2016/10/14 - 2016/10/16
97位(同エリア353件中)
naoさん
JR秋の乗り放題パスを使って広島と岡山を訪れました。
旅の行程
10月14日 山陽道 神辺宿、鞆の浦
10月15日 備中高梁、備前福岡
10月16日 津山、美作勝山
岡山県津山市は、律令時代から美作国府、国分寺、津山城などの中枢機能が設置され、一貫して美作国の政治、経済、文化の中心地として繁栄してきました。
本能寺の変で織田信長と共に討死にした森蘭丸の弟、森忠政が慶長8年(1603年)に十八万六千五百石を拝領して信州川中島から美作に入封すると、中世に山名氏が築いた鶴山城の跡地で新たに津山城の築城に取り掛かり、元和2年(1616年)、工事に13年かかった津山城の完成に合わせ、地名を「鶴山」から「津山」に改めます。
入封した翌年から町づくりにあたった忠政は、まず、城を中心に武家屋敷を配置し、防衛的観点から西側周辺部には寺院を集め、津山城大手口南方の東西方向に通る出雲街道を中心に33の町人町を完成させます。
町人町の基本的な構成は、出雲街道に面する両側に商家を置き、北側には職人町、南側には小商人や職人町、吉井川の堤防沿いには水運業や鋳物師の町を配置しました。
現在、風情ある町並みが残っている城東地区は、吉井川の支流である宮川の東側に延びる出雲街道沿いの町人町で、東西約1kmの町並みには2ケ所の桝形が設けられ、切妻屋根の厨子二階建てに、出格子やナマコ壁をしつらえた伝統的な町家が軒を連ねています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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宿泊したホテルから見える津山の町の眺望です。
左手の高台に津山城跡が望めます。
では、チェックアウトする前に、吉井川の支流である宮川の東側に延びる出雲街道沿いの、風情ある町並みを歩いてきます。 -
津山市の汚水枡の蓋。
津山城跡の石垣と桜、吉井川に住むといわれる伝説の河童「ごんご」をモチーフにしています。 -
吉井川の支流、宮川まで来ました。
西側の高台から宮川を見下ろしているのが津山城跡です。 -
津山藩は、城下町を通る出雲街道の東西の入口に大番所を設け、城を中心とした武家屋敷を警護していましたが、これは宮川に架かる宮川大橋の西詰にあった東大番所跡です。
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では、宮川大橋を東に戻って、風情ある町並みを歩きます。
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立看板によると、この日は400年の歴史を誇る「津山まつり」の日で、10時からだんじりが巡行されるようです。
だんじりの巡行が始まれば人出が増えてゆっくり歩いていられないので、それまでに町歩きを終えたいと思います。 -
だんじりの巡行路には、延々と注連縄が張られています。
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伝統様式の中に、爽やかな「青」が映えています。
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お祭りに欠かせないものと言えば御神燈ですよね。
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こちらの町家は、繊細で手の込んだ職人技が見事です。
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ここから、東に延びる出雲街道の町並みが始まります。
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窓の外側が町の掲示板になっている町家。
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両側の1枚板の持ち送りで出格子を作っている町家。
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背の低い、煙出しの越屋根が見えます。
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すっきりとした町家に、郵便ポストが寄り添っています。
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郵便ポストの先の町並み。
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「石敢當(いしがんとう)」と刻まれた石標は、魔除けとして立てられているそうです。
人々の平和な生活を脅かしにやってくる魔物は、「石敢當」に当たると砕け散ってしまうと伝えられています。 -
東の方角に延びる町並み。
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同じパターンの外観を持つ町家が並んでいます。
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こちらは、美作大学の名誉教授で洋画家、河野磐氏の私設美術館として、平成14年に生家に開館された「河野美術館」です。
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河野氏の生家は大正時代から続く町医者で、この洋館は大正7年(1918年)に診察室として建てられものです。
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こちらは、旧津山藩の御用酒屋を務めた、宝暦8年(1758年)創業の老舗の造り酒屋さん。
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銘柄の「諸白(もろはく)」は、良質な作州米と豊富な地下水を原材料として、酒造りに最適の寒冷な気候という、恵まれた環境で造られいます。
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ちなみに、美作国の語源は、「美酒(うまさけ)」に由来するとの説があると言われています。
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何と風情豊かな御神燈なんでしょう・・・。
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出格子を支える持ち送りには、緻密な彫刻が施されています。
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1枚板の持ち送りで出格子を出している町家。
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建物の間口全面に玄関戸が入っている町家。
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ロマンチックな店名のこのお店は、竹細工やお土産物を扱っておられます。
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朱色の暖簾が鮮やかなこちらは和風カフェです。
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中央に火の見櫓がそびえる建物は「作州城東屋敷」です。
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「作州城東屋敷」は、明治8年(1875年)以降、小学校や津山工芸専修学校などとして利用されてきた建物の跡地に建てられたもので・・・
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平成5年から無料休憩所として活用されています。
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復元された火の見櫓は、城東地区のシンボルになっています。
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寸分たがわぬ、完全に左右対称の町家です。
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町並みの所々の町家で見かけた『さるぼぼ』。
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てっきり津山まつりに関係しているものと思い込んでいましたが・・・
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津山市出身の俳優、オダギリジョーさんのお母さんが、城東地区の雰囲気作りのために飾り始めたのが発端なんだそうです。
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町並みに2ケ所ある桝形の内、西側の桝形が見えてきました。
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わざと道路を屈曲させて見通しを悪くした桝形は、町の防御のために設けられたもので、江戸時代以来の古い町並みによく見られます。
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桝形から西側の町並みです。
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桝形の西側の入口です。
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今度は桝形から東側の町並みです。
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この町家は、左右で袖卯建のデザインが異なっています。
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この町家は、出雲街道側は伝統的な町家、国道53号線側は電器屋さんの、二つの顔を持っているようです。
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玄関先に用水桶が設けられた町家。
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消火栓や消火器が普及していなかった時代は、各家々で防火用水を用意して初期消火していたんですね。
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キバナコスモスの鉢植えが、町並みに秋の風情を寄せています。
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東側の町並みです。
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ここにも防火用水を用意した町家がありました。
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防火用水を用意した町家は、小さな瓜型の虫籠窓が開けられています。
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行燈越しに見た東側の町並みです。
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ショウウィンドウに、手作り感あふれるお人形さんが飾られています。
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こちらの町家の下見板から紙辺が突き出ています。
どうやら下見板に郵便受けの穴が開けられているようです・・・。 -
格子の部材がくすんでいないので、新しく出格子を付け替えたようです。
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この町家の東側は・・・
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大隅神社への参道になっています。
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「大隅神社参道」と刻まれた石標。
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「御神燈」と書いてあると思うんですが、提灯に難しい書体が使われています。
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東側の町並みです。
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大隅神社への参道の方を振り返った光景です。
難しい書体の提灯が見えています。 -
鏝絵で仕上げられた「本家薄荷糖(はっかとう)」、「龍教湯(りゅうきょうとう)」、「ひぜんぬり薬」と書かれた壁看板の残る町家がありました。
「龍教湯」の看板には、「さんぜんさんご、ちのみち一切と、きんそう」と、効能まで書かれています。
恐らく、かつて漢方薬屋さんだったんでしょうね。 -
左手に、幕末の洋学者として活躍した「箕作阮甫の旧宅」が見えてきました。
箕作阮甫は単なる津山藩医に留まらず、経済学、天文学、法学、地理学、物理学、兵学など、洋学者として広く学問を修めた人で、幕府の外交政策等にかかわり、近代日本の文明開化の先がけとなった一人として、多くの業績を残しています。 -
この旧宅は、そんな箕作阮甫が生まれ育った生家を解体、復元したもので・・・
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当時の町家の様子や人々の暮らしぶりが垣間見ることができます。
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磨きこまれた床板に反射する行燈の灯り。
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煮炊きに使われたかまど。
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奥から玄関内部をみたところです。
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箕作阮甫は、今も郷土の誇りとして称えられています。
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手染工房の看板を掲げた町家。
張り紙に書かれた横野和紙は美作地方で古くから生産されてきた三椏(みつまた)を原料とする高級和紙で、薄くて表面がなめらかなことから、金箔や銀箔を挟む「箔合紙」として、京都や金沢の金箔工芸には欠かせない存在となっています。 -
こちらは町家を使ったカフェです。
民芸品や小物雑貨などの展示販売も行っておられます。 -
こちらは「津山洋学資料館」です。
昭和53年に中国銀行津山東支店(旧妹尾銀行林田支店)の建物を利用した旧津山洋学資料館が手狭になったため新館の建設が計画され、平成22年に完成、移転したものです。
館内には、江戸時代後期から明治・大正時代にかけて西洋の学問を研究し、近代国家の礎を築いた学者達の足跡が展示されるとともに、市内各所に点在していた洋学者のブロンズ像も前庭に集められています。 -
津山洋学資料館で見つけた津山市の汚水枡の蓋。
ちょっと小ぶりの蓋に市の花「サクラ」がデザインされています。 -
西側の町並みを振り返った光景です。
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今度は反対の、東側の町並みです。
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こちらは江戸時代の元禄年間(1688年から1704年)に建てられた旧梶村家住宅で、現在は「城東むかし町家」として使われています。
なお、この門は恐らく正式な門として使われていたんだろうと思われます。 -
梶村家は、元々は吉井川を往来する高瀬舟による水運業を営み、江戸時代には苗字帯刀を許された大変格式のある商家です。
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明治4年(1767年)には、津山藩から現在の銀行にあたる「札元」を命じられ、明治~大正時代にかけての、城東地区きっての豪商と言われています。
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こちらが「城東むかし町家」の入口です。
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床板に表情を与える光と影。
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手押しの消火ポンプが保存されています。
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敷地内には二棟の土蔵が建てられています。
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「とこのま」と呼ばれている建物。
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中庭に残る井戸。
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正面が「とこのま」で、右手が元禄年間(1688年から1704年)に建てられた主屋に増築された「しんざしき」です。
「しんざしき」は明治時代に増築されたんだそうです。
ちなみに、先ほどの門から中を覗くと、この光景が見えます。 -
中庭に植えられた南天が、色づき始めています。
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土蔵の前にある茶室。
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自然木の床柱と落掛、網代天井に下地窓といった、茶室特有のしつらえが成されています。
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「城東むかし町家」のお向かいの町家には、紫色の粋な暖簾が覗いています。
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こちらの町家には、いろんなパターンの虫籠窓が並んでいます。
また、門やくぐり戸の板は、同じ木目が揃うよう苦心されています。 -
昔は、この板を鳴らして訪問を告げていたんでしょうね・・・。
さしずめ、現代のインターホンですね。 -
西側の町並みです。
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よく見ると、ガスメーターまで下見板と同じような板で目隠しされています。
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こちらの玄関戸は、3枚とも一方向へ引き込むように作られています。
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恐らくは車を入れるんでしょうけど、4枚の戸が必要なとても大きな間口の玄関ですね。
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1階の下屋に幕板をしつらえた町家。
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こちらの町家にも4枚引きの玄関戸がありました。
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西側の町並みの光景です。
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こちらは東側の町並みです。
先の方に、東側の桝形が見えています。 -
この町家には、背の高い小屋根が突き出ています。
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この町家の玄関先にも現代のインターホンが吊られています。
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この町家のガラス戸は、こだわりのあるデザインで作られています。
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先ほども見かけましたが、この背の高い小屋根にはどんな用途があるんでしょうか・・・。
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「津山まつり」で引き出される東新町のだんじり。
「龍鷹臺」という勇ましい名前が付けられています。
町の方々が集まって準備中のところにお邪魔してシャッターを押させていただきました。
どうもありがとうございました。 -
突き当たりが東側の桝形になります。
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ナマコ壁の上に、小さな出格子がちょこんと載っています。
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ここにも小屋根がありました。
この小屋根には、町家の看板が示すように、鍛冶屋さん特有の用途があるんでしょうか・・・。 -
西側の町並みを振り返りました。
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桝形にやって来ました。
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桝形の角にある町家のガラス戸にも・・・
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こだわりのあるデザインが成されています。
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桝形を振り返って見たところです。
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桝形の東側に延びる町並みです。
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この先で道路舗装がアスファルトに変わっていると言うことは、町並みもそろそろでしょうか・・・。
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藍色の漆喰が鮮やかな町家です。
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さて、城東地区の風情ある町並みもこの辺りまでなので、ホテルに戻ってチェックアウトします。
ちなみに、私が泊ったホテルが右端に見えています。 -
ホテルをチェックアウトした後、津山駅まで歩きます。
西側の桝形にある糀屋さんは、看板に仕込み桶を再利用しています。 -
この『さるぼぼ』が、俳優オダギリジョーさんのお母さんの発案で吊られるようになったとは思ってもいませんでした。
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宮川に架かる宮川大橋を渡って、出雲街道西側の町並みにやって来ました。
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城東地区ほどではありませんが、この辺りにも風情ある町家が点在しています。
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歴史を感じさせる酒屋さんの看板。
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浅黄色の落ち着いた町家です。
格子の外側に、骨太な手すりがしつらえられています。 -
黒漆喰塗の町家。
元は、真っ黒な精悍な姿だったんでしょうね・・・。 -
カラーバージョンの津山市の汚水枡の蓋を見つけました。
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津山駅から津山城跡に至る道筋にある商店街は、吉井川に住むといわれる伝説の河童「ごんご」にちなんで「ごんご通り」と名付けられていて、ごんごや高瀬舟のモニュメントが設置されています。
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津山駅に到着しましたが、駅周辺は整備工事の真っ最中で、工事用のフェンスで覆われています。
今回初めて津山を訪れましたが、出雲街道沿いの城東地区の町並みは、風情豊かな町家が約1.3kmに亘って途切れることなく軒を連ねていると言っても過言ではないほど見応えのあるもので、とても記憶に残りました。
再訪したい町が、また一つ増えました。
駅周辺の整備工事が完成すれば、機会を見つけてまた訪れたいと思います。 -
では、この旅最後の目的地へ向かいます。
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