回顧録　2014年年末　大阪和歌山の旅(8)　和歌山市周辺　紀三井寺・根来寺・粉河寺など

2014/12/30 - 2014/12/30

過去の旅行を思い出しつつ整理，作成した回顧録兼備忘録．
作成中に再発見もあり，再訪したくなってくる．

2014年年末に大阪和歌山を訪問．熊野三山や高野山をメインに文化財を周遊する旅だった．
5日目最終日は和歌山市とその周辺の文化財巡り．昼を目処に大阪に戻り伊丹から仙台へ帰る．

エリア 和歌山

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 3.5
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: レンタカー ANAグループ 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

最終日は紀三井寺から．
正式には「紀三井山金剛宝寺護国院」．
770年創建，救世観音宗総本山，本尊は十一面観音．
楼門は室町中期の建造，三間一戸楼門、入母屋造，本瓦葺，国重要文化財．

紀三井寺 寺・神社・教会

紀三井寺の参道階段．朝一からこれはキツイ．
隣の石垣も立派である．

紀三井寺の参拝時間は8:00〜17:00，\200．
駐車場は寺の有料駐車場か近隣のコインパークの利用となる．

紀三井寺 寺・神社・教会

石段を上った境内からの眺め．
和歌の浦方面を望む．

紀三井寺 寺・神社・教会

紀三井寺六角堂．階段上って正面．
江戸中期の建造，本瓦葺．

紀三井寺 寺・神社・教会

紀三井寺鐘楼．
桃山時代の建造，袴腰付，入母屋造，本瓦葺，国重要文化財．

紀三井寺 寺・神社・教会

紀三井寺大師堂．鐘楼奥．
木造一重，宝形造，本瓦葺．

紀三井寺 寺・神社・教会

さらに奥に進むと紀三井寺本堂．
1759年建造，木造一重，入母屋造，千鳥破風付，正面唐破風向拝三間付，本瓦葺，和歌山県指定文化財．
本尊十一面観音立像(秘仏)を含む5躯の国重要文化財の仏像は本堂裏，非公開の収蔵庫に安置されている．

紀三井寺 寺・神社・教会

本堂の位置からさらに石段を上った所に開山堂が建つ．
木造一重，宝形造，本瓦葺．
正面向拝両端には狛犬．

紀三井寺 寺・神社・教会

開山堂脇には多宝塔．
1449年建造，三間多宝塔，本瓦葺，国重要文化財．

紀三井寺 寺・神社・教会

西へ3km移動，和歌山市和歌浦西の紀州東照宮へ．
1621年紀州藩初代徳川頼宣により創建，主祭神は徳川家康(東照大権現)と頼宣．
境内拝観自由，職員の説明付きでの拝観も可能である．駐車場は有料である．

東照宮 寺・神社・教会

鳥居を潜り参道を進むとまたまた石段．
108段あるそうで侍坂と呼ばれる．
石段先には国重要文化財の楼門．
1621年建造，三間一戸楼門，入母屋造，本瓦葺．
両側に続く東西の廻廊も重文．

東照宮 寺・神社・教会

楼門先の唐門・両脇の東西瑞垣，唐門奥の拝殿，石の間，本殿．
何れも1621年建造で檜皮葺の国重要文化財．
唐門は四脚平唐門．拝殿・石の間・本殿は入母屋造．
社殿は極彩色の彫刻類，鍍金の飾金具を有し，本殿には左甚五郎作の彫刻や狩野探幽作の襖絵もあり，関西の日光とも称される．
写真は唐門・瑞垣と拝殿(奥の屋根)．

東照宮 寺・神社・教会

東照宮駐車場から300mほど西へ行き和歌浦天満宮(天満神社)．
964〜8年頃の創建と伝わる．主祭神は菅原道真，道真が大宰府に向かう途中に歌を詠んだ場所とされる．
境内拝観自由，駐車場は鳥居前にある．
そしてここでも急勾配な石段が待ち構えていた．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社楼門．石段先に建つ．
1605年建造，一間一戸楼門，入母屋造，本瓦葺，国重要文化財．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社楼門前からの眺め．
和歌の浦を望む．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社本殿．
1606年建造，木造一重，入母屋造，正面千鳥破風付，向拝三間付，檜皮葺，国重要文化財．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社末社．
本殿右奥の覆屋の中に末社3殿が鎮座する．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社末社多賀神社本殿．
3殿のうち向かって左に鎮座する多賀神社．
桃山時代の建造，一間社春日造，檜皮葺，国重要文化財．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

天満神社末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿．
3殿の中央に鎮座．
桃山時代の建造，二間社流造，檜皮葺，国重要文化財．

和歌浦天満宮 寺・神社・教会

北へ5km弱移動，和歌山市一番丁の和歌山城へ．
12年ぶりの訪問．前回は通っていない岡口門．
先の大戦の空襲を免れた数少ない遺構である．
1621年建造，櫓門，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．

和歌山城大天守．
1958年建造，ＲＣ造．大天守と小天守と2棟の櫓が連結して建てられている連立式天守と呼ばれる．
空襲で焼失した旧天守は藩政期からのもので旧國寶だった．

和歌山城 名所・史跡

和歌山城二の門櫓と天守二の門．連立式天守を構成する．
天守への入り口となっているが，この日は年末のため休み．
開門時間9:00〜17:00，入城料\410．12/29〜31休み．
2002年に来た際は5月5日で無料開放されていたように思う．

和歌山城 名所・史跡

和歌山城天守下からの眺め．
北方向だったと思う．

和歌山城 名所・史跡

和歌山城周辺には多くの有料駐車場があるが，この日は岡口門に近い岡公園の駐車場を利用．
岡公園内に立つ銅像が目にとまる．日清戦争時の外相陸奥宗光である．
陸奥は旧紀州藩士である．坂本龍馬の海援隊の一員でもあった．

岡公園 公園・植物園

岡公園にはＳＬも展示されている．
Ｃ５７形．和歌山線や紀勢線で使われていたもの．

岡公園 公園・植物園

市電も保存されている．
繁華街と和歌浦を結んでいた市電，1971(S46)年に廃止されている．

岡公園 公園・植物園

和歌山城から東へ6km，和歌山市岩橋の和歌山風土記の丘へ移動．
国の特別史跡岩橋千塚古墳群の保全と公開を目的として建てられた考古・民俗資料を中心とした博物館．
9:00〜16:00，入館料\190．毎週月曜及び年末年始休館(この日は年末で休み)．
写真は屋外展示のクスノキ，古墳時代に350年ほど生育したものだそうだ．
2011(H23)年の台風の大水後に紀ノ川で発見されたとのこと．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

和歌山風動機の丘クスノキの説明板．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

博物施設は休みだったが，古民家の屋外展示を外観のみ見学してきた．
柳川家住宅主屋(居室部)．漆器の製造販売を行っていた家だ．
1807年建造，木造2階建，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

柳川家住宅土蔵．写真左側．
1807年建造，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．
写真最奥は前掲の主屋居室部．間の平屋部分は主屋座敷部(重文)．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

旧谷山家住宅．柳川家の奥に建つ．
谷山家は下津の漁師だった．
1749年建造，土蔵造，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

旧谷山家住宅．
漁師の家ということで地引網に使われた和船も展示されていた．

紀伊風土記の丘 公園・植物園

風土記の丘を離れ，さらに東進．3.5km程行き和歌山市禰宜の旧中筋家住宅．
大庄屋で近隣随一の規模を誇る民家である．
写真表門は敷地南側に位置する．
江戸末期の建造，入母屋造の長屋門，本瓦葺，国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅説明板の平面図．
説明板は表門前に設置されている．
公開は3〜11月の土日祝，9:00〜16:00．見学料\100．
駐車場は南に100m程の箇所にある．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅主屋．敷地外から撮影．
江戸末期の建造，座敷や大広間部は寄棟造．
三階の見晴室をおくなど複雑な形式が見られる．
国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅御成門．敷地北側にある．賓客用と思われる．
江戸末期の建造，一間薬医門，本瓦葺，国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅内蔵．敷地中央に建つ．塀外より．
江戸末期の建造，土蔵造2階建，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅北蔵．
江戸末期の建造，土蔵造2階建，切妻造，本瓦葺，国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

旧中筋家住宅長屋蔵．敷地西側．県道沿いに建つ．
江戸末期の建造，木造2階建，南面入母屋造，北面切妻造，，本瓦葺，国重要文化財．

旧中筋家住宅 名所・史跡

北東へ約10km岩出市曽屋の増田家住宅へ．
閑静な住宅街の中にあり，周囲の道も狭く駐車場は無い．現役で使用されている住宅で迷惑にならないうちに退散した．
写真の表門(1759年建造，入母屋造長屋門，本瓦葺)と主屋が国重要文化財である．

北へ約5km移動して岩出市根来の根来寺に到着．
写真は大師堂．1391年建造，木造一重，宝形造，本瓦葺，国重要文化財．

根來寺 寺・神社・教会

根來寺大塔．大師堂奥に建つ．正式名は大毘廬遮那法界体性塔．
室町後期の建造，五間多宝塔，本瓦葺，国宝．
高さ40m，幅15m日本最大の多宝塔である．
秀吉の紀州征伐の際の弾痕が残る．
この旅13棟目の多宝塔．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺大師堂と大塔．
根来寺は1130年に高野山内に建てられた伝法院を起源とし，13世紀後半に現在地に移転している．新義真言宗総本山，本尊は大日如来．
拝観時間9:10〜16:00(冬季)，無休，入山料\500．駐車場あり．
有料区域の対象は大塔，大師堂周りと庭園及び光明真言殿，行者堂，聖天堂の内観．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺大伝法堂．大塔東側に建つ(有料区域)．
1827年建造，木造一重裳階付，入母屋造，正面向拝三間付，本瓦葺，和歌山県指定文化財．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺庭園．国の名勝．光明真言殿と本坊の奥に設けられている．
写真は枯山水庭園の平庭．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺庭園．こちらは池泉式蓬莱庭園の池庭．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺光明真言殿．開山興教大師を祀る．
1804年建造，木造一重，入母屋造，正面向唐破風向拝付，本瓦葺，和歌山県指定文化財．

根來寺 寺・神社・教会

根来寺聖天池．光明真言殿向かって左前に広がる池．
奥には聖天尊を安置する聖天堂が浮かび，光明真言殿との間に行者堂が建つ．

根來寺 寺・神社・教会

東へ10km車を走らせ昨日に続き紀ノ川市に入り粉河寺へ．
粉河寺も大伽藍を有する古刹である．
写真の大門は1754年建造，三間一戸楼門，本瓦葺，国重要文化財．
両側に金剛力士像を安置する．

粉河寺 花見

粉河寺大門に安置される金剛力士像(阿形像)．

粉河寺 花見

粉河寺大門に安置される金剛力士像(吽形像)．

粉河寺 花見

粉河寺本坊．大門の先に位置する．
770年創建，粉河観音宗総本山，本尊は千手千眼観音菩薩(秘仏)．
境内拝観自由，駐車場あり．

粉河寺 花見

粉河寺童男堂．本坊東隣．
入母屋造，本瓦葺，和歌山県指定文化財．
童男大士(千手観音の化身とされる)を祀る．

粉河寺 花見

粉河寺念仏寺．童男堂東隣．
1796年建造，入母屋造，本瓦葺．唐破風向拝付．
参道は東へ伸びる．

粉河寺 花見

粉河寺中門．
1832年建造，三間一戸楼門，入母屋造，正面軒唐破風付，本瓦葺，国重要文化財．
こちらは四天王像を安置する．

粉河寺 花見

粉河寺中門に安置される四天王像(多聞天)．

粉河寺 花見

粉河寺中門に安置される四天王像(広目天)．

粉河寺 花見

粉河寺中門に安置される四天王像(持国天)．

粉河寺 花見

粉河寺中門に安置される四天王像(増長天)．

粉河寺 花見

粉河寺庭園．中門と本堂の間にある土留石垣を兼ねた石組の庭．
多数の巨石とツツジの刈込み，蘇鉄などの植栽などで構成される．
国指定の名勝．

粉河寺 花見

粉河寺庭園．もう1枚．

粉河寺 花見

粉河寺丈六堂．東へ伸びる参道が左に折れ曲がり本堂へ向かう途中右側に位置する．
1806年建造，木造一重裳階付，宝形造，本瓦葺．

粉河寺 花見

粉河寺六角堂．
1720年建造，本瓦葺．

粉河寺 花見

粉河寺本堂．1720年建造，総本瓦葺，国重要文化財．
礼拝を行う礼堂(前方)と本尊を安置する正堂(後方)からなる．
正堂：木造二重，入母屋造，正面軒唐破風付．
礼堂：木造一重，入母屋造，正面千鳥破風付，正面向拝三間軒唐破風付．
安置される本尊千手千眼観音菩薩は秘仏で過去公開の記録はない．火災を避けるため本堂下の地中に容器に入れて埋められているとされる．

粉河寺 花見

粉河寺鐘楼．本堂東側に建つ．

粉河寺 花見

粉河寺薬師堂．鐘楼東側に位置する．
宝形造，本瓦葺，正面向拝付．

粉河寺 花見

粉河寺千手堂．本堂西側に建つ．
千手観音立像(秘仏)を安置する．
1760年建造，木造一重，宝形造，向拝一間付，本瓦葺，国重要文化財．

和歌山周遊は粉河寺で終了．大阪に戻るべく泉佐野方面へ向かう．

粉河寺 花見

泉佐野熊取経由で国道170号より岸和田市大沢町の大威徳寺へ．
初日にも来たが駐車場を探せずに断念も最終日に時間があったので再訪．徒歩5分程度の日帰り入浴施設のコインパーキングを利用した(30分まで無料)．
寺は創建年代は不詳で古来，葛城修験道の霊場として尊崇を集めてきた．本尊は大威徳明王．紅葉の名所牛滝山山中に位置する．

大威徳寺 寺・神社・教会

大威徳寺本堂．
寄棟造，本瓦葺．

大威徳寺 寺・神社・教会

大威徳寺多宝塔．
1515年建造，三間多宝塔，本瓦葺，国重要文化財．
堂の後方に配置されているが，特異な配置であるとのこと．
この旅最後にして14棟目の多宝塔である．

大威徳寺 寺・神社・教会

多宝塔前より見上げると山腹に堂宇が建つ．
大威徳寺大師堂．

文化財散策は終了．レンタカーを返しに難波へ戻る．

大威徳寺 寺・神社・教会

約40km北上して難波まで戻る．レンタカーを返すも飛行機の時間まで少し余裕があるのでミナミを散策してみた．ミナミも11年ぶりだ．
写真は南海難波駅．和泉河内和歌山高野山方面に路線を伸ばす南海電鉄のターミナル駅．
駅舎の入る南海ビルは1932(S7)年建造，鉄骨鉄筋コンクリート造7階一部8階地下2階建，装飾塔付，国登録有形文化財．

なんば駅 (南海電鉄) 駅

なんばグランド花月．

なんばグランド花月 名所・史跡

道頓堀界隈まで足を伸ばす．
中座くいだおれビル1階のくいだおれ人形．定番だね．

中座くいだおれビル 名所・史跡

戎橋前のかに道楽道頓堀本店の巨大な蟹看板．
道頓堀っぽいわ．

かに道楽 本店 グルメ・レストラン

戎橋．道頓堀界隈も11年ぶりだがすごく綺麗になった印象だ。
2003年阪神優勝決定の翌日の汚さとは雲泥の差だ(笑)．

戎橋 名所・史跡

戎橋より道頓堀川．
川もだいぶ浄化され綺麗になっている．
護岸に遊歩道も整備されている．

戎橋 名所・史跡

戎橋脇のグリコ．
まぁこれもお約束ということで．

グリコのネオン 名所・史跡

難波駅付近まで戻り旧大阪新歌舞伎座．
1958(S33)年建造，鉄筋コンクリート造8階建．
2009年閉館，2015年解体(編集時点でもう無いかは不明)．
始めて難波駅を降りたとき真っ先に目に入ってきたのをよく覚えている．

この後バスで伊丹空港へ向い空路帰仙．