが開けた穴がいくつも開いていました。笹峠にエビネはと探すと、ありました。これも盗掘でかなり数を減らしたようですが、最近は人工栽培が可能になり安く販売されるようで、盗掘されることが減り野生の数が増えているそうです。ただシカの食害は心配です。このころからツツドリ、カッコウの声が大きく聞こえるようになりました。
いよいよ西南尾根に上がる急な斜面を滑り落ちないように登ります。ルート図では、笹峠からの等高線が密になっているとおり、厳しい登りが30分以上続きます。南面なので直射日光をもろに受けるのですが、涼しい風が吹き抜けるため熱中症にはなりませんでした。背後は鈴鹿の山々が望まれ絶景です。シカの糞がたくさん落ちていて、それを食べるオオセンチコガネがたくさん歩き回ったり、飛び回ったりしています。
西南尾根にやっと上がると、琵琶湖が見えます。そこから岩だらけの道を慎重に進んで、ヤマシャクヤクの大群生地に向かいます。ありました。たくさんの花がちょうどピークのようで、もうつぼみのものはありませんでした。今週で花期が終わるようです。途中で会った下山者に聞いても、どこにヤマシャクヤクが咲いているか分からなかったと全員が言っていました。場所が分かりにくいためです。西南尾根を霊仙山に向かって延々と尾根歩きです。ホトトギスが鳴き始めました。今シーズン初めてのホトトギスです。これで今シーズンもトケン類4種(ツツドリ、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ)を制覇したわけです。オドリコソウも一カ所だけにかたまって咲いているのを発見しました。下界では外来種のヒメオドリコソウがたくさん見られますが、オドリコソウはめったに見られません。
霊仙山頂上部は広くて、以前あったササは全部シカに食べられてしまったので、殺風景に見えます。しかし、登山者の数はかなり多く、ほとんどが短時間で登れる「汗ふき峠から霊仙山への直登ルート」を上がってきた人たちです。いくつかのピークがありますが、どこも騒々しいのですぐに下山です。下山ルートは直登ルートを下ります。知人の女性登山者から聞いていたエビネの大群落があるという場所を歩き回ると、やはりありました。登山者のほとんどは知らない場所にある群落です。周りの草はシカに食べられてしまってなくなっていますが、エビネは残っています。シカが嫌いな食べ物なのでしょうか。不思議です。カンカン照りの高地から森林地帯に入ると、新緑が目に染みるような鮮やかさです。見とれていると、急に頭上でアカショウビンの声が大きく聞こえました。谷筋でもないのにと思って探しましたが、姿を見ることはできませんでした。しばらくの間、珍しい声を堪能しました。ジュウイチも大声で鳴き、今日だけでトケン類4種を聞くことができました。
猛毒植物のハシリドコロの群落は今年もありました。秋までには消滅してしまうという奇妙な植物です。これは決してシカの食害にあわないし、盗掘もされませんね。
炎天下を6時間半以上も歩いて筋肉が痛くなりましたが、大いに満足ができる山歩きでした。これからはヤマビルが出るので、しばらくは低山はお預けです。
今日の歩数は23,400歩でした。2リッター持って行った水はほとんど消費しました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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今日歩いたルート図です。
左上の榑ヶ畑(くれがはた)登山口から、汗ふき峠に上がり、左回りに山域を一周しました。
笹峠から近江展望台の間の等高線が密になっていて、急斜面を登ることが分かりまず。
近江展望台から最高点までは等高線がほぼ水平で、鈴鹿の山々の展望や琵琶湖を眺めながらのんびり歩けます。岩がごろごろして歩きにくいところが多くありますが。
榑ヶ畑も今畑も古くからの廃村です。 -
榑ヶ畑集落は廃村になってかなりの年数がたちます。建造物は残っていなくて、石垣を積んだ民家跡が山間に見られます。そこにも今では木が生えています。
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10年ぐらい前にはまだ姿をとどめていた廃屋は、今ではこの状態。ただのゴミの山のようです。
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急坂を登り始める直前にある、飲料の無人販売所。山小屋(ほとんど休業状態)である「かなや」のものです。
沢の水で常時冷やされています。 -
その飲料の値段表です。自動販売ではなく、手動販売になっています。
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この廃村で1株のエビネを見つけました。登山道からちょっと離れた場所でした。
エビネはランの仲間で、以前は大ブームがあり盗掘も盛んで、野生種はかなり数を減らしていました。最近は人工栽培方法が確立して安価になり、盗掘も減って野生のものの数が増加しているようです。 -
薄暗い林の中に咲いていたのでストロボをたいて撮影した同じエビネです。
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息を切らして登ると汗ふき峠です。ここから直接のぼれば、1時間ほどで頂上に立てます。
わたしは落合と書いてある方に向かって峠を下りました。 -
峠を下ると大洞谷が流れています。その谷筋にある炭焼き窯跡です。だんだん風化してきています。
谷筋ではミソサザイがたくさん生息していて、小さい鳥のくせに大声で長く鳴いています。以前聞いたアカショウビンの声は、今日は聞けませんでした。 -
落合集落跡の廃屋です。この集落には20軒以上の民家が残っていますが、常時住む人はいなくて、夏季だけ避暑地として戻ってきて住む住民がいるとのことで、完全な廃村ではないようです。
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落合集落を過ぎて、今畑登山口に向かいます。登山口から細くて急な坂道を登ると、1970年代に廃村になった今畑集落跡に着きます。民家はほとんどなくなり、わずかに寺と古い土蔵が残っているだけです。
民家の庭に育てられていたクリンソウの花がちょうど満開です。花だけは残っています。 -
こうして群生しているクリンソウはとてもきれいです。
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民家跡の敷地に残されたNEC製のブラウン管テレビです。風雨にさらされて傷みがひどくなっています。
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今畑集落跡を過ぎて、さらに急な登山道を進みます。林の中で、キツツキが開けたと思われる穴だらけの倒木を発見。多分、立ち木のうちに穴が開けられてから倒れたものと思います。
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笹峠に来ると、以前見たエビネを探しました。ありました。今が花盛りです。
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周囲を探し回ると、あちこちにありました。
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このようにきれいな花です。昔、大ブームがあったことが理解できます。
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その接写写真です。
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さて、いよいよ西南尾根に上がる急斜面を登ります。かなりの急坂で直登は難しく、ジグザグに登ります。
空は真っ青で背中で受ける直射日光は強いのですが、心地よい涼風が吹いているため奇妙な気分です。 -
このように岩がごろごろした急斜面です。草はシカの食害でほとんどありません。シカの糞だらけです。
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途中で振り返って見下ろすと、急斜面を登ってくる登山者が小さく見えます。
向こうは鈴鹿の山です。 -
尾根を登り詰めると近江展望台があります。ここまで来れば、あとはほぼ水平な尾根道歩きです。
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尾根から見えた琵琶湖です。
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この尾根をどんどん進むと霊仙山にたどり着きます。
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例年咲いているヤマシャクヤクの群生地に向かうと、岩の間にヤマシャクヤクが。
途中会った下山者に聞いても、だれもどこにこの花があるのか知りませんでした。見つけにくい秘密の場所にあります。 -
さがすとたくさんの花が見られました。
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あちこち歩くと、あります。
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かなり広範囲に咲いています。
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ずっと先まで咲いています。シカに食べられないのでしょうか。
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開き始めたばかりの花です。清楚で可憐です。
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これくらいの開き具合の花が最高です。
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一カ所だけオドリコソウが咲いている場所を発見。岩の間の見つけにくい場所でした。
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これも岩の間のオドリコソウです。
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オドリコソウの接写写真です。下界のいたるところで見られる外来種のヒメオドリコソウとは花の作りが違います。
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ヒメレンゲも岩の間にたくさん見られました。これもシカに食べられないのでしょうか。
どこもシカの糞だらけで、ほとんど草は残っていません。もちろん、昔あったササもまったく見られなくなりました。
シカの糞の周囲には、糞を食べるオオセンチコガネがたくさん歩き回ったり飛び回ったりしています。かれらにしてみれば、ごちそうだらけの天国のような環境でしょうね。 -
西南尾根のほとんどがこのようなごろごろの岩の道です。
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霊仙山の最高地点です。登山者があふれていました。霊仙山頂上は別にあります。ここよりはちょっと低い山です。
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今歩いてきた西南尾根を振り返ります。ずっと向こうから歩いてきたのですね。直登してきた登山者に話すと、あんな遠いところからあるいてきたのですねと感心します。
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霊仙山の頂上部は広くて、ササが全部なくなり、殺風景な感じがします。
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草はほとんどなくなり、イチリンソウだけが残っています。小さいからシカが食べないのでしょうか。それとも忌避する植物なのでしょうか。
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イチリンソウの花です。
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以前、「お虎が池」かそうでないか論争があった池です。今では「お池」の看板だけが建っています。
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登山道の真ん中の茂みに隠れたクサボケと思われる花です。若い女性が二人で見つけて、何か分からないので尋ねられた花です。大阪から来たという男性が名前を教えてくれました。ほとんどの登山者は気づかずに通り過ぎます。
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XXの辺りにエビネがあります、というメールを知人の女性登山者からいただいて、辺りを歩き回ると、こんな群落がありました。
登山道から外れているため、その存在を知る人は少ないようです。 -
炎天下で咲くエビネの群落。図鑑では、落葉樹林内に生えるランとなっていて、こんな直射日光が強い場所に咲いているのが不思議です。
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これが一番大きなエビネ群落です。知人が送ってくれたメールに添付されていた大群落の写真はこれだったのでしょうね。
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下山途中にあるハシリドコロの群生地です。猛毒植物です。
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ハシリドコロは猛毒があるため、盗掘も食害もなく永遠にここにあるでしょうね。
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上を見ると、目が覚めるような新緑がきれいです。
見とれていると、上の方でアカショウビンの大きな声が突然聞こえてきました。 -
アカショウビンはこんな鳥です。カワセミの仲間で、全身が赤い鳥です。夏に渡ってくる鳥ですが、個体数が少ないためバードウォッチャーでも見た人はあまりいません。わたしは声を何度か聞いたことだけはあります。
*これはウィキペディアから拝借した写真です。 -
暗い林の中で見た花ですが、名前が分かりません。
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もうちょっと近づいてみました。
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接写写真です。何の花でしょうか。
*調べた結果、タニギキョウだと分かりました。2週間ぐらい前に、海上の森(かいしょのもり。瀬戸市の2005年愛知万博の当初の予定地だった森)で友人から教わったばかりの花でした。すっかり忘れていました。わたしの記憶力はこんな程度です。
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