回顧録　2013年盆　出雲と伊勢へ(8)　松阪城下・専修寺・六華苑など

2013/08/17 - 2013/08/17

過去の旅行を思い出しつつ整理，作成した回顧録兼備忘録．
作成中に再発見もあり，再訪のきっかけになるやも．

2013年盆休み．のんびりしていた時期なので8日間取れ，この年遷宮を迎え，話題になっていた出雲大社と伊勢神宮へ参拝すべく山陰と伊勢を7日かけて訪問した．
7日目(最終日;8/17)，伊勢を後にし松阪へ．城下の史跡，文化財建造物を巡り，松阪牛を食す．
さらに北上し津城，専修寺，桑名六華苑，桑名城趾と回り，いわきへの帰路に就く．

エリア 松阪(三重)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 自家用車 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

松阪市に入り来迎寺．所在は白粉町．
16世紀の初めの創建，1588年現在地に移転．
本尊阿弥陀如来の天台真盛宗寺院，境内拝観自由，駐車場あり．
写真は山門，三間一戸楼門，入母屋造，瓦葺．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺山門には猿が．見ざる．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺山門，言わざる．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺山門，聞かざる．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺山門，何ざる？

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺本堂．境内中央に建つ．
1730年建造，内陣及び外陣よりなる複合仏堂，本瓦葺，国重要文化財．
内陣:木造一重裳階付，宝形造，取合含，外陣:木造一重，寄棟造，向拝三間付，背面左右脇壇付．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺本堂．側面より．
左が外陣，右の屋根だけ写るのが内陣．

来迎寺 寺・神社・教会

来迎寺から北西へ2kmほど松阪市文化財センターへ．
所在地は外五曲町．
近隣の古墳より出土した埴輪などの展示館とギャラリーからなる．
ギャラリーはカネボウ綿糸松阪工場綿糸倉庫だったものが転用されている．
開館時間9:00～16:30，入館料\100(はにわ展示館)，月曜休館，駐車場あり．

松阪市文化財センター 美術館・博物館

旧カネボウ綿糸松阪工場綿糸倉庫．
1923(T12)年建造，煉瓦造平屋建，切妻造，鋼板葺，国登録有形文化財．

松阪市文化財センター 美術館・博物館

南東へ500mほど戻り松阪市殿町の松阪城跡に．
1588年蒲生氏郷により築城．藩政期は紀州藩の城代が置かれた．
維新後廃城になり建物の殆どが破格され残っていない．
築城等時の石垣が残っている．
城内散策自由，駐車場あり．日本100名城のひとつ．

城内にある歴史民俗資料館．
藩政期の松阪の商家や松阪木綿に関する資料が展示されている．
開館時間9:00～16:30，入館料\100，月曜休館．
建物は飯南郡図書館だったもので1978(S53)年より資料館として使われている．
1912(M45)年建造，木造2階建，瓦葺，国登録有形文化財．

松阪市立歴史民俗資料館(2階 小津安二郎松阪記念館) 美術館・博物館

松阪城月見櫓跡からの市街．

松坂城跡 名所・史跡

松阪城天守跡．
1644年台風倒壊後再建されなかったそうだ．

松坂城跡 名所・史跡

松阪城内にある本居宣長記念館．城の東側に位置する．
当地出身の江戸時代の国学者本居宣長の記念館．
宣長の旧宅，遺品等の関連資料を保存・展示している．
開館時間9:00～16:30，入館料\400，月曜休館．
写真は鈴屋遺蹟保存会正門．
鈴屋遺蹟保存会は本居宣長旧宅及び宣長関係資料の永久保存を目的に設立された団体で宣長旧宅の二階書斎が鈴屋と呼ばれることからの名称と思われる．
正門は1909(M42)年建造，木造四脚門，切妻造，本瓦葺，国登録有形文化財．

本居宣長記念館 美術館・博物館

鈴屋遺蹟保存会旧事務所．正門入って右側に建つ．
1909(M42)年建造，木造平屋建，入母屋造，桟瓦葺，正面中央玄関付(唐破風造，銅板葺)，国登録有形文化財．
この他に倉庫と塀も国有形文化財に登録されている．

本居宣長記念館 美術館・博物館

本居宣長旧宅．
国史跡．1691年に宣長の祖父の隠居所として建てられたもの．
宣長が12～77歳まで暮らした．
明治時代まで城下町(牛銀の近く，礎石が残る)にあったが1909(M42)年に現在地に移築されている．

本居宣長記念館 美術館・博物館

松阪城南側の御城番屋敷に移動．
幕末の松坂御城番が居住した組屋敷が残る．
写真通りの両側に計19戸，2棟の長屋が建つ．

御城番屋敷 名所・史跡

旧松阪御城番長屋東棟．路地側より．
1863年建造，桁行90.9m，木造一重，切妻造，桟瓦葺，東面角屋12所附属，国重要文化財．

御城番屋敷 名所・史跡

旧松阪御城番長屋西棟．一番北側の1戸が公開されている．
この1戸以外は普通に借家として利用されていた．
1863年建造，桁行83.6m，木造一重，南面切妻造，北面入母屋造，桟瓦葺，西面角屋10所附属，国重要文化財．

御城番屋敷 名所・史跡

旧松阪御城番長屋西棟の内部．
紀州藩の与力衆だった武士が御城番になったそうだ．
中の様子といい城への近さといい下級武士でないのは確かだ．

御城番屋敷 名所・史跡

旧松阪御城番長屋西棟の内部．
玄関から庭を見通す．

御城番屋敷 名所・史跡

旧松阪御城番長屋西棟の内部，梁組の様子．

御城番屋敷 名所・史跡

御城番屋敷土蔵．敷地の一角に建つ．
江戸後期の建造，切妻造，桟瓦葺，庇付，三重県指定文化財．
元々松坂城隠居丸にあった米蔵だったそうで，明治時代に移築されている．

御城番屋敷 名所・史跡

御城番屋敷の南側には松阪工業高校が立地している．
その一角に一際目立つ赤い壁の建物，旧三重県立工業学校製図室がある．
1908(M41)年建造，木造平屋建，切妻造，桟瓦葺，壁面下見板張，松阪市指定文化財．
実験に使う硫化水素により通常の壁の塗料が黒変することを防ぐため硫化水銀を塗り朱の壁としたとのことだ．
学校内ということで長居はせずに退散．

旧三重県立工業学校製図室 (赤壁校舎) 名所・史跡

北へ800mほど移動し城東側の城下町の長谷川邸．所在は魚町．
長谷川家は三井家，小津家とならぶ松阪を代表する江戸店持ちの商家である．
公開時間9:00～16:00，入館無料，日祝のみ公開(団体は月金，要予約)．
写真は主屋，江戸中期の建造，切妻造，桟瓦葺，東面及び西面庇付，国重要文化財(2016年7月指定;訪問時は三重県指定文化財)．

旧長谷川治郎兵衛家 名所・史跡

長谷川家住宅米蔵．東側通りに面する．
1768年建造，土蔵造2階建，切妻造，東面下屋附属，桟瓦葺，国重要文化財(2016年7月指定;訪問時は三重県指定文化財)．
他に大正座敷，離れ，大蔵，西蔵，新蔵，表蔵の6棟も国重文(2016年7月指定)．

旧長谷川治郎兵衛家 名所・史跡

300mほど歩き1本東側の通りへ入り，松阪商人の館．
江戸で紙や木綿を商った豪商小津清左衛門の邸宅を当時の様子を再現した資料館としているもの．
開館時間9:00～16:30，入館料\200，月曜休館．

旧小津清左衛門家 名所・史跡

松阪商人の館の内部，通りに面した格子．

旧小津清左衛門家 名所・史跡

松阪商人の館の内部，台所土間の竈．

旧小津清左衛門家 名所・史跡

松阪商人の館の内部，庭．

旧小津清左衛門家 名所・史跡

松阪商人の館前の通りを南進すると三井家発祥の地．
近江六角氏の家臣だった三井家が土着し，江戸時代一の豪商となる礎となった場所．呉服屋越後屋を開いた三井高利の生家跡を発祥の地としている．
越後は三井高利の祖父六角家家臣時に越後守を名乗っていたところから．
越後屋→三井越後屋→三越．
内部非公開．

三井家発祥の地 名所・史跡

三井家発祥地由来の説明板．

三井家発祥の地 名所・史跡

長谷川邸前まで戻る．向いには牛銀番茶亭．
甘味処である．余りにも暑いのでかき氷を食べた．

牛銀番茶亭 グルメ・レストラン

せっかく松阪に来たので昼には早いが松阪牛を食べることに．
こちらは松阪牛の金・銀の銀のほうで牛銀本店．
市内では至る所に牛銀と金こと和田金の看板を見る．

牛銀本店 グルメ・レストラン

牛銀本店は少し敷居が高かった(酒が飲みたくなりそうだった)ので隣の洋食屋牛銀に入る．4年前の伊勢神宮参拝時にもここに来ている．その時はハンバーグだったが今回はステーキを食す．
200gでは多いので110gの定食にしたが，ご飯もついてたので十分腹一杯になった．まぁ脂が凄いわ．
次回こそは隣で飲みながらすき焼きだな．

洋食屋牛銀 グルメ・レストラン

松阪牛を堪能し北へ17kmほどで津城跡へ．所在地は津市丸之内．
戦国時代に細野氏が築城(当時は安濃津城)したのが始まり．
江戸初期に築城の名手藤堂高虎が入城し大改修し幕末まで津藩藤堂家の藩庁であった．写真は丑寅櫓跡に復興された三重櫓．

津城跡 名所・史跡

津城から北へ約7km移動，津市一身田町の高田山専修寺．
1480年頃の建造，本尊阿弥陀如来の真宗高田派の寺院．
栃木県真岡市の専修寺(この1ヶ月前に参拝)を本寺，こちらを本山と称する．
境内拝観5:00～17:00，無料，駐車場あり．
写真は唐門，1844年建造，四脚門，切妻造，前後軒唐破風付，檜皮葺，国重要文化財(参拝10日前に指定)．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

専修寺如来堂．唐門奥に建つ．
1748年建造，木造一重裳階付，入母屋造，軒唐破風向拝三間付，本瓦葺，国重要文化財．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

専修寺境内．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

専修寺御影堂．如来堂東側に建つ．
1666年建造，木造一重，入母屋造，向拝三間付，本瓦葺，国重要文化財．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

専修寺鐘楼．御影堂東側に建つ．
1711年建造，木造一重，入母屋造，本瓦葺，国重要文化財(参拝10日前に指定)．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

専修寺山門．御影堂正面南側に建つ．
1704年建造，五間三戸二階二重門，入母屋造，本瓦葺，北面三間張出付，国重要文化財(参拝10日前に指定)．
境内にはこの他重文建造物が8棟ある(通天橋･御廟拝堂･御廟唐門及び透塀･茶所･太鼓門･大玄関･対面所･賜春館)．

真宗高田派本山 専修寺 寺・神社・教会

高速事故の渋滞に嵌るアクシデントに遭うも桑名市へ移動．
旧諸戸清六邸の六華苑に到着．
開苑時間9:00～16:00，入苑料\310，月曜休苑，駐車場あり．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸邸は実業家の二代目諸戸清六の新居として大正の初めに建てられた．
洋館，和館及び複数の蔵などからなる．池泉回遊式日本庭園も併せ持つ．
昭和になり諸戸家が桑名市内の別邸に移り，諸戸家関連会社の事務所として使用されるようになった．1990(H2)年に桑名市に寄贈され，整備後に観光施設として公開されている．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館．
1913(T2)年建造，木造2階建，塔屋付，スレート及び銅板葺，国重要文化財．
設計者は鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドル．
4階建の塔屋と庭園に面して多角形に張り出すサンルームが特徴．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅和館．
1912(T元)年建造，木造一部平屋2階建，入母屋造，南･北及び西面庇付，桟瓦葺，東面洋館に接続，国重要文化財．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館の内部，応接室．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館ベランダから庭園．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館2階サンルーム．陽当良好．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館の内部，たぶん客間．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅洋館と和館の接続部．繋がっているが見学時に行き来はできない．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅和館の内部，一の間．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸家住宅和館の内部，二の間かと．

六華苑 名所・史跡

六華苑庭園より住宅．
池泉回遊式庭園は国名勝に指定．

六華苑 名所・史跡

六華苑庭園より洋館を望む．

六華苑 名所・史跡

六華苑内の煉瓦塀．
奥は諸戸氏庭園．江戸時代の豪商の隠居所を初代諸戸清六が買い取り整備したもの．六華苑の前の諸戸氏の居宅ということになる．
主屋など6棟が国の重文になっている．
定期公開有り．

六華苑 名所・史跡

旧諸戸邸洋館，最後にもう1枚．

六華苑 名所・史跡

最後に桑名城趾界隈を散策し旅を締める．
写真は蟠龍櫓．江戸時代に東海道唯一の海上路，桑名と熱田を結んだ七里の渡の到着地に再現された桑名城にあった櫓である．
2003年に建てられた国の水門統合管理所でちょっとした展示もあるようだ．
開館時間9:30～15:00，入館無料，月曜休館．

蟠龍櫓 名所・史跡

桑名城趾へ移動．
1601年本多忠勝により築城，伊勢桑名藩の藩庁である．
維新の際に桑名藩が朝敵になったため破却されている．
城の石垣の一部が四日市港の防波堤となり現存(国重文)している．

桑名城跡 九華公園 公園・植物園

桑名城趾の堀にて，亀．

桑名城跡 九華公園 公園・植物園

桑名城天守閣跡．
城内本丸，鎮国守国神社の裏にひっそり石垣を残す．

桑名城跡 九華公園 公園・植物園

桑名城趾，徳川四天王本多忠勝像．
三の丸跡，駐車場脇に立つ．
これにて全行程終了．いわきへ戻る．

桑名城跡 九華公園 公園・植物園

途中の高速にて富士山．
新東名が合流するあたりだったかな．
ひょいと脇を見たら，あったのでよそ見運転せずに撮影．

出雲・伊勢ももう4年経つのか近々再訪したい．