2014/09/26 - 2014/09/28
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montsaintmichelさん
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大正池~河童橋へと続く「上高地自然研究路」は、上高地の見所を凝縮したゴールデンルートです。急峻な穂高連峰、煙を吐く焼岳、間近に迫る霞沢岳の絶景、神秘的な色彩や枯木立が雰囲気を放つ大正池と田代池等々、季節折々の大自然の醍醐味が満喫できる充実したコースです。アップダウンも少なく、休憩スポットも整備されていますので、小さな子供からお年寄りまでファミリーで楽しめる癒しの散策路です。
上高地滞在2時間でこのコースを散策されるのであれば、途中のバス停「大正池」で降り、大正池から河童橋を目指されるのがお勧めです。今回は、予定外の散策となったため、河童橋から大正池を往復するというストイックなウォーキングとなってしまいました。
このコースの散策は2度目になりますが、前回歩いていない道を選んだり、歩いた道を逆行することで、新鮮な気持ちで散策を愉しむことができました。また、季節によって自然が見せる表情も異なっています。リピーターが絶えないと言うのも頷けます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 JR特急 JRローカル 徒歩
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上高地
再び河童橋を渡り、梓川右岸を今度は南へ進み、田代橋経由で大正池を往復するコース設定です。総距離6.5kmですが、明神池コースのようにアップダウンがない分、時間は節約できます。
途中、上高地アルペンホテル〜ウェストン碑間には、ニホンザルが集団をなして至る所にたむろしています。前回来た時は真夏でしたが、野猿の姿は見かけませんでした。
上高地のサルたちは、人慣れしており、近づいても逃げたりしません。しかし、目が合うと威嚇してくることもあるようです。人慣れしていると言っても野猿です。
我々人間は習慣的に親しみを込めて無意識にアイコンタクトをしてしまいますが、野生社会では、目を見続けるのは相手に強い愛情を抱いている場合か、敵意を抱いている場合のどちらかです。動物園ではゴリラの目を見ないように注意されますが、それはゴリラが敵意を感じて物を投げつけたりすることがあるからです。上高地がサルの追い払いを実施していることもあり、不用意に近づかない方が無難です。野生動物とは、ある程度の距離を置いて接することをお勧めします。勿論、餌付けは厳禁です。近頃、観光地のサルが凶暴化しているのは、安易な気持ちの餌付けが原因と言われています。 -
上高地 ウェストン碑
1937年、日本山岳会によって掲げられた、「日本近代登山の父」と呼ばれるウォルター・ウェストンの碑。
河童橋から徒歩15分ほどの梓川右岸の畔に、英国人宣教師W・ウェストンの露岩の岩壁に彫られたレリーフがあります。氏は、マッターホルンなどのアルプス山脈にも登頂した登山家であり、日本各地の名峰を制覇し、上高地にも度々訪れて山案内人 上條嘉門次と共に北アルプスに挑んで上高地の魅力を『日本アルプスの登山と探検』で世界中に広めました。山に登ることを楽しむための登山を日本に開いた先駆者として、日本山岳会は氏の功績を顕彰すると共に氏の喜寿を祝ってレリーフを捧げました。
実は、初代レリーフは第2次世界大戦中に撤去されています。現在の碑は1965年(昭和40年)に造られた2代目です。
山屋にとっては聖地ですが、上高地の他の見所と比べてしまうとインパクトもなく見劣りする存在です。しかし、どのガイドブックにも載っている「超有名スポット」でもあります。そのせいか、地味さの割りに訪れる方は案外多いようです。 -
上高地
暫く歩くと上高地温泉ホテルがあり、梓川の対岸に霞沢岳(右端)〜三本槍〜六百山(左端)へと続く険しい岩稜の全景を眺めることができるビューポイントとなっています。霞沢岳ピークから八右衛門沢を隔てて左にある岩稜帯が三本槍です。
霞沢岳(標高2646m)は、屈指の景勝地 上高地に聳える山なのですが、不幸なことに訪れる人々が正面の穂高連峰の雄大さに気を取られ、背後に聳えるこの山の存在を忘れてしまっています。「日本百名山」の著者 深田久弥氏も後記の中で、「日本アルプスで当然選ばれるべき山のひとつだった」と述懐しています。これが幸いし、山と語り合える玄人好みの登山ができると重宝されています。日本百名山に選ばれなくてよかったと、この山はホッとしているのかもしれません。 -
上高地 穂高橋
田代橋の手前に架かる穂高橋から見た梓川と穂高連峰です。梓川の蒼く清冽な流れが印象的です。田代橋の北側付近は中の瀬園地と呼ばれ、トイレや東屋が設けられていますので休憩に最適なポイントです。
梓川の水の色が青く見えるのは、透明度が高い水では太陽光が海底の砂地で反射するからです。白い砂地は光をよく反射し、青い光以外は水に色を吸収されるため、水面が青く光って見えるのです。 それと、カルシウム成分が高濃度であることも青さを助長しているかもしれません。
田代橋から標識に従って大正池方面へ進むと途中で道が2手に分かれます。左に曲がる道は林間コースで、森林浴や野鳥観察に最適です。右側は梓川コースで、焼岳を望みながら透明な梓川の流れを間近に見ることができ、途中、川原にでることもできます。林間コースは、針葉樹林の中を進みます。眺望はできませんが、手つかずの自然が味わえ、静かで趣深いネイチャーウォークが愉しめます。時間的にはどちらのコースも変わりません。 -
上高地 田代湿原
林間と梓川コースの合流点を先に進み、T字路を左へ入った左手におおらかに広がるのが田代湿原です。「田代」とは水田のことで、池に浮かぶ草原を水田に見立てたものと言われています。
雲が湧く穂高連峰を借景に、カヤをはじめとする草紅葉が見頃を迎えています。
湿原越しに穂高連峰を仰ぎ見るこの風景は、ここでしか味わうことができません。 -
上高地 田代池
田代湿原をさらに奥へ進むと、右側にひっそりと広がっているのが田代池です。大正池同様、焼岳の噴火で沢が堰き止められてできた池です。
秋の装いに衣替えしつつある樹木の上には、間近に霞沢岳を仰ぐことができます。
田代池で一番奇異に感じるのが、この赤茶色をした湖底です。紅葉が水面に映っているわけではなく、年中この色を呈しています。観てみると、細かい赤茶色の砂礫が堆積しています。実は、この砂礫には鉄分が多く含まれ、水が清らかなために錆びの色が目に入るのです。これを知らずに夏場に訪れた場合、水が濁っていると勘違いされる方も多いようです。 -
上高地 田代池
田代池は結構広大なのですが、環境保護のために池を鑑賞する場所は限られています。シーズン中なら人が溢れてしまう状態になります。
大正池と同じく元々は池なのですが、年月を経て川のようになりつつあります。
左端に見えるのが、河畔に密集する白樺の原生林です。一段高い小丘の上にまとまって根付いています。 -
上高地 田代池
六百山や霞沢岳からの伏流水が奥から緩やかに流れてきます。
池の碧色は、イチョウバイカモがなせる業です。
こんなに美しくうっとりするような池ですが、実は年々土砂で埋まって縮小しています。やがては池が埋まってしまうのではないかと気を揉むところです。 -
上高地 中千丈押出し
ミズナラやハルニレの林の中を颯爽と進むと突然視界が開け、真っ白なゴロタ石がゴロゴロしている中千丈押出しを横切ります。ここが、枯木立と焼岳のツーショットが撮れる絶景ポイントです。
正面に見える焼岳(標高2455m)は、大正時代に大正池や田代池ができる原因となった火山噴火を起こした山で、今も少し噴煙が見えるそうです。数年前から山頂まで登れるようになっていますが、御嶽山のこともありますので噴火の兆候情報に留意していただきたいと思います。 -
上高地
中千丈押出しを横切ると再び林の中に導入する遊歩道があります。
遊歩道の入口にある掲示板には「熊目撃情報」が貼られています。これは、大正池側から来られた方が気付き易いように配置されています。
9月3日に小熊2頭が田代湿原で目撃されたようです。小熊だけでこんな山里に下りてくることはないので、親熊も近くに潜んでいたと考えるのが妥当です。
それにしてもこんなに人が行きかう所まで出没するとは…。事前情報では、8月下旬にも出没していました。
我が身と熊の身を守るため、「熊除け鈴」は必携です! -
上高地
木道で渡る小さな透明な池には、岩魚の魚影を見ることができます。
また、ご覧のように白樺の木々が水面に投影され、幻想的な幾何学模様の妙を呈しています。 -
上高地 大正池
周囲約2.5km程の小さな湖と言っていいくらいの上高地最大の池です。
風がでてきたせいか、穂高連峰の雄姿がエメラルドグリーンの水面にきれいに映り込んでいないのが少々残念です。 -
上高地 大正池
焼岳を映す大正池。
水の色彩の美しさ、池を囲む雑木林の梢の並びが印象的です。 -
上高地 大正池
大正池を象徴する水没して枯死した立木が林立し、独得の景観を呈しています。
かつては岳沢湿原のように沢山の枯木立が林立し、もう少し幻想的な雰囲気だったそうです。 -
上高地 大正池
逆光ですが、パノラマに仕上げてみました。 -
上高地 大正池
河畔で憩う親子のマガモです。
小ガモが遊び疲れて眠ってしまったのでしょうか?
お父さんとお母さんは手持ち無沙汰で、毛繕いをしています。 -
上高地
一羽の鳥が枝に留まっていたのでカメラを向けると、すぐ近くまで飛んで来てくれました。
胸に斑点状の模様がないことから、オオルリの雌と思われます。体の下面は淡褐色で、腹は白く、喉に幅の狭い白い部分が確認できます。
オオルリと言えば綺麗な青い鳥をイメージしますが、それは雄だけのようです。ひょっとしたら雄も近くにいたのかも! -
上高地 中の瀬園地・梓川左岸ルート
田代橋からはバスターミナルへの近道となる梓川左岸ルートを進みます。
右手にはカラマツの林、ヤナギ、ハンの木などの原生林が茂り、左手には大きく蛇行してダイナミックな表情を見せる梓川。そして正面に六百山を仰ぎ見ながら進む爽快なコースです。 -
上高地
なんとか無事にバスターミナル近くまで戻ってきました。 -
上高地
14時45分頃、予定より早くバスターミナルに到着です。
こんなに沢山の人が上高地を訪れていたのかと感心するくらい人で溢れています。もう一時間もしたらどんなことになっているのやら。
全コース踏破のご褒美として限定 上高地ソフトクリームを美味しくいただきました。 -
新島々駅 旧島々駅舎
アルピコ交通 新島々駅前の国道158号線の向こうに佇んでいます。欧州アルプスの民家を彷彿とさせる、尖がった赤い屋根の可愛らしい意匠です。かつては新島々駅の1.3km先にある波田町前渕で終着駅として活躍した駅舎です。
1920年(大正9年)に上条信氏が筑摩鉄道を興し、2年後に松本駅〜島々駅の間を「島々線」として全線開通させました。上高地や穂高連峰を含む広大なエリアが中部山岳国立公園に指定されたのは1934年(昭和9年)。この年から上高地の河童橋まで乗合自動車でも行けるようになり、それまで人を寄せ付けなかった秘境が少しずつ身近になっていきました。島々駅は、1983年(昭和58年)の台風10号がきっかけで、歴史に幕を下ろしました。線路が沢からの濁流で流失したため、駅舎はそのまま使われることなく1985年に廃止されました。その後、旧波田町が観光整備事業で廃駅舎の活用を決め、1990年に現在の場所に改造移築しています。農産物や特産品の直売所を兼ねた観光案内所となっています。訪れる人の中には熱心な鉄道ファンや往年の登山家も少なくないようですが、多くは地元産の山菜や野菜目当てに車で訪れるリピーターだそうです。 -
JR松本駅 旅のエピローグ
「しなの」22号の発車まで旅の余韻を愉しむことにします。
松本駅の自由通路アルプス口から見た北アルプスの夕景です。独得の容姿を見せる常念岳をズームアップしてみました。よく観ると常念岳の左に見覚えのあるシルエットが浮かんでいます。
全体は手前の山並みに隠れてしまっていますが、槍ヶ岳(標高3180m)の山頂がほんの少しだけ顔を覗かせています。霞のある日や雲が掛かりやすい時季にはなかなか見られないそうですのでラッキーです。 -
JR松本駅
中央の小さな突起が、山の民憧れの「槍の穂先」だそうです。
岩壁を這うようにクサリ場をよじ登り、最後はほぼ垂直に架けられた天空に吸い込まれるような31段のハシゴを登るそうです。
主人は大学時代に2度登頂し、一度は穂先でブロッケン現象(見ている人の影の周りに、虹に似た光輪が現れる)という神々しい体験をしたようです。北アルプスを訪れる度、無意識に「槍の穂先」を探してしまうようです。強烈な思い出が詰まった場なのでしょう。 -
JR松本駅
旅の締めくくりは、特急「しなの」車窓に映る北アルプスのアーデン・ロートです。暮れなずむ夕日が、旅の終わりを拒んでいるかのようです。
北アルプスの稜線に見送られながら、いつしか夢の中に憩いでいました。 -
月見五味めし(イイダヤ軒)
心地よい眠りから覚めると現実に戻され、急にお腹がすいてきました。
松本駅中でゲットした駅弁です。昭和35年(1960年)から半世紀以上売れ続けている、松本駅を代表する駅弁だそうです。
パッケージには「慶長の頃、松本城主 石川数正が狩猟の獲物(鳥獣・山菜)を武者料理し、月見櫓で宴を催して月を眺めながら城下の繁栄を願ったという故事を表現…」と記されています。松本城を彷彿とさせる石垣模様のプラスチック製ドンブリにも味わいがあります。
見た目は五目釜飯ですが、醤油ベースのダシ汁で炊いた茶飯の上に、満月を想わせるゆで卵、その周囲に竹の子やゼンマイ煮、ワカサギ甘露煮などの山の幸を盛り合わせ、見て楽しい、信濃の香りと味覚を存分に愉しませてくれるヘルシーかつ食べ応え十分な駅弁です。デザートとなるシソ巻きリンゴまで、信濃の味覚が凝縮された絶品です。特筆すべきは、写真では分かり難いのですが、思った以上に潤沢に山菜が詰められていることです。信濃の旅の締めくくりに食す駅弁としてお勧めです。
安曇野産米、錦糸玉子、 豚肉煮、山菜、ゼンマイ煮、竹の子煮、山ごぼう、リンゴしそ巻、ゆで海老、ロングエッグ、紅しょうが、ワカサギ甘露煮、茶飯とバラエティに富み、味もボリュームも満点です。
850円。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。
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