2013/07/16 - 2013/07/16
15位(同エリア157件中)
キートンさん
2010年のグランドサークルから3年ぶりのアメリカ国立公園めぐり。
グレイシャー国立公園の2日目は、予定しているトレイルの中でも最も長い「ハイライン・トレイル」を歩きます。
鋸のように両側を氷河の浸食で切り落とされた岩尾根「ガーデン・ウォール」の西側山腹を南北に延びる「ハイライン・トレイル」。
グレイシャー国立公園の中でも最も人気のある1日コース。
その最大の見どころは、本線上ではなく途中から枝分かれした急坂を登らなければ見ることができない。
はたしてそこからの絶景は無事見ることができたのでしょうか?
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
今日も早起きして7:00にはセントメリーロッジを出た。
ロッジから2分も歩くとグレイシャー国立公園の園内だ。 -
3日間往復したビジターセンターまでの小路。
-
7:30発、朝一番の無料シャトルに乗ってローガンパスをめざす。
朝一番のシャトルバスには10名程度の乗客を乗せてスタートしたが、ほぼ全員が「ハイライン・トレイル」を歩くようだ。
出発前にドライバーが「ハイライン・トレイル」の解説をしてくれたのだが、チンプンカンプンだったので、同乗していた家族連れのお父さんにトレイルマップを見ながら質問してみた。
なかなか気さくなお父さんで細かくアドバイスしてくれた。 -
8:20頃、ローガンパスに到着。
トレイルの途中にトイレは「グラニット・パーク・シャレー」という山小屋の1箇所。
出発前にここでトイレを済ませておいた方が良い。 -
ローガンパスの駐車場にビッグホーンシープが数匹現れた。
できればトレイル上で出会いたかったが、残念ながらこのあと彼らに会うことはなかった。 -
「ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード」を横切り、「ハイライン・トレイル」のトレイルヘッドへ。
-
「ハイライン・トレイル」の案内図。
「グリンネル・グレイシャー・オーバールック」まで7.6マイル(12.2km)。
「ザ・ループ」まで11.6マイル(18.7km)。
現在地の標高6646フィート(2026m)
グリンネル・グレイシャー・オーバールックの標高7520フィート(2292m)
ザ・ループの標高4297フィート(1310m)
現在地〜グリンネル・グレイシャー・オーバールックの標高差は266mの上り。
現在地〜ザ・ループの標高差は716mの下りとなる。 -
8:40頃、いよいよスタート。
序盤は平坦なトレイルを行く。
雲ひとつない快晴。
気温もちょうど良く、絶好のコンディション。 -
5分ほど歩くと、崖の中腹のトレイルとなる。
トレイルの数十m下を「ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード」が走っている。
西斜面を北に歩いて行くので、午前中は日影の中を歩く。 -
50mくらい先を、シャトルバスの中でアドバイスしてもらったお父さんのファミリーが歩いて行く。
ちょうど良いペースメーカーなので、彼らにつかず離れずでついて行く。
トレイルから転落するとただでは済まないが、意外と恐怖感はない。 -
残雪も見られるが、今のところトレイル上には雪はない。
-
グレイシャーを代表する花「ベアグラス」。
クマの多い地域によく咲くそうだ。
葉はマウンテンゴート、花はエルクやビッグホーンシープが食べるという。 -
イチオシ
振り返ると、右にマウント・オベーリン、左にレイノルズ・マウンテンが見える。
「ハイライン・トレイル」はほぼフラット、「ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード」は下りになっているので、その標高差は徐々に大きくなっていく。 -
中央にマウント・オベーリン、右にマウント・キャンノン、左にクレメンツ・マウンテンが少し見えている。
午前中は順光となるのできれいに見える。 -
「ガーデン・ウォール」の急峻な崖下のフラットなトレイルを行く。
前半は極めてイージーなコースだ。 -
「ガーデン・ウォール」の斜面がやや緩やかになってきた。
「ガーデン・ウォール」は北アメリカ大陸を二分する「大陸分水嶺」となっている。
こちらの西側に降る雨は最終的に太平洋に流れて行くが、「ガーデン・ウォール」の東側に降る雨は最終的に大西洋の北部ハドソン湾に流れて行く。
いわば北アメリカ大陸の背骨ともいうべき山脈である。 -
「ガーデン・ウォール」の中でも最高峰となる「マウント・グールド」が見えてきた。
-
歩き始めて1時間30分弱の10:00過ぎ頃、休憩に良さそうな岩場に到着。
前を歩いていたあのファミリーが休憩をしているが、私はそのまま前進することにした。 -
すぐにヘイスタック・ビュートというところに差し掛かり、「ハイライン・トレイル」本線の唯一の少し長い上りとなる。
途中でうろちょろしていたリスをカメラで追っかけていたら、再びあのファミリーに先を越されてしまった。 -
別に急ぐ必要もなく、グレイシャーリリーなど撮りながらマイペースで歩いて行く。
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上りきったあたりで、今日初めて雪の上のトレイルを歩くことになった。
-
その後やや平坦なトレイルとなり、西方向に連山が広がる。
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イチオシ
残雪の山々を眺めながら快適なハイクが続く。
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トレイルも変化があって実に楽しい。
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イチオシ
山々をバックにベアグラスが映える。
-
時々マーモットが顔を見せる。
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スタートしてから3時間30分ほど経過した12:10頃、6.8マイル(10.9km)地点の分岐点に到着。
ここから「グリンネル・グレイシャー・オーバールック」に至る「グリンネル・ウォール・トレイル」が枝分かれしている。
距離は0.6マイル(1.0km)と長くはないが、この間標高差300mを上るといわれる。
フォートラの諸先輩方の旅行記によると、この上りがかなりくせものなのだそうだ。
ここを上る前に持参したランチでエネルギーチャージしておこう。 -
先ほどまで前を歩いていたあのファミリーは、このトレイルはパスして「ハイライン・トレイル」を行ってしまった。
しかし「グリンネル・グレイシャー・オーバールック」をめざす人は少なくない。
5〜6分登って1〜2分休憩するという、インターバルトレーニングみたいなハイクが続く。 -
右手の風景に励まされながらひたすら登る。
-
いよいよ「ガーデン・ウォール」の東側斜面の一部が見えてきた。
オーバールックはもう目の前。
心踊る瞬間だ。 -
目の前に白一面のグリンネル氷河が広がる。
13:00過ぎ、分岐から登り始めて45分後のことだった。 -
ここは「ガーデン・ウォール」が少し低くなった肩の部分(コル)になる。
足元から雪で覆われた部分が写真では緩やかに見えるかもしれないが、ほぼ断崖絶壁だ。
白い中にわずかに見える青い部分が「アッパー・グリンネル・レイク」で、トレイルマップの等高線で見る限りはここからの標高差は300mくらいあるようだ。
その中間の台地に「サラマンダー」と呼ばれる氷河がある。 -
イチオシ
コルから北側にもう少し登ってみた。
今まさに北アメリカ大陸の「大陸分水嶺」に立っている。
ここに降る雨は僅かなずれで太平洋か大西洋か行き先が分かれてしまうのである。
今まで見た中でも5本の指に数えられる絶景だ。
写真ではこの臨場感が伝えきれないのが残念だ。 -
「アッパー・グリンネル・レイク」
「メニーグレイシャー」からこの「アッパー・グリンネル・レイク」へのトレイルもグレイシャー国立公園内で最も人気の高いコースで、3日後の予定に組み込んでいる。
たくさんのハイカーが「アッパー・グリンネル・レイク」周辺にいるはずだが、私の視力では確認できない。 -
正面に見えるのが「マウント・グールド」.
東側はほとんど垂直に近い急勾配で氷河まで落ち込んでいる。 -
グリンネル氷河の規模は小さい。
地球温暖化の影響で近い将来消滅するといわれている。 -
近い将来、この景色は過去のものになってしまう運命なのか・・・
-
ここでもお気に入りのジオラマで撮ってみる。
-
太平洋側の流域となる西側には、谷の彼方に「レイク・マクドナルド」が見えている。
-
こんな「大陸分水嶺にもマーモットが生息している。
-
ぽっちゃりした割には軽快に動き回る。
断崖絶壁の彼方に消えて行った。 -
コルの上は非常に風が強い。
こんなに穏やかな天候でも風の通り道になっていて吹き飛ばされそうになる。
そういう環境でも花をつける植物がある。
ただ、非常に丈が短く、苔類のように岩にへばりついているような感じだ。 -
かれこれ40分近くグリンネル・グレイシャー・オーバールックで過ごしてしまった。
そろそろ下山することにした。 -
さすがに下りは休憩することもなく30分程度で分岐まで戻って来たが、意外と下りもひざに負担がかかる。
14:10頃、分岐点に到着するとすぐに「グラニット・パーク・シャレー」に向けて再び「ハイライン・トレイル」を先に進んだ。 -
「ハイライン・トレイル」はこの区間もほぼフラットで歩きやすい。
青紫の花の群生が見られたが、花の名前がわからない。 -
分岐点から「グラニット・パーク・シャレー」までは意外と近かった。
「ハイライン・トレイル」の途中で唯一トイレの設備がある。 -
「グラニット・パーク・シャレー」は、アメリカの国立公園内では珍しいとされる宿泊可能な山小屋だという。
-
「グラニット・パーク・シャレー」から「ウォール・ガーデン」を振り返る。
よく見ると、ハイライン・トレイルとグリンネル・グレイシャー・オーバールックに登って行くグリンネル・ウォール・トレイルが確認できる。 -
「グラニット・パーク・シャレー」から見るパノラマ。
-
14:50頃、「グラニット・パーク・シャレー」を出発。
正面の雪山は、おそらく標高2739mの「ヘブンズ・ピーク」。 -
倒木とベアグラス。
-
「グラニット・パーク・シャレー」からは下りが延々と続く。
実は最初、グリンネル・グレイシャー・オーバールックに登った後、ザ・ループに下りて行くこちらのコースではなく、分岐からハイライン・トレイルをローガンパスに向かって戻るコースを考えていた。
というのは「地球の歩き方」に、「ザ・ループの乗り場では終日1台2人しか乗車できない(2012年の場合)」という記載があったからである。
今年もこのルールが残っているならザ・ループから乗車する人が多ければ、シャトルバスでローガンパスに戻れない可能性があることになる。
しかし、朝のシャトルバスで質問したあのファミリーのお父さんにはザ・ループに下りるルートを進められた。
よく考えると、ザ・ループはローガンパスのひとつ手前のバス停なので、ローガンパス行きのバスに空席がある限り乗車を2人に限定する意味がないはずである。 -
というわけで、ザ・ループに下りるコースを例によって時々花など撮りながら歩いた。
花の名前も例によってわからず。 -
マウント・オベーリンやクレメンツ・マウンテンが、ガーデン・ウォールを歩いていた時とは違ったアングルで見えている。
-
標高が低くなってくると高木が増えるが、このあたりは何年か前に山火事になったようだ。
グレイシャー国立公園が成立した1910年以来、最も多くの地域を全焼した火災が2003年におこり、公園の136,000エーカー(550 km2)が焼けたという。
ここもその時焼けたのかもしれない。
落雷などが原因で山火事が起こることは生態系として自然であるという。
自然火災は早期に消火するのではなく、火災を鎮圧させるかどうかは人の安全と建築物を脅かす規模や脅威であるかどうかによって決めるのだという。 -
「グラニット・パーク・シャレー」を出発して1時間40分後の16:30頃、ようやく「ザ・ループ」が見えた。
前を歩くハイカーの一人はグリンネル・ウォール・トレイルを登る時に出会った東洋系アメリカ人の女性だった。
もう一人の男性はそのお父さんではないかと思われた。
その男性は今日歩いたルートを私に聞いて、「グッドジョブ」とたたえてくれた。 -
ザ・ループのバス停には数人のハイカーが待っていた。
しかしそれらのハイカーは皆、ローガンパス方向ではなくレイク・マクドナルド方向へ行くようだった。
というわけで、16:50頃のシャトルバスに乗ってローガンパスに向かうことができた。
「ザ・ループでシャトルバスに乗ることができるのか?」という心配は杞憂に終わった。 -
「ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード」をローガンパスに向かって走る。
「太陽へ続く道」略してGTTSは、グレイシャー国立公園を横断する観光道路。
完成は1932年。
変化のある車窓の風景は飽きることがない。 -
難工事だったことをうかがわせる「トリプル・アーチーズ」。
道路拡幅は困難でシャトルバスも小型というわけだ。 -
ローガンパスの近くで「ガーデン・ウォール」を振り返る。
午前中日影だった斜面はすっかり日当たり良好となっている。
こんな斜面をひたすら歩いて行ったのだなと改めて感慨深くなる。 -
ローガンパスに到着すると、ビジターセンターで天気予報を確認した。
セントメリーの天気は木金は良さそうな感じだが、明日水曜日が「Severe Thunderstorms」となっている。
それって「激しい雷雨?」
60%は降水確率か?
どうやら明日の天候は期待薄のようだ。 -
今日は予定通り「ハイライン・トレイル」と「グリンネル・ウォール・トレイル」の計20km以上の行程を歩いた。
「ハイライン・トレイル」を歩きながら眺める、移りゆく景色も素晴らしかったが、やはり圧巻は「グリンネル・グレイシャー・オーバールック」から見下ろす「グリンネル・グレイシャー」の絶景だろう。
北アメリカ大陸の流域を二分する「大陸分水嶺」に立っていると思うと感慨もひとしおだった。
「グラニット・パーク・シャレー」から「ザ・ループ」に至る長い下りが終盤こたえたが、グレイシャー国立公園を代表するデイハイクコースといわれるだけの魅力を十分に堪能できた。
このローガンパスからの風景を見るのもこれが最後だろう。
昨日に続いて今日も最高の1日だった。
この満足な1日に何の名残も残さず、17:40発のシャトルバスでセントメリーへと帰途についた。
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この旅行記へのコメント (4)
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- はなかみno王子さん 2013/08/25 09:49:06
- 思う存分快適なトレイル!!
- キートンさま
何度かこのグレーシャー旅行記を拝見させていただいてます。
おうじも2008年9月にいくつかのトレイルを歩き廻りましたので、当時の景色と重ね合わせて楽しく思い出すことができました。
http://4travel.jp/traveler/prince_of_hanakami/album/10277108/
7月と9月、残雪の量に差がありますね。。
おうじ
- キートンさん からの返信 2013/08/25 10:41:20
- RE: 思う存分快適なトレイル!!
- こんにちは、はなかみno王子さん。
書き込みありがとうございます。
王子さんのグレイシャー旅行記、何度も拝見しましたよ。
グレイシャー国立公園はフォートラの旅行記を見ていなかったら、おそらく行くことはなかったと思います。
今回はヨセミテともう1箇所どこか国立公園を加えたいなと思っていたところ、諸先輩方のグレイシャー旅行記を拝見して、「ここは行ってみなければ!」と思いました。
この判断が大正解で、天候にも恵まれ最高の5日間でした。
ヨセミテには初夏に行きたかったのでこの時期になったのですが、グレイシャーではいい感じで残雪があって良かったです。
本当にグレイシャーは快適なトレイルばかりでした。
では、また。
キートン
-
- ぴろろんさん 2013/08/16 16:12:08
- やはり素晴らしいトレイルです
- キートンさん、こんにちは。
一気に旅行記を読み終えました。やはりハイライントレイルは素晴らしいですね。そして好天に恵まれ、本当に良かったですね。
私はグリネル氷河のオーバールックには行かなかった(連れの体力に自信がなく…)ので、ちょっぴり羨ましいです。
下りのループまでのコースは意外と大変ではなかったですか?私は暑さと下りの連続で結構膝にこたえましたよ。
次の旅行記も楽しみにしています。
ぴろろん
- キートンさん からの返信 2013/08/16 19:13:48
- RE: やはり素晴らしいトレイルです
- こんばんは、ぴろろんさん。
毎度書き込みありがとうございます。
ハイライン・トレイルは結構期待してましたが、その期待を裏切られることは全くなかったですね。
諸先輩方の旅行記を拝見して、グリンネル・グレイシャー・オーバールックには絶対登りたいと思っていました。
確かにその登りのきつさは半端なかったですが、オーバールックからの絶景はそんな苦労を一瞬で忘れさせてくれました。
苦労して登ったからこそ、その景色がより感動的に感じたのかもしれません。
グラニット・パーク・シャレーからザ・ループまでの下りは、私もとても長く感じましたよ。
疲れが溜まってきた時の長い下りって、想像以上にダメージを受けますよね。
グレイシャー国立公園の旅行記も残り3日分となりましたが、がんばってアップします。
では、また。
キートン
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