2014/09/20 - 2014/09/20
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JIC旅行センターさん
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■生まれ変わったソチ
2014年冬期オリンピックが行われたソチで、この11月20日〜23日にWRO(World Robot Olympiad = 国際ロボット競技会)が開催されます。日本から120名の代表団がモスクワ経由でソチを訪れる予定で、JICがそのグループの旅行手配をすることになりました。そこで9月下旬にソチへ下見に行ってきました。
ソチは、南ロシアの黒海北岸のリゾート地です。ロシアは北国なので、タイやハワイのような暖かい海とビーチはありませんが、ロシア最南のコーカサス山地と黒海の間に位置するソチは、ロシア唯一の亜熱帯地方なのです。ロシアの総面積(1700万平方キロ)の5000分の1に過ぎないのですが、ロシア人でも外国人でもはじめてソチに行く人は、「あれ?これロシア?温かいねえ」と思います。ソチに行くと、たしかに暖かい海があって、高い山があって、厳しい雪の冬はなくて、……、普通の大平原のロシアのイメージと全く違います。
現在ソチが位置する地方には、19世紀の半ばまで独立のアディグ人(チェルケス人)という山岳民族が住んでいました。彼らは黒海南岸の同じイスラム教のオスマン帝国(トルコ)との交易で生活を立てていました。ロシア帝国は、19世紀に北コーカサスまで領土を拡張して、アディグ人を黒海沿岸からコーカサス山脈の北の平地やオスマン帝国に追放し、19世紀後半から20世紀初めにかけてロシア人やウクライナ人、同じキリスト教のアルメニア人やギリシャ人を入植させました。そして社会主義革命(1917年)の後、ソビエト政府はソチを保養地としてリゾート開発しました。特別な許可がない限り外国に行くことができなかったソ連時代には、休暇に多くのソ連人がソチに行きました(*もう一つの人気のある保養地はクリミア半島でした)。
夏休みもソチ、恋人とのロマンチックな旅もソチ、新婚旅行もソチ、……、長く寒い冬にうんざりしたロシア人は、いつも暖かいビーチリゾートの天国を夢見ていました。ソ連人にとってはその天国がソチでした。
ソ連崩壊後、ロシア人はお金さえあれば、自由に外国に行けるようになりました。エジプトやトルコ、タイなどに行ってみると、海はソチの黒海より暖かいし、施設は立派だし、サービスのレベルも高いことが明らかになりました。しかも、ソチより値段が安い所すらあります。そのため、ソチをやめて外国に行く人が増えました。
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ソチのもうひとつの特徴は、海岸から60キロも内陸に入ると2000メートル級の山があって、冬にスキーができることです。夏も冬も有望なリゾート資源があることはソチの大きな魅力です。しかしながら、当時は海岸部と同じように、スキー施設は外国と比べて失敗、貧弱、不便。
というところで、2007年に冬季オリンピックの2014年ソチ開催が決定されたわけです。
私は2006年と2009年にソチに行ったことがあります。今回、冬季オリンピック開催後のソチに初めて行くことになって、以前とどういう変化があるか、とても楽しみにしていました。行ってびっくりするか、行ってがっかりするか、……。そして、いよいよ9月22日にソチのアドレル空港に到着しました。
ロシアのマスコミでよく言われるのは、「オリンピックは、地理的にはソチだけれども、実際には5年間でゼロから作られた新しい町で開催されたということです。確かに、オリンピックの施設は、黒海の近くの元は沼地だった場所に建設されたのです。地理的に言えばソチのはずれです。
到着してまずびっくりしたのは近代的な空港ターミナルですが、つぎに空港からホテルに向かうと立派なオリンピック施設の灯が見えて、その全景がとても印象深かったです。 -
私たちが泊ったホテルも新しかったです。ホテルから10分ぐらい歩くともう黒海の岸です。ビーチには、あっちこっちに通じるプロムナードがあり、自転車と人が行き来していました。「ロシア最南のビーチ」というポスターがあって、確かに南1キロ先にはロシア・アブハジアの国境があります。
オリンピック・パーク〜ソチ中心部〜空港〜クラスナヤ・ポリャーナ(山岳地区)の間には、急行列車が走っています。以前は、曲がりくねった山道を通って、車かバスでしか山岳地区に行けなかったのですが、今では立派な高速道路が通り、鉄道路線が整備されて、とても便利になっていました。クラスナヤ・ポリャーナに着いたら、ロシアではなくまるで日本か外国にいるような気がしました。新しく生まれ変わったソチを見て、私はとても嬉しくなりました。
新しく建設されたオリンピック施設や高速道路とともに、以前のソ連時代のペンションがいっぱい建ち並ぶリゾート地ソチ。冬季オリンピックのホストを無事終えて、これからはスポーツをはじめ様々なイベントでお客様を歓迎することでしょう。
モスクワ、ペテルブルグ、ヴラジオストックに続いて、ロシアでもう一つの新しい都市が外国のお客様にオープンされた!これがソチを5年ぶりに訪れた私の感想です。空港や鉄道、道路、ホテルといった観光インフラが整備され、人々の行き来が活発になり、その地方の歴史・文化・地理に触れる機会が増えれば増えるほど、私たちの世界もより平和的になるだろうと思います。
最近の噂では、近いうちにソチ空港は「オープンスカイ」制度が適用され、ビザ無しで3日間の滞在が許可されるようになるそうです。楽しみです。 -
■リガの旅
今年1月の話ですが、ラトビアのリガに行ってきました。モスクワに住んでいる私の友達が、リガ郊外のバルテゼルス市(Baltezers)に別荘を持っていて、エストニアに近いので遊びに来ないかと誘ってくれたのです。
タリンからリガまで車で行きました。距離は300キロぐらい。車で4時間半かかります。エストニアとラトビアは同じシェンゲン協定加盟国なので、国境はあるけれどパスポート検査や税関はありません。
ご存知の通り、リガはラトビアの首都です。人口70万人で、バルト三国最大の都市です。その人口の47%はラトビア人ですが、40%がロシア人です。半分ロシアの町と言ってもいいくらい、リガの町を歩いているとラトビア語もロシア語もよく聞こえます。かつてラトビアはソ連の一部でした。ソ連時代には、生活水準のより高いラトビア共和国に多くのロシア人が働きに行きました。当時、ラトビアを含めたバルト三国は「国内の海外」と言われました。ソ連崩壊後、ラトビアは独立し、EU(ヨーロッパ連合)に加わりました。ラトビアで市民権を持つロシア人は自由にヨーロッパで仕事ができるようになったので、先祖の国であるロシアに戻らない人が多いのです。
バルテゼルスからリガの中心部までは車で30分。地下駐車場に車を置いて、リガの散歩を始めました。
新市街のアルベルト通り(Alberta iela)は、ユーゲント・シュティールの逸品が並ぶ、気持ちよくて歩きやすい一角です。アルベルトはリガの創立者の名前で、ユーゲント・シュティールとは、ドイツ語でJugendstil(青春様式)といい、いわゆるアール・ヌーヴォーを意味しています(注)。簡単に言えば、その原則は、直角や直線のかわりに自然の屈曲を使うことです。特に植物や動物の像が人気でした。アルベルト通りには19世紀から20世紀初頭にかけて建てられた8つのユーゲント・シュティールの建物があり、そのうちの一つの中には博物館があります。
リガの中心部をダウガヴァ川が流れています(ダウガヴァはラトビア語の名前で、ロシア語ではザーパドナヤ・ドビナです)。ユネスコ世界遺産に登録されているリガの旧市街は、ダウガヴァ川の右岸に位置しています。12世紀ごろからドイツ人商人の入植が始まり、ハンザ同盟の都市として栄えたリガ旧市街には、当時の教会や商人の家がひしめくように建ち並んでいます。私たちは聖ペトロ教会の尖塔にある展望台に上りました。70メートルぐらいの高さですが、旧市街やダウガヴァの魅力的な景色がよく見えます。旧市街は年末のクリスマス・マーケットの時期に一番賑やかとなります。冬に来ると、聖ペトロ教会の上は風が強くて寒いので、下におりてホット・ワインを飲むのがお薦めです。
一日歩き疲れて、「3つのナイフ」という名前のレストランに行きました。旧市街にある多国籍料理のレストランです。メニューは少ないけど、皆オリジナルな味です。ウェイターもとても友情的でした。夜中に車でバルテゼルスに戻って、翌朝タリンに帰ってきました。
ところで、リガは2014年のヨーロッパ文化首都のひとつです(もう一つの文化首都はスヴェーデンのウメオ市です)。それに関わるプロジェクトがラトビア国立図書館の新ビル建設で、外形はバルト海の波か海辺の砂丘を思わせます。そのコレクションにはロシア語の文献もたくさんあります。もうひとつのプロジェクトは、元発電所の建物の中に造られた近代美術館です。また、リガへ行きましょう。
注;アール・ヌーヴォー(フランス語:Art Nouveau)は、「新しい芸術」を意味する。19世紀末?20世紀初頭にヨーロッパで流行した美術運動。植物模様や自由曲線を組み合わせた装飾や鉄やガラスといった当時の新素材の利用が特徴。分野は、建築、工芸品、グラフィックデザインなど多岐にわたる。
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