みちのくの古代巡りとちょい紅葉の旅(五日目)~古河駅周辺の散策から伊達政宗が雌伏の日々を送った岩出山へ。秀吉による奥州仕置から葛西大崎一揆の戦後処理は苦い経験でも、今では旧有備館の優雅な庭園が心を癒します~
2016/11/05 - 2016/11/05
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たびたびさん
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この日、回ったのは大崎市。秀吉の奥州仕置でいったんは改易を逃れた政宗ですが、その後の葛西大崎一揆の戦後処理によって、米沢からここ岩出山に押し込められ、12年間の長きにわたって雌伏の日々を送ったという場所。それでも、その間に政宗がどのような足跡を残しているのか。とても興味があって一度は訪れて見たかったところです。
ただ、結果としては、その期待はちょっと裏切られたかなという感じ。政宗の匂いはほとんどなかったというのが正直なところです。政宗は岩出山から仙台に移ると、青葉城という雄大な城を構えていますから、こんな岩出山の過去にこだわっている余裕はなかったのかも。岩出山伊達氏という分家にくれてやって、何の未練も残していない。また、岩出山伊達氏も政宗がここを居城としていたことに特別な思いを抱いていないよう。あくまで自分の世界観を貫いたように見えるのも、たぶんそれと裏腹の関係でしょう。
確かに、関ヶ原の戦い後、家康の許しを得て移った青葉城の縄張りは雄大でなお天下を望んでいた政宗の思いが現れているともされています。
しかし、反面、政宗は家康と100万石の約束をしていたのに、加増は2万石たらず。米沢の回復もできないまま青葉城に移る政宗の心中は晴れ晴れとしたものではなかったはず。ところが、江戸時代を総括すると江戸廻米で成功した仙台藩の背景は、旧葛西氏の所領を含めた北上川の舟運。そして、そのことで政宗は実は内政に優れた人物という評価を得たのは、面白いことだと思います。
改めて、分家の話に戻ると、例えば、福岡の黒田藩だと支藩の秋月藩の方に黒田家の匂いがより濃く残っていて、そんな例もあるのですが、まあ、それぞれということでしょう。
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古川で泊まって、今日は岩出山あたりを散策するんですが、その前に古川の街も歩いてみます。
これは古川第一小学校。 -
その正門横に、「古川城址・吉野作造ゆかりの学舎」という大きな立て看板がありました。
古川城址は、室町時代、七代大崎教兼の子が初めて居を構え、云々。江戸時代前期には城は廃され、仙台藩の直轄地に。御蔵場となったということですから、米蔵とかがあったのではないかと思います。小学校はその跡地です。 -
続いては、荒雄公園。古川駅からだと、ちょっと距離がありますね。
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ただ、この中には吉野作造記念館や茶室の祥雲閣もあって、古川の観光スポットはここしかないといった感じ。ほか、中央になだらかな丘があったり、かなりの広さの駐車場も備えています。
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これが、その吉野作造記念館です。
荒雄公園の一角に立派な建物がありました。 -
ちなみに、吉野作造は大正デモクラシーの立役者。
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基本は、民主主義を説いたのですが、日本には天皇制があるのでそれを民本主義と呼び換えて、その思想を広めています。ただ、これはちょっと些末。普遍的でないことにも何か論旨を組みたてるという学者的な悪い面が出たようなところもなくはないですね。
一方で、朝鮮独立運動家に理解を示したりもしていて、本質的なところも外していないような気もします。
それにしても、この施設は立派。高知の自由民権の扱いにも匹敵するような扱いです。 -
荒雄公園の一角にある茶室である祥雲閣です。
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まだ開いていませんでしたが、茶室の前庭の方は見ることができました。
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ただ、新しい施設のようで、あまり歴史的な匂いはしない。基本的な必要性に基づく庭のように思いました。
これで古川の街歩きは終了。しかし、岩出山まで向かう列車の時間がまだあるので、ちょっとスイーツチェックといきますかね。 -
ラ パレットは、古川駅からは少し離れた大通り沿い。たぶん、地元の人は自動車で移動するのでこうした場所が便利なんでしょうね。
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お店は洋菓子とパン。店内に入るとおしゃれで垢抜けた感じ。人気のほどが偲ばれます。
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いただいたのは、塩バターチーズグラタン。チーズのおいしそうな焼き色がたまりませんでしたが、食べてみると、秀逸なのはカリカリのパン。お店の外に休憩スペースもあるので、そこでゆっくりとできました。
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ちょっとくたびれたお店ですが、これは石巻屋。
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これは、リーフパイというやつですね。何かの賞を取ったお菓子のようで、それをいただきました。
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パリパリほどけるようなパイ生地に、中のしっとりしたクリームが味わい的にはいい感じなんですが、食べる時に、この生地がこぼれてしまうのは今の時代には合わないでしょう。やっぱりお菓子は進化しないといけません。いいものができても、それで胡坐をかいているようではまずいかなと思います。
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さて、ここから有備館駅に向かいます。
以前、この沿線の温泉を一通り回ったことがありますが、鳴子温泉だけじゃなくて、意外な名湯がいくつかあって楽しませてもらいました。古川からだと、ほとんどの乗客は紅葉の鳴子温泉まで行くような感じでした。本数が意外に少ないので、日帰りだとちゃんと時間を調べないとやばいです。 -
有備館駅に到着して、お昼にしましょうか。
紅葉軒は、この辺りでは人気のうなぎ屋さんのよう。一見小さなお店ですが、 -
一人でも奥のゆったりした座敷に上げてくれました。
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これはいいです。
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ウナギの骨とかかじりながら待つことしばし。
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さて、うな重の方ですが、皮を上にしているので、
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なんかグロテスク。
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イチオシ
試しに身の方を表にしてみましたが、この方がずっと見栄えがいいような。何かのこだわりがあるんでしょうか。
ちょっと焦げ目の付いたようなしっかりした焼きに、どろんとした濃いめのタレ。悪くはないんですが、うなぎのおいしさがこれで引き出されているんでしょうか。ベストのような感じでもないですけど。一方で、最初に出たうなぎの骨は抜群。ちょっとちぐはぐなような気がしました。 -
落ち着いたところで、散策を開始です。
内川と遊歩道学問の道は、岩出山を代表する散策コース。内川は、岩出山を見上げる市街に流れるほどほどの小川なんですが、水量もあって流れは速い。のんびりといった景色ではないですね。
もともとは、伊達政宗によって開削され、岩出山城の外堀としての機能もあったようです。 -
ここから、さっそく岩出山城に登ります。
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伊達政宗は、北条攻めに遅参したもののなんとかおとり潰しは免れるのですが、その後の奥州仕置によって、石高は114万石から72万石への減封。
その後、奥州仕置で改易となった葛西氏・大崎氏の旧臣による新領主・木村吉清に対する反乱、葛西大崎一揆が発生。この葛西氏・大崎氏は、伊達家に従属していた一族であり、この反乱は伊達政宗が背後で糸を引いていたとされ、さらに58万石に減封。米沢から、とうとうここに移封ともなってしまいます。 -
それでも58万石はけっして小さくないと思いますが、市街から登ってみるとあっという間に頂上。 -
石垣とかの遺構はほとんどなくて、
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イチオシ
小山の上に整備された何でもない公園のような感じ。
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唯一の見どころらしいものは市街を見下ろす広場には伊達政宗の白い像。
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イチオシ
例の眼帯を付けていない像で、これはちょっと珍しいような気がしました。
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像は市街のほうを眺めています。
政宗はこの城で12年間を過ごしていますが、この状況からすると思い入れというのはほとんどなかったような。仙台に移ってからも、何か気にかけたという感じは伝わってきません。もう少し、何かあるのではと期待していたのですが、ここまで裏切られるとは。。とにかく、悶々と日々を過ごした地としての思いしかなかったのかもしれません。 -
岩出山城を下りて。
花山太右衛門商店は、岩出山の市街地。メインストリート沿いにある酒饅頭の専門店です。 -
暖簾をくぐって中に入るとすぐに窓口があって、
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ここで個数を言うと
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イチオシ
手早く包んでくれました。
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さて、饅頭の方は、ちょっと大きめ。
酒饅頭のふんわり感とスキっとした甘さで、シンプルなおいしさに仕上がっています。オーソドックスといえばオーソドックスですが、やはりそこは専門店ならではのスキのない味。そこに凄味もあるように思いました。 -
街中には芭蕉の碑もありましたが、これは出来がよくない。スルーです。
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竹工芸館は、岩出山では有備館以外では数少ない観光施設。
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覗いてみると、作業をしている皆さんがこんなにたくさん。ちょっと写真を撮らせてもらいましたが、ちょっとすごい光景です。
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回り方が逆になってしまいましたが、
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ここから有備館の方に戻ります。
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その前に、これは昭和レトロ館。岩出山の酒蔵、森民酒造店の離れ座敷を保存したものだそうで、ここは有料です。
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イチオシ
座敷は二階建て。
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ぐるりを軽く確認して、
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中に入ります。
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建物の中には、
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かつての当主が集めたおもちゃのようなコレクションや
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プロマイドなどが飾られていて、もしかしたら、こんなの集めて困ったもんだとか。変わりものとか言われた人だったかもしれません。
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一つ一つのものは、別に高価なものでもないし、貴重なものでもないでしょう。
しかし、私はこのセンス嫌いじゃないです。人の押し付けではない。自分に心地よいものをしっかり選ぶ目があったからこそ、何か伝わるものがある。その素直な目線に敬意を表したいと思います。 -
二階にも上がって、
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ここにも気持ちの良い空間が残っています。
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で、同じ敷地内には酒造タンクを自由に拝見したりできる建物もありまして、
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ここもちょこっと
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確認です。
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さて、やっと旧有備館です。
ここは、有備館駅の真ん前。岩出山ではここに行かなくては話になりません。 -
仙台藩伊達氏の分家である岩出山伊達氏の第3代当主、伊達敏親が建てた学問所で、その後、回遊式池泉庭園が造園されるなどして、現在の姿となりました。
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岩出山のふもとにあって、山懐に抱かれたような場所。
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建物はここから入りますが、
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イチオシ
がらんとした空間が設けられただけのシンプルなもの。観光客はそこに思い思いに座って、のんびり庭の景色が眺められます。
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この旧有備館庭園は、池泉回遊式庭園。江戸時代の大名庭園としては一般的なものでしょうが、背後に岩出山がそびえているので築山はなし。
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水に恵まれた土地だからでしょうか池は割と深くて、鯉の群れが何層にもなって泳いでいました。
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イチオシ
再び外に出て、順路を進みましょう。
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順路は池を巡る遊歩道で、建物の真向いの方に出ることになります。
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意外にモミジの木が大きくて、深山の趣きも出ているような気がします。
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イチオシ
建物が正面に見える場所に出てきました。池に映った茅葺の建物がなんとも涼しげですね。
なお、ここは岩出山の関係で日が陰るのが早いような。早い時間に行く方がいいかなと思います。
これで岩出山はおしまい。 -
今夜の宿は石巻なので、小牛田駅で乗り換え。ついでに、小牛田駅周辺も歩いてみます。
山の神まんじゅう本舗は、山神社ゆかりの饅頭。小牛田駅からすぐのところにお店がありますし、古川駅の中にも販売所がありました。 -
黄色い目立つパッケージ。で、饅頭の方は、餡が特徴。甘さを抑えて、小豆の味をかなり残したような素朴な味わいです。
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京銭塚古墳は、小牛田駅の観光案内所で場所を確認してから訪ねました。観光案内所では、特に何もないし、住宅地の中で分かりにくいと思いますとのことでしたが、遠目からでもそれらしい小山の林があって、これはすぐに古墳と分かります。古墳時代中期のもの。この辺りでも稲作とそれを基盤とする政治社会があったことを裏付けるものという説明がありました。
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続いては、小牛田公園。校庭のような真っ平らな敷地の奥が保土塚古墳です。
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きれいな形でこんもりと小山の形をした古墳なので、すぐにそれと分かります。京銭塚古墳と同じく、古墳時代中期のもの。しかし、こちらの方がひと回りくらい大きいです。
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ついでに、山前遺跡への足を延ばします。ここは、もう少し時代をさかのぼって、縄文時代とかそれ以降の古代の集落跡。
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石垣で周囲を保全された丘の上は、
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なだらかな斜面に竪穴式の住居が広がっていたと容易に想像できる景色が広がっていました。
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境には空濠のような場所もあって、自分が住んでいるような気分で見るとちょっと面白いかもしれません。
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小牛田駅前に戻ってきて、これはカリヨンの時計台。小牛田駅の周辺には見どころがほとんどないので、せめてこれくらいという思いで作られたものだと思います。
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ただ、私が気が付いたのは、駅から始まる満点星通りの両側に煉瓦で囲われた小川。この中にでかい鯉がうようよいてちょっとすごい。水量がなかなかあるので、湧水かと思ったら、水道から引いているのだとか。けっこう豪勢なことをやっています。これも是非見逃さないよう。お勧めです。
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小牛田駅から今夜の宿の石巻駅に到着。
晩飯は、竹の浦 飛翔閣。石巻駅から国道沿いに少し歩いたところです。人気のお店そうだったので訪ねたのですが、城の形をした派手派手の外観には度肝を抜かれました。 -
入り口を入って、
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イチオシ
いただいたのは、特選金華にぎり2000円。地元の材料を中心にしたにぎり。全体が少し大きめなので、ちょっとお得感もあるような。薄味だし、自然な味わいもいいと思います。
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今夜の宿はホテルホットイン石巻。石巻駅からは少し離れていますが、隣りに日帰り温泉があるので、これを利用する人にとっては利便性が高いかも。
建物もかなり新しい感じです。 -
そういう意味ではそれなりの快適感がありますが、部屋はちょっと狭すぎでしょう。施設が古くなった時にこの狭さはどうなんでしょう。ちょっとハンディになるような気もそなくはありません。
さて、明日は石巻市内の散策とこの旅の締めくくりとして多賀城を訪ねます。
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