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宮尾登美子の小説「天涯の花」で有名になった、剣山に咲くキレンゲショウマの群落は、四国第二位の標高を誇る剣山を代表する高山植物で世界的にも希少な花。レンゲショウマに似たレモン・イエローのラッパ状花弁は山腹の緑に映える。<br /><br />剣山は四国三名山(石鎚山、三嶺)の内、唯一一般観光客でもリフト(中腹まで)を利用することによって登ることができる高山で、山容は台形で山上はだだっ広く、紫外線の少ない時期の晴天日は、中国山地や瀬戸内海まで遠望できる屈指のパノラマが広がる。<br /><br />前回の日記で触れたように、この山は神社神道の源流となる「日本ピラミッド」に比定されているが、先史の超古代期、山容は円錐形をしていたという。それが太古の大地震で山頂部が崩落し、現在の台形山容になったという。<br /><br />それ故、山上は広大なミヤマクマザサの平原となっており、「平家の馬場」と言われる。源平合戦後、安徳帝を奉じた平家の残党が剣山を根城としていたという伝説。<br />剣山という山名の由来も、帝が宝剣を山中の大劔神社に奉納して祈願したことにあるが、神社背後の御神体「御塔石(おとういわ)」は四国屈指の大きさを誇る岩塔で圧巻。<br /><br />ハイカーや登山初級者が最も楽しめる登山コースは、登山リフト西島駅から尾根道コースを辿って安徳帝由来の刀掛の松へ登り、そこから東の一ノ森(1879.2m)へ登頂後、西に稜線を縦走して剣山へと至る回遊コース。<br /><br />刀掛の松から東に180m進んだ所の古剣神社分岐を左折し、その神社方向へ行った箇所にキレンゲショウマの群落があるが、コース沿いには、葉がカニの甲羅のような形をし、白く細長いラッパ状花弁が特徴的なカニコウモリの群落もある。<br /><br />殉難碑近くの稜線に出ると、一ノ森を往復した後、剣山へ縦走するが、一ノ森も剣山系から石鎚山系を一望できる展望が広がる。ただ、山頂近くで突発的な降雨があったため、五葉松下で雨宿りしながら、弁当を食べた。<br /><br />剣山上もガスっていて、残念ながら胸のすく展望は得られなかった。<br />「剣山頂上ヒュッテ」であめ湯か焼酎を飲み、花の本等を買った後、西下の御塔石の全景を拝める地点に下り、再び登って大劔神社に詣で、リフト乗り場へと下山した。<br /><br />因みに登山中級者以上にお勧めの剣山と周辺山を巡る回遊コースは、剣山スーパー林道沿いの槍戸雨量観測所から無名峰の槍戸山(1824.6m)へ登り、今回と同じく一ノ森から剣山へと縦走後、法螺貝の滝へ向けて下りてスーパー林道に下山するロング回遊コース。そのコースはhttp://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-233347.html<br /><br />最終の三日目は剣山北東の赤帽子山(1620m)へ登る。剣山を楽しむ場合、剣山自体へ登ることとは別に、剣山を間近に望める山に登って山容を愛でる、という楽しみ方もある。赤帽子山も森林限界を超えているので、視界を遮る物は何もない。<br /><br />この山へは中尾山(なこやま)高原から縦走していくコースが知られているが、最短コースである、国道438号から赤帽子山と丸笹山との中間の稜線に登ってから、縦走するコースを選んだ。<br />利用者が少ないためか、登山口に道標はなく、コースも踏み跡程度。更に稜線に出るまでは急登続きで、何度も小休止をした。<br /><br />山頂からは思っていた通り、剣山を正面の視界いっぱいに捉えることができた。山頂もミヤマクマザサの広場で気持ちいい。<br />こんなに展望の優れた山なのに、この日一人の登山者に会うこともなく、山頂を独占できた。<br /><br />帰路は丸笹山へ縦走した後、道なき尾根を見ノ越まで下山しようと思っていたが、途中で雨がパラついてきたため、来た道を引き返した。<br />赤帽子山のコースはhttp://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=13066

剣山の「天涯の花」と巨大岩塔と周辺の静寂峰(貞光川水系と剣山山系の景勝・二~三日目)

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2011/08/13 - 2011/08/15

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マローズ

マローズさん

宮尾登美子の小説「天涯の花」で有名になった、剣山に咲くキレンゲショウマの群落は、四国第二位の標高を誇る剣山を代表する高山植物で世界的にも希少な花。レンゲショウマに似たレモン・イエローのラッパ状花弁は山腹の緑に映える。

剣山は四国三名山(石鎚山、三嶺)の内、唯一一般観光客でもリフト(中腹まで)を利用することによって登ることができる高山で、山容は台形で山上はだだっ広く、紫外線の少ない時期の晴天日は、中国山地や瀬戸内海まで遠望できる屈指のパノラマが広がる。

前回の日記で触れたように、この山は神社神道の源流となる「日本ピラミッド」に比定されているが、先史の超古代期、山容は円錐形をしていたという。それが太古の大地震で山頂部が崩落し、現在の台形山容になったという。

それ故、山上は広大なミヤマクマザサの平原となっており、「平家の馬場」と言われる。源平合戦後、安徳帝を奉じた平家の残党が剣山を根城としていたという伝説。
剣山という山名の由来も、帝が宝剣を山中の大劔神社に奉納して祈願したことにあるが、神社背後の御神体「御塔石(おとういわ)」は四国屈指の大きさを誇る岩塔で圧巻。

ハイカーや登山初級者が最も楽しめる登山コースは、登山リフト西島駅から尾根道コースを辿って安徳帝由来の刀掛の松へ登り、そこから東の一ノ森(1879.2m)へ登頂後、西に稜線を縦走して剣山へと至る回遊コース。

刀掛の松から東に180m進んだ所の古剣神社分岐を左折し、その神社方向へ行った箇所にキレンゲショウマの群落があるが、コース沿いには、葉がカニの甲羅のような形をし、白く細長いラッパ状花弁が特徴的なカニコウモリの群落もある。

殉難碑近くの稜線に出ると、一ノ森を往復した後、剣山へ縦走するが、一ノ森も剣山系から石鎚山系を一望できる展望が広がる。ただ、山頂近くで突発的な降雨があったため、五葉松下で雨宿りしながら、弁当を食べた。

剣山上もガスっていて、残念ながら胸のすく展望は得られなかった。
「剣山頂上ヒュッテ」であめ湯か焼酎を飲み、花の本等を買った後、西下の御塔石の全景を拝める地点に下り、再び登って大劔神社に詣で、リフト乗り場へと下山した。

因みに登山中級者以上にお勧めの剣山と周辺山を巡る回遊コースは、剣山スーパー林道沿いの槍戸雨量観測所から無名峰の槍戸山(1824.6m)へ登り、今回と同じく一ノ森から剣山へと縦走後、法螺貝の滝へ向けて下りてスーパー林道に下山するロング回遊コース。そのコースはhttp://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-233347.html

最終の三日目は剣山北東の赤帽子山(1620m)へ登る。剣山を楽しむ場合、剣山自体へ登ることとは別に、剣山を間近に望める山に登って山容を愛でる、という楽しみ方もある。赤帽子山も森林限界を超えているので、視界を遮る物は何もない。

この山へは中尾山(なこやま)高原から縦走していくコースが知られているが、最短コースである、国道438号から赤帽子山と丸笹山との中間の稜線に登ってから、縦走するコースを選んだ。
利用者が少ないためか、登山口に道標はなく、コースも踏み跡程度。更に稜線に出るまでは急登続きで、何度も小休止をした。

山頂からは思っていた通り、剣山を正面の視界いっぱいに捉えることができた。山頂もミヤマクマザサの広場で気持ちいい。
こんなに展望の優れた山なのに、この日一人の登山者に会うこともなく、山頂を独占できた。

帰路は丸笹山へ縦走した後、道なき尾根を見ノ越まで下山しようと思っていたが、途中で雨がパラついてきたため、来た道を引き返した。
赤帽子山のコースはhttp://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=13066

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
ホテル
3.0
交通
3.0
交通手段
自家用車

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  • 刀掛の松・・・安徳帝の刀を掛けていたという松だが、昭和期に枯れた。

    刀掛の松・・・安徳帝の刀を掛けていたという松だが、昭和期に枯れた。

  • キレンゲショウマ群落へと向かう道沿いにある岩盤

    キレンゲショウマ群落へと向かう道沿いにある岩盤

  • キレンゲショウマ群落

    キレンゲショウマ群落

  • キレンゲショウマは日本人初となる、属名を作った一属一種の植物。

    キレンゲショウマは日本人初となる、属名を作った一属一種の植物。

  • せり科のツルギハナウド。四国の高山に自生する。

    せり科のツルギハナウド。四国の高山に自生する。

  • 穴吹川源流碑からほど近い所にあったと思う滝

    穴吹川源流碑からほど近い所にあったと思う滝

  • キク科カニコウモリ。高山の針葉樹林帯に自生する。

    キク科カニコウモリ。高山の針葉樹林帯に自生する。

  • カニコウモリの群落に注目する登山者は少ない。

    カニコウモリの群落に注目する登山者は少ない。

  • 大木

    大木

  • 四国の高山ではよく見かけるシコクフウロ

    四国の高山ではよく見かけるシコクフウロ

  • 一ノ森へ向けての縦走路

    一ノ森へ向けての縦走路

  • 一ノ森三角点

    一ノ森三角点

    一の森 自然・景勝地

  • 一ノ森周辺はガスがかかっていた

    一ノ森周辺はガスがかかっていた

  • 白骨林帯

    白骨林帯

  • 剣山へ向けての縦走路

    剣山へ向けての縦走路

  • もうすぐ剣山山頂

    もうすぐ剣山山頂

  • 剣山頂上ヒュッテ入口で登山客を迎える案山子人形<br />※当サイトの施設名は「頂上ヒュッテ」と「雲海荘」が一緒になっているが、実際は別の建物。西にあるのが雲海荘で、東のいつも登山客で賑わうのが頂上ヒュッテ。

    剣山頂上ヒュッテ入口で登山客を迎える案山子人形
    ※当サイトの施設名は「頂上ヒュッテ」と「雲海荘」が一緒になっているが、実際は別の建物。西にあるのが雲海荘で、東のいつも登山客で賑わうのが頂上ヒュッテ。

    剣山頂上ヒュッテ 雲海荘 宿・ホテル

  • 自然保護のため、山上の道は木道になっている。

    自然保護のため、山上の道は木道になっている。

    剣山国定公園 自然・景勝地

  • 時折ガスが切れると視界が広がる

    時折ガスが切れると視界が広がる

  • 四国一立派な三角点

    四国一立派な三角点

    剣山 自然・景勝地

  • 宝蔵岩。宝剣を埋めたという伝説もある。

    宝蔵岩。宝剣を埋めたという伝説もある。

  • 剣山西下の遊歩道から見た周辺のピーク

    剣山西下の遊歩道から見た周辺のピーク

  • 御塔石(左)と奇岩

    御塔石(左)と奇岩

  • 御塔石全景。右下に写る鳥居背後には、名水・御神水(おしきみず)が湧き出ている。安徳帝は剣神社に平家再興を祈願する際、この水で禊いだ御髪を奉納されたという。

    御塔石全景。右下に写る鳥居背後には、名水・御神水(おしきみず)が湧き出ている。安徳帝は剣神社に平家再興を祈願する際、この水で禊いだ御髪を奉納されたという。

  • 御塔石上部前に建つ大劔神社

    御塔石上部前に建つ大劔神社

  • 登山リフトからは雄大な風景が展開する。

    登山リフトからは雄大な風景が展開する。

    剣山観光登山リフト 乗り物

  • 赤帽子山最短コース登山口

    赤帽子山最短コース登山口

  • 急登尾根

    急登尾根

  • シコクフウロ

    シコクフウロ

  • きれいな笹の縦走路

    きれいな笹の縦走路

  • 赤帽子山山頂

    赤帽子山山頂

  • 山頂標識越しに見た剣山

    山頂標識越しに見た剣山

  • 赤帽子山三角点は縦走路沿いにある。

    赤帽子山三角点は縦走路沿いにある。

  • 復路、小雨がパラつき、尾根は霧に包まれる。

    復路、小雨がパラつき、尾根は霧に包まれる。

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