2017/02/26 - 2017/02/26
24位(同エリア256件中)
玄白さん
連れ合いが所用で京都に出かけ、一週間留守番と相成った。家に籠っていてもしようがないので、一人車中泊で放浪しながら気ままな撮影旅に出ることにした。車中泊なので寒くないところが良いということで、前半は、伊豆南部の河津の河津桜祭りや、夜は白浜海岸、石廊崎、雲見などあちこちの海岸で星景撮影、夕景撮影などしようと企てた。後半は、房総方面に出かけることに。
車中泊放浪撮影旅南伊豆編の第3弾は、大瀬漁港から星景撮影スポット探しをしながら、雲見へ。幸い、この日も好天に恵まれ、雲見では駿河湾に浮かぶ浮き富士を見ることができた。松崎町に入り、伊豆長八の鏝絵芸術を愛で、なまこ壁の街並みを散策、湯船に温泉が自噴する秘湯「山の家」の野天風呂に浸かり、夕方はふたたび雲見に戻り、千貫門の海蝕洞に沈む夕日の撮影。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
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蓑掛岩での星と日の出の撮影を終えてから、ところどころ、絶壁の海岸の風景を撮影しながら、雲見・松崎へ。寄り道しながらのドライブだったので、雲見に到着したのはちょうど10:00
雲見では、運よく富士山が見られた。春の兆しが感じられるこの時期に日が高く昇ると富士山には雲がかかったり、霞んでしまうことが多いのだが、ラッキーだった。 -
イチオシ
雲見海岸の沖合に牛着岩という岩礁がある。その奥に富士山。
この牛着岩は、水中に通り抜けできる洞窟があり、スキューバダイビングのメッカになっている。玄白も独身時代にスキューバを楽しんでいたが、当時は漁協がダイビングを禁止していたので、ここでは潜れなかったことを思い出す。
穏やかな天気の昼間なので今は平凡な風景だが、北西風が強く海が荒れているときの夕日に染まった富士山は、牛着岩に砕け散る波とあいまって、絶景となる。 -
雲見漁港を過ぎ、石部漁港に向かう途中の高台から、また富士山を望む。
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石部漁港を過ぎ、岩地海岸に向かう途中での富士山。
雲見以北の西伊豆海岸では、至る所で駿河湾の奥に聳える富士山を眺めることができる。 -
イチオシ
望遠にて撮影。
こんな情景は海に浮かんでいる富士山という意味で「浮き富士」と呼ばれている。 -
松崎町中心部に入る少し手前の国道136号線上にて。
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松崎町市街地に入ってきた。まずは伊豆の長八美術館へ。
この美術館は、松崎町生まれの江戸時代の左官の名工、入江長八(通称伊豆の長八)の鏝絵作品50点を展示している。鏝絵(こてえ)というのは、漆喰の上に顔料を混ぜた漆喰を左官用の鏝のみを使い、レリーフで絵画を作り出す独自の技法で、謂わば日本のフレスコ画とも言える。
鏝絵というものを初めて知ったのは、2014年秋に銀山温泉を訪れたときだった。温泉旅館の壁に鮮やかな壁画が飾られていて、それが鏝絵だった。 -
美術館の建物は、なまこ壁など伝統的な建築美と、少し洋風な現代的デザインが融合したもので、美術館建物自身が一種の建築芸術と言ってよい。設計は建築家の石山修武氏によるもので、松崎町活性化事業の一環として昭和59年に建てられた。
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美術館内部は撮影禁止なので写真はないが、その繊細な鏝さばきによる見事な鏝絵は一見の価値がある。一部の作品の前にはルーペが備え付けられていて、細かな鏝さばきを拡大して見ることができる。ヨーロッパ旅行の際、教会などで著名なフレスコ画を数多く見て来たが、これほど繊細な絵のタッチは見たことがない。この超絶技巧というべき鏝絵は、西洋のフレスコ画をはるかに凌駕しているいると言っても過言ではない。
もらったパンフレットのコピーで作品の一部を紹介しておきたい。
パンフレットと同じものが下記のwebで見られる。
http://www.izunet.jp/asobu/spot/mz-tyouhati.htm -
長八美術館の近くに浄感寺という寺があり、この寺に長八が描いた鏝絵があり、長八記念館として一般公開されている。特に天井画「八方にらみの龍」は狩野派の絵画技法で描かれた鏝絵の最高傑作と言われる。ただし、残念ながら、ここも撮影禁止なので作品を写真で紹介することはできない。
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長八の鏝絵を鑑賞した後は、なまこ壁の街並みを散策。
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伊豆文邸という明治43年築の、かつては呉服商だった邸宅。現在はかつての所有者から松崎町に寄贈され、明治時代の歴史的建造物として整備し、観光客の無料休憩所として開放されている。
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ちょうど桃の節句の時期だ。雛人形が飾られている。
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この雛人形は町内の人たちが寄贈したものだという。
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かなり年代物の雛人形も並んでいる。
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御殿飾りも並んでいる。
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母屋の裏手には、これまた見事ななまこ壁の土蔵2棟が並んでいる。
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イチオシ
みごとななまこ壁の塀。なまこ壁というのは、壁面に平瓦を並べ、つなぎ目を蒲鉾型に盛り上げた漆喰で固めた工法。目地の幾何学模様が美しい。その形は地方によって異なるが、松崎や下田など伊豆地方で見られるのは、斜めの格子状の文様がほとんだである。
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那賀川沿いのなまこ壁の民家
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これも明治時代の商家「中瀬邸」。伊豆文邸より古く、明治初期に建てられた。ここも現在では松崎町所有となっている。
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内部は呉服商当時の様子が再現されている。
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土蔵の扉に描かれている龍の鏝絵。土蔵内部は売店になっている。
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中瀬邸の前にある時計塔。大正13年に地元青年団によって、昭和天皇成婚記念として建てられた。昭和13年の水害で破壊されてしまったが、昭和62年に再建された。
文字盤の12時と1時の間に13時が描かれている。松崎町では、日常にはない特別な時間が流れているということをユーモラスに表現しているのだという。 -
そろそろ、昼食時。いつもコンビニ弁当で糊口を凌いでいるばかりでは侘しいので、ちょっと贅沢に和食の店「久遠」で、新鮮な海の幸を食することにしよう。
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刺身の中でもアイナメの昆布〆が特に美味であった。満足!
車なのでアルコールはなし。ノンアルコールビールで我慢。 -
昼間は、写真的には撮影タイムとしては面白くないので、今日もまた日帰り温泉で、午後のひと時はのんびり。
スマホで、どこに行こうか、調べたところ、松崎の中心部から下田に行く県道15号、途中から県道115号に入ってしばらく行ったところの山あいの野趣あふれる露天風呂「大沢温泉山の家」に行ってみた。県道115号は、これが県道?と思えるようなすれ違いもままならないような細い道になる。 -
川にかかる木造の橋の先に、錆びたトタン屋根の古びた建物がある。これが露天風呂「山の家」である。よく言えば野趣あふれる良い感じとも言えるが、大丈夫かな?とちょっぴり不安になるような雰囲気である。
建物の中は受付兼畳敷きの休憩室になっている。入浴料¥500也。 -
風呂は露天風呂のみで内湯はない。男風呂と女風呂の仕切りの下から、温泉が湧き出ている。文字通り、源泉かけ流しで、30分で風呂のお湯が一巡するほど豊富な湯量で、温泉の鮮度は抜群!
泉質は弱アルカリのカルシウム・ナトリウム・硫酸塩温泉で、いわゆる美人の湯である。湯上りの肌のしっとり感がすばらしく、ここでは「化粧の湯」といっている。難を言えば、湯温が高めで43度もある。長風呂はできないので、ちょっと浸かっては、上がって体を冷やし、また入るということを繰り返した。 -
洗い場のような施設はないし、石鹸、シャンプーなんてものはない。水道の蛇口もなく、体を洗うのも源泉である。そもそも体を洗うということは想定していないようだ。
受付のおばあちゃんの話によると、予想通り、昔は混浴で脱衣所もなかったそうだ。石の上に服を脱ぎ、男女一緒に入浴したもんだよという。露天風呂というより野天風呂だ。温泉の歴史は古く、300年前から湧いていたという。そんな秘湯なので、知る人ぞ知るで、休憩室には、ここを訪れた有名人のサインが飾られていた。 -
秘湯を満喫してから、再び雲見に戻り千貫門で撮影だ。千貫門キャンプ場まで行って、夕日に染まる眼下の千貫門の荒磯と富士山を撮影するか、千貫門の近くまで行って、千貫門海蝕洞の中に沈む夕日を撮影するか、迷うところではある。
しかし、山の家を後にする頃になると、雲が出てきて、富士山は見えなくなってしまった。夕日が見られるかも怪しくなってきたが、海蝕洞の中に沈む夕日は季節が限られ、1~2月に限定される。ダメ元で夕日撮影を選択。
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ロケハンを兼ねて早めに出かけた。なお、千貫門に通じる遊歩道へのアクセスがとても分かりにくい。一般の観光客が訪れるところではないらしく、案内板は一切ない。地元の人に聞いて、ようやく行き方がわかった。
参考までに、GoogleMapで行き方を示しておこう。 -
川沿いの道を歩いて行くと、2つ前の写真にあるような標識がようやく出てくる。ここから、階段を登って行く。
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途中に2か所ほど、千貫門の地質学的説明がしてある案内板が設けられている。これによると、伊豆半島は火山活動でできた島で、本州にぶつかったとき、海底火山の地下のマグマの通り道だった火山の根っこ(火山岩顕)が地上に姿を現した。それが千貫門や烏帽子山だというのだそうだ。
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千貫門への遊歩道の一番高い位置から見た烏帽子山の絶景。
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千貫門の海岸まで降りて来た。大きなゴロタ石が折り重なっていて、とても歩きにくい。足元はせめてスニーカー程度の足回りのしっかりした靴が必須。
一人の漁師の方が干したテングサを袋に詰める作業をしていた。夕暮れまではたっぷり時間があるので、しばし、雑談をさせてもらった。袋詰めしたテングサを、急な坂道の遊歩道を担いで運ぶのは大変だろうと言ったところ、テングサは凪の時に船で運ぶのだという。なるほど!
ここは、11~2月は、千貫門の海蝕洞の中に夕日が入るので、大勢カメラマンが来る。ただ、平気で干したテングサを踏みつける輩がいるので困っているとこぼしていた。折れたテングサは商品価値が下がってしまうのだという。撮り鉄などもそうだが、カメラマンのマナー違反の話題をよく聞いているので、あらためて、地元の人の迷惑にならぬよう、心せねばならないと思った。 -
すでに先客がいた。まだ日が沈むには一時間以上あるのだが、彼らも早めにきて準備している。聞けば、埼玉の写真クラブの人たちだという。
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この辺りがちょうど、海蝕洞の中に夕日がすっぽり入りそうだ。
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イチオシ
沖合を頻繁に船が航行している。
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夕暮れに近づくにつれて、雲が厚くなってきたような・・・
だが、水平線上の一部が夕焼けで朱に染まってきた。 -
上方の雲の中から、薄い雲のところに日が落ちて来た。
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雲間から日が射してきた。
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イチオシ
ズームアップして。写真クラブの人達も一斉にシャッターを押している。
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目いっぱいズームアップ。くっきりとした夕日ではないが、薄雲がかかった夕日も悪くない。
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まもなく日没。撮影していると、太陽の動きはとても速い。
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イチオシ
夕日と岩肌の明るさの差がとても大きいので、夕日に露出を合わせると、岩肌は真っ黒になってしまう。両方を適正露出にするため、普段はあまり使わないHDRを使ってい見た。朱色の夕日、海の青緑、灰色のごつごつした岩肌がうまく写った。
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現像ソフトで、いろいろいじっても、この程度にしかならない。HDRも使いようによってはなかなかよろしい。ときどき使ってみよう。
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夕日が沈んだ。水平線上に残照が残っている。
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これもHDRで。
この一コマで、カメラのバッテリーが予備も含めてすべて無くなってしまった。この後、東京湾アクアラインを渡って房総半島に移動する予定だったが、バッテリーチャージャーを持って来ず、途中で充電することも出来ないので一旦帰宅することにした。
以下、気ままな車中泊放浪撮影旅 房総編に続く
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この旅行記へのコメント (4)
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- 琉球熱さん 2017/03/21 22:59:47
- 夕陽
- 玄白さん、こんにちは
洞門越しに見る夕陽、いいですね〜
大瀬も雲見も、西伊豆屈指のダイビングエリアですね。
なまこ壁の街並みも、ちょっと懐かしく・・・
気ままな旅はいつまで続くのでしょう?
- 玄白さん からの返信 2017/03/22 11:21:58
- RE: 夕陽
- 琉球熱さん、こんにちは
玄白が現役スキューバダイバーの頃は雲見ではダイビング許可されていませんでした。
大瀬崎では、何回か潜りましたが、南伊豆の大瀬漁港の蓑掛岩付近でも潜れるとは
知りませんでした。
南伊豆の次は、房総編です。
玄白
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- mimozaさん 2017/03/16 21:42:46
- こんばんは
綺麗な夕景、さすが素晴らしいアングルでお撮りになってますね!
お一人で放浪と言うことで
時間を気にすることもなく自由気ままの写真撮り
うん、今度真似して車中泊とやらをしてみようかしら・・・。
- 玄白さん からの返信 2017/03/16 23:51:12
- RE: こんばんは
- 暖かくなったら、プ〇〇〇でも寝られますよ。
是非、お試しを! (笑)
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