2017/03/07 - 2017/03/07
14位(同エリア1043件中)
かっちんさん
今日は中央本線から南アルプスの車窓を楽しみながら、上諏訪へ向かいます。
江戸時代の上諏訪は、高島藩の武家屋敷、宿場と問屋、醸造業などから成り立ち、明治になると製糸業、観光温泉地として栄えたところです。
甲州街道沿いの商店街だった本町(現諏訪1・2丁目)は大正時代の終わりに大火が発生し、復興に際して店舗に看板建築(*)が取り入れられました。
上諏訪の町並みは、明治、大正、昭和初期の建物が所々に残されています。
また、温泉寺には江戸時代の高遠の石工「守屋貞二」が彫った石仏が数多く安置されています。
(*)看板建築とは関東大震災後、東京方面を中心に流行した店舗建築のことです。
店舗の正面はあたかも看板のように洋風につくり、内部は従来の木造建築とした庶民的な建築です。
なお、旅行記は、諏訪市教育委員会の建物めぐりマップ、諏訪商工会議所の上諏訪商店街物語り、スタジオワークの建築デザインの解剖図鑑(書物)、各建物のホームページなどを参考にしました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
中央本線から眺める南アルプス(車窓)
桃源郷のある穴山付近からの景色です。
左側に鳳凰三山の観音岳と地蔵岳、右側に甲斐駒ケ岳が見えます。 -
眼下には釜無川の流れる武川町(車窓)
中央本線は韮崎(にらさき)から高台の七里岩(しちりいわ)台地を走ります。 -
ホームから眺める甲斐駒ケ岳
日野春駅で特急通過待ちになり、乗客はホームに出て南アルプスの絶景を眺めています。 -
山あいの火の見櫓(車窓)
小淵沢付近です。 -
八ヶ岳(車窓)
小淵沢を過ぎると、右手に小海線の線路と八ヶ岳が見えます。 -
イチオシ
赤く錆びた旧線橋梁(車窓)
信濃境を過ぎ、トンネルを二つ抜けると、旧線の立場川(たつばがわ)橋梁が見えます。
明治37年(1904)中央本線開通時、立場川に架けられたボルチモアトラス橋(下側がトラス構造)です。
昭和55年(1980)信濃境~富士見間の複線化に伴い線路が付け替えられ、廃橋になりました。 -
上諏訪駅に到着
ホームに上諏訪温泉の足湯があります。
以前は湯船に入れる温泉だったのですが、電車に乗り遅れる乗客がいるため、足湯に変えた経緯があります。 -
上諏訪周辺の案内
駅前の観光案内所で町歩きの見どころを教えてもらいました。
一つ目は高遠の石工である守屋貞二の彫った石仏。
二つ目は古い建物の残る町並みです。
甲州街道沿いの商店街は大正後期の大火により看板建築の建物に変わり、今でも多く残されています。
案内所で建物めぐりマップをもらい、最初に温泉寺の石仏、次に甲州街道(諏訪1丁目)周辺と並木通りの町並みを散策します。 -
和洋折衷の住居(旧甲州街道)
駅前の甲州街道から1本奥にある旧甲州街道を歩いています。 -
土蔵と大きな門(旧甲州街道)
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石仏が安置されている祠(温泉寺参道)
旧甲州街道から分かれ、温泉寺へ向かう参道沿いに守屋貞治の西国三十三観音石仏があります。 -
十一面千手千眼観音(貞治の石仏)
西国三十三観音から石仏を2つ紹介します。 -
准胝(じゅんてい)観音(貞治の石仏)
手が18本、目が3つ(眉間に縦向きに第三の目)、手には数珠、蓮華、武器・・・などを持っています。
ご利益は延命、安産、子宝など。 -
温泉寺
温泉寺は高島藩二代藩主の諏訪忠恒により創建され、守屋貞治の石仏が多く残されています。 -
イチオシ
山門(温泉寺)
もともとは高島城のもので、明治3年寺の火災の後、本堂とともにここに移築されたものです。 -
境内のネコ(温泉寺)
排水管を寝床しているようです。 -
鉄塔(温泉寺)
鉄塔とはいうものの石造であり、もともとは諏訪大社上社の御神体とし、拝殿の奥に安置され信仰の対象でした。 -
イチオシ
コテ絵の布袋さま(温泉寺)
平成24年に寄進されたものです。
布袋さまというよりは、馴染みやすいどこかのおっちゃん・・・ -
延命地蔵大菩薩(温泉寺)
守屋貞治の彫った石仏です。 -
諏訪湖の眺め
温泉寺は茶臼山の中腹にあり、諏訪湖と温泉街の景色が眺められます。
これから古い建物めぐりを始め、最初に茶臼山にある配水池を訪れます。 -
小さな祠と御柱
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茶臼山配水池
大正13年(1924)に完成したレンガ造りの配水池です。
上諏訪地区は諏訪湖が目の前にありながら湧水や井戸の水脈がないところで、角間川を水源とした配水池ができあがりました。 -
管理棟(茶臼山配水池)
同じく大正13年の建物で、今でも現役です。
では、甲州街道へ下ります。 -
看板建築の町並み(諏訪1丁目)
甲州街道沿いのカドヤ遠藤商店です。
縦長の窓が洋風に見え、「マル正」が屋号です。 -
看板建築の町並み(諏訪1丁目)
コモン商店と五味ミシン店です。
建物頂部の縁周りにコーニスと呼ばれる突起部が装飾になっています。 -
看板建築の町並み(諏訪1丁目)
旧宮坂青果店、ブティックマルシ、リビングショップカネキチです。
建物頂部には、「日の出」のデザイン、アーチ型屋根、レリーフなど、どれも個性があふれています。 -
旧長野農工銀行上諏訪支店(諏訪1丁目)
昭和3年(1928)の建築です。
四つ角に建つ円筒形の隅丸(すみまる)建築です。 -
御柱祭りのキャラクター「ひくずらー」
-
イチオシ
看板建築(諏訪1丁目)
三村貴金属店は昭和3年(1928)建築で、正面中央部のアーチ、柱形上部に付けられた持送り、アーチ中央の「MIMURA」の文字デザイン、その下に三村家の家紋など、西洋建築を模倣した看板建築です。
右隣のブライダル染花みむらは翌昭和4年の建築で、正面の壁面には細部まで幾何学意匠が用いられ、当時流行った洗い出しの仕上げです。
どちらも国登録有形文化財になっています。 -
アトリエKAZU(諏訪1丁目)
大正12年(1923)建築で、屋号が「丸ス」。
現在、美容室です。 -
信州諏訪味噌工業(諏訪2丁目)
昭和18年(1943)頃の建築です。 -
丸多田中屋(諏訪2丁目)
豆類、油類等を販売し、奥の蔵では手打ちそばが食べられるお店です。 -
丸柳大津屋(諏訪2丁目)
明治期の建築か?
1890年創業時は酒造業、のちに薬種業、明治40年に金物業に転じ、現在は金物類・消防設備・高圧・LPガス等を販売しています。
蔵の面影が残る建物です。 -
金物店のショーウィンドウ(丸柳大津屋)
最近あまり見かけないブリキヤカン、ブリキバケツ、ホーローヤカン、ホーローバットなどがあります。
壁にかかっている波型の板は何??
MAID-RITEから調べてみると、米国メイドライト社のスパイラル金属製洗濯板です。
洗濯板は日本のものと思っていましたが、ヨーロッパから日本に伝来されたものなんです。
最近の洗濯板はミュージシャンが楽器として使っています。 -
重厚な店蔵造りの「舞姫」(諏訪2丁目)
明治27年(1894)創業の造り酒屋です。
2階に観音開きの土窓があり、重厚な耐火建築です。 -
町なかを走る特急「スーパーあずさ」(末広通り)
上諏訪~茅野間は今でも単線で鉄道敷地が狭く、商店街の中を電車が走っているように見えます。 -
旧食堂魚安(末広2丁目)
昭和4年頃の建築です。
2階3階の窓がお洒落なデザインです。 -
うますぎメンチカツ(末広2丁目)
「惣菜みやび」に入ってみると、ふっくらして食べたくなるようなメンチ!
肉よりもキャベツが多いメンチで、脂っこくなく美味しかったです。 -
御柱に囲まれる双体道祖神(末広1丁目)
信州でよく見かける仲のいい道祖神です。
手前の水飲み場には、小さな子どもが体を載せて楽に飲めるように手すりがあります。 -
旧白作呉服店(末広2丁目)
昭和4年(1929)の建築です。
屋根が階段状になっていて、お城のように見える美しい建物です。 -
ポワレ・ポワソン
フランスとスペインの家庭料理が食べられる店を見つけたので、昼食にします。 -
本日のランチ
「たらとしらすのアヒージョ(パン付)」にサラダとスープ、飲み物で、900円。
アットホームな雰囲気のお店で、オリーブオイルとニンニクで煮込んだ具材と、残ったオイルをパンにつけ、スペイン料理を味わいました。 -
イチオシ
木造住居(大手2丁目)
2階は下見板張りに手すりとガラス窓のある建物です。
このあたりは花街だったところです。 -
諏訪大手見番(大手2丁目)
大正末頃建築の旧歯科医院の建物です。
L字型の山小屋風木造建築に、モルタルの玄関まわりの部屋があります。
現在は芸妓を育てる邦楽学園になっています。 -
旧勝山写真館(大手2丁目)
大正12年(1923)の建築です。
1階が下見板張り、2階がモルタル。アーチ型の玄関に左右対称の窓など、お洒落な建物です。 -
青木産婦人科医院(並木通り)
大正11年(1922)の和洋折衷の建物です。 -
上諏訪病院(並木通り)
昭和6年(1931)の蔦の絡まる建物です。
大きな門とお庭があり、屋敷があったような造りに見えます。
上諏訪病院は大正8年に地域総合病院として開設されました。 -
イチオシ
御柱に囲まれる双体道祖神(並木通り)
-
湖明館通り
並木通りの大手1・2丁目交差点から諏訪湖にのびる通りです。
かつて地元の実業家が諏訪湖畔に建てた貸席「金湖園湖明館」へ通じる道をつくり、明治39年に「湖明館通り」になったとされています。 -
賀茂鶴今井商店(湖明館通り)
2階に縦長の窓があります。
ここを右へ曲がります。 -
旧北原医院(大手1丁目)
出窓のある医院を裏側から見ています。 -
旧北原医院(大手1丁目)
昭和4-5年頃の建築です。
上諏訪には古い町並みが残されており、今回は半分程度まわることができました。
この後、電車に乗り、茅野惣持院の摩利支天、金沢宿(青柳)の摩利支天を訪ねます。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- igamaruさん 2018/01/05 19:02:05
- 私にとって宝物の旅行記です^_^
- かっちんさん
はじめましてigamaruと申します。
上諏訪は私の故郷なんです。
高校卒業から東京でからこれ40年近くなります。
諏訪一丁目は私の通学路でした。
地味な故郷を丁寧に紹介して下さり、ありがとうございました😊
- かっちんさん からの返信 2018/01/05 21:14:41
- RE: 私にとって宝物の旅行記です^_^
- igamaruさん
こんばんは。
上諏訪が故郷だったのですね。
諏訪一丁目は看板建築の古い家の多いところなので、40年前の面影が残っていたと思います。
上諏訪の町はいいところですね。
かっちん
-
- Weiwojingさん 2017/04/09 18:43:15
- 上諏訪のレトロな建物や街並みが素晴らしいですね。
- かっちゃんさん
いつもご訪問やご投票をいただき、ありがとうございます。
上諏訪には古い建物や街並みがあり、素晴らしいですね。私は歴史的な古い建物や街並みに興味がありますので、いずれ上諏訪にも訪ねてみたいと思っています。大いに参考になりました。
フィリピンから日本に帰って来てから少しずつ各地のレトロな街並みを見て回っています。今月末には金沢や富山、高岡へ行く予定でいます。今後とも見いただけると嬉しいです。
では、これで。
Tamegai
- かっちんさん からの返信 2017/04/09 19:03:14
- RE: 上諏訪のレトロな建物や街並みが素晴らしいですね。
- Tamegaiさん
こんばんは。
歴史的な古い建物は、上諏訪、金沢、富山、高岡などに残されています。
ぜひ、町並みをゆっくり歩き、楽しんでください。
かっちん
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