2013/11/02 - 2013/11/04
44位(同エリア127件中)
naoさん
徳島県美馬郡つるぎ町貞光は、剣山へと続く街道沿いにあり、山間部で栽培された煙草、紙、茶などの流通経路にあたることから、これらの産物を商う町家が軒を並べる在郷町として大いに繁栄し、脇町とともに二大商業地を形成するに至ります。
繁栄を謳歌した貞光の商人たちも、脇町同様、その繁栄ぶりを誇示するかのように「卯建(うだつ)」のあがる町家を建てることとなり、現在、「卯建」のあがる町家が軒を連ねる町並みが残っています。
ここ貞光の「卯建」の特色は、脇町や池田町に見られる単層の「卯建」とは異なり、上下二段の階段状になった袖壁の上部に瓦葺の屋根を載せた、「二層卯建」と呼ばれる重厚なもので、全国的に見ても大変珍しい形をしています。
貞光と脇町は、二大商業地として共に栄えた町ですが、町づくりに関して脇町に先行を許した貞光の商人たちは、「脇町に負けない、より華麗で豪華な卯建を」と考えた結果、「二層卯建」を誕生させます。
このため、「卯建」の装飾もよりエスカレートし、正面見附には個性的で美しい鏝絵が浮き出ていて、まるで美術品のような雰囲気を漂わせています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
貞光に着きました。
町並みの外れにある銀行の駐車場に車を停めさせてもらって、町歩きを楽しみます。 -
この町独特の二層卯建がいきなりのお出迎えです。
貞光の卯建は、上下二段の階段状になった袖壁の上部に瓦葺の屋根を載せた重厚なもので、全国的に見ても珍しいものです。 -
こちらの町家は一層の卯建ですが、正面見附には美しい波頭の鏝絵が浮き出ています。
-
この美しい鏝絵が施されているのも、貞光の卯建のもう一つの特色となっています。
-
二層卯建があがった、とても大きな町家です。
1階の格子窓の取り付き方に変化が見られます。 -
こちらの町家は、2階の格子が出格子になっています。
-
卯建の正面見附には、白虎が浮き出ています。
-
こちらの町家の卯建には鯉の滝登りが描かれています。
-
「鯉の滝登り」は、鯉が懸命に滝を登る姿に、困難に打ち勝って「出世」する人の姿を重ねあわせた例えとしてよく使われます。
-
こちらの町家は片側だけ屋根を葺き替えられたようで・・・
-
片側の二層卯建も新しくなっています。
-
なんと、この町家のお隣さんは洋館建てです。
-
卯建の町並みは、まだまだ続いています。
-
こちらの卯建は、2階の屋根の上まで達する本卯建です。
-
ちょんまげを結った人物像が見下ろしています。
-
こちらは造り酒屋さんです。
-
織本屋さんにやって来ました。
ここは代々酒造業を営んできた商家の建物だったもので、この建物を寄贈されたつるぎ町が修復し、現在、一般公開されています。織本屋 名所・史跡
-
玄関を入ると、奥まで続く土間があります。
-
土間の右側は「みせの間」で、結界で仕切った帳場がしつらえられています。
-
土間を奥に進むと、「囲炉裏の間」があります。
-
囲炉裏の上には、鉄瓶や鍋などを掛ける自在かぎが吊り下げられています。
-
こちらは蓑笠。
昔の人はこのような簡素な雨具で、雨露をしのいでいたんですね。 -
さらに左奥の戸棚の上には、高級な駕籠が飾られています。
かつて、この家の奥様がこれに乗ってお嫁入りしてこられたのかもしれませんね。 -
土間から2階に上がる階段です。
では、座敷にあがらせていただきます。 -
結界で仕切られた帳場机には、そろばんや大福帳が置かれています。
この大福帳は、実際に使われていたもののように見受けられます。 -
「みせの間」に掛けられている振子時計。
私の子供の頃には我が家にも振子時計があって、ゼンマイを巻くのが日課になっていたことを憶えています。
今では、このような旧家でないと見かけなくなってしまいました。 -
「みせの間」の奥の座敷です。
手前から、「上座敷」、「中座敷」、「下座敷」と、三部屋続きになっています。 -
「上座敷」のお庭では、ツワブキが黄色い花を咲かせています。
-
「みせの間」の奥に箱階段がありました。
では、2階へ上がります。 -
2階の内装は、板敷き床に小屋組みがあらわになっていて、調度品や書画などが飾られています。
-
昔ながらの戸棚が置いてあります。
-
頑丈な小屋組みです。
-
一段低くなった所には、洋家具が置かれたスペースがあります。
小屋組に頭をぶつけそうです。 -
先ほどの駕籠です。
では、このへんで織本屋さんをおいとまして町歩きを続けます。 -
この辺りの町並みには二層卯建の町家が連なっています。
-
脇町の町家に比べ、2階の階高が高くなっているので二層卯建を可能にしているのかも知れません。
-
この卯建には亀が描かれています。
亀は縁起物ですからね。 -
古い町家を改修してオープンした、つるぎ町の住民交流施設「町並み屋内公園」。
施設内は子供たちが安心して遊べるような工夫がなされているそうです。 -
こちらの卯建は、上段を切妻屋根、下段を寄棟屋根にして、上下の屋根に変化をつけています。
-
横から見ると、切妻屋根と寄棟屋根の違いがよくわかります。
-
こちらの卯建も上下で屋根に変化をつけています。
-
卯建の町並みの南の外れには、「つるぎ山道 是ヨリ九里八丁」と書かれた道標が立っています。
ここが剣山に至る古道の入り口だそうです。 -
道標が指し示す方向を見ると、急な坂道が現われます。
この先はこんな山道が続くんでしょうね。
では、この辺りで引き返して、旧永井家庄屋屋敷へ向かいます。 -
まちなみ交流館まで戻って来ました。
旧永井家庄屋屋敷はこの奥にあります。旧永井家庄屋屋敷 名所・史跡
-
旧永井家庄屋屋敷の築地塀越しに茅葺屋根が見えてきました。
-
旧永井家庄屋屋敷の正門です。
旧永井家庄屋屋敷 名所・史跡
-
門を入ると、木造平屋建ての母屋が迎えてくれます。
右側の板塀に囲まれている所は、座敷の庭になります。 -
庭の木戸が開いているので、お庭から座敷を拝見します。
-
縁側を二方に回した座敷の前庭では、梅の古木が懸命に枝をのばしています。
-
格式のある母屋の正面玄関。
-
母屋の全景。
-
受付の方が台所に居られ、自由にご覧くださいとのことなので、あがらせていただきます。
襖を開けると、台所から座敷まで見通せます。 -
主要な部屋以外は天井を張っていないので、茅葺屋根が表しになっています。
-
これを見ると、茅葺屋根の構造がよくわかります。
-
全ての部材を荒縄だけで組み上げています。
-
格子を透かして門を見たところです。
-
先ほどお庭から拝見した座敷です。
-
一間幅の平書院が付く床の間があります。
-
下屋の部分は瓦葺屋根なので、木軸の屋根組になっています。
湾曲した丸太材の、曲がり具合をうまく活かして使っています。 -
低い下屋の軒下をとおして、部屋内から見た裏庭の様子。
-
茅葺屋根の寄棟部の納まり。
-
寄棟の頂点が三角形になっているのがわかります。
-
台所にはかまどがしつらえられ、水を入れておく甕などが置かれています。
-
井戸水をくみ上げるための釣瓶。
井戸は、水道がなかった時代の必需品でした。 -
茅葺屋根と井戸はベストマッチですね。
かつて日本のどこにでもあった住宅の、典型的な姿を見ているようです。 -
台所の甕が覗いています。
-
先ほどの寄棟の頂点の三角形とは、この屋根の三角形のことです。
-
野暮な説明は要りませんね、良い光景です。
これで、柿の実がたわわに実っていようものなら、もっと良かったんですが・・・。 -
このお屋敷を拝見することで、かつての庄屋の生活様式に触れる、貴重な機会が得られたことに感謝しつつ・・・
-
そろそろ、おいとまします。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
naoさんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
70