2016/10/22 - 2016/10/22
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motogenさん
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今日は土曜日。
土曜の夜は、ラブマーケットが開かれると聞いている。
ラブマーケットとは婚活パーティのようなもので、近隣の若者たちが集まってきて、踊りまくるのだそうだ。
今は時代と共に、そのありようは変わってきていると言うが、絶好のチャンス、ぜひともこの目で見てみたいものだ。
夜の8時ともなれば、寝る準備に入ってしまうのだが、今夜は頑張って外に出てみるとこにした。
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カットカット村から帰ってくると、ホテルのレストランは大盛況だった。
ざっと見て3~40人の団体客がひしめき合っている。
子どもや女性たちが多く、それはそれは賑やかだ。
ベトナム人?
それとも中国人?
ベトナム語と中国語のニアンスの違いが分からない。 -
表に出ると、土産物売りのおばさんたちが、果敢に観光客に迫っている。
民族衣装の女性たちも、いつもより多いようだ。 -
顔見知りとなったおばちゃんの横に座り、刺繍の様子を見せてもらう。
素早く動く指先だ。
目も良い。
細かな、細かな手作業を、丁寧に丁寧にこなしていく。
聞けば、この布一枚を仕上げるのには、何ヶ月もかかると言う。
作品は価値ある伝統文化財だ。
それなのに、安い価格でしか売るすべがない。
「買っていってよ・・」
と哀願されるが、こんな素晴らしい文化財を買っても、我が貧乏家屋に飾る場所はない。 -
この人の作る刺繍も実に美しい。
手芸には何の興味もなく、亡くなった母親が熱中していたパッチワークにも無関心で、その良さが全く分からなかった無粋な私であるが、この刺繍の美しさにはハッとなる。
色使い、デザイン、全体の構成・・・全てが美しい。 -
まさに芸術品。
この模様の一つ一つに、民族的な意味がある。
ネット販売でもしてみたら、この価値に見合った値段で売れるんではないだろうか・・・
そんなことを思ってみたが、国際宅急便のシステムがないサバでは、ちょっと無理かな・・・ -
毎日出会うこの女性、23歳だというが、見た目はもっとふけている。
性格は明るくいつも元気いっぱいで、その仕草を見ていれば、10代の娘のようにも見えてくる。
ラオカイ村(南へ直線距離4.6km)からやって来ていると言う。。
出会うといつも、「これは、どう?」、「こっちのは、どう?」と、ポシェットやマフラーを取り出して、冗談半分に腕をからませては迫ってくる。
「ラオカイへは、歩くとどのくらい?」
と聞くと2時間だと言う。
「ラオカイ、ベリーグッ。」 「バイクで、来れば、15分・・」
家までおいでと誘ってくれる。 -
村から来ている子どもの姿も、今日は特別多い。
-
子どものあどけなさを利用して土産物を売ろうと画策しているのだ。
だが子どもがいくら頑張っても、売れる確率はかわいそうなほど小さい。 -
きつい顔で指示しているお母さんがいた。
頼んでも頼んでも買ってもらわなかった子どもに、「意気地なし!」「もっと粘りなさい!」とでも言っているのだろうか。
でも子どもには子どもの言い分があるようで、ちょっぴり反抗気味だ。 -
まだ言葉も喋れないような幼児までが、お姉ちゃんの真似をして腕飾りの紐を差し出す。
たが可愛い幼児がまとわりついても、めったに売れるものではない。
需要に比べて供給過多は目に見えている。 -
豪華な民族衣装を着せられた子どももいる。
自分の体重には重すぎる妹を背おわされ、けなげに営業活動を続けている。
観光客は、そうした子どもとはなるべく目を合わないようにして、黙って通り過ぎていく。 -
子どもは子どもで、断られても簡単には引き下がらない。
そんな根性を身につけて、買ってくれる客を見つけようと目を配る。 -
アリヤンさんの旅行記の言葉が思い出される。
『相手にされないエンドレスな行為の繰り返し』
『一日中立っていても一銭にもならない日々』
『(この子たちは)そんな辛酸を舐めて育つのだ。』
『そんな子供たちは6才くらいから、子供の顔がオトナの険しい顔になってくる。哀しいことだ。』
ズキンと胸に刺さる言葉だ。
(無断引用してごめんなさい) -
そんな子どもたちが、夕方になるにつれて増えてきた。
町にくりだす観光客も増えてきた。 -
この石段を登っていった先にも・・・
-
たくさんの露店が開かれていた。
-
野外レストランを見つけた。
-
炭火の上ではジュージューと美味そうな音。
煙と一緒に肉や野菜のエキスが飛んでくる。 -
生の野菜やキノコ、肉が竹串に射してあり、それを選んで焼いてもらうのだ。
竹筒に入ったご飯もある。 -
キノコや野菜を主に、肉も入れて6本、それに竹筒ご飯を付けて焼いてもらう。
タレは胡麻入り塩と、ケチャップだ。
籠に入った生野菜はおまけ。
串焼きはどれも1本50円で、総額350円。
満足のいく夕食となった。
町の様子がわかり、どこにどんなものが売られていて、どの店が安いのか分かってくると、サパは非常に居心地の良い町に変わってきた。 -
暗くなり、再び広場に出かけてみた。
混雑ぶりは並みではない。
足音と音楽で騒然とし、色とりどりのLED電球が光輝き、夜のテーマパークか、遊園地のようだ。 -
中心部の路上は歩行者天国となり、所狭しと商品が並べられている。
-
周辺の村の土産物売りの女性たちも、はりきっている。
-
スタジアムを囲む観客席にはぎっしりと人が集まり・・・・
-
その観客の前では、民族衣装に飾られた若い男女が踊っている。
男は笛に似た楽器を吹きながら、軽快なステップを踏みながら回りだす。
そのステップが独得で、心地よく、見る者を酔わせるようだ。
男の後に若い娘が現れて、同じステップで歩をそろえていく。 -
男は背筋をピンと伸ばしながら、その姿勢をしだいに低くしていく。
腰は地面すれすれに落とすものの、足は軽やかに前方に伸ばし、軽快なステップを続けるのだ。
並々ならぬ体力が必要だ。
これが目に見えて上手な男が現れた。
拍手喝采が巻き上がる。
この技と体力が、女を口説く決め手となるのか・・・ -
民族衣装がまた綺麗だ。
昼間は「ださい」と見えた黒を基調とする民族衣装が、この夜の光の中では、実に魅力的で幻想的だ。
男の背中から伸びる二本の尻尾は、燕尾服にも似て華麗に舞い踊っている。
女の子の黒服も、黒の脚絆(きゃはん)も髪飾りも、そして腕輪も冴えている。
踊る男女は次々に入れ替わる。
最初は恥ずかしがっていた女の子も、その回数と共に大胆になってきた。
もしかしたらこの若者たちは、観光用に雇われているのかも・・・
そんな気もしてきた。
伝統的な村の祭りを、観光客のために再現してくれているのではないのか。 -
広場を埋め尽くしている露店では、かなりのテンポで民芸品が売れていく。
買っていくのアジア系の団体客だ。
昼間は辛苦をなめていた幼いマスコットガールも、嬉しそうに客の相手をしている。
この夜は収入を得ることができそうだ。
でも、一人でお金の勘定はできるのかな?
悪徳客にごまかされないかな? -
教会にはピンクの明かりが灯り、今夜は特別だ。
-
中にはたくさんの信者が集まり、粛々とミサが行われていた。
入りきれない信者は、外でお祈りをしている。 -
信者の中には、少数民族の人たちもたくさん混じっている。
山岳地帯で暮らすこの人たちの生活にも、キリスト教が浸透していることに驚いた。
昔からの山の暮らしと、ヨーロッパから伝えられたキリスト教・・・・
どこでどうつながったのか・・・ -
おごそかにミサの続く教会の近くから、ドンドンバリバリと雷のような地響きが伝わってくる。
倉庫のような建物があって、その中で孫悟空のような衣装の男たちが、太鼓やシンバルをぶったたきながら声を張り上げていた。
見物人は子どもが数人のみ。
出番に備えて練習をしていたのか・・・ -
スタジアムのステージからは、腹を揺するような大音響が響いてくる。
怒涛のような音量をぶっ放す、超大型スピーカーが設置されているのだ。
周囲からの照明も強烈だ。
なんとその照明は最新型のLEDではないか。 -
大観衆に囲まれたステージでは、歌や踊りが繰り返され、聴衆を飽きさせない。
ちょっと覗くつもりの私も、魅入ってしまった。
美しい娘たちに向けて、シャッターを押しまくる。 -
娘たちの舞踊は、単なる踊りではない。
ドラマがあるのだ。
酔っぱらいの不良男が娘にちょっかいを出し、それを助ける青年が現れて、面白おかしく物語が演出されていく。 -
最後はみんな仲良くなって、アクロバチックに盛り上がる。
めでたし、めでたし。
そんな踊りがあり、ベトナム演歌のよう歌がありで、それが交互に繰り返され、夜は知らぬ間にふけていく。 -
路上に戻れば、「あれっ、また売れたよ。」
おばちゃんたちもニコニコ顔で、土曜のフィーバーは延々と続くのだった。
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この旅行記へのコメント (1)
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- trat baldさん 2016/11/24 07:10:56
- 楽しみながらも思いを巡らせて見る。
- 文明的な利便性が無いから手工芸品が精緻になるんでしょうね、経済的合理性から云えば消費時間が掛かり過ぎるでしょうから。
貨幣社会が世界中何所にでも行ける状況を作ってくれたからサパに訪れる事が出来るけどサパの人達には最低限の現金収入で生きて行ける日常が有るんでしょうね、とは言えお金無しでは生活が立ち行かないのは全地球規模だし。
商売的には土曜の夜は最高でしょうがサパの人達の心の開放のためのお祭りの様な気がする。
不慮の事故や病気による死亡は子供を中心に高率でしょうが文明国経済大国と呼ばれる国々の連中の様に屁の様な挫折で自殺する馬鹿助は皆無でしょう、きっと!
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