2013/08/26 - 2013/08/26
827位(同エリア1681件中)
tokotokoさん
- tokotokoさんTOP
- 旅行記90冊
- クチコミ0件
- Q&A回答0件
- 165,621アクセス
- フォロワー6人
お城、かまぼこ、箱根の玄関口・・・
無知な私の小田原イメージにこの日、それらを
凌駕する 新たなイメージが付け加わった。
明治中期から、多くの政財界人や文人が 邸園(邸宅と庭園)を
かまえた小田原。
涼夏暖冬の気候や海と山の眺望、さらに豊かな食材…、加えて歴史に育まれた高度な文化や職人技が、偉人たちを惹きつけた所以なのだそう。
近代の偉人が愛した邸園は、今も数多く残るものの、
私が見学できたのは2箇所のみ; が、それでも見応え十分。
主のこだわりと個性、狙い考えつくされた意匠‥‥
そんな和の造形美が これでもかと散りばめられた空間を、
驚嘆しながら見入った。
【 行程 】
小田原駅 → 小田原城歴史見聞館 → 西海子小路 → 静山荘 →
街かど博物館・下田豆腐店 → 小田原用水 → 松永記念館・老欅荘
→ 小田原邸園交流館・清閑亭 → 小田原城歴史見聞館 →小田原城
スポットは点在しているため、城址公園内に建つ歴史見聞館から
貸自転車を利用。知らない街を自転車で疾走する…
その高揚感・爽快感は、常々湧き上がるもので、
それも たまらない旅の興。
また、ひっそりした邸園と 小田原城の賑々しさとの差異も不思議なもの。城だけでは もったいない‥。ただ、邸園でのゆっくり流れる時間と静寂を、ひとり堪能でき良かった訳ですが‥
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
小田原駅 駅前
自転車の貸出所がある、小田原城址公園へは徒歩で。
賑わいの駅前から、お堀端通り を進む。
便利な貸自転車、“駅前に貸出所を”という要望が
少なくないよう‥‥。ただ、この狭い賑わいの中を
観光者が走行するのは ちと危ないし、何より
まず歩くことで街の息吹を感じられていいのでは。
街にお金が落ちるだろうし‥‥。 -
お堀端通り ・ 小田原城址公園
駅から歩くこと10分弱で城址公園に。
写真の 学橋を渡り、まず歴史見聞館へ。小田原城址公園 公園・植物園
-
小田原城歴史見聞館
小田原城の歴史を、模型や映像で楽しめる施設。
レンタサイクルの貸出受付も ここで。
利用時間は9:00から16:30(1人300円)
この受付の方が、邸園の見所等、熱心丁寧に町を
教えて下さり、お陰で充実の行程を辿れた。 -
ういろう・外郎博物館
城址公園を南口から出て、国道1号線と交差。すると
「水曜どうでしょう」愛好家には 馴染みある建物が〜
“原付日本列島制覇”(2011)で小田原を
通過した軍団だが、小田原城天守閣の撮影に失敗‥
その穴埋めに登場したのが、国道沿いに建つ
ういろう屋こと この施設。立派さ もさることながら
博物館も併設しているんですね。小田原城 名所・史跡
-
西海子小路 (さいかち)
城址公園南口を出て、道をまっすぐ進むと風情ある
この小路に。武家屋敷が集まっていた界隈で、昔日の
面影をとどめていた。“さいかち”という名は、
マメ科の植物の名が由来。春には、51本もの桜が
トンネルのように咲きみだれるのだそう。西海子小路 名所・史跡
-
西海子小路 (さいかち)
国道そばに 静寂の一角。
海辺も近く、時の首相・伊藤博文などもこの界隈に別荘を
かまえたという。また、谷崎潤一郎等多くの文学者も
周辺に居を構え、文学作品を生み出したゆかりの地。西海子小路 名所・史跡
-
静山荘
西海子小路 沿いに建つ静山荘。
長年財界で活躍し、晩年には京浜急行の
基礎も築いた 望月軍四郎の別荘。
庭園は、小田原では珍しい苔庭だそう。
現在、内部は非公開のため、石灯籠 が建つ
落ち着いた雰囲気の入口を眺めて。西海子小路 名所・史跡
-
小田原市 早川口 近辺
西海子小路を後にし、
国道1号線の板橋見付跡を右折、
松永記念館・老欅荘へ。西海子小路 名所・史跡
-
下田豆腐店(街かど博物館・とうふ工房)
松永記念館・老欅荘への途中で ひと休み。
1900年創業の昔ながらのお豆腐屋さんにて。
貸自転車の受付でオススメとして、豆腐ドーナツを
教えてもらっていたのでした。 -
下田豆腐店(街かど博物館・とうふ工房)
豆腐屋さんのおかし(豆腐ドーナツ)とともに、
歯ごたえサクサクの“小田原揚げ”も堪能。
豆腐の他、様々な食材を使った、創作がんも揚げ
が人気で、その種類は20ほど‥‥ 美味しそうな
それらを前にして どれにしようか迷い、思わず
直立不動に;。小田原揚げは、中に さつまいも や
かぼちゃ、いんげんなどが入っていて味わい深く、
そのどれかが主張しすぎておらず、美味でした。 -
松永記念館 ・ 老欅荘
下田豆腐店から数分で、おだわら三邸園のひとつ
松永記念館(旧松永安左ヱ門邸)に到着。 -
松永記念館
電力業界の礎を築いた実業家である一方、
茶道にも造形の深かった松永安左ヱ門(耳庵)は
昭和21年から、この地に居住。
昭和34年には、収集した古美術品を展示する
松永記念館を設立し、昭和46年の没後も、耳庵の
居宅“老欅荘”を含め、一般公開されてきたのだそう。
写真の眺めは、耳庵の夏の別荘・堂ヶ島から雲見を
眺める景色を再現したものだとか。松永記念館・本館と、
手前の緑で隠れているのが、高野山 長岳寺五重塔。
平安時代のもので、関東では最古の五重塔なのだそう。 -
松永記念館 ・ 庭園
園内は広大で、池の周囲に
松永耳庵ゆかりの品々を展示する【本館】、
作家・中河与一の関係資料やコレクションなどを
展示する【別館】、野崎廣太(幻庵)別荘に建てられ
移築された茶室【葉雨庵】などが建つほか、
高台には、最も見応えある耳庵の居宅【老欅荘】と、
見所目白押し。 -
松永記念館 ・ 葉雨庵
池を周る散策路をめぐった後、
庭園にひっそり佇む 茶室“葉雨庵”へは
中門から。 -
松永記念館 ・ 葉雨庵
大正13年頃、野崎廣太(幻庵)の別荘内に
建てられた茶室で、昭和61年に移築(市内南町より)。
中外商業新報(後の日本経済新聞)社長、三越百貨店
社長などを歴任した幻庵にあって、この茶室では当時の
中央政財界人を招き、多くの茶会が催されたという。 -
松永記念館
茶室 ・ 葉雨庵 -
松永記念館
茶室 ・ 葉雨庵 -
松永記念館 ・ 葉雨庵
後述の老欅荘とともに、茶会などの
会合で茶室が使用可能なのだそう。 -
松永記念館
本館と並び建つ、収蔵庫の横から階段を上り進むと、
忽然と現る “欅と黒部の石”。
この欅は、丘の上に建つ“老欅荘”の名の
由来となった木で、元々この地に生育していた
推定樹齢400年超といわれる巨木。
手前の巨石は、北アルプス・黒部川上流の自然石で、
重さは10トン以上という。昭和30年代中頃に、
このケヤキの前へ据えつけられたのだそう。 -
松永記念館
丘の上に建つ、老欅荘を見上げて。
園内は緑に溢れ、流れる空気が心地よい。 -
松永記念館
老欅荘へは、さらに階段を上る。
階段脇には 下り龍(石塔) が鎮座。
階段の先は左にカーブがかかり、
直接 玄関が見えない配置に。
また、左手の石積み脇には水路が
施されていて、お客様を迎える際は
水を流し、水の音を楽しませたのだそう。 -
松永記念館 ・ 老欅荘
戦前・戦後を通じ“電力王”、“電力の鬼”
と称された松永安左ヱ門(耳庵・じあん)が
夫人とともに晩年を過ごした居宅。
また、最後の数寄茶人とも呼ばれた耳庵はここで
多くの茶会を催し、有名な茶人、政治家や学者、
画家などを招いたという。この老欅荘は、
先の“葉雨庵”とともに国登録有形文化財。 -
老欅荘
移り住んだ昭和21年当初は、
15坪ほどだった(ピンク色の部分)という新居。
その後、増築が重ねられ現在の姿(55坪ほど)に。 -
老欅荘
幸い、茶会等の施設使用にあたらず
内部を見学できた上、スタッフの方に
丁寧に説明頂けた。
10畳ある和室から お庭を眺めて。 -
老欅荘 ・ 和室
和室、奥が廊下という間取だが、
廊下も畳という こだわり。
老欅荘は和室三室と、大実業家にしては簡素な
造りだが、そうした耳庵の こだわりは随所に。
また、増築を繰り返したこともあり、
部屋によって 天井の高さがまちまち。 -
老欅荘 ・ 玄関
客人用の本玄関脇にも 凝った造形。
これは耳庵自ら、デザインしたという窓。
スタッフの方いわく、古き女性の髪を結った
頭形を模ったのでは、という話。“茶釜”?
という見解もあるようで、まさに何をイメージ
したかは、耳庵氏のみぞ知るセカイ。 -
老欅荘 ・ 広間
10畳ある書院造の客間。
8枚扉越し、に眺めるお庭は風流にして壮観。
その扉に沿い並ぶのは、板の間ではなく畳敷きの
緑廊下という、こだわり。
この広間の こだわりは尽きず、10畳の広間はなんと
7種類の大きさの畳を使用。これは同じ広間にある、
畳敷きの大きな床の間に理由あり。
その大きさは、耳庵本人の体型に合わせて造られており、
棺桶を安置する、という本人の意図が‥。
床の間の大きさを基にして、7種類の畳が配置された
のだそう。実際ここに、安置されることはなかったという。 -
松永記念館 ・ 老欅荘
耳庵の奥深い意図を知る知らないで、
空間の印象もが大きく変わる。
その晩年で、手塩にかけ造り上げたという
耳庵の気質に触れ、感嘆の るつぼに
すっかり浸るという ひと時。 -
老欅荘 ・ 茶室
近代茶人の一人として名高い 耳庵。
松永安左ヱ門は、60歳を境に茶を趣味と
するようになり、“耳庵・じあん”と号した。
その“耳庵”の名は、『論語』の
「五十にして天命を知り、六十にして耳に順う」
から付けたのだそう。 -
老欅荘 ・ 茶室
茶室は、耳庵がその晩年を寝室としても
使用していたそう。 -
松永記念館
老欅荘 ・ 水室 -
松永記念館 ・ 別館
最後に、貸自転車受付の方のオススメを思い出し、
再び 別館に立ち寄る。そのオススメとは、館内
入って右手すぐに掲示されている、耳庵の遺言。
その内容はというと‥‥、葬儀法要は一切不要、
線香類の香りが嫌い‥、財産は家族・親族には一切
やるな、彼らがダラクするだけ‥‥などなど
とにかく強烈で; 終始、驚きは尽きないのでした。
写真は別館2階から、
庭園と奥に茶室付属棟“鳥薬亭”を眺めて。 -
小田原用水
すっかり長居した松永記念館から、
邸園・清閑亭へ。その途中、気に入り
立ち寄ったのが 小田原用水の一角。
年季の入った建物は、製麺工場らしい。清閑亭 名所・史跡
-
小田原用水
-
清閑亭(小田原邸園交流館)
明治39年(1906)に、旧福岡藩主家・
黒田長成侯爵が建てた純和風建築の別邸。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭 ・ 客間
天井板に屋久杉が使用される等、
贅沢な施しの客間。
屋敷内には カフェスペースがある他、食事を
持ち込んで休憩できたり、イベントを開催
できたり‥と、広く一般開放されていることに感服。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭 ・ 客間
中央には 大座卓、明治の元勲・山縣有朋の
小田原別邸“古稀庵”にて使用されたもの
だそう。欅の一枚板の天板に、無垢の桜を
使った枠という ごうかな設え。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭 ・ 庭園
客間横の廊下から、庭園を眺めて。
右手に見えるのが、お居間。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭 ・ お居間
清閑亭の中心という二間は、
現在は カフェスペースに。
数奇屋造りの特徴である、
角を取った丸みの柱が各所に。
しばし、心の赴くまま ゆっくりしたいところ‥
も、自転車返却の時間が迫っていたため
カフェ利用は断念; また次回の楽しみに。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭
二階 ・ 書の間清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭 ・ 二階 書の間
ふすまの引き手にも
七宝焼きの凝った意匠が。清閑亭 名所・史跡
-
清閑亭
二階・書の間から、町並みと相模湾を眺めて。
海を見晴らす南向きの座敷には
涼やかな風流れ、安らぎの空間。 -
清閑亭
桜の木を使用した階段、
その階段からも 町と相模湾の眺望。
設えの小窓は、自然光を取り入れる役割も。 -
清閑亭 ・ 廊下
当時のままの室内灯が残る廊下。
洒落た掛け込み天井には、垂木も
桁も吟味された北山杉。
時間配分を誤り、清閑亭は駆け足の見学に;
消化不良な感が否めぬ中、やむなく清閑亭を
後にし、小田原城址公園(貸自転車の返却)へ。 -
小田原城
16時も過ぎ、貸自転車を返却。
受付の方らと会話し、しばしの休憩。と、
天守閣の入館終了に ぎりぎり間に合うし、
夕刻時の眺めも良いとのことで、天守閣へ。小田原城 名所・史跡
-
小田原城
3重4階の天守閣からの眺望小田原城 名所・史跡
-
小田原城
贅と意匠とが尽くされた“邸園”が、
新たなイメージに刻まれた 充実の町めぐり。
日本建築・和の美を体感する ひと時にも。
そんな胸いっぱいの中、日がまだ明るいうちに、
この日の最終目的地・御殿場へ。小田原城 名所・史跡
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- pedaruさん 2013/10/10 05:56:13
- レンタサイクル
- tokotokoさん お早うございます。
小田原の街めぐり、tokotokoさんの面目躍如というところでしょうか、やはり、小田原にもこんなところがあったのですね。大変魅力的な町に描かれていました。
小田原は小田原城のコンクリート製のイメージであまり期待していませんでした。でも、歴史上有名な町ですので、きっと何かしらはあるだろうと思っておりました。
四国旅行から帰って、いま写真の整理をしていますが、残念ながら田丸橋は見られませんでした。松山道からのシュミレーションだけしていたため、慣れないレンタカーで松山から56号線を走ってきましたので、田中橋交差点を見落としたようです。その代わり、まだ新しい屋根付き橋をみることができました。平成の建築と書いてありました。
卯之町、お言葉通り、こじんまりとして、観光客もろくに見かけず、静かな趣きのある街でした。お陰様で想い出深い旅になりました。有難うございました。
pedaru
- tokotokoさん からの返信 2013/10/10 23:55:10
- RE: レンタサイクル
- pedaruさん、おかえりなさい。
田丸橋はぜひ訪ねて頂きたかったですが、ひとまず無事で何よりです。四国は主要道路といえど 狭い道が多く、苦労した記憶がありますので・・; 。平成に架けられた屋根付き橋、地元でもその魅力が、見直されているのでしょうね。
そして、卯之町をゆっくり散策できたようで良かったです。あの、静かで素朴な雰囲気は、いつまでもそのままであって欲しいものですね!
私も、現存天守ではない小田原城には さして興味はなかったですが、“邸園”は思いのほか 見応え十分でした。それも、見学は無料なのです。。特に老欅荘という邸園は、資料展示があったりと広大なのに、まさに太っ腹です!そんな心意気にも感服した町巡りでした。投票とコメント、誠にありがとうございます。
tokotoko
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
2
47