2016/07/17 - 2016/07/17
520位(同エリア4267件中)
玄白さん
プラハ城内に威風堂々と屹立するゴシックの聖ヴィート大聖堂。その内部は、プラハ城内の旧王宮や聖イジー教会のボヘミアらしい質素な建築美とは対極の、目にも鮮やかなガラスで出来た絵画とも言える精巧なステンドグラスに囲まれた聖なる空間であった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
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大混雑の中で正午の衛兵交代式を見学し、フラッチャニー広場に面したカフェでランチの後、プラハ城のメインイベントともいうべき、聖ヴィート大聖堂へ。午前中のミサが終わり、ようやく内部に入ることができるようになった。
聖ヴィート大聖堂、正式名称は「聖ヴィート、聖ヴァーツラフ、聖ヴォイテフ大聖堂」でプラハ大司教の司教座聖堂である。925年、ボヘミア公国のヴァーツラフ1世によりロマネスク様式の教会として建立されたが、およそ400年後にボヘミア王カレル1世にして神聖ローマ皇帝カレル4世が、ゴシック様式による聖堂建設に取り掛からせた。途中、フス戦争による建設中断、フス派の聖像破壊運動による内装の破壊、資金不足による中断、16世紀半ばの大火など紆余曲折を経て、完成したのは、実に20世紀になってからである。完成までに600年の歳月を要した。 -
西側に面した門が正門。巨大なバラ窓が目を引く。聖堂内部から見たバラ窓の美しさは如何ばかりか、期待が膨らむ。
その前に、一回りして建物外観を見てみよう。 -
大時計が埋め込まれた高さ99mの南側の大塔。この塔には287段の階段を登り、てっぺんまで行けるのだが、今日は天気が悪く見晴らしはよくなさそうなので、これはパス。
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大塔のすぐ脇が、南側の聖堂入口になっている。入口上部は、金色のモザイク画が描かれているので、ゴールデンゲートとよばれている。ボヘミア王の戴冠式のときに、王が入場する門であった。
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幾何学的な美しさがあるリブ構造
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イチオシ
聖イジー教会側から見た大聖堂。
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酸性雨の影響なのか、小さな塔は黒ずんでいる。いずれ修復しなくてはならないのだろう。
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いよいよ、聖堂内部に足を踏み入れる。天井の高さ34m、奥行き124mの大空間!
ネット・ヴォールトと言われる網目状に交差した天井のリブ構造が長大な空間にリズム感を生み出している。
この空間を、そのまま進むことはできない。見学者は、指定された順路に従って左側から奥へ、そして右側から戻って来るような見学コースが決められている。 -
さっそく目に飛び込んでくる美しいステンドグラス群。いずれも19世紀後半から20世紀に制作されたものである。
ステンドグラスの美しい教会と言えば、フランスのシャルトル大聖堂、パリのサンク・シャペルなど枚挙にいとまはないが、それらと比べても決して引けをとらない。むしろ、それら著名なステンドグラスより、個々のガラス片が小さく、より精巧な感じがする。絵具の代わりにガラスを使った絵画のようだ。時代が下った分、制作技術の進歩によるのではないだろうか。 -
イチオシ
数あるステンドグラスの中でも一番人気! アールヌーボーの著名なグラフィックデザイナー、アルフォンス・ムハ(フランス語読みではミュシャ)作の「聖キリルと聖メトディウス」
中央上部の茶色の僧服を着た人物が聖キリル、右側の王冠のような帽子を被った人物が聖メトディウス。2人はギリシャ生まれの兄弟で、9世紀後半、聖書のスラブ語翻訳をして、ボヘミア地方にキリスト教を布教した。スラブ圏では、広く信仰されている聖人だという。なお、ロシア語、ウクライナ語などスラブ圏の言語表示に使われているキリル文字は、この聖キリルが発案したと言われている。 -
中央に描かれているのはボヘミア公ヴァーツラフ1世と祖母のリュドミラ。
2人とも列聖され、聖ヴァーツラフ、聖リュドミラとなった。ヴァーツラフはチェコの守護聖人とされ、現代においてもチェコ民族の団結の象徴となっている。
ステンドグラスのヴァーツラフは少年として描かれているが、モデルになったのは、ミュシャの息子だそうだ。 -
最下部には青い民族衣装を着た2人の女性が描かれている。その顔の表情は、ムハらしい描き方で、この女性像を見ると人目で、このステンドグラスがムハの作品だとわかる。
BANKA SLABIETという文字が見えるが、これは、ムハがこのステンドグラス制作にあたって資金援助した銀行、スラヴィア銀行の広告である。企業広告が入っているのが20世紀資本主義時代に作られたステンドグラスらしい。この神聖な場所にはそぐわないと思うのだが、金を出してもらったので、ムハも断れなかったのだろう。 -
説教壇
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反対側のバラ窓
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イチオシ
アップで
天地創造を表しているそうなのだが、具象的な絵柄なのでよくわからない。 -
旧大司教礼拝堂の祭壇
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イチオシ
その祭壇を取り囲むステンドグラス
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中央最前部の王室霊廟。
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霊廟の祭壇
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その右横の礼拝堂のステンドグラス
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聖アンドリュース礼拝堂
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右側にH小さな礼拝堂がたくさん並んでいる。
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ガイドブックや観光情報サイトでは、ムハのステンドグラスばかり取り上げられているが、他のステンドグラスも素晴らしいものが揃っている。
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ヤン・ネポムツキーの墓。
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棺の上に、ネポムツキーの銅像が建っている。
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棺、銅像、とりまく装飾、これらすべて銀製で、2トンの純銀が使われているという。
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別のアングルから。
銀はほっておくと、空中の微量の硫黄分と反応して黒ずんでくる。これだけ大きな銀の彫刻の輝きを維持するには、頻繁に硫化銀を除去するメンテナンスが必要なはず。 -
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墓を覆う天幕を持っている天使も銀製。
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聖アンドリュース礼拝堂のステンドグラス
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聖ヴァーツラフ礼拝堂
中央、シャンデリアの下の2人の天使に挟まれて立っている像がヴァーツラフ1世(聖ヴァーツラフ) 右下の箱は聖遺物としてヴァーツラフ1世の頭蓋骨が保管されているという。
天井のリブ・ヴォールトも見所の一つ。 -
壁にはヴァーツラフの伝説、エピソードを描いたと思われる壁画がびっしり。
なお、この礼拝堂は中にはいることはできず、入口から眺めるだけである。 -
聖ヴァーツラフ礼拝堂のシャンデリア
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反対側に見えるムハ他のステンドグラス。これだけ離れて望遠でアップ撮影した方が歪が無くて写真的にはよかったかもしれない。(←後悔先に立たず!)
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青を基調としたステンドグラス
このステンドグラスも下部に文字が入っている。ムハのステンドグラス同様、スポンサーの社名なのだろうか? -
イチオシ
赤を基調としたステンドグラス
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これもカラフルな極彩色のステンドグラス。
ステンドグラスは、日の光が差し込むと一層色鮮やかで美しいと言われるが、この日のような曇り空の方が、ステンドグラス全体を柔らかな光で包み込んでくれるので、むしろ穏やかな美しさになるように思う。
ステンドグラスに囲まれたこの教会は、今まで見て来たバロックの絢爛豪華とは違う、透明感があり、すっきりとした爽やかさが感じられるカセドラルであった。
続く
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