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(芭蕉像、看板に奥の細道最北の地とある)<br /><br />(象潟(きさがた)<br />鶴岡から船で坂田(現酒田市)へ七里、<br />酒田は、米、大豆、紅花などを出荷して、<br />塩、木綿、木材などを入荷する。<br />四〜11月までの間に2,500艘の船が出入した港と言う。<br />大商業地であったらしく、<br />芭蕉も歓待されたのであろう、<br />滞在途中、酒田から象潟へ向かい、<br />九十九島、八十八潟を眺めて、<br />四日後には酒田に戻り、<br />酒田には実質九日間も逗留している。<br /><br />その象潟へボクも尋ねた。<br /><br />

象潟?蚶満寺(かんまんじ)(芭蕉の道を歩く 32)

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2012/08/19 - 2012/08/21

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hide-bach

hide-bachさん

(芭蕉像、看板に奥の細道最北の地とある)

(象潟(きさがた)
鶴岡から船で坂田(現酒田市)へ七里、
酒田は、米、大豆、紅花などを出荷して、
塩、木綿、木材などを入荷する。
四〜11月までの間に2,500艘の船が出入した港と言う。
大商業地であったらしく、
芭蕉も歓待されたのであろう、
滞在途中、酒田から象潟へ向かい、
九十九島、八十八潟を眺めて、
四日後には酒田に戻り、
酒田には実質九日間も逗留している。

その象潟へボクも尋ねた。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
観光バス 新幹線 JRローカル 徒歩
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)
利用旅行会社
JTB

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  • 芭蕉の頃は、仙台の松島に似て、<br />海に点々と浮ぶ美しい小島であったに違いない、<br />九十九島、八十八潟と言われる海に浮ぶ島々は、<br />今は稲穂がたれる田圃の中の小山に過ぎない。<br /><br />(象潟九十九島の一部)<br />

    芭蕉の頃は、仙台の松島に似て、
    海に点々と浮ぶ美しい小島であったに違いない、
    九十九島、八十八潟と言われる海に浮ぶ島々は、
    今は稲穂がたれる田圃の中の小山に過ぎない。

    (象潟九十九島の一部)

  • しかし芭蕉は、象潟で船に乗り象潟の島々を眺め、 <br />蚶満寺(かんまんじ)を訪ねている。 <br />その蚶満寺で船を止め上陸し、 <br />西行法師が詠んだ桜の老木を見て、 <br />蚶満寺の方丈に座り簾を上げて風景を眺めている。 <br /><br />(奥の細道蚶満寺) <br />(南に鳥海山が聳え、西にはうやむやの関が道を塞ぎ、 <br />東には堤が築かれて、秋田への道が続いている。 <br />北には海があり、その面影は、 <br />点々と島がある松島に似ているようであるが、 <br />似て非なるもののようである。) <br />(ボクの勝手な現代語訳) <br />と感想を述べている。 <br /><br />「奥の細道」の原文では、 <br /><br />松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし。 <br />寂しさに悲しみをくわえて、 <br />地勢魂をなやますに似たり。 <br /><br />(松島は笑顔をたたえた様であるが、 <br />象潟の有様は、憂いに沈む美人の風情である。) <br />(岩波文庫「おくのほそ道」注記より)

    しかし芭蕉は、象潟で船に乗り象潟の島々を眺め、
    蚶満寺(かんまんじ)を訪ねている。
    その蚶満寺で船を止め上陸し、
    西行法師が詠んだ桜の老木を見て、
    蚶満寺の方丈に座り簾を上げて風景を眺めている。

    (奥の細道蚶満寺)
    (南に鳥海山が聳え、西にはうやむやの関が道を塞ぎ、
    東には堤が築かれて、秋田への道が続いている。
    北には海があり、その面影は、
    点々と島がある松島に似ているようであるが、
    似て非なるもののようである。)
    (ボクの勝手な現代語訳)
    と感想を述べている。

    「奥の細道」の原文では、

    松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし。
    寂しさに悲しみをくわえて、
    地勢魂をなやますに似たり。

    (松島は笑顔をたたえた様であるが、
    象潟の有様は、憂いに沈む美人の風情である。)
    (岩波文庫「おくのほそ道」注記より)

  • <br />(西施像)<br />「象潟や雨に西施がねぶの花」 <br />「汐越や鶴はぎぬれて海涼し」 <br /><br />と詠んでいる。 <br /><br /><br />西施とねぶの花については、<br /><br />いずれも名前は知っていても、<br />さて、どんな人、どんな花と聞かれると、<br />説明が出来ない。<br /><br />「西施(せいし)」について、<br />絶世の美女と言われるが、世界三大美女の中には入っていない。<br />入っているのは「楊貴妃、クレオパトラ、小野小町」となっている。<br /><br />美女というと、その容姿は時代によって左右されるから、<br />何とも言えないが、<br />切れ長の目でうりざね顔の柳腰が美女の時代、<br />おたふくで代表される美女の時代もあったに違いない。<br />今はAKB48に代表される美女群がちやほやされる時代である。<br /><br />「楊貴妃」もその時代の肖像では、<br />でっぷり太ったふくよかな女性というから、<br />美人の定義も今とは違っている。<br /><br />さて、その「西施」であるが、<br />これもその時代の美女であったことには、<br />間違い無さそうである。<br /><br />「呉越同舟」で表現される、<br />「呉」と「越」の国が争っている時代の事である。<br /><br />越王 勾践が、呉王 夫差に、復讐のための策謀として献上した美女、<br />西施と言う名の美女がいた。<br />貧しい薪売りの娘として産まれた西施は、<br />谷川で洗濯をしている姿を見出されたといわれている。<br />呉の国に送り込まれた西施に、呉の国王夫差は夢中になり、<br />呉の国は弱体化し、ついに越に滅ぼされることになる。<br />中国では美女の事を「傾城(けいせい)」ともよぶ。<br />(傾城=美女にかまけて国の運営をないがしろにし、城を傾けるから。)<br />西施は胸の病があったらしく、<br />彼女が胸元を押さえ、眉間にしわを寄せ悩む姿にはなんともなまめかしく、<br />か弱い女性の美しさがにじみ出ていたという。<br /><br />西施にも弱点があったとされる。<br />それは大根足であったとされ、<br />常にすその長い衣が欠かせなかったといわれている。<br />しかし、この当時は大根足が美女の条件であったかもしれない。<br /><br />西施を知らなければ、芭蕉の句を理解できない。<br /><br />「象潟や 雨に西施が ねぶの花」<br />


    (西施像)
    「象潟や雨に西施がねぶの花」
    「汐越や鶴はぎぬれて海涼し」

    と詠んでいる。


    西施とねぶの花については、

    いずれも名前は知っていても、
    さて、どんな人、どんな花と聞かれると、
    説明が出来ない。

    「西施(せいし)」について、
    絶世の美女と言われるが、世界三大美女の中には入っていない。
    入っているのは「楊貴妃、クレオパトラ、小野小町」となっている。

    美女というと、その容姿は時代によって左右されるから、
    何とも言えないが、
    切れ長の目でうりざね顔の柳腰が美女の時代、
    おたふくで代表される美女の時代もあったに違いない。
    今はAKB48に代表される美女群がちやほやされる時代である。

    「楊貴妃」もその時代の肖像では、
    でっぷり太ったふくよかな女性というから、
    美人の定義も今とは違っている。

    さて、その「西施」であるが、
    これもその時代の美女であったことには、
    間違い無さそうである。

    「呉越同舟」で表現される、
    「呉」と「越」の国が争っている時代の事である。

    越王 勾践が、呉王 夫差に、復讐のための策謀として献上した美女、
    西施と言う名の美女がいた。
    貧しい薪売りの娘として産まれた西施は、
    谷川で洗濯をしている姿を見出されたといわれている。
    呉の国に送り込まれた西施に、呉の国王夫差は夢中になり、
    呉の国は弱体化し、ついに越に滅ぼされることになる。
    中国では美女の事を「傾城(けいせい)」ともよぶ。
    (傾城=美女にかまけて国の運営をないがしろにし、城を傾けるから。)
    西施は胸の病があったらしく、
    彼女が胸元を押さえ、眉間にしわを寄せ悩む姿にはなんともなまめかしく、
    か弱い女性の美しさがにじみ出ていたという。

    西施にも弱点があったとされる。
    それは大根足であったとされ、
    常にすその長い衣が欠かせなかったといわれている。
    しかし、この当時は大根足が美女の条件であったかもしれない。

    西施を知らなければ、芭蕉の句を理解できない。

    「象潟や 雨に西施が ねぶの花」

  • (ねぶの木) <br />「奥の細道」の原文に、芭蕉は、<br /><br />&lt;strong&gt;「面影松島にかよひて、又異なり。<br />松島は笑うが如く、象潟はうらむがごとし」&lt;/strong&gt;<br /><br />と言っているが、<br />美女西施の悩める姿と合歓の花を混ぜ合わせて、<br />雨にけむる象潟を表現したかったものと思われる。<br /><br />岩波文庫「おくのほそ道」の注記によれば、<br />芭蕉のこの俳句の意を次のように解説している。<br /><br />(雨にけぶる象潟は、<br /> 悩める美女西施を思わせる、<br /> 合歓の花の風情と通い合い、<br /> 美しくもさびしさを深めている。)<br /><br />そして次が「ねぶの花」である。<br />「ねぶの花」は「合歓の花」のことであるが、<br />合歓の木は、夕方から夜の間は葉が閉じることから、<br />ねむる木と言われ、それが「ねむの木」と呼ぶ事になったという。<br /><br />この木を実際には見たこともなく、<br />象潟の西施像の前にあった合歓の木でしか知らない。<br />まして花はどんな花かボクは知らない。<br />

    (ねぶの木)
    「奥の細道」の原文に、芭蕉は、

    <strong>「面影松島にかよひて、又異なり。
    松島は笑うが如く、象潟はうらむがごとし」</strong>

    と言っているが、
    美女西施の悩める姿と合歓の花を混ぜ合わせて、
    雨にけむる象潟を表現したかったものと思われる。

    岩波文庫「おくのほそ道」の注記によれば、
    芭蕉のこの俳句の意を次のように解説している。

    (雨にけぶる象潟は、
     悩める美女西施を思わせる、
     合歓の花の風情と通い合い、
     美しくもさびしさを深めている。)

    そして次が「ねぶの花」である。
    「ねぶの花」は「合歓の花」のことであるが、
    合歓の木は、夕方から夜の間は葉が閉じることから、
    ねむる木と言われ、それが「ねむの木」と呼ぶ事になったという。

    この木を実際には見たこともなく、
    象潟の西施像の前にあった合歓の木でしか知らない。
    まして花はどんな花かボクは知らない。

  • <br />さて、蚶満寺には松並木に囲まれたひなびた参道があり、 <br />左手は一面の緑の稲穂の中に象潟の島々がみえ、 <br />参道右手には芭蕉像と句碑、 <br />造ったばかりに感じられる西施像がある。 <br /><br />(ひなびた長い参道) <br />


    さて、蚶満寺には松並木に囲まれたひなびた参道があり、
    左手は一面の緑の稲穂の中に象潟の島々がみえ、
    参道右手には芭蕉像と句碑、
    造ったばかりに感じられる西施像がある。

    (ひなびた長い参道)

  • (左手の島々) <br />

    (左手の島々)

  • (芭蕉像) <br />

    (芭蕉像)

  • ながい参道の突き当たりに、 <br />古色蒼然とした佇まいの山門があり、 <br />その先に六地蔵が出迎えて、 <br />赤い帽子と前掛けをつけて建っている。 <br />本堂へはうっそうとした木立の中を抜けていかなければならない。 <br /><br />(古色蒼然とした山門) <br />

    ながい参道の突き当たりに、
    古色蒼然とした佇まいの山門があり、
    その先に六地蔵が出迎えて、
    赤い帽子と前掛けをつけて建っている。
    本堂へはうっそうとした木立の中を抜けていかなければならない。

    (古色蒼然とした山門)

  • (林がかぶさるような本堂への道) <br />

    (林がかぶさるような本堂への道)

  • (六地蔵) <br />

    (六地蔵)

  • すぐ目の前に鐘楼があり、手前に芭蕉の木が目に入る。 <br />芭蕉があるということは、 <br />東北とは言え、このあたりは温暖なのであろう。 <br />左手に本堂が見える。 <br /><br />(鐘楼前の芭蕉の木)

    すぐ目の前に鐘楼があり、手前に芭蕉の木が目に入る。
    芭蕉があるということは、
    東北とは言え、このあたりは温暖なのであろう。
    左手に本堂が見える。

    (鐘楼前の芭蕉の木)

  • (本堂) <br />

    (本堂)

  • 本堂左横を潜り抜けると、裏庭に通じており、 <br />西行が歌を詠んだ桜の木(何代目かの若木)と歌碑が左手にあり、 <br /><br />・きさかたの桜は波にうずもれて <br />         花の上漕ぐ海士(あま)のつり舟 <br /><br />とある。 <br /><br /><br /><br />(西行の歌桜) <br />

    本堂左横を潜り抜けると、裏庭に通じており、
    西行が歌を詠んだ桜の木(何代目かの若木)と歌碑が左手にあり、

    ・きさかたの桜は波にうずもれて
             花の上漕ぐ海士(あま)のつり舟

    とある。



    (西行の歌桜)

  • その手前に芭蕉が船から降りた「舟つなぎ石」があり、 <br />イヌクスの大木が枝を広げ、 <br />右手は盛り上がった小山があり芭蕉句碑が置かれている。 <br /><br />(芭蕉句碑) <br />芭蕉句碑には、 <br /><br />・象潟の雨に西施がねぶの里 <br /><br />と初案の句が刻まれている。 <br /><br />

    その手前に芭蕉が船から降りた「舟つなぎ石」があり、
    イヌクスの大木が枝を広げ、
    右手は盛り上がった小山があり芭蕉句碑が置かれている。

    (芭蕉句碑)
    芭蕉句碑には、

    ・象潟の雨に西施がねぶの里

    と初案の句が刻まれている。

  •  <br />(舟つなぎ石)


    (舟つなぎ石)

  • (イヌクスの木) <br />

    (イヌクスの木)

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