2012/06/04 - 2012/06/05
242位(同エリア443件中)
極楽人さん
フランス国境に近い東のパンプローナから西端の聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラまで、『巡礼の道』(北の道)に沿って1週間の旅をしました。」
9世紀にキリスト12使徒の一人ヤコブの墓が発見されて以来ここを訪れる巡礼者が絶えず、今ではエルサレム・バチカンと並ぶキリスト教の三大聖地に数えられます。「サンチャゴ」は「聖(セント)ヤコブ」のスペイン名であり、「コンポステーラ」は「良き地」を意味するそうです。フランスでは「サン・ジャック」となり、映画(「サン・ジャックへの道」/2006仏)も話題になりました。長い長い『巡礼の道』の最終到達地です。
全体の行程:MADRID(1泊)~PAMPLONA(1泊)~SAN SEBASTIAN(通過)~BILBAO(1泊)~SANTANDER(通過)~SANTILLANA DEL MAR(1泊)~OBIEDO(通過)~LEON(1泊)~SANTIAGO DE COMPOSTELA(1泊)~SALAMANCA(1泊)~MADRID(1泊)の、7泊8日です。
- 交通手段
- 鉄道
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14:18 レオン駅を出発。
乗車前、ホームで日本からのご婦人3人と遭遇しました。スペイン語のサークルだそうで、「スペインは何度も来て慣れている」とのこと。目的地は一緒ですが、彼女たちは一等の車両へ、私は2等の車両へ納まりました。 -
列車は川沿いに敷かれた曲がりくねった線路を、右に行ったり左に行ったり蛇行を繰り返して進みます。サンチャゴまで延々6時間。これでは時間がかかるはずです。
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でも、1時間毎くらいに停車してくれます。
駅に着くたび、他の乗客や車掌さんとホームで煙草が吸えました。
列車は途中駅(確か、Monforte de Lemos)で一度、スイッチバックします。 -
この地域のことを、根拠なく“荒涼とした原野”と想像していました。
実際は緑豊かな平原でした。
走行中、後方から「開けて〜!!」と日本語の悲痛な叫び声。先ほどのご婦人が車内トイレに閉じ込められたようです。ドアは内部のホタン押下で開くのですが・・・ 思わず目を閉じて寝たふりをしました。 -
20:00 感心なことに、列車は定刻に到着しました。
サンチャゴの鉄道駅は道路から一段低い場所。正面の階段を上った先から新市街が、その先に旧市街が広がっています。
(「サンティアゴ」と記すところを、面倒なので「サンチャゴ」で通します。) -
私は先ず、荷物を置きに宿へ向かいます。
駅前の道を左に折れて、そのまま道なりに右方向へ上ってゆきます。
予約はしていませんが、日本で良さそうな宿を調べてきています。 -
宿は『MEXICO PR』。派手そうな名前に若干抵抗がありましたが、駅近、低価格、喫煙可と必要な条件を備えています。
青い看板、宿はエレベータの4階がフロントです。
部屋は充分空いていました。 -
朝食ナシで30ユーロ。
朝食は提携する隣のバルでとれます。(4ユーロ)
フロント横に、快適なソファのロビーがあります。
旧市街にも近く、WiFi無料です。 -
午後8時半、街へ出ます。
日没まではまだ少し間がありますが、空模様の方が怪しくなってきました。
宿の坂を登りきって大通りを左折すると、繁華なガリシア広場。
(右折すると鉄道駅)
その先が旧市街の入口です。かつては7つあったという城門ですが、城壁も含めてほとんどが取り壊されてしまったようです。
街へたどり着いた巡礼姿の若者が、カテドラルへの道を探しています。 -
整然とした街並みは、地域特産の花崗岩でできています。
石畳の細い道、どこからか鳴り響く鐘の音が時間を千年前に戻します。
★ここからは、滞在した延べ2日間の写真が混在しています。 -
美しい街並みに、急ぎ足が止まります。
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こちらの路地は、白一色。
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先に進むと、思いきり古そうな町角。
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キンターナ広場のあたりですが、ガイドブックの簡単な地図では何だかよく分かりません。
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見当をつけて左に曲がり、右へ入ると・・・
ありました、これがカテドラル。究極の終着点です。
曇り空の下に聳える2本の尖塔。
黒々としたフォルムは、荘厳というよりどこか不気味にも感じます。
神と悪魔の違いが、よく分からなくなります。
現在のカテドラルは11〜13世紀に造られ、何度か増改築が繰り返されました。「スペイン・ロマネスクの傑作」と言われていますが、現在、正面のオブラドイル門は18世紀のバロック様式になっています。 -
表面が黒ずんでいるのはカビや苔によるもの、とか。
雨も湿気も多い土地の宿命でしょう。
精巧な造りが裏目に出ています。 -
カテドラルの前はオブラドイル広場。
長方形の残りの三方を、旧王立病院(現パラドール)や市庁舎、神学校の古い建物が囲んでいます。 -
旧王立病院(現パラドール)側から見たカテドラル。
尖塔の右側は回廊、左側は博物館になってるそうです。 -
正面階段を上がって、カテドラル内部に入りました。
『栄光の門』『ヤコブ像の柱』など、到着した巡礼者たちが祈りを捧げるというモニュメントを通り過ぎると、中央祭壇が見えてきます。 -
祭壇の上にあるのは巡礼装束のヤコブ像でしょう。
遺骸は、地下の礼拝室にある『銀の棺』で眠っているはずです。
9世紀、羊飼いが星の光に導かれてヤコブの墓を見つけたとき、その地に小さな聖堂が建てられました。
それがすべての始まりです。
「コンポステーラ」の語源を「星の野(Campus stellae)」とする俗説もあるそうです。 -
最盛期の12世紀には、欧州各地から年間50万人もの巡礼者を迎えたそうです。イスラム勢力への対抗もあったのでしょう、キリスト教国の国王はこぞって巡礼者の保護に努めました。
また、巡礼そのものが“贖罪”と考えられたこともブームを加熱したようです。
ちょうどミサが始まりました。
無宗教者は邪魔にならないよう、ほどなく退出しました。 -
カテドラルの階段の上から見た、広場の向かい側にあるラホイ宮殿。
18世紀に建てられた巨大なネオ・クラシック建築です。 -
現在はサンティアゴ市庁舎であり、
ガリシア地方の政府首長館として使われています。
小さな町ですが、ここは地域の「宗教の中心」であり、「政治の中心」であり、有数の大学町として「学問の中心」でもあります。 -
その長くて立派な回廊。
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回廊越しに見るカテドラル。
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広場のすぐ外側にも古い教会。
カテドラルと同時代のものと思われます。 -
天国の門(アサバチェリア門)
巡礼者は、昔はこの門からカテドラルに入ったそうです。
18世紀、ロマネスク様式のファサードは土台がバロック様式に、上部はネオクラシック様式建て替えられて現在に至っています。 -
広場には、あとから後から巡礼者たちが到着します。
朝から歩き続けた人、一ヶ月かけてきた人、皆さんお疲れのようです。 -
オブラドイル広場から東へ抜ける門。
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北へ抜ける門。
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北へ進む道は、左が大学、右がサン・マルティン・ピナりオ修道院。
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突き当たりに、何だか分からない彫刻。
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東の門を出ると、ヘルミレス宮殿?
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ガイドブックの小さな地図では限界があります。
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東の端まで行くと、旧市街が高台にあることが分かります。
一段低くなった町の彼方にも、ロマンチックな教会が建っていました。 -
そして隣に建つ市場。
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遺跡のような町に、にわかに生活の匂いが立ち込めます。
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社会科の学習か、見学に来た子供たち。
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お店はいろいろありました。
野菜に果物、肉にハム。鶏は無残な姿です。
キリスト教も、鳥や豚の救済までは手が回らないようで・・・ -
その横で、こんなものも売っていました。
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巡礼者が使う杖と、証のホタテの貝殻。
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ひょうたんは水筒です。
終着点で買っても遅いように思えます。
故郷への帰路も歩く、という人がいるんでしょうか? -
さて、旧市街から出て出発点のガリシア広場に戻ります。
通りには、稼ぎながら旅を続ける寅さん型ストリート・ミュージシャン。 -
ガリシア広場の便利な無料地下トイレに寄って…
(意外にキレイなので、一枚撮っておきました。) -
隣接するアラメタ公園に踏み入れました。
なだらかな斜面の道を登ると、ここから旧市街が見渡せます。 -
赤い屋根の向こう、カテドラルの荘厳な姿が印象的です。
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木陰のこの人は、ずっと町の俯瞰に見入っています。
キミは誰? -
夕食は、宿で教えてもらった家族経営のレストランに出かけました。
お店の名はBOCXANO。スペイン語とフランス語のマダム、下手くそ英語とドイツ語の客。メニューはスペイン語で埒があきません。為すすべもなく、全て信じてお任せしたら…
う〜ん、これは美味しい。ホタテ貝のお皿に薄味で煮込んだシーフード。
テーブルの上で“小さな奇跡”がおきた。という感じです。 -
ビールはもちろん、お薦めワインもパンも好みの味です。
メインのカツは食べ切れないほどの大きさでした。
これで全込み19.5ユーロは、神のご加護に違いありません。やはり、信じる者は救われます。
いい“聖地の夜”になりました。
次の日もう一度旧市街を歩いて、午後の列車でサラマンカへ向かいました。
(つづく)
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