2014/07/21 - 2014/07/21
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たびたびさん
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最終日は、平戸の市街を巡って、その後は、田平から大村湾の東側に沿って南下。長崎空港を目指します。平戸の市街は、松浦歴史資料館がハイライト。松浦氏は好奇心旺盛で、世界に目が向いているので、コレクションは多彩で、かつ、どれも美しい。博物館・美術館の中では、私が最も好きな施設の一つです。以前は撮影が禁止だったのですが、今回はフラッシュを使わないでの撮影が許されていて、これも嬉しいところでした。
もう一つのハイライトの田平天主堂は、予想外の大きさ。堂々とした姿にはキリシタンの悲惨な歴史というよりも、キリシタンの誇りといったようなものまで感じます。
そして、帰路ですが、これがまたひょっこりとすごいものにも出会ってしまう。またそれに元気をもらって、懐かしい三川内の皿山にも寄って。最後まで欲張りの旅となりました。
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朝の散策は宿の近くから。
このオランダ埠頭は、平戸市街の端。オランダ商館のはす向かい。かつては、ここもオランダ商館の敷地の中だったようですが、海に面してかなり急な石段です。
商館の船着場であり、商館員、船員の乗り降りや積荷の上げ下ろしがここで頻繁に行われたのだと思います。 -
市内の中心部に向かいます。まだ、朝が早いので人の気配はありません。
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崎方公園は、平戸市街を見下ろす崎方町の裏手の高台一帯。どこからでも登って行けるのですが、お勧めはお部屋の坂道の方から。
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緩やかな石段を辿って行くと公園の下に出ます。だんだんと市街が下に見えてきて、旅の風情を感じます。
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登り切った公園は、ヒラドツツジの名所。
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街を見下ろす展望台もありました。
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戻って。御部屋の坂は、松浦史料博物館の北側にある石畳の坂。この辺りは、平戸藩主邸である御館があり、この坂を行くと鶴が峰の峠を越えて大久保の馬場に繋がっています。
一方で、名前の由来は、この坂道の中程に、側室であるお部屋さまの屋敷があったことから。側室でも、ちゃんとした扱いだったことが偲ばれます。 -
六角井戸は、平戸の市街中心部。大ソテツの並びです。
これは、明の王直にも繋がる遺構だそう。王直は、松浦家25代隆信の庇護を受け、平戸を貿易の拠点としますが、それに伴い、多くの中国商人がこの地に定住し、その居住地域にあったものということです。オランダ井戸より緻密な構造のように思います。中国の技術はなかなか高いです。 -
大ソテツは、その並び。
この辺りは、平戸がオランダ、イギリスとの貿易で賑わっていた頃、川崎屋助右衛門、半田五右衛門といった貿易商が軒を並べていた目抜き通り。この老ソテツは、川崎屋全盛時代に植えられたとされ、往時の賑わいを偲ぶものとなっています。 -
ここから、王直屋敷跡へ向かいます。
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平戸のメインストリートから少し入った場所で、病院横の坂を登ったところ。ちょっと分かりづらい場所です。
ちなみに、王直は、明の貿易商人で、倭寇の親分とも言われる人物です。倭寇は暴力的な手段で沿岸を荒らしまわったイメージですが、後期倭寇の活動はいわゆる密貿易が中心。とはいえ、明は貿易を厳しく統制していたため、自由貿易はこれに逆らうものだったというくらいかも。松浦氏に庇護されて、この地に屋敷を構えていたのですが、最後は杭州において斬首となっています。 -
ここから、平戸を代表する観光スポット「寺院と教会の見える風景」へと登って行きます。
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瑞雲寺は、その一部をなすお寺。
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境内に、コルネリアの塔という塔があって、これはオランダ商館長と日本人妻との間に産まれた娘コルネリアが、亡父の供養のために献灯を依頼したもの。コルネリアは、島原の乱の後の鎖国令強化によって、バタヴィア(ジャカルタ)に追放され、終生帰国は適わなかったということです。
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イチオシ
さて、これが「寺院と教会の見える風景」。奥に平戸ザビエル記念教会が見えています。
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寺院の方は、さっきの瑞雲寺とこの光明寺。光明寺は三つの真ん中にあります。
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柴田勝家の三男空性が創建したとは、意外ですね。その後、浄土真宗を禁じたため一時廃寺となるものの、再興がなり、現在の建物は江戸時代の後期に建てられたものです。
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寺院と教会の見える風景を登りきったところにあるのは、正宗寺。
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その境内を入っていった一番奥に、松浦隆信の墓はありました。
松浦隆信は、江戸時代の大名。平戸の松浦氏第28代当主。曽祖父と同名を名乗っているので、ちょっと紛らわしいですね。墓は木々に囲まれて、やはり大名の墓は違うなあと思わせる巨大なものです。
なお、平戸藩主としては、ほかに平戸イギリス商館や平戸オランダ商館開設に尽力した祖父の鎮信も知られています。 -
平戸ザビエル記念教会は、平戸の市街を見下ろす高台に建つ教会。
これは裏手ですけど、ノートルダム寺院のような形ですね。まあ、規模は全然違いますけど。。 -
イチオシ
そして、表に出てきました。
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ザビエルは、三度にわたって平戸を訪れています。この教会堂は昭和6年に建てられたものですが、昭和46年に、ザビエルの像が聖堂の脇に建立されたことから「聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂」名前を改めたのだそうです。
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外観は、モスグリーンですが、内部は黄色を基調とした美しい色彩です。
うっとりです。 -
さて、ここから松浦史料博物館に回りまして。こちらは、5年ぶりの訪問。
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とっても、楽しみにしていました。
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ところで、入口脇にあるのは眺望亭。奥のスペースが喫茶店になっていて、そこの眺望がすばらしいので、この名前になっているんでしょう。一方で、ショップの方もなかなか。松浦史料博物館の展示品は美しいものが多いので、心に残るお土産はここで調達するのがいいでしょう。私的には平戸焼(三川内焼)がお勧めです。
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入口を入って行きます。あれ、フラッシュを使わなければ写真撮影も可能です。前回はそうではなかったんですが、これはうれしい見直しです。
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大名らしい展示物はどれも保存状態良好。その威厳と美しさがストレートに伝わってきます。
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イチオシ
とにかく、相変わらずの美しい展示品にはうっとりするしかありません。
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歴史的な価値のある品々だとは思うのですが、やはりこの美しさにこそ、この博物館の真骨頂があるのではないかと思います。
元寇の合戦絵巻に、 -
原城の絵図。
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伊能忠敬の地図に、
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狩野探幽。狩野派は、形式主義に陥ったという厳しい評価がありますが、探幽は自由自在な線を操るのが特徴のような気がします。この作品でも、決まりに縛られた感は全く感じません。
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唐子の三川内焼き。艶々した表面が大名道具の証でしょう。
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関ヶ原合戦屏風に、
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蝦夷の人物の写生。
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南蛮人の風俗にも興味の目を向けています。
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山鹿流の陣構え。これは教養としてのものですね。
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化粧道具に化粧箪笥。
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これも、狩野探幽の作品。特別室に飾られているもので、豪華絢爛。安土桃山のような雰囲気。
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イチオシ
狩野永徳の唐獅子が有名ですが、それも意識した作品かも知れません。これも写真に収めることが出来て、うーん。これは最高です。
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キリシタン関係に、
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婚礼衣装。
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これは新しいものだと思いますが、平家物語の熊谷直実と平敦盛が遭遇する一の谷の戦いです。
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イチオシ
逃げる敦盛に
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後を追ってきた直実。声をかけて引き戻させる場面です。
平家物語や源氏物語は日本人の人生観や美意識の底辺に流れるものなんですが、それがなくなっていくとなると日本人はどうなってしまうんでしょうか。一方で、対中国や対韓国では、Y神社が日本文化の代表みたいに言われて、片腹痛し。私は残念で仕方がありません。 -
生月鯨太左衛門の等身大の絵。でかいです。
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松浦歴史資料館を十分に堪能して、また市街に戻ってきました。
平戸名物「酒まんじゅう」の看板があって、寄ってみました。酒まんじゅうは麹菌で作るのでとっても難しい饅頭。 -
酒粕でも入れた饅頭なんだろうなと思ったら、これはいい。しっとり、ふっくらの皮はただ者ではありません。餡子も素直な甘さが最高。名物に間違いなし。平戸の酒まんじゅうは本物です。
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イチオシ
再び、平戸オランダ商館へ。今日は天気が良くて、平戸湾に面して、白い壁が美しい姿を映しています。
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開設は、1609年。オランダとの正式国交が開けると設置されますが、その後、1641年に長崎の出島へ移転が命じられ、取り壊されることになりました。
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再建された建物は資料館となっていまして、
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当時の交易品や書物などが展示されていました。
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これも、輸出品です。
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続いて、篠崎海産物店。オランダ商館の近くにある洋館風の店構えです。平戸市内には海産物の店は何軒もあるのですが、けっこう老舗のよう。一方で、干物とかが主体。その場で食べられるかまぼことかがないので、ちょっと残念でした。
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これも、近くの平戸歴史資料館井元コレクション。
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個人のコレクションです。
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これを集めたご主人によれば、自分は酒も飲まないので、その分、あちこち行った時にはおみやげ品に目が行って、こんな風なコレクションになりました。お金を取って見せるようなものではないんですがと笑っていらっしゃいましたが、
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それでもコツコツ集めたコレクションは今では貴重なものも少なくない。
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西洋料理の解説図や
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唐子の絵など、ちょっとご主人自慢の品もあって、楽しく拝見いたしました。
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帰りも気になりますが、もう少し市街を散策します。
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えしろは、平戸のメインストリートにある小さな洋菓子屋さん。
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お店に入るとカラフルなケーキがショーケースに並んで、これは楽しい。
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ただ、私がいただいたのは、ポルトガルの家庭菓子だというケイジャーダ。チーズの香りがほんのりして、しっとり素朴な味わい。見た目は派手なんですが、これは家庭でお母さんが子供に作ってあげるお菓子といった味ですね。実に素朴です。11時過ぎに焼きあがるので、時間を見て訪ねるといいかと思います。
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続いて、桝田かまぼこ崎方店。小さなかまぼこ屋さんです。
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麦わらのようなストローで巻いた「すぼかまぼこ」は、えそを原料とする真っ白なかまぼこ。ぷりんぷりんした濃厚な味わいが妙にうまい。平戸のかまぼこ、すごいです。
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誓願寺は、平戸市街の反対側の端っこです。
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平戸市街を見下ろす高台にあって、キリシタン宣教阻止に一役買った寺。
第五世源誉は、天文11年(1542年)、豊臣秀吉の命を受けて当山の住職となりました。また、藩主松浦家とも関係が深く、石橋を渡り石垣にそった参道を進むと、山門。重厚な雰囲気が特徴的です。 -
市役所の近くにあるのは幸橋。アーチ型の石橋で、別名オランダ橋です。
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橋からの眺めは、こんな具合。
城と城下町を結ぶ橋でかつては木橋だったようですが、平戸城が築城された江戸中期に石橋に改めました。
オランダ商館の石造り建築に携わった石工によって造られたそうです。 -
イギリス商館遺跡碑は、平戸市役所の敷地。幸橋から入るとすぐのところです。
平戸でオランダとの貿易が始まったのは1609年。イギリスとの貿易はやや遅れて1613年から始まりました。市役所の対岸あたりに、イギリス商館が開かれたということで、碑はこれを記念するものです。 -
傍らにあるのは南蛮船のイカリ。想像以上に大きなものです。
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再び平戸港交流広場に戻って、
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ここで駐車します。
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敷地内の観光案内所でグルメの情報収集。
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そこで紹介された旬鮮館は、平戸の漁協がやっている食堂。
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平戸の名物、鯛茶漬けをいただきました。
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鯛のやや細く切った刺身をご飯に乗せて、お茶を掛ける。 小田原にまご茶漬けというのがあって、これはだし汁をかけるので、本当にお茶を掛けるのが逆に新鮮に感じました。鯛がけっこうあるし、あっさり味。抜群においしいというまでは行きませんが、平戸の名物であり、一度は食べてみる価値はあるかなという感じです。
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森酒造場は、平戸市内にある明治28年創業の老舗酒蔵。
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積極的に酒蔵見学をしているということで、ちょこっと寄ってみました。蔵には酒を貯蔵するタンクがずらり。麹というか鮭というか、ほんのりいい香りが漂っています。酒は水が命と言いますが、ここの水は最教寺のふもとから湧く名水を引いてきて、地下に貯めているのだそう。御主人がいろいろ説明してくれました。
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平戸物産館は、平戸の市街を出る途中の県道沿い。「平戸物産館カスドース」の看板が平戸のあちこちにあるのですが、そのカスドースを作っているのは、湖月堂です。物産館の片隅に店舗が入ってます。
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こちらが湖月堂老舗。カスドースはポルトガルとの交易によって伝えられた南蛮菓子。明治・大正・昭和天皇への献上菓子となった由緒もあって、平戸に来たらこれを食べるしかないでしょう。
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イチオシ
ところで、湖月堂老舗のお店は、以前は平戸のメインストリートにあったのですが、今はこちらに移転しました。カスドースは、平戸物産館の名前で看板があるのですが、看板には湖月堂の名前の方は出ていないので、ちょっと残念に思います。ただ、このカスドースが平戸では一番の名物。まっ黄色の鮮やかな色は、とても印象的で、しっとり半熟と言われるカステラ生地などたまりません。絶品中の絶品です。
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さて、これで平戸を後にして、田平口へ。
お菓子のこじまは、シュークリームありますの看板があって、気になっていました。しかし、この日はなし。代わりにどら焼きをいただきましたが、ちょっと残念。店員さんは女性二人で、明るい雰囲気ではありました。 -
そこから田平公園へ。
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イチオシ
田平公園は、田平側から平戸大橋を見下ろすロケーション。国道から、両側に植え込みがある侵入路をしばらく走った高台です。平戸大橋を眺めながらの遊歩道が整備されていて、あちらから眺めたり、こちらから眺めたり。なかなかよくできた公園です。
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さて、これが今日のもう一つのハイライト、カトリック田平天主堂です。
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この建物は、大正7年、鉄川与助の設計で建立されたロマネスク様式の教会で、
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日本二十六聖殉教者に捧げられたものだとか。
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国の重要文化財であり、
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イチオシ
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の一つとして世界遺産暫定リストにも登録されています。
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写真では見ていましたが、想像していたよりもずっと大きな建物。赤いレンガも迫力があります。
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内部のステンドグラスは、
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当初は幾何学模様だったようですが、
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今では絵画のステンドグラスに変わっています。
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鮮やかで深い色合いの色調が
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このうえなく、美しいです。実はこの時、教会のガイドさんがいらっしゃって、私のその人の話を聞きながら見させてもらった次第。ご家族が頼まれていたようでしたが、便乗させてもらいありがとうございました。
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これで、今日の目玉は終了。後は、空港に向かって戻りながら、目についたスポットを回りましょう。
と、最初は看板を見つけた直谷城へ。 -
この城は、平安時代末期から、松浦党を代表する在地領主、志佐氏の居城だった城。
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壇ノ浦の戦いで入水自殺したはずの安徳天皇が実はここを仮の住まいとしたという伝説もあるようですが、それはあまりといえばあまりでしょう。
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志佐氏は、朝鮮や琉球との海上交易を活発に行い、龍造寺氏、大村氏、松浦氏などに対抗しますが、最終的には平戸の松浦隆信に下ることになりました。
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城跡は、大変な山の中。完全装備で行かないとえらいことになります。
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続いて、福井洞窟。ここは、佐世保市吉井町にある国の史跡です。
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佐世保市には現在31の洞窟遺跡があり、その数は日本一なのだそうですが、中でもこの福井洞窟は、旧石器時代終末期から縄文時代草創期の遺跡が発見されたという大変貴重なもの。神社の奥の方に口があって、深い井戸のような立て穴が金網で囲われていました。
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何だか調子が出てきました。佐世保はまだまだ見どころあるじゃないですか。
そして、今度は御橋観音。ここも、古くから平戸八景に数えられた名勝地だということです。 -
観音寺という寺の奥に、それはあるはずなんですが、おっかなびっくり先に進みます。
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紅葉の先に、隠れるように何かが見えます。
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な、なんですか。これは。
唖然とするような天然の大石橋が岩場をまたいで架かっているではありませんか。 -
イチオシ
この石橋は高さ18m、長さ30m、幅5m、厚さ2.5mと2.8mという二筋の大橋。
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青い紅葉越しの天空にこの橋が見えた時は、
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あまりのスケールに
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ちょっと言葉が出ないくらいでした。
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そんなに有名でもない、こんな観光スポットが眠っていたとは。。ただただ驚くしかありませんでした。
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ちなみに、この辺りのシダも貴重なものらしく。一生懸命写真を撮っている先生らしき人がいらっしゃいました。
いやー、大満足でした。 -
ここから佐世保市内へ。
中心部にあるビッグマンは、佐世保バーガーの超人気店。派手な外観で、周辺にはお店に入りきれないお客さんが何人もいて、順番が来るのを待っていました。 -
中で食べるのは諦めて、持ち帰ることにしまして、注文したのはシンプルなハンバーガー。一番人気のベーコンを挟んだバーガーは量も多そうだし、敬遠してしまいました。いただいたバーガーはさすがという味わいでしたが、敢えて言えば、あり得るレベル。別次元という表現までは出来ないと思いました。思うに、それはやはりベーコンバーガーを食べないとダメだったのでしょう。ベーコンがウリというのは佐世保バーガーではないとも思うのですが、この店の真骨頂はベーコンバーガーだったような。ちょっと、惜しいことをしてしまったのかもしれません。
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ところで、佐世保は、日本一の長さを誇る商店街が知られていますが、その商店街から国道を越えたところに、戸尾市場という活気のある商店街があります。生鮮食品や生活雑貨などの店舗は、どこも生活感がみなぎるような活気があって、けっこう楽しい。あまり知られていないと思いますが、穴場だと思います。
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その隣にあるのがトンネル横丁。これも名物の商店街です。
ここは、戦時中、岩山に掘られた防空壕に出来た市場なんです。間口は狭くても奥に深い店内は壕を利用した結果です。ただ、日曜は休みの店が多いようです。 -
予定はしていなかったのですが、どうせならここで三川内にも行ってみたくなりました。がんばりましょう。
で、やってきた三川内焼伝統産業会館は、三川内焼の名品を展示する美術館であり、皿山の窯元の現代作品の展示即売もしている施設です。 -
三川内焼は、少し薄めの呉須絵や高度な技術の透かし彫りなどが特徴ですが、御用窯の系譜を引くだけに、どの作品も格調が高い。
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かつては、有田焼と一緒に区別なく販売されたので、三川内焼の名前は広まりませんでしたが、作風は明らかに異なっています。私もお気に入りの三川内焼がいくつかあって、その魅力にはまっています。
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隣りはさせぼ四季彩館。三川内焼伝統産業会館、佐世保市うつわ歴史館も同じ敷地です。
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その中にあって、ここは、三川内焼のショップ。三川内焼は、九州の他の産地と違って、どこの窯が御用窯だったとかとかの区別がなくて、基本は同じ位置づけ。窯の名前は考えずに、自分の好みで選べばいいと思います。ただ、基本は、唐子なので、初めての人は唐子から選ぶのがいいでしょう。
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佐世保市うつわ歴史館は、無料の施設。
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展示は、縄文時代から近代の三川内焼までの発掘された土器が中心。また、三川内焼の伝統的な技術も模型を使って分かりやすく説明しています。
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三川内皿山は、三河内駅の少し南側の国道から、わき道を入って上って行ったところ。
ここは、三川内焼の窯元が10軒くらいあって、三川内焼の里。三川内焼は平戸藩の御用窯で、俗には平戸焼ともいいますが、この皿山が本家本元です。ちなみに、どこの焼き物でも、どこの窯が御用窯の流れを汲んでいるといったことがあるのですが、三川内焼は、三川内焼すべてが御用窯なので、どの窯が御用窯といった区別はありません。それも特徴的なことかと思います。 -
平戸松山窯は、三川内皿山の一番奥にある窯元。
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三川内焼の伝統的な絵は唐子なんですが、この窯は、その唐子に特にこだわっていて、さらさらっと軽く描いてあるようでいても、体の動きが伸びやかでリズムがある。
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唐子を描きこんで描きこんで到達した域ではないかと思います。ただ、申し訳ないけど、さっきの三川内焼伝統産業会館にあった作品の方がずっといいですね。やっぱり、同じ窯元でも、レベルはいろいろです。
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他の焼き物の産地でもよく見かけますが、ここにも陶祖神社があります。
この神社は、三川内皿山の陶祖である今村弥次兵衛を祀る神社。平戸の松浦鎮信が朝鮮の役に参加した際、朝鮮から巨関という陶工を連れ帰ってきます。今村弥次兵衛は、その巨関と日本人の妻との間に生まれた人物。平戸藩の御用窯の棟梁を代々勤めた今村家の先祖です。 -
この光雲窯は、三川内焼の皿山にある窯の一つ。ご主人の今村隆光さんは、とにかく絵がうまい。私は三川内焼の窯元の中ではぴか一だと思っております。鯨の絵や山水画が得意とされているのですが、私はつると亀の酒器を持っています。これは遊びですよとおっしゃっていましたが、そんなことはない。絵のうまさがさりげなく出ていて、私のお気に入り。とても大事にしております。
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啓祥窯は、三川内の皿山にある窯元で、ここもちょっと縁が出来た窯の一つ。祥瑞というのは、同じ柄の繰り返しの中に、不思議な癒しの感覚がある模様なのですが、その祥瑞の皿をここで買いました。
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何年かかかって、ここにも何度か足を運び吟味を重ねて選んだのですが、使い方は、自宅の床の間に時々香炉の代わりに置くというもの。ピタッとはまる感じがあって、これもとても気に入っております。
ところで、ここを訪ねると、いつもご主人と奥様の笑顔に迎えられて気持ちがほぐれます。これも紹介しておきたいと思います。 -
三川内の皿山には、10くらいの窯元があるのですが、晴峰窯もその一つ。レンガの煙突の脇が入口になっています。ただ、時々あるのですが、手元にいい作品を置かずに、販売店に出してしまう窯も多くて、ここもそんな感じ。せっかく訪ねてもいいものがあるわけではないと思いました。
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平戸祐祥窯は、三川内の皿山の中ほどにある大きな構えの窯。
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展示室に入ると祥瑞柄の大物がそこそこあって、これは本格的ですねえ。今回は、誰もいなくて話ができませんでしたが、エネルギッシュな作陶が窺われる窯だと思います。
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五光窯は、三川内ではあまりなじみがなかったのですが、今回うかがうと、超薄手の卵殻手の器があるではありませんか。こんなのもう作っていないのかと思っていたら、ちゃんとあるんですね。それに、卵殻手は実用ではなく、技術があることを示して驚かすといったものだろうと思っていたのですが、それを言うと飲み物の温度をできるだけ損なわないようにするとかの機能を重宝する人もいるのだそう。すぐに同感する気にはなれませんでしたが、いずれにしてもまた視野を広げてもらったことに感謝したいと思います。
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さて、もう時間はぎりぎりです。
佐世保から大村湾に沿って一般道をひたすら長崎空港に向かいます。途中の道の駅、彼杵の荘で休憩しましたが、何んとか無事終了したでしょう。長い旅でしたが、懐かしさの中に新たな発見がいっぱい。盛りだくさんの旅となりました。九州の北部は、興味尽きないエリアだということがまた認識できた。これが一番の収穫でしょう。お疲れ様でした。
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この旅行記へのコメント (4)
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- ハッピーねこさん 2019/09/27 21:47:29
- はじめまして。
- たびたびさん、はじめまして。ハッピーねこと申します。
私の旅行記に何度もお越しいただきありがとうございます。
先程たびたびさんのご旅行記にお邪魔しましたら、なんと私の故郷長崎県、しかも平戸周辺をお訪ねの記があり、夢中になって一気に拝見しました。
私は平戸に生まれ高校卒業まで過ごして、大学から福岡へ来て現在に至ります。
今でも結構帰省はしていますが、帰っても実家といつも買い物をする商店街くらいの行動範囲ですので、いろんな場所を本当に懐かしく拝見しました。
小学校の遠足場所、海水浴場、氏神様、実家の菩提寺、通っていた保育園のそばの教会、学生時代からあるパン屋、喫茶店、公園、観光スポット・・・・もうタイムスリップしたようにたびたびさんのご旅行記の世界へ吸い込まれていきました。
(それほど平戸の町が何十年も前からほぼ変わっていないということなのですが。^^;)
たびたびさんが書いていらっしゃいますように、長崎県は入り組んだ海岸線と少ない平地、たくさんの離島で構成されており、またあまり交通網が発達していないこともあり、出身県であっても未踏の地が満載です。
世界遺産になった教会群も離島や遠隔地に多いので、まだ訪ねたことのないところばかり。
こうして拝見すると本当に素晴らしいものが多く、古の人々のキリスト教への信仰の深さが偲ばれる場所がたくさんです。
改めて出身地の歴史を振り返らせていただきました。
いつか私もゆっくりじっくりそれらの地を訪ねてみたいものです。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
ハッピーねこ
- たびたびさん からの返信 2019/09/30 13:23:27
- RE: はじめまして。
- 地元出身の方からのコメントはリアルな感覚が入っていてとてもありがたいです。
平戸はこの時が三回目でしたが、ここは日本の南蛮交易がまさに始まった場所。その生々しい感触が今でもしっかり残っていて、不思議といえば不思議な街ですよね。
歴史や文化の濃密さで言えば、九州では長崎が一番。平戸はその長崎でもまた特別といった位置づけでしょうか。
ところで、ハッピーねこさんのドイツ紀行も素晴らしいですね。国内を歩くような感じで旅をされています。私は、海外でそんな風に旅ができるところは結局できなかったかな。ちょっと寂しさも感じながら、改めて読ましてもらいました。今後とも、どうぞ豊かな旅を!
たびたび
-
- りおさん 2015/08/05 19:18:37
- はじめまして
- たびたびさん
はじめまして、りおと申します
投票頂きありがとうございました。
さっそくご挨拶に伺いましたが、
なんと私が行ってみたかった平戸がたっぷりレポされていて
楽しませていただきました!
次の旅行記も楽しみにしております。
りお
- たびたびさん からの返信 2015/08/06 10:22:48
- RE: はじめまして
- 平戸は三回目でしたが、やっと何とか全体像が描けたかなあという感じでした。今さらながら、長崎や九州北部は観光資源が豊富だなあと感じ入った次第です。
ところで、私の旅は京都や関西が基本なんですが、これに対して九州は近代産業遺産や焼き物など、大陸とのつながりもあって多層的な文化。知的好奇心を満たしてくれる場所なんですよね。心情風景に訴えかけてくる東北とは違った楽しみ方ができると思っていますが、ただ、全国的にはまだまだ知られていない場所がたくさんある。北九州に、筑豊、秋月、佐賀市から鹿島、荒尾・大牟田や五島列島など、博多だけじゃないよといった九州北部の隠れた魅力をけっこうがんばって発信していますので、また、それもご覧いただければ嬉しいです。
では、お互いによい旅を。
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