2016/09/02 - 2016/09/14
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グラウチョさん
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長期海外旅行には欠かせない予防接種。それでも多くの接種をするには相当の費用と時間がかかります。
私は約10年前に国内で黄熱病,肝炎(A/B),狂犬病,日本脳炎,破傷風の接種を受けましたが,すでにその効力が切れて(あるいは弱まって)います。
今回,ほぼすべての予防接種を費用が安く済むバンコクで受け直しました。その具体的な手順についてフィードバックしたいと思います(2016年9月現在)。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 2.5
- ホテル
- 3.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
"実践篇"と言いながら,初めにもっとも大事なこととして強調しておきたいのは予防接種についての「下調べ」です。
現在はネットで情報収集をすることが可能ですが,ある程度長期の旅をする場合はまとまった知識を持っておいて損はないと思います。
私からおすすめなのがこの「海外で健康!知恵袋(第二版)」(宮崎豊著・近代出版)。前回の予防接種を受けた際に買ったものですがとても実用的で分かりやすい本です。内容も古くなっていません。現在は絶版ですがAmazonあたりで古本を購入できるようです。
また,これ以外にもいくつかの書籍が出ていますのでどれかを参考にしてみてください。 -
それでは実践篇です。
日本を発つ前にご自身が必要とするワクチンの種類とこれまでの予防接種歴を調べてください(母子手帳など)。予診の際に必要ですし,ここがあいまいだと「念のため受けておこうか…」と余計な接種をしてしまうことになりかねません。
さて接種歴が判明したら,次に病気の英語名や必要接種回数のメモを作り,自分なりの接種計画を立ててみましょう(面倒ですが英語で)。後述するスネークファーム赤十字病院では1日4本のワクチン接種が上限です。参考のため私の接種スケジュールを記しておきます(次のコマ以下に記載)。
なお,接種するワクチンは肝炎(A型・B型),狂犬病,4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ),腸チフス,日本脳炎,黄熱病,髄膜炎菌です。
当初はコレラも受けるつもりでしたが医師の話を聞いて撤回しました(あまり効果がないようです)。
(写真は私の約10年前の接種証明書) -
(以下,私の接種スケジュールです。)
【0日目】※予防接種の世界では初日を0日目とカウントします。
◎Hepatitis antibody test(肝炎抗体検査:ヘパタイティス アンティバディテスト=A/B型肝炎の抗体の有無を調べる検査。採血のみ。)
※現在,検査結果が出るのは採血日を入れずに丸1診療日を空けた翌日(の午後)になるようです。
◎Rabies @1st(狂犬病1回目:レイビーズ=3回接種で5年有効)
◎Yellow fever(黄熱病:イエロフィーヴァ=1回接種で10年有効)
◎Meningcoccal(髄膜炎菌:メニングコッカル=1回接種で3年有効)
◎Jap.encephalitis(日本脳炎:ジャパニーズ・エンセファライティス=私は子供のときに受け10年前にも追加接種をしているので今回は追加接種(=booster:ブースター)1回で3年有効)
以上のワクチン4本を両腕に2本ずつ接種して打ち止め。
(写真は髄膜炎菌のワクチン。日本での接種は難しいか高額のようです。) -
【2日目】
◎Twinrix @1st(A/B肝炎混合ワクチンの製品名:トウィンリクス1回目=3回接種で15-20年有効)
◎Tdap-polio(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ4種混合:ティーダップポリオ=私は子供のときに3種混合+ポリオを受けているので今回は追加接種1回で10年有効)
◎Typhoid(腸チフス:タイフォイド=1回接種で2年有効)
(写真は腸チフスのワクチン。日本での接種は難しいか高額のようです。) -
【7日目】
◎Rabies @2nd(狂犬病2回目:レイビーズ=3回接種で5年有効)
【28日目】
◎Rabies @3rd(狂犬病3回目:レイビーズ=3回接種で5年有効)
※3回目は21~28日目の間に接種をすれば可
◎Twinrix @2nd(A/B肝炎混合ワクチンの製品名:トウィンリクス2回目=3回接種で15?20年有効)
※本来は1回目接種の1か月後に2回目を接種
【180日目】
◎Twinrix @3rd(A/B肝炎混合ワクチンの製品名:トウィンリクス3回目=3回接種で15?20年有効)
上記のような計画だったのですが,実際には私の肝炎抗体検査の結果がA型のみ陽性(=A型肝炎のワクチンは接種する必要はない)だったため,私はTwinrixの代わりにB型単体のワクチンを接種することになりました(スケジュールは同じ)。
(写真は肝炎抗体検査の結果通知書。病院で看護師さんから渡されます。) -
さてバンコクで接種を受ける病院についてですが,サオワパー王妃記念研究所(通称・スネークファーム赤十字病院)です。タイ赤十字社の系列病院で,自ら抗蛇毒血清や狂犬病ワクチンの製造を行っており,隣接するスネークファームは病院が運営する教育施設ということです。
所在地はバンコクの中心オフィス街に位置するBTSサラデーン駅やMRTシーロム駅から徒歩10~15分ほどのところですが,分かりやすいのはMRTサムヤーン駅からで徒歩5分です。
持っていくものは,パスポート,ペン,事前に作成したメモ類,ワクチンの購入費用(現金),カメラ(の機能のある物なにか)です。診療時間は08:30-16:30で(平日。土曜日は午前中のみ,日祝は休み),昼休みは11:30-13:00です。接種にかかる時間は約1時間半。昼休みを跨ぐ場合はもう少しかかります。 -
【MRTサムヤーン駅からの行き方】
サムヤーン駅からチュラ大方面2番出口方向へ歩きます。サムヤーン駅 (MRT) 駅
-
左手の2番出口へは行かずにまっすぐのエスカレーターを上がるとフードコートとスーパーマーケットがあるフロアに出ます。これがサムヤーンの「ジャムジュリースクエア」という巨大モールの地階です。
-
エスカレーターで1階に上がるとモールのエントランスです(黄色の矢印のエスカレーターの裏側が地階フードコート)。
-
エントランスを出た正面を左右に走る大通りがラマ4世通りです。
モールを背にして左方向へ道沿いに歩いてください。途中に「SNAKE FARM 200m」というサインがあります。モールから徒歩約3分で病院に到着です。
入口に守衛さんがいますが何も言わずに通ってOKです。 -
【BTSサラデーン駅からの行き方】
サラデーン駅からタニヤ側に下ります。タニヤ通りを突き当たりまで進んで右折すると右手にジム・トンプソンがあり,その隣に「ROADHOUSE BBQ」があります(屋号のように"SMOKEHOUSE & GRILL"と掲げられています)。
その店を背にして立つと目の前に大通り(高架の下)が見えますが,これがラマ4世通りです。
横断歩道を2つ渡ればラマ4の向こう側へ渡れるのが分かると思いますので渡ってください(黄色の矢印)。 -
渡ったら左折。途中に「SNAKE FARM 200m」というサインがあります。横断歩道を渡ってから徒歩約2分で病院に到着です。
入口に守衛さんがいますが何も言わずに通ってOKです。 -
門を入ったら病院前の噴水が見えます。
噴水の土台は赤十字になっていますか。なっていたらそこで正解,スネークファーム赤十字病院に到着です。 -
噴水の向こうに見える建物のエントランスを入ります。
入って左手すぐのところに1番の部屋があります。まだ中へは入りません。 -
部屋の入口脇に番号札とゼムクリップが置いてありますので,まずそれを取ります。
-
廊下に書類の記入台があります。そこで問診票(英語表記のものを探してください)を記入してください。これは予防接種歴とその回数を聞くものです。
これを記入したら1番部屋に入ってください。ノックは無用です。 -
すると部屋の中にもうひとつ書類の記入台がありますので,置いてある別書式の問診票(英語版あり)に記入してください。
こちらは今後の渡航先を聞くものです。具体的な国名を記載するようになっていますが,広範囲を旅行する予定の場合はエリア名(West Africaとか)でも何も言われません。 -
問診票1枚目の表(おもて)面です。
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問診票1枚目の裏面です。
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問診票2枚目です。
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書けたら先ほどの番号札と重ねてクリップで留め,パスポートとともに窓口で事務をとっている事務員さんへ差し出してください。
そのまま受け取ってくれるか,カウンター上の箱に入れるように指示されます。
※なお,書類の置き場所は突然変わったりすることが考えられます。要するに前記の2種類の問診票を書いて提出すればよいので頑張ってください。 -
ここ1番部屋は患者の登録をしてカルテの作成・保管をするところです。登録とカルテ作成が終わったら名前を呼ばれて診察券,パスポート,カルテ等の書類一式を渡されますので,ここでは初診登録料20THBを支払います。
(写真は渡される書類一式) -
支払いが終わったら続きの隣室へ行くように言われます。
-
そこに血圧の測定器があり看護師さんが座っています(たぶん)ので右腕を通して血圧を測定してもらってください。
血圧測定をしている間に看護師さんから額にガンを当てられますが驚かないでください。体温測定です。 -
測定が終わったら4番部屋に行くように言われますから廊下に出てください(違う指示が出た場合はそれに従ってください)。
出た向かいあたりに4番部屋がありますので入ります(ノック無用)。
カウンターに看護師さんが座っていると思うので,カルテ等の書類一式を渡してください(ここではパスポート,診察券の提出は不要)。 -
4番部屋の中には医師の診察ブースと看護師さんの注射ブースがいくつかあります。
順番になったら医師に呼ばれますのでブースの中へ入ります。ここで接種するワクチンを選びスケジュールを組みます。
前に「自分なりの接種計画を立ててみましょう(英語で)」と書きましたが,英語で計画表を作成しておくとここの問診が非常にスムースです。医師と「これはこの日にしよう。これは不要」とか表に記入しながら話を進められるからです。 -
接種計画が出来上がったら今日の接種の分の処方箋を医師がその場で書いてくれます。
その処方箋を持って病院のエントランス脇にある薬局窓口へ行きワクチンを購入します。ここでワクチン代金と接種手数料を支払います。
ワクチンを購入したら4番部屋に戻るのですが,ぜひその前に購入したワクチンを撮影しておくことをお勧めします。
複数回接種が必要なワクチンで日程的にその一部を日本や海外の他の病院で接種で受けざるを得ない場合(そういう人のほうが多いと思います),2回目以降は最初に受けたワクチンと同じ「製品」のワクチンを接種しなければならないからです。 -
4番部屋に戻ったらカウンターの看護師さんに購入したワクチンと領収証を渡します。看護師さんがカルテの内容と間違いないか確認します。
確認OKなら奥の注射ブース(3番か4番のどちらか)に入るように言われます。もしブースに注射担当の看護師さんがいなければしばらく待ちます。
やがて看護師さんが来てくれますので,ベッドの上に座り上半身の着衣を脱いで接種を受けます。
看護師さんの注射の腕前は素晴らしく,針が刺さったのかどうかすら感じないほどです。
接種が終わったら4番部屋のカウンターへ戻って看護師さんからオレンジ色の表紙のワクチン接種証明書と今後の接種スケジュール表をもらいます。 -
こちらが複数回接種が必要なワクチンの接種スケジュール表です。
B型肝炎の接種予定日は容赦なくタイ語で書いてあるのが判ると思いますが,口頭では英語で言ってくれますのでご安心ください。 -
その日の接種がすべて終わったら4番部屋の長椅子で15-30分待機します。副作用が出ないか確認するためです。
もし気分が悪くなったら看護師さんに申し出てください。 -
2回目以降の再診については次のとおりです。
持参するものは診察券,ワクチン接種証明書(一応スケジュール表も),ワクチンの購入費用(現金),カメラ(の機能のある物なにか)です。
病院に入ったら1番部屋の前の番号札を取って診察券と重ねてゼムクリップで留め,1番部屋に入り窓口で事務をとっている看護師さんに差し出すと,そのまま受け取ってくれるか,カウンター上の箱に入れるように指示されます。
やがて名前が呼ばれてカルテ等書類一式が渡されますので,血圧測定へ。血圧測定と体温測定が終わったら4番部屋へ移動し,カウンターの看護師さんに書類一式とワクチン接種証明書を渡します。
そして医師の問診。その日の処方箋をもらって薬局へ。以下も初日と同じです。 -
いかがでしょう。私の接種例ですべて受けるとすると国内ではワクチン費用だけで約13万5000円,スネークファーム赤十字病院だと約2万4000円です。
この概算は検査費用や診療費を含んでいませんので,実際には国内接種のほうがさらに割高になります(スネークファームでかかるのはほぼワクチン代金・検査費用の実費のみと考えてよいです)。
今回,英語と片言のタイ語で接種に臨みましたが不安に感じることは何もありませんでした。 -
日程が許さない人は可能な限りたくさんバンコクで接種しておいて,2回目以降の接種は国内(あるいは海外の別の病院)で受けるというのもひとつの方法です。
その場合はスネークファームで接種したワクチンの製品名を記録し,2回目以降は同じワクチンを接種しなければなりません。サノフィパスツール社やGSK社のワクチンなどであれば日本の医院でも取り扱っている可能性が高いですが,たとえば狂犬病ワクチンはスネークファーム独自の製剤(Speeda)なので日本での接種は難しいということは念頭に置いておく必要があります。
なお,スネークファームでは希望すればラリアム(メフロキン・抗マラリア薬)の購入も可能です。 -
以上,バンコク・スネークファーム赤十字病院で受ける予防接種の実践篇でした。
特にアフリカ・中南米・アジア深部方面へ旅する人の参考になれば幸いです。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- kazuさん 2017/02/02 16:45:58
- 凄いです。盲点です。
- 初めまして。kazuです。
実は医療関係者です笑
日本はとってもワクチン後進国です。
最近のお子さんはずいぶん公費負担が増えていてスケジュールがアイドル並みに立て込みますが、私の娘(13歳)は半分以上任意接種でした。
なので、グラウチョさんはきっと今のお子さんの3分の1も摂取していなかったと思います。
良くタイで予防摂取を考えつきましたねー。目から鱗です。
タイ、マレーシアは医療水準が高いんですよね。
ワクチンの仕入れ値を知っている私から見ると本当に安いです。
肝炎ワクチンは、旅行好きには必須と言えるでしょう。
これで生ガキ食べられますね笑
いやーとっても参考になりました。
kazu
- グラウチョさん からの返信 2017/02/03 15:13:47
- 今月3回目のB型肝炎を受けてすべて完了です。
- kazuさま,はじめまして。コメントを頂きありがとうございました。
おっしゃるとおりタイやマレーシアの医療水準は安心できるものがあります。
私の娘は1−2歳の頃バンコクで過ごしたのですが,あるとき娘の高熱が下がらず妻が病院へ連れて行ったところびっくり。ここは高級ホテルかと見紛うばかりの豪華さ。念のため一週間ほど入院することになったのですがすべて旅行保険でカバーして頂けました。あれ以来のファンです(笑)。
実はその娘はkazuさまのお嬢さまと同い年です。同じく昨年受験を終えました(関西ですが)。今は楽しくやっているようです。
今後ともよろしくお願いします!
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