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今年3回目のサンクトペテルブルク滞在中の週末、7年ぶりにモスクワに出かけることにした。モスクワについてはすでに何度も訪れているし、改めて訪れたい場所もなかったが、改装の終わったボリショイ劇場と、ロシアの誇る新幹線「サプサン」と伝統の夜行列車「赤い矢号」には乗っておきたかった。この日のボリショイ劇場の出し物は「椿姫」、あまり積極的に観たい作品ではないし、オンラインのチケットは完売していた。まずチケットは手に入らないだろうと思いながら窓口に行ってみると、6,000ルーブルと2,100ルーブルの2枚のみ残券があった。散々迷ったが、4階席の安い方を購入することにした。<br /><br />「ボリショイ」とはロシア語で「大きい」を意味し、複数の劇場が存在する場合、大きい方をボリショイ劇場と呼び、小さい方をマールイ劇場と呼ぶ。モスクワのボリショイ劇場の観客席数は6層で2,150席、2002年11月に1000人を収容するボリショイ劇場新館が建設された。ボリショイ劇場の基礎は1776年に築かれ、その後、幾度も火災に遭い、1812年ナポレオンのモスクワ侵攻の際にも焼失、1825年現在のテアトラーリナヤ広場の敷地にボリショイ劇場は落成した。しかしこの劇場も火災で焼失、1856年現在の劇場が完成、この改修工事の際に太陽神アポロンの四頭立て馬車(クァドリーガ)の彫刻に換えられた。1941年の独ソ戦で、劇場はドイツ軍の攻撃により被害を受けたが、すぐに修復されている。<br /><br />サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場は宮廷を起源とし、王族・皇族の庇護のもと貴族階級を対象にした劇場であったのに対し、ボリショイ劇場は、地元の名士、公爵が開設し裕福な商人階級向けに発展を遂げてきた。有名オペラ、バレエの多くはマリインスキー劇場で初演されているが、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、プロコフィエフの「シンデレラ」はボリショイ劇場で初演されている。<br /><br />2005年、ボリショイ劇場本館は老朽更新のため閉鎖され、6年の歳月と200億ルーブル(約470億円)以上を投入し大規模改修が行なわれ、この間バレエ、オペラは上演はボリショイ劇場新館などで行われた。2011年に再開、こけら落としにはチャイコフスキーの「眠れる森の美女」が上演された。<br /><br />さて、この日の「椿姫」のヴィオレッタはディナーラ・アリエーヴァ、私にはあまり馴染みがないが、なかなか声も容姿も素晴らしい。指揮はパヴェル・クリニシェフという人で、オーケストラと指揮の方もまずは納得のいくものだった。4階席でホールの音響をとやかく言うのは難しいが、それなりの改修がされているらしく、マリインスキーの旧劇場よりはいいと思った。ペンキやプラスチックを使った改修、と言って批判する人もいたが、劇場の内装も豪華絢爛、はるばる訪れただけの価値はあった。また、ボリショイと呼ぶだけあってステージは広く、生きた馬を使った馬車や猟犬なども登場する豪華な演出で楽しませてくれた。<br /><br />ボリショイ劇場以外には赤の広場とクレムリンの周辺、聖ワーシリー聖堂などすでに旅行記にも書いているので目新しいものではない。唯一の最新の話題の場所といえば、プーチンの政敵、ボリス・ネムツォフが銃撃されたボリショイ・モスクヴォレーツキー橋だろうか。花が飾られ、多くの支持者が訪れていたが、これは次の旅行記で紹介することにする。

7年ぶりのモスクワ : 改修が完了したボリショイ劇場で「椿姫」を観る

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2015/06/13 - 2015/06/14

210位(同エリア1830件中)

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24

ハンク

ハンクさん

今年3回目のサンクトペテルブルク滞在中の週末、7年ぶりにモスクワに出かけることにした。モスクワについてはすでに何度も訪れているし、改めて訪れたい場所もなかったが、改装の終わったボリショイ劇場と、ロシアの誇る新幹線「サプサン」と伝統の夜行列車「赤い矢号」には乗っておきたかった。この日のボリショイ劇場の出し物は「椿姫」、あまり積極的に観たい作品ではないし、オンラインのチケットは完売していた。まずチケットは手に入らないだろうと思いながら窓口に行ってみると、6,000ルーブルと2,100ルーブルの2枚のみ残券があった。散々迷ったが、4階席の安い方を購入することにした。

「ボリショイ」とはロシア語で「大きい」を意味し、複数の劇場が存在する場合、大きい方をボリショイ劇場と呼び、小さい方をマールイ劇場と呼ぶ。モスクワのボリショイ劇場の観客席数は6層で2,150席、2002年11月に1000人を収容するボリショイ劇場新館が建設された。ボリショイ劇場の基礎は1776年に築かれ、その後、幾度も火災に遭い、1812年ナポレオンのモスクワ侵攻の際にも焼失、1825年現在のテアトラーリナヤ広場の敷地にボリショイ劇場は落成した。しかしこの劇場も火災で焼失、1856年現在の劇場が完成、この改修工事の際に太陽神アポロンの四頭立て馬車(クァドリーガ)の彫刻に換えられた。1941年の独ソ戦で、劇場はドイツ軍の攻撃により被害を受けたが、すぐに修復されている。

サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場は宮廷を起源とし、王族・皇族の庇護のもと貴族階級を対象にした劇場であったのに対し、ボリショイ劇場は、地元の名士、公爵が開設し裕福な商人階級向けに発展を遂げてきた。有名オペラ、バレエの多くはマリインスキー劇場で初演されているが、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、プロコフィエフの「シンデレラ」はボリショイ劇場で初演されている。

2005年、ボリショイ劇場本館は老朽更新のため閉鎖され、6年の歳月と200億ルーブル(約470億円)以上を投入し大規模改修が行なわれ、この間バレエ、オペラは上演はボリショイ劇場新館などで行われた。2011年に再開、こけら落としにはチャイコフスキーの「眠れる森の美女」が上演された。

さて、この日の「椿姫」のヴィオレッタはディナーラ・アリエーヴァ、私にはあまり馴染みがないが、なかなか声も容姿も素晴らしい。指揮はパヴェル・クリニシェフという人で、オーケストラと指揮の方もまずは納得のいくものだった。4階席でホールの音響をとやかく言うのは難しいが、それなりの改修がされているらしく、マリインスキーの旧劇場よりはいいと思った。ペンキやプラスチックを使った改修、と言って批判する人もいたが、劇場の内装も豪華絢爛、はるばる訪れただけの価値はあった。また、ボリショイと呼ぶだけあってステージは広く、生きた馬を使った馬車や猟犬なども登場する豪華な演出で楽しませてくれた。

ボリショイ劇場以外には赤の広場とクレムリンの周辺、聖ワーシリー聖堂などすでに旅行記にも書いているので目新しいものではない。唯一の最新の話題の場所といえば、プーチンの政敵、ボリス・ネムツォフが銃撃されたボリショイ・モスクヴォレーツキー橋だろうか。花が飾られ、多くの支持者が訪れていたが、これは次の旅行記で紹介することにする。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
グルメ
4.0
交通
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
鉄道 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 堂々たるボリショイ劇場のファサード

    堂々たるボリショイ劇場のファサード

  • 彫刻家P.クロットによる太陽神アポロンの四頭立て馬車(クァドリーガ)の彫刻

    彫刻家P.クロットによる太陽神アポロンの四頭立て馬車(クァドリーガ)の彫刻

  • ボリショイ劇場の近景

    ボリショイ劇場の近景

  • ボリショイ劇場の横に、2002年11月に1000人を収容できる小劇場(ボリショイ劇場新館)が建設された

    ボリショイ劇場の横に、2002年11月に1000人を収容できる小劇場(ボリショイ劇場新館)が建設された

  • ボリショイ劇場の内部、個性的な緞帳

    ボリショイ劇場の内部、個性的な緞帳

  • 絢爛豪華な内装とシャンデリア

    絢爛豪華な内装とシャンデリア

  • ロイヤルシートの周辺

    ロイヤルシートの周辺

  • ヴィオレッタ役のディナーラ・アリエーヴァ、私にはあまり馴染みがないが、なかなか声も容姿も素晴らしい

    ヴィオレッタ役のディナーラ・アリエーヴァ、私にはあまり馴染みがないが、なかなか声も容姿も素晴らしい

  • ディナーラ・アリエーヴァと指揮のパヴェル・クリニシェフ、手堅い指揮と呼ぶべきか

    ディナーラ・アリエーヴァと指揮のパヴェル・クリニシェフ、手堅い指揮と呼ぶべきか

  • ボリショイ劇場のステージ

    ボリショイ劇場のステージ

  • 終演後のボリショイ劇場のステージ

    終演後のボリショイ劇場のステージ

  • 天井のシャンデリア

    天井のシャンデリア

  • 終演後のボリショイ劇場の正面

    終演後のボリショイ劇場の正面

  • 夕暮れのボリショイ劇場のファサード

    イチオシ

    夕暮れのボリショイ劇場のファサード

  • 夕刻の聖ワーシリー聖堂

    夕刻の聖ワーシリー聖堂

  • 市内は相変わらずの渋滞

    市内は相変わらずの渋滞

  • 国立歴史博物館のファサード

    国立歴史博物館のファサード

  • ヴァスクレセンスキー門

    ヴァスクレセンスキー門

  • 堂々たるグム百貨店

    堂々たるグム百貨店

  • 赤の広場のレーニン廟

    赤の広場のレーニン廟

  • クレムリンのトロイツカヤ塔

    クレムリンのトロイツカヤ塔

  • 聖ワーシリー聖堂

    聖ワーシリー聖堂

  • モスクワ川からスターリン建築の代表作「芸術家アパート」

    モスクワ川からスターリン建築の代表作「芸術家アパート」

  • アレクサンドロフスキー広場の戦勝記念碑

    アレクサンドロフスキー広場の戦勝記念碑

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この旅行記へのコメント (1)

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  • さなぁさん 2015/07/14 10:25:34
    ボリショイ劇場
    ボリショイ劇場のチケットが残っていたのは本当にラッキーでしたね!地元の人でさえボリショイの方はチケットが取れないと聞きますよ!モスクワをハンクさんの写真で改めて見ると、ペテルブルクとは全く違う都市ですね。別の国みたいです。

ハンクさんのトラベラーページ

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