2014/10/25 - 2014/10/25
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たびたびさん
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富岡製糸場が世界遺産に登録されて、最近は近代産業遺産が注目を浴びてきたように思います。私も振り返ってみれば、ここしばらくで、筑豊の炭田地帯、秋田の小坂鉱山、いわきの常磐炭鉱などを回って、それぞれに感慨深いものがありました。
で、ずっと気になっていたのが足尾銅山。日本の鉱山の歴史ではビッグネームでしょう。いろんな時期はあったようですが、江戸時代からと歴史は古い。明治になって民間に払い下げられてからまた復活し、一時は日本一の銅山となったのですね。
観光は、足尾銅山の坑道を利用した施設の中。トロッコ列車で、少し構内に入って、そこから引き返してくるのですが、坑道内に江戸、明治・大正、昭和の採掘作業の様子を人形の展示とともに再現しています。
江戸時代は、幕府の直轄であり、採掘量が減ると銭の鋳造も行っていたということで、坑道を出たところには、それを説明する施設もありました。
ただ、これは表面的なきれいに整理したもの。私としては、公害の歴史を語る足尾歴史館の方が印象に残りました。今の日本人にとって、公害は過去のものであるという意識が強いように思いますが、それも、技術力で公害を克服したという理解もあるように思いますが、果たしてそうか。鉱山は、鉱脈が尽きて閉山したところもありますが、平たく言えば、円高によって採算が合わなくなって閉山した鉱山がほとんど。つまり、鉱山の場所が後進国に移ったことで、日本から公害の源をなくしたに過ぎないのかも。鉱物は、不純物も多く含んでいて、それを取り除く技術は、それぞれの炭鉱で異なるという話も聞きます。日本で培った技術が、後進国の鉱山でそのままあてはまるものでもないのです。それに、日本の公害技術ですら、完全なものではなかったはず。今でも鉱山があったなら、公害はそれなりに続いていたかもしれません。後進国の公害問題に無関心でいることは、やはりだめだと思います。
それから、産業構造の転換というのは想像以上にすさまじいものだということです。それも、たった円高という一つのことが産業を根こそぎ消滅させてしまう。そして、そうなれば、再び、円安になって採算が合うようになっても、もう支える労働力はなく、復活することはない。新たな高付加価値の産業の育成がなければ、国は滅びてしまうのです。
産業遺産から何を学ぶのか。まだまだ課題は過去のものではないような気がしてなりません。
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相老駅から、わたらせ鉄道で足尾銅山に向かいます。
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渓谷が続いて、
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イチオシ
かつての公害のイメージは、今ではほとんどありません。水の流れも想像以上に青く澄んでいます。
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足尾観光銅山の最寄駅、通洞駅に到着です。
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駅の周辺は、小さな街並み。
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そこを抜けて、ここが観光銅山の入口です。人影はほとんどありません。
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トロッコ列車で坑道に入るのですが、その出発点がここ。駅のような建物で、トロッコ列車の時間を待ちます。
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これがトロッコ列車。
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当時使われていたもので社内でしょうが、そんな雰囲気もなくはない。私の他に、少人数のグループが加わって、
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イチオシ
さて、走りはじめました。
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で、坑道に入るのですが、それはほんのちょっと。20mくらいも入ったでしょうか。すぐに終点です。
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で、トロッコは我々を置いて、さっさと帰って行きました。
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この奥が本坑ですということ。
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観光客は中を想像するしかありませんが、あちこち坑道は張り巡っていて、全長1200km。東京から長崎までの距離に匹敵する長さだそうです。
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ここから帰る坑道に、当時の状況を説明する展示があるようです。
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イチオシ
時代は、初期の江戸時代から、
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順番に、
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現代までの
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技術の進歩などが
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イチオシ
感じれるように
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工夫されています。
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ただ、実際は
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たぶんこんなものではない。
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どろどろの穴蔵の中で
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人かどうかも分からないような
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ぐちゃぐちゃになって作業していたんだと思います。
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だんだん機械化が進んでいく一方で、
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粉じんなどの作業条件の劣悪化も進んでいく。
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効率化と引き換えに、
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失うものも少なくない。
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一方で、
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働く人たちにとっては
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ここが生活のよりどころ。採掘量が減って行くことに不安を語ったりもしています。実際の坑道に展示しているのは、他の地域にはなかったですね。でも、じっくり見たいような、そうでもないような。気持ちをどこに置いていいか。どれくらい距離を持ってみたらいいのか。いきなりだと分からなくなってしまうかもしれません。
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そのまま資料館につながっていて、
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こちらは博物館チックな
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展示です。ビデオもありまして、それが一番分かりやすいのですが、私はトロッコの待合室で見ていました。見ていなかった人はここで見るのをお勧めします。
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さっき入ってきた坑道の入口。
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このそばにも資料館。
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ここで産出された銅を使って
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銅銭の鋳造も行われていたとのこと。
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銅の産出量が落ちていく中で、経営のテコ入れという意味合いがあったようです。
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銅銭は、足尾で作られたことが分かるデザインです。
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観光銅山から、今度は足尾歴史館へ。
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ただ、資料だけでは、それをどう見ていいかなかなか難しいかも。ボランティアの人が説明してくれましたが、足尾の銅山被害とこれを克服するための技術開発の歴史などはとても興味深い。
硫化水素を石灰で中和するのが最初の対策だったのですが、それでも被害は拡大。煙突を高くしても被害が日光とか遠隔地に拡大しただけ。その後、電気的に煙を除去するゼロエミッションが昭和31年に完成。(これは公害問題が全国で問題となった昭和40年代に先駆けたもの)昭和48年に鉱山は枯渇し閉山されても、その後15年間もの長期に渡り、その施設の能力の高さから、逆に、輸入鉱石を処理し続け、最後は運搬のための貨車が廃止されたことで、操業を停止したとの説明でした。
後で調べると、実際のところは、昭和31年以降も公害がゼロとなったわけではないようですが、日本の縮図を示しているのは間違いないと思います。 -
ここから、古河掛水倶楽部に向かいます。
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ひと駅離れた場所まで歩くのですが、この道はトロッコが走っていた道なのだそうです。
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これが隣り駅の足尾です。
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古河掛水倶楽部は、足尾駅を過ぎて200mくらい言った場所。
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イチオシ
この施設は、古河鉱業が、銅山を訪れる要人を招いた迎賓館。
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大正初期の洋風建物で、
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館内には、
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宿泊のための寝室や
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国産第1号というビリヤード台も残っています。
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応接間や大広間
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などもたくさんあって、
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当時の華やかな雰囲気が十分感じられました。
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ここは、二階。
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大勢の人が利用したんでしょう。
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ここも広々とした空間です。
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イチオシ
足早でしたが、以上で足尾銅山はおしまい。帰りの列車の車窓から、精錬所の全景が見えました。
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列車レストラン清流は、わたらせ渓谷鉄道神戸駅のホーム脇。わたらせ鉄道が経営しているんでしょうか。足尾銅山から桐生に帰る途中、ここで20分くらい停車して、このレストランを利用させる仕組みです。
ただ、お客さんがあふれかえっていて、とても時間に間に合いそうになくて諦めました。名物の豚肉を使ったお弁当とかがあって、それを利用すればよかったかなあとも後で思いましたが、とにかく、おばちゃんたちがてんやわんやで応対していて、その活気がとても印象に残りました。 -
とはいえ、楽しみにしていたのは、実はこちらの藤屋食堂。桐生名物のソースかつ丼の人気店なんです。私としては志多美屋本店と人気を二分していると思っていたのですが、店構えはこちらの方が二回りくらい大きいし、お客さんも多いと思います。
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イチオシ
志多美屋本店に比べるとソースの味がけっこう濃いし、ご飯のうまさも光っていて、そういう意味ではメリハリが効いた感じでしょうか。しかし、反面、アピールするために作ったような味に思えなくもない。そこがちょっと気になるところかと思います。
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イチオシ
ここから後半は、桐生の街歩きです。
絹撚記念館は、桐生撚糸工場の事務所として、大正6年に建設されたもの。一時は、銀行としても使われていたようです。ピンクの外観は変わっていますが、がっちりした構えは確かに歴史を感じる存在感があります。 -
現在は、
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古墳からの発掘品など、
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文化財を展示する施設。
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レプリカも多いですが、
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染色した繊維のなども
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美しい展示で、
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かなり気持ちよく見学できました。
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こちらの桐生倶楽部は、機織りの街、桐生の繁栄を今に伝える建物。
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イチオシ
大正8年に完成したものです。スパニッシュ・コロニアル様式は、日本でもここが最初のものだったとか。 -
たまたま、理事長さんがいらっしゃいまして、各部屋や中庭などを説明していただきました。
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暖炉が備えられた意匠や外壁ワンポイントタイルは、
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説明がなかったら見過ごしていたかも。
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また、桐生の歴史についても、
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家康が関ヶ原の戦いでは
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ここの絹織物で作った2410本の旗絹を持って行ったのが
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イチオシ
縁起の良いものとされ
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発展の契機となったことなど、
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興味深い話も聞くことができました。
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最後は、織物参考館紫。なんとか閉館時間に間に合ったようです。
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こちらは、実演をしながら、機織りの技術的な進歩を説明してくれる施設。
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縦糸と横糸を重ねていく単純な平織から、
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模様を入れ込む
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ジャガード織り。
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繭から糸を紡いだり、藍の染め方まで、実物の道具で説明してくれるので、これまでぼんやり分かっていたことも具体的な知識として、整理ができました。
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桐生の面目躍如といった素晴らしい施設だと思います。
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あとは、例によってスイーツチェックでしょう。
パティスリー ウチヤマは、織物参考館紫から、教会脇の道を少し北に歩いたところ。従業員もたくさんいて、きれいな店構えの立派な洋菓子屋さん。 -
シュークリームをテラスの席に座っていただきました。柔らかめのシューもカスタードクリームもどこということはないのですが、なぜかイマイチ感動がない。お店の構えで期待度が高まっていた反動があったのかもしれません。
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前沢屋は、桐生市内の焼まんじゅうのお店。
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変わっているんですが、串に刺してなくて、紙コップに入っているんです。ちょっと風情がないかなあとも思ったのですが、味の方は、タレはかなり薄味。一方で、まんじゅうは、しっかり火が通ってパリパリ感がすごい。かなり特徴的ですけど、トータルすれば、これもありの名品といった焼まんじゅうでしょうか。印象に残る焼まんじゅうでした。
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桐生にはお菓子屋さんが何軒かあって、それぞれなかなかのレベルではあるんですが、とうとう本当にすごいと思えるお店に出会いました。それがあら木さん。
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酒まんじゅうをいただきましたが、このふっくら感に伸びやかな甘さの餡子。まさに最高ですねえ。これは逸品です。
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もう日が暮れかかってきていたのですが、がんばって、大川美術館にやって来ました。
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この美術館は、桐生市出身の大川栄二という個人のコレクションを展示する美術館。大川栄二は、三井物産に入社後、ダイエーの副社長なども勤めますが、いわばサラリーマン。しかし、その審美眼の確かさには舌を巻きました。
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氏がほれ込んだという松本竣介の圧倒的な存在感は目を見張るもの。そして、松本竣介が兄のように慕ったという難波田龍起の企画展でしたが、同じような匂い。松本竣介は30代半ばで亡くなったのですが、難波田龍起は、90歳まで。確かな写実力をベースにしながらも色の美しさが強調された時代や造形をテーマにした時代を経て、抽象画の世界に入って行く。しかし、歴史を重ねたことで、その抽象画には何とも言えない美しさがキラキラ輝いています。難波田龍起は初めてではなかったのですが、一連の作品を見ることで、堂本印象のような、巨人の風格を感じた次第です。
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ここからさらに奥が水道山公園。桐生の街並みを見下ろす公園です。
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実はさほど遠くではないと思っていたのですが、坂道がくねくねと続いて、歩いて登るのはそれなりに時間がかかります。ただ、夜景がきれいというのはその通り。
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山全体が街に向かってなだらかに傾斜しているので、山の斜面と街の景色がうまい具合に調和しています。
ここから桐生駅に向かって、日が暮れる中とぼとぼと帰りました。ちょっと頑張り過ぎたような。反省しきりです。 -
で、桐生駅のそばに帰ってきて、これはパティスリー・キュイドール。店頭のデコレーションがかわいらしいし、求人広告がしてあったり、小さくても元気なお店のようですね。
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いただいたのは、「ふんわりブッセ」。本当にふんわりした生地に、香りの高いクリーム。これ完成度高いですね。文句なくうまいです。
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ところで、桐生から東京ってどうやって帰るんでしょう。あれれ。JRだと高崎まで出ないといけないし、それってかなり遠回りでしょ。桐生って、高崎に来たついでに寄ったくらいなので、気にならなかったのですが、実は不便な場所じゃないですか。いろいろ聞いた揚句、新桐生駅までバスで行って、東武線で帰ることにしたのですが、桐生駅から新桐生駅までのバスがまたとってもトロイ。あっちに寄ったりこっちに寄ったり。近いはずなのに20分くらいかかります。両毛線で行き来するば問題ないとしてきたのでしょうが、東京へのアクセスはもうちょっと考えないと桐生はこれでは陸の孤島です。東武線がどうして赤木の方に延びていて、桐生を通っていないのかも不思議だったのですが、①赤木鉄道はローカル線を東武が買い取ったもの。東京都の利便性は考慮されていないのは当然だった。②かつてはわたらせ鉄道が活発に動いていて、わたらせ鉄道を利用すれば赤城につながる東武線への乗り換えは楽だった。そんな事情もあるようです。
さて、以上で、足尾銅山と桐生の旅はおしまい。お疲れ様でした。
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