2012/02/04 - 2012/02/26
16位(同エリア142件中)
Katsyさん
- KatsyさんTOP
- 旅行記22冊
- クチコミ1件
- Q&A回答4件
- 162,495アクセス
- フォロワー22人
南極…極地に広がる氷の大陸。
地球上で最も過酷な厳寒の大地。
そんな南極の特殊で厳しい環境は、人類を初め多くの生物を寄せ付けなかった。
しかし、だからこそそこには人類が住むことを許されない状況の中で育まれてきた手付かずの大自然があった!
酷寒ながらも南極の環境に適応して生活している現地の生き物たちの姿は生命力の象徴ともいえる。
小生は何とかして、その野生の姿をカメラに収めたかった。
そんなわけで、長年の念願だった南極クルーズにようやく参加してみた。
今回のクルーズでは、南極半島周辺だけでなくフォークランド諸島やサウスジョージア島など、亜南極地域の島々も巡りながら徐々に秘境・南極へと近づいていく冒険心を体感できた。
まさに地球上で最後の秘境と呼ぶに相応しい南極地方を訪れて、陸と海で撮影した野生の仲間たち…
そのときの写真を、当方のホームページ「アニマル・ワールド」で公開中!
アドレス http://animalworld.starfree.jp/ からトップページを開いて、“世界の動物たち”をクリック、世界地図上の⑯または、右ウィンドウの亜南極・南極地方をクリックして亜南極・南極地方のページを開いてお楽しみください。
この旅行記では、クルーズ中の様子とクルーズの前半で立ち寄ったフォークランド諸島の情景などを時系列でリポートします。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 100万円以上
- 航空会社
- デルタ航空
- 旅行の手配内容
- その他
PR
-
今回の南極クルーズ19日間の行程地図を表記したチャート。
まずは左上の南米大陸ウシュアイアからビーグル水道を抜けて、中央上部のフォークランド諸島へと向かう。 -
ウシュアイアの観光桟橋から今回予約したクルーズ船のアカデミック・アイオフィー号に乗船する。
-
アカデミック・アイオフィー号は全長117.04メートル、全幅18.28メートルで総トン数が6.450トン。
客室数55部屋で乗客定員は109名の比較的コンパクトな客船。 -
そして、ロシア船籍の耐氷客船。
-
小生のキャビンは、トリプル(3人部屋)。
シャワーやトイレなどは室外の施設共用。
南極クルーズは特殊なツアーに分類されるせいか、通常のロッジなどに比べて部屋代も高くつくので、一番エコノミーなトリプルを選択した。
ただ、それにしても狭い!
しかしこんな部屋でも、今回のクルーズは今までの小生の旅の中で一番高額なツアーだった。
小生専用のスペースは2段ベッドの上段。
とにかく、20日間あまりの我慢である。 -
船内エントランス付近にあるフロントデスク。
-
船内の通路。
船は度々ひどい揺れに見舞われるので、通路にはいたるところに手すりが設けられている。
手すりは、濡れたコートなどをかけておくのにも重宝する。 -
船の揺れ対策としては、ダイニングルームの椅子も丈夫なチェーンで床に固定されている。
-
船内の掲示板。
その日ごとの予定や前日の出来事など、壁新聞ニュース仕立てで貼り出している。
その他、ランチやディナーのメニューなども掲示してある。 -
また、船内の別の場所にはエクスペディションスタッフの紹介掲示板も貼られている。
スタッフの顔と人物などをいち早く乗客に覚えてもらって親しんでもらおうという狙い。 -
この、アカデミック・アイオフィー号のクルーズの特徴の一つは、日本人乗客をサポートするために日本人コーディネーターが乗船しているということ。
これは、その日本人スタッフ・イトオカさんのプロフィール。 -
乗船して真っ先に行われるイベントは、緊急時の避難訓練。
乗客全員キャビンの備え付けの救命胴衣を装着し、救命ボートへと集合する。
船の旅は、とにかく安全第一である。 -
船の屋内で一番見晴らしのいいブリッジ(操舵室)。
乗客をもてなすエクスペディションスタッフたちは国籍も様々だが、実際に船を動かすクルーたちはすべてロシア人。 -
操縦パネルを操作するクルーの手元。
-
船の正確な位置関係をモニターする画面。
-
ブリッジの後方奥には、海図を広げておくスペースもある。
-
船外に出てみると、屋上には通信に欠かせないレーダー棟等が配置されている。
-
フォワードデッキはブリッジよりも海面に近く、海鳥やイルカ類等を観察するには最適の場所。
晴天時はバードウォッチングをしに出てきた乗客で賑わった。
小生もクルーズ中は、よくブリッジとフォワードデッキを行き来したものだ。 -
ウシュアイアを出港した船は、ビーグル水道を通過してフォークランド諸島へ…
実は今回のクルーズでは、出港直後に船内に急病人がでたために船は一度ウシュアイアに引き返してから再度出港となった。
クルーズ中に現れた虹。
急病人のために行程が遅れてしまったことは仕方ないが、航海の無事と順調な天候など、いいことがありますように… -
ウシュアイアからフォークランド諸島までの行程は4日間ほど。
中2日はずっと洋上をクルーズしていることになる。
上陸のないクルーズのみの日は、乗客たちも退屈しがちになる。
そこで、クルーズツアーでは乗客たちに楽しんでもらうための船内アトラクションがいくつか設けられている。
出港から3日目、レクチャールームでは写真のようなフラフープ教室も催された。 -
フラフープ教室の担当とインストラクターは、船内ただ一人の日本人スタッフ・イトオカさん。
-
フラフープはイトオカさんの最も得意とするスキル。
オーストラリア仕込の技で、自在にフープを操る。 -
-
船内ではとかく運動不足に陥りがち。
たまにはストレス解消を兼ねて、フラフープなどで体を動かすのもいいかも… -
イトオカさんのフープさばきに刺激されたか、乗客の中にも一度に2つ3つ回す猛者が…!
-
フラフープを通じて、世界中から集まった乗客同士がいい汗をかいて触れ合えるなんて素敵である。
-
教材用のフープはすべてイトオカさんの自前。
クルーズアトラクションのために、全部日本から持ち込んだそうだ。
このレクチャールームでは、他にも夕食後に自然ドキュメンタリー映画の上映などが行われる。 -
4日目、いよいよ最初の目的地・フォークランド諸島が見えてきた。
-
フォークランド諸島は、南大西洋にあるイギリス領の島々。
そもそもマゼラン船団の一員として航海に参加していたポルトガル人の探検家、エステバン・ゴメスにより16世紀の初頭に発見されたとされているが、イギリス政府の主張では1592年にイギリスの探検家、ジョン・デイビスが諸島に到達し記録したことが起源であるということになってるようだ。
フォークランド諸島の名前は、この島々を1690年に航海したイギリスの船長、ジョン・ストロンが自分の航海を支援してくれたイギリス海軍のフォークランド子爵にちなんで命名した。
その後、18世紀になると植民地拡大をもくろむフランスとの間で領有権が争われ、イギリスはフランスから領有主張を譲り受けたスペインとの争いに敗れて一時は領有権を放棄した。
しかし、19世紀に入ると統治を開始したスペインも南アメリカ諸国の独立運動の影響で1811年には撤退せざるを得なくなった。
それからは、再び進出してきたイギリスと元の所有国であったスペインから独立したアルゼンチンとの間で領有が主張されたが、1833年にイギリスが諸島の無血占領に成功してからは永きに渡りイギリスの支配下に置かれる。
ところが、1982年に内政に行き詰ったアルゼンチン政権がフォークランド諸島の領有権を主張し始め占拠したことが発端となり、イギリスとの間でフォークランド紛争(マルビナス戦争)が勃発!
イギリスは、紛争開始から2ヵ月後には諸島を奪還したが、その後も領有問題はスッキリとは解決していない状況が続いている。
この諸島は地理的には、東西の大きな2島を中心に776の小さな島から成り立っている。
ちなみにフォークランド諸島のアルゼンチン表記名はマルビナス諸島。
首都は人口およそ2000人のスタンレー(ポート・スタンレー)で、アルゼンチン的にスペイン語ではプエルト・アルヘンティーノ。 -
幸い天候も上々、上陸することになった。
アカデミック・アイオフィー号本船は沿岸近くまで寄せるには大きすぎるので、島までは写真のようなゾディアックという10人乗りほどのゴムボートでアプローチする。
-
アカデミック・アイオフィー号には上陸用のゾディアックが10隻ほど搭載されている。
ゾディアックは10人も乗るとやはりバランスが不安定になるので、事前にエクスペディションスタッフから搭乗中や乗り降りの際の注意事項などのレクチャーを受ける。 -
当日のフォークランド諸島での上陸予定では、まず午前中にウェストポイント島に上陸した。
この島は、イワトビペンギンとマユグロアホウドリの集団営巣地があることで知られている。
上陸地点からペンギンの営巣ポイントまではなだらかな丘を越えてトレッキング。
上陸に際しては、写真のような赤い上下の防寒服(ジャケットとズボン)と厚手のゴム長靴が、船から各乗客たち一人一人に貸し出される。 -
ウェストポイント島は、ご覧のような荒涼とした情景。
かつて訪れた、イギリス北辺のシェットランド諸島を思い出す。 -
フォークランド諸島は南大西洋の寒流の影響を受けた寒冷海洋性気候であり、年間通じて冷涼で風が強い。
写真の樹林も海側からの強風のため、風下方向に向かって伸びている。
この状況は、カナダのチャーチル郊外のタイガに似ている。 -
強い風を生かして、風力発電も(細々と)行われている?!
-
この島々では、風が強いのであまり高い木は生えない。
一面牧草地化されていて、羊や牛が放牧されている。 -
トレッキング中に見かけたキノコの一種。
フォークランド諸島は比較的降水量が少ない場所ではあるが… -
歩くこと40分ほど、ついに営巣ポイントに到着。
あたり一面、いたるところにペンギンやアホウドリが群れている。 -
しかも、彼らはほとんど人間を恐れないため、手に取れるぐらい近くからの観察や撮影ができる。
-
今回のサービスショット:その①
岩場で営巣するイワトビペンギンの群れ。
岩と岩の隙間などに巣を作るのが好都合な岩場は、海鳥たちにとって絶好の営巣場所。
マユグロアホウドリも混在しているのが一目でわかる。
共同で営巣しているのには、何か利点や理由があるのだろうか?
ちなみに写真ではお伝えできないが、この場所は彼らの糞尿のせいでかなり臭い(アンモニア臭)が強烈! -
今回のサービスショット:その②
岩場に立つイワトビペンギン。
やっぱりイワトビペンギンは、その名の通り岩の上にいる姿が絵になる。 -
今回のサービスショット:その③
茂みの中のイワトビペンギン。
イワトビペンギンは、黄色い眉毛のような飾り羽に赤い目と嘴、ピンクの脚が特徴。
営巣地の周辺には、写真のようなやや丈のある草が点在して密生しているので、南極半島やサウスシェットランド諸島で撮ったペンギンたちとはまた違う趣の写真になった。 -
今回のサービスショット:その④
マユグロアホウドリの雛。
幼いうちはグレーの綿毛に包まれている。
成鳥に見られる特徴的な目の周りのアイシャドウもまだない。
アホウドリ類は長距離飛行に適した抜群の飛行能力を持ち、繁殖期以外は主に海洋生の海鳥。
実際、クルーズ中もアカデミック・アイオフィー号のブリッジやフォワードデッキから頻繁に海上で見ることができた。 -
ペンギンやアホウドリが営巣している先には断崖絶壁と海が…
海からの風も強く、アホウドリの若鳥が巣立つにはいい環境かもしれない。
しかし反面、ペンギンの立場としては海で魚を捕って来て、雛のいる営巣地まで崖を上っていくのは大変だろうなあ。 -
やがて我々はイワトビペンギンとマユグロアホウドリの観察、撮影を終え、ひとまず船へと引き上げた。
ウェストポイント島の丘の上から撮った停泊中のアカデミック・アイオフィー号。 -
ウェストポイント島の上陸地点付近のロケーション。
いわゆる、砂浜のようなビーチではない。 -
上陸ポイントには画面左の機材倉庫のようなサポートハウスがあり、ゾディアック乗船時に必要なライフベストなどを一時的に預けられるようになっている。
-
さて、この日の予定では午後にもう一箇所の観察ポイント・カルカス島に上陸することになっていた。
船のブリッジから目的地のカルカス島が見えてきた。 -
早速ゾディアックに乗り換えてカルカス島へと向かう。
ゾディアックへは、母船のサイドから下ろされた梯子を降りて乗り込む。 -
カルカス島に上陸。
出迎えてくれたのは、マゼランペンギンたち。
フォークランド諸島には、イワトビペンギンとマゼランペンギンを含む5種類のペンギンが生息する。 -
カルカス島の上陸地点付近の海岸風景。
磯の岩場と牧草地、海岸生の低木林。
遠くに上陸したクルーズ客たちをもてなすゲストハウスの一部が見える。 -
海岸を散策中に見つけた奇抜で変った植物。
-
今までに見たこともない。
なので、種名などはよくわからない。 -
カルカス島の海岸からアカデミック・アイオフィー号を望む。
磯という環境は、魚の死骸など海からの有機物が集積しやすいせいか生態系が豊か。
海岸を散策中には、結構いろいろなものが撮れた。
カルカス島ではマゼランペンギンの他にも、フナガモやマゼランガンなどのガンカモ類、フォークランドカラカラやヒメコンドルなどの猛禽類、小鳥類などを撮影できた。
フォークランド諸島で撮影した野鳥の写真は、小生のホームページ「アニマル・ワールド」( http://animalworld.starfree.jp/ )の亜南極・南極地方編で公開中。
ぜひ見にきて下さい!!
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
Katsyさんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
54