2017/03/24 - 2017/03/24
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watersportscancunさん
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皆さまこんにちは!ウォータースポーツカンクンの店長吉田です。無事、メキシコシティからの出張を終え、先日より、コバ遺跡+トゥルム遺跡やフィッシングにジャングルツアーなど、再びカンクンにて沢山のお客様の笑顔と触れる毎日ですが、今回は、年に2度しか起こらない春分の日と秋分の日のチチェンイッツァ遺跡についての話題を取り上げたいと思います。
一年に二度と言っても、秋分の日である9月はチェンイッツァ遺跡のあるユカタン半島は雨期の為、、見ることが出来ない事が、特に最近は多くなって来ているのですが、反面、乾季の3月である春分の日は晴天率が高く、この一大イベントに向けて世界各国から人が集まります。
今年は、昨年度と比べると若干落ち着きを取り戻して来たかなという感じがありましたが、何せメキシコは好景気に沸いていることもあり、国内旅行のメキシコ人観光客の比率が非常に高くなっています。この為、こうしたメキシコ人観光客が、有名なチチェンイッツア遺跡の降臨現象を一目見ようと2年ほど前から大挙して押し寄せている結果が最近の混雑の理由です。
それだけ、春分の日の降臨率が高いからという事もあるのですが(^^)
というわけで、本年度2017年度のチチェンイッツァ遺跡の降臨現象は、しっかりと無事皆さまには見学を頂くことが出来たわけですが、ここで終わってしまうと、ただの報告ブログになってしまい、他と何にも変わらなくなってしまいますので、店長吉田のブログを読んでいただく皆さまの為に、ちょっとだけウンチクを書かせて頂きたいと思います。
■そもそも、この降臨現象という、ピラミッドに羽毛の蛇の影が、太陽の日没のタイミングで映し出される現象が必要であったのか?!という部分から。
■また、そもそも羽毛の蛇とは何なのか?
■更に、このピラミッド内にある神殿からはヒスイで作られた円盤が発見されていますが、このモザイク円盤は何を示すのか。
といった部分、非常に興味があるところだと思いますので、ちょっとだけ触れさせていただきたいと思います。
まず、当時のチチェンイッツァの時代(西暦925年~1200年、特に、現在のククルカンのピラミッドが建設されたのは1100年前後)は、人口も増大し、農耕に頼っていた社会構造上、農耕儀礼というのはとても大切なイベントでした。春の始まりは、豊作祈願、そして、秋の終わりは収穫感謝という大切な節目にあったわけです。石灰岩の岩盤であるユカタン半島は農耕には適さず、ミルパと言われる焼き畑が主要な農耕の手段だったわけですが、こうしたかなり不安定な農耕に頼っていたチチェンイッツアの支配者層が、いかにして人民の心を掌握しようとしていたのか。。。という部分が見えて来て興味深いですよね。
ここに絡めて、羽毛の蛇という、起源をたどればテオティワカンの時代(西暦300~西暦600年)まで遡る13層からなる天上界、オシュラフンティクの守り神であり、黄道13星座(12星座と言われますが、実際は蛇つかい座もあるので13星座)の象徴でもあるククルカン。。。つまり、そのまま太陽の象徴でもある神が無事降臨してくれるというイベントにより、神からのご加護、恩恵を自らの統治の結果、賜ったという威信行為が儀政者の狙いだったと言われています。
しかし、当時の自然環境(1050年頃までは干ばつだったこと)や、上記のように不安定な自然環境から勘案すると、支配する側の支配者層たちも本気でこの儀式に挑んでいたのかもしれません。
とはいえ、ピラミッドは正確に東に13度傾けて建設されており(内なるピラミッドは東西南北正確に建てられているので、内なるピラミッドと外側の現在のピラミッドは角度が違って重なっています)、これにより、太陽が最も真西に沈むタイミングで影がピラミッドに映し出されるように人為的な調整もされていますので、あくまで純粋な信仰だけではなかったことは確かです。
さて、ここで気が付いたと思いますが、ここには「13」という数字がかなり出てきます。13は、マヤの世界ではゼロと同じ一サイクルを示している最も重要な数字の一つですし、天上界の階層は13層、ククルカンの通る星座は13星座、ピラミッドは東に13度傾けて建設されているなど。。。
かなり、細かな部分まで意識している事が分かりますので、ここに信仰と威信行為を絶妙に交差させた「儀式」というものが見え隠れするわけですね。
そして、この神殿で発見されたヒスイのモザイク円盤は、方位の象徴としての意味を持っているわけですが、傾けて建てられているピラミッドとは違い正確に東西南北にあわせて、ジャガーの玉座の上に置かれていました。
このヒスイのモザイク円盤こそが、ピラミッドにとって最も大切なキーパーツであり、降臨にあわせてジャガーの玉座に、神官が儀式のフィナーレとして安置することで、ククルカンが降臨する瞬間に世界の方位と天上界、沈みゆく太陽がおりていくシバルバの世界とが一体化し、宇宙のエネルギーがこのピラミッドに集中するという仕組みになっているわけですね。
なので、正直な話、、、このモザイクの円盤がククルカンのピラミッドには置かれない状態でのククルカンの降臨現象は、単なる影絵でしかありません。。。様々な宗教団体の方々が、この日にあわせてピラミッドの前で祈りをささげていますが、どれだけ毎年降臨現象が起きようとも、もっとも重要なパーツがないので不完全な状態であるというのは否めない。。。というのは、裏話です(^^; こういう事もでも、実際にはとっても大切な情報でもあるわけですよ(笑)
ちなみに、このモザイク円盤は、トルテカの都であるトゥーラでも発掘されており(まったく同じもの!)、トルテカ侵攻説の有力な証拠として語られても来ました。実際、このモザイク円盤とそして、戦士の神殿とトラウィスカルパンテクトゥーリ神殿の類似性などもあり、トルテカとの交易があったことを示す重要な証拠にはなっています。
はるか1600kmも離れたトルテカの都トゥーラと交易をしていたというのも壮大な話ですが、このモザイク円盤の材料である青ヒスイは、テキサス州南部産である事もわかっています(更に800kmも北です!!) つまり、原産が2400kmも離れた場所にあるヒスイを、1600km離れたトゥーラで加工生産し、1600km(直線距離ですので、実際は2500kmくらい)の交易網を何週間もかけてチチェンイッツァまで運んだわけで、、、
最近、メソアメリカ文化圏における交易網の広がりが取りざたされていますが、我々の想像をはるかに超えた広い範囲での交易が盛んにおこなわれていた事をうかがい知ることが出来、非常に興味深いことなのです。
さて、このヒスイの円盤については、メキシコシティにある人類学博物館に常設展示されていますので、いつでも見ることが出来ます。トルテカのトゥーラで発掘された円盤もちゃんと展示されていますので、その類似性とつよい結びつきを実際に見ることが出来ます。
マヤの歴史を少しだけ頭に入れておきながら、こうした遺品を鑑賞するのと、何も分からない状態で、ただ見学するのとでは、興味も理解の度合いも格段に違って来ます。人類学博物館というと、有名なアステカカレンダーの石板などがありますが、ことマヤ文明に関しては、実に興味深く面白い遺品が多数展示されていますので、是非しっかりと知識としてのマヤ文明を感じ取っていただきたいなーと思います。しっかりとしたガイドがとても重要になります(←ここ重要(笑)
ウォータースポーツカンクンでは本年度よりメキシコシティのツアーも開始しているわけですが、こうして、チチェンイッツァ遺跡から発掘された重要な遺品を間近に鑑賞した上で、例えば、今回のククルカンの降臨現象を遺跡の方で体験すると、歴史のロマンを目いっぱい感じて頂くことが出来ますので(更に、少なくとも、円盤を間近に見学した後であれば、エネルギーのパワーも更にアップする?!)、今後は一連の流れの中で、更に奥深いマヤ文明の世界をご案内出来るよう更に弊社ツアーにつきましては、こだわりを拡充させていく所存です。
ちなみに、上記は、ククルカンの降臨にかんしての話のほんの一部です。まだまだ、マヤ文明、メソアメリカ文化は奥深く、興味深い話が多数あります。
弊社は、単なる見学とその場所に連れて行くというだけのツアー会社ではないので、行くからには目いっぱい知識を蓄えて、歴史のロマンを楽しんでいただきたいと思っております。このこだわりはこれからもずっと続けていきますので、是非今後ともウォータースポーツカンクンをよろしくお願い申し上げます(^^)
素敵なメキシコご滞在を!!
ウォータースポーツカンクン店長吉田でした!!
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春分の日の前後は大変沢山の観光客が訪れますが、晴天率が高いので、こうして降臨現象をしっかりと見学して頂くことが出来ます。
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この瞬間を写真に収めることが出来るのは、一年に2度だけです
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七筋のククルカンの御体が現れます。
7という数字には、ちゃんと意味がありますので、ここもしっかり押さえておきたいポイントですね。
マヤ文明では、7,9,13という数字がもっとも重要な数字になっています。 -
チチェンイッツァ遺跡の各重要建造物より発見されたモザイク円盤。
さて、ククルカンの神殿に安置されていたものはどれでしょうか?!
ちなみに、一つはジャガーの玉座に置かれて、もう一つは、ククルカンの神殿の正面下に埋められていたものです。
もう一つは戦士の神殿から発掘されたもの。 -
生贄の泉から発見された黄金の円盤も展示されています。
こうしたものを間近にみてから本遺跡サイトに出かけると、臨場感がまして、印象がますます深くなりますよ!
ここに描かれているモチーフは、、、
そうです。。。生贄の儀式ですね(^^)
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