2013/11/20 - 2013/11/27
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peruruさん
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世界中に未曾有の惨禍をもたらした第二次世界大戦は高性能な航空機が出現したことにより、時の政府や軍部が戦争に踏み切ったといわれる要素があります。ヨーロッパでは緒戦のドイツの電撃戦を成功させた立役者として、急降下爆撃という恐るべき戦術を可能とした異様な形態の飛行機が登場します。それが怪鳥ユンカース急降下爆撃機で5,709機が生産されましたが、現存しているのは世界で2機だけです。その内の1機がシカゴの科学産業博物館に展示されています。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- タクシー
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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シカゴで人気があると言われる科学と産業博物館(Museum of Science and Industry)です。宇宙、産業、交通、人体といった多様な科学成果が分野毎に展示されています。
ここには、第二次世界大戦時のヨーロッパを語る上で欠かせない怪鳥が天井から吊るされています。 -
ユンカースJu87急降下爆撃機です。急降下爆撃機はドイツ語でシュツールカンプフルークツォィクと呼ばれ、略してシュツーカ(Stuka)と呼ばれています。
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当時の爆撃機と言えば高高度から水平に飛行しながら爆弾を投下する水平爆撃でしたが、このシュツーカは機体そのもので目標に向かって降下して爆弾を投下するため、命中率は格段に高くなりました。照準器が発達していなかった当時では、水平爆撃では爆撃機の大群で一斉に爆弾を投下しても、目標に当たって破壊できる確率は高くはないですが、数機の急降下爆撃機によれば、高い確率で目標に爆弾を投下できることができたわけです。
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目標に対して急降下し、爆弾を投下すると共に、直ちに急上昇しないと地面に激突してしまいます。この急上昇のためにダイブブレーキが付けられ、湾曲したガル翼と頑丈な機体と強力なエンジンがこの急降下爆撃を可能としたと言われています。しかしながら、この爆撃手法の開発当初から初戦にかけては急降下後、必死に操縦桿を上昇しようと引き戻しても、そのまま地面に激突する事故が少なくなかったとの記録が残っています。
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当時爆弾投下のため急降下してくるシュツーカをこのように正面で見上げた時には、一般の市民は元より軍艦や戦車に乗っている軍人であろうと次の瞬間が死が待っていたことでしょう。
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この機体はリビアで1941年にイギリス軍に鹵獲されたもので、その後アメリカ軍に寄贈されこの博物館に展示されることになったものです。砂漠での使用に耐えるように防塵等の熱帯仕様の装置が取り付けられていました。通常のシュツーカは上面はブラックグリーンとダークグリーンの迷彩で下面はこのようなスカイブルーで塗装されていましたが、この機体は砂漠で見立たないような茶色の迷彩塗装が施されています。
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胴体には250キロ爆弾とこうして主翼には50キロ爆弾を左右2つずつを懸架していました。
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シュツーカは車輪には独特のスパッドでカバーされていましたが、当機のスパッドは外されています。これによりこの機体の真贋が議論されたこともありましたが、この機体は本物で、砂漠等過酷な環境では保守の観点からスパッドが外されて使われることがあったようです。
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急降下時には独特の風切音を轟かせたため、電撃戦当初では騎兵で構成されるポーランド軍に対しては、馬が驚いて逃げ出すので絶大な効果があったと言われます。この効果を増幅するために車輪つけ根にはジェリコの角笛と呼ばれたサイレンが付けられるケースもありましたが、この機体には付けられていません。
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急降下爆撃航空団のダイビングするカラスのマーク。第一急降下爆撃航空団が使用したマークです。この航空団は1939年に編成された歴戦の強者ですが、1941年にドイツアフリカ軍団を支援するために北アフリカに派遣されました。
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複座で操縦士と後方にはガンナーが背中合わせで座っていました。窓に書かれた急降下の角度を視認するためと思われる矢印が印象的です。
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博物館の説明です。
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博物館の説明で、連合軍による弾痕の場所まで記されています。
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機銃痕が認められる胴体。鹵獲時のダメージは80%程度だったとの話もありますから、連合軍の攻撃を受けて稼働不能の状態だったのでしょう。
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尾翼部分も頑丈に支柱で支えられています。
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このシュツーカを撃墜せんと後ろで構えるスーパーマリン スピットファイァーMark1A。英国をドイツの攻撃から守った主役ですね。Never in the field of human conflict was so much owed by so many to so few.(人類の戦いにおいて、かくも少数(英国のパイロット達)によって多くが守られたことはかつてない。)というのはチャーチルの言葉。
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Battle of Britain(空軍大戦略)という映画では、英国侵攻初期にシュツーカがレーダー網を爆撃すべく出撃してスピットファイヤーに次々と撃墜される様子が描かれています。このシュツーカとスピットファイヤーのドックファイトはこれを模した博物館側の演出でしょう。実際、シュツーカは制空権の無い所では連合軍戦闘機の攻撃にはひとたまりもなく、狭まる制空権と共に活躍の場は少なくなってきます。
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