2017/04/29 - 2017/05/06
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108JETさん
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現地5泊の欧州旅行。ベルギーのブリュッセルに3泊の後、ロンドンに移動、1泊して5月4日。ずいぶん以前から一度は乗りたかったオリエント・エクスプレスでロンドンからパリへのショート・トリップです。
服装など、正直どうしたらいいのかわからなかった部分もありましたが、事前の緊張も、乗車後はすぐにとけ、優秀なスタッフの皆さんのおかげもあって、本当に楽しい旅になりました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 航空会社
- キャセイパシフィック航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
ホテルをチェックアウトして、ビクトリア駅に向かいます。平日の午前中ですが、にぎやかな駅構内です。
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列車は、日本でネット予約しておきました。郵送されたチケットを持って2番線わきにあるチェックインカウンターヘ。構内の案内板やメールで送られてきた地図を見れば迷うことはありません。
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出発は10:45。8:30からチェックインカウンターが開いているようですが、9時ごろでも列ができていました。荷物を預け入れたり、注意事項の説明など、一人ごとに結構時間を要します。10時過ぎには長い列ができて定刻に出発できるか、気をもみましたが、いつものことのようで、出発までに皆さんの手続きは終了しました。
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カウンターは3グループ分しかないので、時間もかかるわけです。特に急ぐ旅ではありませんが、並ぶのは結構大変ですよね。
オリエント・エクスプレスの起源は19世紀末にさかのぼり、西欧やバルカン半島を中心とする東欧を結ぶいくつかの国際列車の総称。航空機の普及や冷戦などで次々と廃止され、2009年にはオリエント急行を名乗る路線は姿を消します。一方、古き良き時代の旅を求める声にこたえるために20世紀末から「観光列車」としての「新オリエント急行」が登場し、今に至っています。今回乗車したのはベルモンド社が、まだ、旧オリエントエクスプレスが運行していた1982年に、戦前に製造された車両を発掘・再整備して運行を始めたもので、商標権などの都合から、正式名称は「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」です。 -
90年も前に作成された車両は、再整備の過程で徹底的に修理され、その後高速化への対応のため台車なども交換。通常の本線を走行できる状態で提供されています。木材が多く使われており、日本の規制からするとなかなか導入できないでしょう。。。
最近日本もJR各社を中心に高級夜行列車を登場させていますが、いずれも車両を新造しており、古い車両は廃車され、産業遺産に対する考え方(コストや安全規制の枠組み)に大きな違いがあります。電車を中心に日本でも多少あるとはいえ、「動態保存」がもう少し重視されることを望みます。 -
さて、出発です。
オリエントエクスプレスやそれに類する上級観光列車は、いくつかのルートが設定されており、日程や予算に合わせて選ぶことができます。とはいえ、乗りたいルートが、自分のスケジュールと会うことは難しく、今回やっと願いがかなったわけです。
日本の新しい寝台列車のツアーは、2~3泊のコースばかりで、私のような一人旅好きには割増料金となるなど、使い勝手がよろしくありません。オリエントエクスプレスは、今回私が利用したデイトリップから数日間かけるルートまで多種のルートが設定されており、短距離のコースは値段も随分と安く設定されています。料金は1人当たりの単価で設定されており、一人用の個室など、広い層に配慮されたものになっています。
ロンドンとドーバー海峡(フォークストーン)までは食堂車でブランチが提供され、客室には入りません。 -
英国内の食堂車はこんな感じ。
古き良き時代の装飾が最大限保存されており、ノスタルジックな雰囲気満点です。 -
食事を待つ間も、列車はどんどん進み、明るい初夏の南イングランドの風景が流れていきます。
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ブランチは、プロセッコとオレンジジュースのカクテル、ベリーニから始まり、フルーツサラダが続きます。シロップの甘さが効いて、お酒を飲みながらでもおいしくいただけます。
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菜の花でしょうか?黄色い花畑が続きます。
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スモークサーモンとスクランブルエッグが供されました。
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フォークストーン・ウエストに到着、ここから海峡を渡り、フランスへ向かいます。
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駅では、楽団がお出迎え。
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どうやって英仏海峡を渡るのか、というと、バスに乗り、ユーロトンネル(英仏海峡トンネル)を走る自動車輸送用の貨物列車に積まれて行くのです。トンネルはユーロスターと貨物列車しか通行できないため、オリエント・エクスプレスもここでいったん降りることになります。車両運用に無駄が生じるのですが、致し方ない、といったところでしょう。
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バスの中は、こんな風にゆとりを持ったつくりになっています。20人強が乗車できるスペースがあります。
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バスが貨物列車に乗り込み、停車すると、シャンパンがふるまわれます。列車の中のバスの中、スムースですが、独特の揺れが若干あります。
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海峡トンネルの通過は40分くらいですが、前後の乗り換えや入出国手続きなどをあわせると2時間弱かかります。
フランス側ではこのようなお出迎え。指定された車両に乗り込みます。実際のところは、ここからが本番。バーや夕食など、イベントは一層濃密なものとなります。 -
これが私に指定された車両。丁寧に整備されており、外装も内装もピカピカです。
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写真の右側は個室。廊下は狭く、大人がすれ違うのにギリギリの幅しかありません。木製の内装とノスタルジックな照明。戦前の仕様が可能な限り維持されています。
実にすばらしい。 -
個室は1名ないし2名が定員。2名だと少し窮屈かもしれません。座席は夜間、上下2段の寝台になります。
左側にテーブルがあり、狭いことは狭いのですが、その中で極めて合理的、機能的に様々なものが配置されています。なお、冷房はありません。日本より涼しく乾燥しているとはいえ、夏は厳しいかもしれません。窓は開けられるので、今の時期は快適です。
テーブルの下に220ボルトの電源があります。大陸側の車両ですが、差し込めるのは英国用のプラグだけです。 -
各車両には、その来歴がプレートで示されています。私の乗車した車両は1926年製。今年で91歳です。ただし、当時と全く同じ、というわけではありません。
観光列車として使う(動態保存)か、当時のままで博物館などに置くか、おそらく議論の分かれるところだと思います。車内など、目に見えるところはオリジナルなのかもしれませんが、現在の高速列車の線に入れるためには、機械部分は相当手が入っています。列車旅行を楽しむのには快適なのでしょうが、本来は鉄道博物館で多くの人に観てもらうのが良いのかもしれません。 -
車両担当の車掌さんがシャンパンを配りに来てくれました。同時に、夕食の時間と食堂車(この便には3両)を指定したチケットが配られます。私は18:15から。最初、オリエントという名の食堂車を指定されましたが、時間になってオリエントへ出向くと、隣のプルマンに変更になっていました。理由は聞かなかったのでわかりません。
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北フランスの明るい初夏の風景が続きます。
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あっという間に夕食の時間です。ドレスコードがあって、男性はタキシードないしはダークスーツにネクタイ着用、が原則になります。タキシードは持っていないので、手持ちの衣服の中からストライプのない一番黒に近いスーツを持参、ワイシャツはカラー。客室で着替えます(ロンドンからはジャケットにネクタイでした)。
実際にはお客様の服装は様々で、確かに男性タキシードと女性ロングドレスが多数派。でも皆さん、それぞれおしゃれを考えてきていて、コードから外れない範囲で自分にあった服装、という感じでした。 -
まだ、他の皆さんは来ていません。
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ワインなどの飲み物は別料金です(予約時に料金に何が含まれているかは確認できます)。値付けは少々高めですが、ワインをボトルで頼むことにしました。一人だと、赤白両方、というのが難しい。ただし、種類は限られますが、ハーフボトルもあります。
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オードブルです。オマール。オーソドックスな調理、盛り付け、そしてお味でした。
その後、メイン、デザートと続きますが、冒険じみた料理はありません。でもこれが正解だと思います。食事はオリエント・エクスプレスでの重要なイベントですが、かぎられた厨房で奇をてらった料理を作って出されても、どうしても無理があります。肩の力を抜いた料理で、車窓や社内の雰囲気を楽しみながら時間を消費する、そういう割り切りが大事だと思います。 -
メインはステーキです。焼き具合は指定できます。
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チーズはワゴンで運ばれ、数種類の中から選ぶことができます。
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ワインは、マルサネの赤。列車は、台車を交換するなど、主要部分を現代の鉄道に合わせているので、90年前の車両とは思えないほどスムースですが、やはり揺れることがあります。飲みすぎは注意です。
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デザートはホワイトチョコレートに包まれたケーキでした。
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食事が終わり、隣のバーに寄りました。あまり時間がなかったのですが、ピアノ演奏の中、皆さんとひと時を楽しみました。
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コニャックを一杯。椅子は満席状態でしたが、カウンターに座ることができました。
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バーテンダーは大忙しです。狭い中でも、とてもきびきびと、丁寧に仕事をされています。
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パリの東駅が近づいてきました。優雅な旅も、あっという間におしまいです。
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パリ東駅に到着。めいっぱい楽しんだ旅になりました。乗車前はたくさん写真を残そうと思ったのですが、その間も惜しい、時間消費の一日でした。
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この旅行記へのコメント (3)
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- ねぎ聖人さん 2018/05/22 15:18:46
- いつかは・・・
- 短い中にもとても充実感が伝わる旅行記でした。
私もいつかは・・・
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- Pメテオラさん 2017/10/07 20:29:55
- 物語の世界
- かつての長距離豪華寝台列車の旅を再現したような体験は素敵ですね。ほんの少人数のためとはいえ、こういう列車の旅があったことも少しづつ私たちの記憶の中から消えていくことを思うと、年寄は少し寂しくもあり、その一方、だれでもコンピューター等のクリック数回で高速列車に乗れる時代が来たことも嬉しいし、と感慨深くなりました。
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- Salaamさん 2017/06/07 05:50:26
- 憧れですね!
- 108JETさん
先日は多数イイネを頂きありがとうございます。
オリエントエクスプレス、素晴らしいですね!
自分語りになりますが、幼少時にロンドン南部に暮らしていた時期があり、何度かプルマンの列車を見たように記憶しております。
いつかは乗ってみたい、でも今の自分にはまだ相応しい品も風格も備わっていない、と言い聞かせ我慢しております。
91歳の車体、と考えるとリノベーションを繰り返してもいつかは限界が来てしまうのでしょうか…。
限界が来て引退してしまう前に品位を備えたいものです。
とは言え、そんな事を待っていたら車体の寿命より自分の寿命が尽きてしまいそうですが(笑)
それまでは皆様の優雅な旅行記を拝見して我慢ですね。
良い旅をー!
Salaam
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