2015/07/18 - 2015/07/22
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JIC旅行センターさん
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天候も非常に良くなり、風が爽やかに感じられるほど気温が上昇しているのが分かりましたが、アイゼン無しでの雪上は慎重に慎重を重ねても不安なものです。一歩を雪面に踏み込みました。
「おや?凍ってない…」
気温上昇で雪面が溶け始めたのでしょう。登っている途中では下山が非常に心配でしたが、踵に力をそれほどかけずに下山できそうです。ガイドさんもサクサク真直ぐに景気良く下山しています。急勾配ですが、自分でも真直ぐ下山できる許容範囲内です。テンポよく下山。
真正面には青空の中に鋭いピラミッド型のカリャーク火山。下を見れば昨日登ったラクダ山が小さな丘にしか思えません。さらにその向こうには登りでは見えなかった雄大な景色が楽しめます。景色が無料だなんて…。山をやっていて本当に良かったとしみじみと感じられる瞬間でした。休憩するつもりはありませんでしたが、どんどん下山しているガイドさんをよそに、その景色を脳裏に焼き付けるため私は数分アヴァチャ山の斜面で立ち止まっていました。
ガイドさんが私が来ていないのに気付いたようで、心配そうに見上げているのが目に留まりました。
「よっしゃ!降りるか!」ストックを持つ両手を大きく振り問題無しと応え、私もサクサク真直ぐに再び下山開始。
直ぐにガイドさんと合流。
「すみません。ただただ景色を見惚れていました」
「もっと見ていても良かったんですよ」
「まぁ、でも…チームですからね」
「分かりました。景色を見たかったら声を掛けて下さいね」
「そうします」
さらに下山は続きました。頂上から一時間くらい降りてきたでしょうか。振り返ると山頂までかなりな高低差を降りてきていました。斜面もかなり緩くなりました。
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■テレマークスキーと雪面滑り台の要領で下山
「シライさんは、スキーをやりますか?」唐突にガイドさんが訊いてきました。
「テレマークスキーをやっていますよ」
「じゃ、ブーツをスキー代わりに滑りながら降りましょうか?」
「お!日本でも良くやっていますよ!やりましょう!」
ガイドさんの後を私はテレマークスキーの要領で腰を下げながら歩くように滑ります。『こりゃ、体力使わずに楽しく下山できるぞ!』
下山速度がさらに上がっていきます。
プロトレックの時計を見てみると頂上からすでに800mの高低差を下山してきています。1時間強で800mを稼いだ計算になります。B.C.(ベースキャンプ)まで後1100m。
そして下山ルートの分岐点にやってきました。
アヴァチャ山頂直下は登りと下りのルートが同じですが、標高2000m付近からは下山ルートが別に設けてあります。分岐にやってくると雪は無くなり斜面の勾配はかなり緩やかに変わります。富士山の須走口のような細かく砕けた溶岩石のようなルート。もう歩行に関して注意するところは全く無くなりました。
途中、ルート外の雪面を長距離滑り台のようにお尻で滑って数百メートルのショートカットを数回。日本の山でも下山時によくやりますが、これがメチャクチャ楽な上に楽しいのです!しかも長距離!ガイドさんもそうでしたが「キャキャキャ!」と子供に戻ったように楽しみました。こんな調子で昨日登ったラクダ山の裏側に降りてきました。
後はB.C.までの約一時間弱。 -
■前日のラクダ山は登山客のレベルチェック
ガイドさんと今回の登山に関してお話をしながら戻りました。注目したのは、『海外からのアヴァチャ山登山客の登山レベルを把握するために、登山前日ラクダ山に足慣らしで登る』ということ。あえて登山客に雪上歩行をしてもらい個人差をガイドが把握するようです。
例えば、赤ジャケットの若者は丸印、青ジャケットのおばさんは三角印、緑ジャケットのおじさんはバツ印という風に…。言い方を変えると、ラクダ山登山で「ふるい」にかけるようなものです。そして当日はグループ全員でスタートして標高2000m付近にある気象観測用の小屋まで登り、あらかじめ無理と判断したお客様に下山勧告を申し出るとのことです。
流れがすでに決められていることに驚きました。
結果的に私は登れたので一安心でしたが、自分の歩行についてガイドさんがどのように思っていたかを尋ねたくなり訊いてみました。
「私の場合は何処で判断したのですか?」
「昨日、ラクダ山に取り付く前に谷を降りたのを覚えていますか?」
「もちろん覚えていますよ。ちょっとした急な下り坂の雪渓ですよね」
「そうです。あの雪面を難なく谷まで降りることができたので、私はシライさんは問題無しだと思いました」
「まぁ、日本ではもっと大変なところを歩いていますからね」
「そう思いましたよ。下山の歩き方で分かりますよね。いくら体力があっても、雪上の下山は歩行技術が一番重要ですから」
「確かにその通りですね」
「今年のカムチャツカは例年よりも雪が多いので、残念ですが、多くの登山客は登れないと思います。これから気温が上がってきて雪が解ければ話はまた変わりますけどね」
「そういえば、他の日本人グループは登ってきませんでしたね」
「そうです。昨日、ガイド仲間と話しました」
「というと…、昨日の段階ですでに結論が出ていたということですか?」
「その通りです」
「何とも微妙ですね…」
「残念です」
ガイドさんとB.C.までさらに雪渓歩きを選び、下山をしました。
16時10分:B.C.到着
全行程:9時間20分
全休憩時間:100分
歩行時間:7時間40分
「シライさん、すごく良いタイムです」
「マクシムさん、本当にありがとう。素晴らしい登山でした」
「今年、外国人の登山客の何組かと登りましたが登頂できたのはシライさんとだけです。ありがとう。今日はこれからどうしますか?」
「今日は、食事をして早めに寝ます」
「そうですね。それが良い」
「明日は12:00にB.C.を出発ですね」
「もし良ければ10時頃から散策しませんか?花がとても奇麗ですよ」
「良いんですか?それはとても嬉しいです」
「僕も今日はゆっくりします。明日の朝に迎えにきます」
「本当にありがとう。良い山でした」
ガイドさんと私はがっちりと握手をしました。
(つづく)
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