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懐古園の一隅にある島崎藤村記念館を訪ねました。<br /><br />藤村に憧れていた高校生だった兄は、ある時藤村の写真を初めて見た。晩年の写真である。兄は非常に落胆した。あの初恋の作者、これが藤村かと・・<br /><br />若き日の藤村を、見よ、それは恋多き、イケメンの文学者なのだ。<br /><br />  初恋<br />まだあげ初(そ)めし前髪の<br />林檎のもとに見えしとき<br />前にさしたる花櫛(はなさし)の花ある君と思ひけり<br /><br />やさしく白き手をのべて<br />林檎をわれにあたえしは<br />薄紅(うすくれなゐ)の秋の実に<br />人こひしはじめなり<br /><br />わがこころなきためいきの<br />その髪の毛にかかるとき<br />たのしき恋の盃(さかづき)を<br />君が情に酌みしかな<br /><br />林檎畑の樹(こ)の下に<br />おのづからなる細道は<br />誰(た)が踏みそめしかたみぞと<br />問ふたまふこそこひしけれ

小諸なる古城のほとり  藤村記念館

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2012/04/15 - 2012/04/16

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pedaru

pedaruさん

懐古園の一隅にある島崎藤村記念館を訪ねました。

藤村に憧れていた高校生だった兄は、ある時藤村の写真を初めて見た。晩年の写真である。兄は非常に落胆した。あの初恋の作者、これが藤村かと・・

若き日の藤村を、見よ、それは恋多き、イケメンの文学者なのだ。

  初恋
まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなさし)の花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたえしは
薄紅(うすくれなゐ)の秋の実に
人こひしはじめなり

わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹(こ)の下に
おのづからなる細道は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ふたまふこそこひしけれ

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
自家用車
旅行の手配内容
個別手配

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  • 右に曲がると小諸は近いようだ。<br /><br />例によって、連れ合いの「君にもらぁったー このパイプ 昼の休みにー・・」歌が後ろから聞こえてきます。

    右に曲がると小諸は近いようだ。

    例によって、連れ合いの「君にもらぁったー このパイプ 昼の休みにー・・」歌が後ろから聞こえてきます。

  • 信州の山々が私達を迎えてくれてるようです。

    信州の山々が私達を迎えてくれてるようです。

  • 懐古園の城門です。

    懐古園の城門です。

  • 懐古園にあったマンホールの蓋。

    懐古園にあったマンホールの蓋。

  • 園内にはSLが展示されています。

    園内にはSLが展示されています。

  • 小諸(こもろ)なる古城のほとり<br />雲白く遊子(ゆうし)悲しむ<br />緑なす繁縷(はこべ)は萌えず<br />若草も籍(し)くによしなし<br />しろがねの衾(ふすま)の岡辺<br />日に溶けて淡雪流る<br /><br />あたたかき光はあれど<br />野に満つる香も知らず<br />浅くのみ春は霞みて<br />麦の色わづかに青し<br />旅人の群れはいくつか<br />畑中の道を急ぎぬ<br /><br />暮れ行けば浅間も見えず<br />歌哀し佐久の草笛<br />千曲川いざよふ波の<br />岸近き宿にのぼりつ<br />濁り酒濁れる飲みて<br />草枕しばし慰む

    小諸(こもろ)なる古城のほとり
    雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
    緑なす繁縷(はこべ)は萌えず
    若草も籍(し)くによしなし
    しろがねの衾(ふすま)の岡辺
    日に溶けて淡雪流る

    あたたかき光はあれど
    野に満つる香も知らず
    浅くのみ春は霞みて
    麦の色わづかに青し
    旅人の群れはいくつか
    畑中の道を急ぎぬ

    暮れ行けば浅間も見えず
    歌哀し佐久の草笛
    千曲川いざよふ波の
    岸近き宿にのぼりつ
    濁り酒濁れる飲みて
    草枕しばし慰む

  • 小諸なる古城のほとり・・・「こもろ」とは信州地方に伝わる郷土玩具で土鈴の一種である。この「こもろ」が古城のほとりで鳴っている、土地の童が遊んでいるのであろう。<br /> 雲白く遊子悲しむ・・・・新しい事業を興すため銀行を訪れた青年だったが、見上げる空には白い雲がたなびくのみで、融資(ゆうし)の話は悲しい結果に終わってしまった。・・・・<br /> 緑なすはこべは萌えず・・・珍しい緑色のナスを市場に運んでも生産過剰になった今では、採りたてのため燃えず、燃料にもならない、・・・<br /> 若草も籍(し)くによしなし・・・東京の若草も(浅草の近くにある土地の名前)欲しくはないという。<br /> しろがねの衾の岡辺日に溶けて淡雪流る・・・<br />一方港区白金の岡部さん宅では、ふすまに融点の低い塗料を使ったため、日に溶けて淡雪のように流れ出ているのだ。・・・<br /> という人生の無常を歌った藤村の傑作である。<br /> <br />・・・ 一部、解釈に違和感をもたれる方もお有りと思いますが、(全部だろうッ)あくまで個人的な感想ですのでご了承願います。・・・

    小諸なる古城のほとり・・・「こもろ」とは信州地方に伝わる郷土玩具で土鈴の一種である。この「こもろ」が古城のほとりで鳴っている、土地の童が遊んでいるのであろう。
     雲白く遊子悲しむ・・・・新しい事業を興すため銀行を訪れた青年だったが、見上げる空には白い雲がたなびくのみで、融資(ゆうし)の話は悲しい結果に終わってしまった。・・・・
     緑なすはこべは萌えず・・・珍しい緑色のナスを市場に運んでも生産過剰になった今では、採りたてのため燃えず、燃料にもならない、・・・
     若草も籍(し)くによしなし・・・東京の若草も(浅草の近くにある土地の名前)欲しくはないという。
     しろがねの衾の岡辺日に溶けて淡雪流る・・・
    一方港区白金の岡部さん宅では、ふすまに融点の低い塗料を使ったため、日に溶けて淡雪のように流れ出ているのだ。・・・
     という人生の無常を歌った藤村の傑作である。
     
    ・・・ 一部、解釈に違和感をもたれる方もお有りと思いますが、(全部だろうッ)あくまで個人的な感想ですのでご了承願います。・・・

  • めぐり逢す君やいくたび<br />あぢきなき夜を日にかへす<br />我が命暗(やみ)の谷間も<br />君あれば恋のあけぼの<br /><br />樹の枝に琴は懸けねど<br />朝風の来て弾くごとく<br />面影に君はうつりて<br />吾胸を静かに渡る<br /><br />雲迷ふ身のわづらひも<br />紅(くれなゐ)の色に微笑み<br />流れつつ冷ゆる涙も<br />いと熱き思ひを宿す<br /><br />知らざりし道の開けて<br />大空(おほぞら)は今光なり<br />もろともにしばしたたずみ<br />新しき眺めに入らむ(いらむ)

    めぐり逢す君やいくたび
    あぢきなき夜を日にかへす
    我が命暗(やみ)の谷間も
    君あれば恋のあけぼの

    樹の枝に琴は懸けねど
    朝風の来て弾くごとく
    面影に君はうつりて
    吾胸を静かに渡る

    雲迷ふ身のわづらひも
    紅(くれなゐ)の色に微笑み
    流れつつ冷ゆる涙も
    いと熱き思ひを宿す

    知らざりし道の開けて
    大空(おほぞら)は今光なり
    もろともにしばしたたずみ
    新しき眺めに入らむ(いらむ)

  • 吾が胸の底のここには<br />言ひがたき秘密(ひめごと)住めり<br />身をあげて活ける牲(にへ)とは<br />君ならで誰(たれ)かしらまし<br /><br />もしやわれ鳥にありせば<br />君の住む窓に飛びかひ<br />羽を振りて昼は終日(ひねもす)<br />深き音に鳴かましものを<br /><br />もしやわれ梭(をさ)にありせば<br />君が手の白きにひかれ<br />春の日の長き思ひを<br />その糸に織らましものを<br /><br />もしやわれ草にありせば<br />野辺に萌え君に踏まれて<br />かつ靡き(なびき)かつは微笑み<br />その足に触れましものを<br /><br />わがなげき衾(しとね)に溢れ<br />わがうれひ枕を浸す<br />朝鳥に目さめぬるより<br />はや床は濡れてただよふ<br /><br />口唇(くちびる)に言葉ありとも<br />このこころ何か写さむ<br />ただ熱き胸より胸の<br />琴にこそ伝ふべきなれ

    吾が胸の底のここには
    言ひがたき秘密(ひめごと)住めり
    身をあげて活ける牲(にへ)とは
    君ならで誰(たれ)かしらまし

    もしやわれ鳥にありせば
    君の住む窓に飛びかひ
    羽を振りて昼は終日(ひねもす)
    深き音に鳴かましものを

    もしやわれ梭(をさ)にありせば
    君が手の白きにひかれ
    春の日の長き思ひを
    その糸に織らましものを

    もしやわれ草にありせば
    野辺に萌え君に踏まれて
    かつ靡き(なびき)かつは微笑み
    その足に触れましものを

    わがなげき衾(しとね)に溢れ
    わがうれひ枕を浸す
    朝鳥に目さめぬるより
    はや床は濡れてただよふ

    口唇(くちびる)に言葉ありとも
    このこころ何か写さむ
    ただ熱き胸より胸の
    琴にこそ伝ふべきなれ

  •    若水<br />くめどつきせぬ<br />わかみづを<br />きみとくままし<br />かのいづみ<br /><br />かわきもしらぬ<br />わかみづを<br />きみとのままし<br />かのいづみ<br /><br />かのわかみづと<br />みをなして<br />はるのこころに<br />わきいでん<br /><br />かのわかみづと<br />みをなして<br />きみとながれん<br />花のかげ<br /><br />昔の歌謡曲「山のけむり」の原型になった詩のような気がするが・・・<br /><br />

    若水
    くめどつきせぬ
    わかみづを
    きみとくままし
    かのいづみ

    かわきもしらぬ
    わかみづを
    きみとのままし
    かのいづみ

    かのわかみづと
    みをなして
    はるのこころに
    わきいでん

    かのわかみづと
    みをなして
    きみとながれん
    花のかげ

    昔の歌謡曲「山のけむり」の原型になった詩のような気がするが・・・

  •   吾恋は河辺に生ひて<br />吾恋は河辺に生ひて(おひて)<br />根を浸す柳の樹なり<br />枝延びて緑なすまで<br />生命をぞ君に吸ふなる<br /><br />北のかた水去り帰り<br />昼も夜も南を知らず<br />ああわれも君にむかひて<br />草を籍き(しき)思を送る

      吾恋は河辺に生ひて
    吾恋は河辺に生ひて(おひて)
    根を浸す柳の樹なり
    枝延びて緑なすまで
    生命をぞ君に吸ふなる

    北のかた水去り帰り
    昼も夜も南を知らず
    ああわれも君にむかひて
    草を籍き(しき)思を送る

  •    千曲川旅情の歌<br />昨日またかくてありけり<br />今日もまたかくてありなむ<br />この命なにを齷齪(あくせく)<br />明日をのみ思いわづらふ<br /><br />いくたびか栄枯の夢の<br />消え残る谷に下りて<br />河波のいざよふ見れば<br />砂まじり水巻き帰る<br /><br />嗚呼古城なにをか語り<br />岸の波なにをか答ふ<br />過にし(いにし)世を静かに思へ<br />百年(ももとせ)もきのふのごとし<br /><br />千曲川柳霞みて<br />春浅く水流れたり<br />ただひとり岩をめぐりて<br />この岸に愁いを繋ぐ

       千曲川旅情の歌
    昨日またかくてありけり
    今日もまたかくてありなむ
    この命なにを齷齪(あくせく)
    明日をのみ思いわづらふ

    いくたびか栄枯の夢の
    消え残る谷に下りて
    河波のいざよふ見れば
    砂まじり水巻き帰る

    嗚呼古城なにをか語り
    岸の波なにをか答ふ
    過にし(いにし)世を静かに思へ
    百年(ももとせ)もきのふのごとし

    千曲川柳霞みて
    春浅く水流れたり
    ただひとり岩をめぐりて
    この岸に愁いを繋ぐ

  • 黒髪われを覆うとも<br />血潮は我を染むるとも<br />花口唇を飾るとも<br />思(おもひ)は胸を傷(いた)ましむ<br /><br />絵筆うちふる吾指は<br />歎きのために震ふかな<br />涙に濡るる吾紙は<br />象(かた)空しく消ゆるかな

    黒髪われを覆うとも
    血潮は我を染むるとも
    花口唇を飾るとも
    思(おもひ)は胸を傷(いた)ましむ

    絵筆うちふる吾指は
    歎きのために震ふかな
    涙に濡るる吾紙は
    象(かた)空しく消ゆるかな

  •    君こそは遠音(とほね)に響く<br />君こそは遠音(とほね)に響く<br />入相(いりあひ)の鐘にありけれ<br />幽かなる声を辿りて(たどりて)<br />われは行く盲目(めしひ)のごとし<br /><br />君ゆゑにわれは休まず<br />君ゆゑにわれは仆(たふ)れず<br />嗚呼われは君に引かれて<br />暗き夜をわづかに捜(さぐ)る<br /><br />ただ知るは

       君こそは遠音(とほね)に響く
    君こそは遠音(とほね)に響く
    入相(いりあひ)の鐘にありけれ
    幽かなる声を辿りて(たどりて)
    われは行く盲目(めしひ)のごとし

    君ゆゑにわれは休まず
    君ゆゑにわれは仆(たふ)れず
    嗚呼われは君に引かれて
    暗き夜をわづかに捜(さぐ)る

    ただ知るは

  • ああさなり君のごとくに<br />何かまた優しかるべき<br />帰り来てこがれ侘ぶ(わぶ)なり<br />ねがはくは開けこの戸を<br /><br />ひとたびは君を見棄てて<br />世に迷ふ羊なりきよ<br />あぢきなき石を枕に<br />思ひ知る君が牧場を<br /><br />楽しきはうらぶれ暮らし<br />泉なき砂に伏す時<br />青草の追懐(おもひいで)ばかり<br />悲しき日楽しきはなし<br /><br />悲しきははふたたび帰り<br />緑なす野辺を見る時<br />飄泊(さまよひ)ほ追懐(おもひいで)ばかり<br />楽しき日悲しきはなし<br /><br />その笛を今は頼まむ<br />その胸にわれは息(いと)はむ<br />君ならで誰か飼ふべき<br />天地(あめつち)に迷ふ羊を

    ああさなり君のごとくに
    何かまた優しかるべき
    帰り来てこがれ侘ぶ(わぶ)なり
    ねがはくは開けこの戸を

    ひとたびは君を見棄てて
    世に迷ふ羊なりきよ
    あぢきなき石を枕に
    思ひ知る君が牧場を

    楽しきはうらぶれ暮らし
    泉なき砂に伏す時
    青草の追懐(おもひいで)ばかり
    悲しき日楽しきはなし

    悲しきははふたたび帰り
    緑なす野辺を見る時
    飄泊(さまよひ)ほ追懐(おもひいで)ばかり
    楽しき日悲しきはなし

    その笛を今は頼まむ
    その胸にわれは息(いと)はむ
    君ならで誰か飼ふべき
    天地(あめつち)に迷ふ羊を

  •   秋<br /><br />秋は来きぬ<br />  秋は来ぬ<br />一葉(ひとは)は花は露ありて<br />風の来て弾ひく琴の音に<br />青き葡萄ぶどうは紫の<br />自然の酒とかはりけり<br /><br />秋は来ぬ<br />  秋は来ぬ<br />おくれさきだつ秋草(あきぐさ)も<br />みな夕霜(ゆふじも)のおきどころ<br />笑ひの酒を悲みの<br />盃(さかづき)にこそつぐべけれ<br /><br />秋は来ぬ<br />  秋は来ぬ<br />くさきも紅葉(もみぢ)するものを<br />たれかは秋に酔はざらめ<br />智恵(ちえ)あり顔のさみしさに<br />君笛を吹けわれはうたはむ<br />

      秋

    秋は来きぬ
      秋は来ぬ
    一葉(ひとは)は花は露ありて
    風の来て弾ひく琴の音に
    青き葡萄ぶどうは紫の
    自然の酒とかはりけり

    秋は来ぬ
      秋は来ぬ
    おくれさきだつ秋草(あきぐさ)も
    みな夕霜(ゆふじも)のおきどころ
    笑ひの酒を悲みの
    盃(さかづき)にこそつぐべけれ

    秋は来ぬ
      秋は来ぬ
    くさきも紅葉(もみぢ)するものを
    たれかは秋に酔はざらめ
    智恵(ちえ)あり顔のさみしさに
    君笛を吹けわれはうたはむ

  • 	明治学院の校歌<br /><br />作詞:島崎藤村<br />作曲:前田久八<br /> <br />人の世の若き生命(いのち)のあさぼらけ<br />学院の鐘は響きてわれひとの胸うつところ<br />白金の丘に根深く記念樹の立てるを見よや<br /> <br />緑葉は香ひあふれて青年(わかもの)の思ひを伝ふ<br />心せよ学びの友よ新しき時代(ときよ)は待てり<br />もろともに遠く望みておのがじし道を開かむ<br />霄あらば霄を窮めむ壌(つち)あらば壌(つち)にも活きむ<br /> <br />ああ行けたたかへ雄雄しかれ<br />眼さめよ起てよ畏るるなかれ

    明治学院の校歌

    作詞:島崎藤村
    作曲:前田久八

    人の世の若き生命(いのち)のあさぼらけ
    学院の鐘は響きてわれひとの胸うつところ
    白金の丘に根深く記念樹の立てるを見よや

    緑葉は香ひあふれて青年(わかもの)の思ひを伝ふ
    心せよ学びの友よ新しき時代(ときよ)は待てり
    もろともに遠く望みておのがじし道を開かむ
    霄あらば霄を窮めむ壌(つち)あらば壌(つち)にも活きむ

    ああ行けたたかへ雄雄しかれ
    眼さめよ起てよ畏るるなかれ

  • ありし昔の<br />   香ににほふ<br />薄はなぞめの<br />   帯よけむ<br />麗はしかりし<br />   黒髪の<br />かざしの紅き<br />   珠よけむ<br /><br />帯はあれども <br />   老が身に<br />ひきまとふべき<br />   すべもなし<br />珠はあれども<br />   白髮(しろかみ)に<br />うちかざすべき<br />   すべもなし

    ありし昔の
       香ににほふ
    薄はなぞめの
       帯よけむ
    麗はしかりし
       黒髪の
    かざしの紅き
       珠よけむ

    帯はあれども 
       老が身に
    ひきまとふべき
       すべもなし
    珠はあれども
       白髮(しろかみ)に
    うちかざすべき
       すべもなし

  •   髪を洗へば<br /><br />髪を洗へば紫の<br />小草(をぐさ)のまへに色みえて<br />足をあぐれば花鳥(はなとり)の<br />われに随(したが)ふ風情(ふぜい)あり<br /><br />目にながむれば彩雲(あやぐも)の<br />まきてはひらく絵巻物(えまきもの)<br />手にとる酒は美酒(うまざけ)の<br />若き愁(うれひ)をたゝふめり<br /><br />耳をたつれば歌神(うたがみ)の<br />きたりて玉(たま)の簫(ふえ)を吹き<br />口をひらけばうたびとの<br />一ふしわれはこひうたふ<br /><br />あゝかくまでにあやしくも<br />熱きこゝろのわれなれど<br />われをし君のこひしたふ<br />その涙にはおよばじな<br />

      髪を洗へば

    髪を洗へば紫の
    小草(をぐさ)のまへに色みえて
    足をあぐれば花鳥(はなとり)の
    われに随(したが)ふ風情(ふぜい)あり

    目にながむれば彩雲(あやぐも)の
    まきてはひらく絵巻物(えまきもの)
    手にとる酒は美酒(うまざけ)の
    若き愁(うれひ)をたゝふめり

    耳をたつれば歌神(うたがみ)の
    きたりて玉(たま)の簫(ふえ)を吹き
    口をひらけばうたびとの
    一ふしわれはこひうたふ

    あゝかくまでにあやしくも
    熱きこゝろのわれなれど
    われをし君のこひしたふ
    その涙にはおよばじな

  •   君がこゝろは<br /><br />君がこゝろは蟋蟀(こほろぎ)の<br />風にさそはれ鳴くごとく<br />朝影(あさかげ)清きよき花草(はなぐさ)に<br />惜(を)しき涙をそゝぐらむ<br /><br />それかきならす玉琴(たまごとの)<br />一つの糸のさはりさへ<br />君がこゝろにかぎりなき<br />しらべとこそはきこゆめれ<br /><br />あゝなどかくは触れやすき<br />君が優しき心もて<br />かくばかりなる吾わがこひに<br />触れたまはぬぞ恨うらみなる<br />

      君がこゝろは

    君がこゝろは蟋蟀(こほろぎ)の
    風にさそはれ鳴くごとく
    朝影(あさかげ)清きよき花草(はなぐさ)に
    惜(を)しき涙をそゝぐらむ

    それかきならす玉琴(たまごとの)
    一つの糸のさはりさへ
    君がこゝろにかぎりなき
    しらべとこそはきこゆめれ

    あゝなどかくは触れやすき
    君が優しき心もて
    かくばかりなる吾わがこひに
    触れたまはぬぞ恨うらみなる

  •   傘かさのうち<br /><br />二人ふたりしてさす一張(ひとはり)の<br />傘に姿をつゝむとも<br />情(なさけ)の雨のふりしきり<br />かわく間まもなきたもとかな<br /><br />顔と顔とをうちよせて<br />あゆむとすればなつかしや<br />梅花(ばいか)の油黒髪(くろかみ)の<br />乱れて匂(にほふ)傘のうち<br /><br />恋の一雨(ひとあめ)ぬれまさり<br />ぬれてこひしき夢の間まや<br />染めてぞ燃ゆる紅絹もみうらの<br />雨になやめる足まとひ<br /><br />歌ふをきけば梅川よ<br />しばし情なさけを捨てよかし<br />いづこも恋に戯たはぶれて<br />それ忠兵衛ちゅうべえの夢がたり<br /><br />こひしき雨よふらばふれ<br />秋の入日の照りそひて<br />傘の涙を乾ほさぬ間(ま)に<br />手に手をとりて行きて帰らじ<br />

      傘かさのうち

    二人ふたりしてさす一張(ひとはり)の
    傘に姿をつゝむとも
    情(なさけ)の雨のふりしきり
    かわく間まもなきたもとかな

    顔と顔とをうちよせて
    あゆむとすればなつかしや
    梅花(ばいか)の油黒髪(くろかみ)の
    乱れて匂(にほふ)傘のうち

    恋の一雨(ひとあめ)ぬれまさり
    ぬれてこひしき夢の間まや
    染めてぞ燃ゆる紅絹もみうらの
    雨になやめる足まとひ

    歌ふをきけば梅川よ
    しばし情なさけを捨てよかし
    いづこも恋に戯たはぶれて
    それ忠兵衛ちゅうべえの夢がたり

    こひしき雨よふらばふれ
    秋の入日の照りそひて
    傘の涙を乾ほさぬ間(ま)に
    手に手をとりて行きて帰らじ

  •   秋に隠れて<br /><br />わが手に植ゑし白菊の<br />おのづからなる時くれば<br />一もと花の暮陰(ゆふぐれ)に<br />秋に隠(かく)れて窓にさくなり<br />

      秋に隠れて

    わが手に植ゑし白菊の
    おのづからなる時くれば
    一もと花の暮陰(ゆふぐれ)に
    秋に隠(かく)れて窓にさくなり

  •   知るや君<br /><br />こゝろもあらぬ秋鳥(あきどり)の<br />声にもれくる一ふしを<br />        知るや君<br /><br />深くも澄すめる朝潮(あさじほ)の<br />底にかくるゝ真珠(しらたま)を<br />        知るや君<br /><br />あやめもしらぬやみの夜に<br />静(しづか)にうごく星くづを<br />        知るや君<br /><br />まだ弾(ひき)も見ぬをとめごの<br />胸にひそめる琴の音ねを<br />        知るや君<br />

      知るや君

    こゝろもあらぬ秋鳥(あきどり)の
    声にもれくる一ふしを
            知るや君

    深くも澄すめる朝潮(あさじほ)の
    底にかくるゝ真珠(しらたま)を
            知るや君

    あやめもしらぬやみの夜に
    静(しづか)にうごく星くづを
            知るや君

    まだ弾(ひき)も見ぬをとめごの
    胸にひそめる琴の音ねを
            知るや君

  •   雲のゆくへ<br /><br />庭にたちいでたゞひとり<br />秋海棠(しゅうかいどう)の花を分け<br />空ながむれば行く雲の<br />更(さら)に秘密を闡(ひら)くかな<br />

      雲のゆくへ

    庭にたちいでたゞひとり
    秋海棠(しゅうかいどう)の花を分け
    空ながむれば行く雲の
    更(さら)に秘密を闡(ひら)くかな

  • 藤村ゆかりの食堂「揚羽屋」、藤村自筆の文字で書かれたそうな。

    藤村ゆかりの食堂「揚羽屋」、藤村自筆の文字で書かれたそうな。

  • 藤村が小諸に住んでいた頃、この井戸の水を使っていました。<br /><br />今はポンプ式ですが、当時は釣瓶井戸だたそうです。

    藤村が小諸に住んでいた頃、この井戸の水を使っていました。

    今はポンプ式ですが、当時は釣瓶井戸だたそうです。

  • 井戸の説明が書いてあります。

    井戸の説明が書いてあります。

  • <br />ねむれる春ようらわかき<br />かたちをかくすことなかれ<br />たれこめてのみけふの日を<br />なべてのひとのすぐすまに<br />さめての春のすがたこそ<br />また夢のまの風情(ふぜい)なれ<br /><br />ねむげの春よさめよ春<br />さかしきひとのみざるまに<br />若紫の朝霞<br />かすみの袖そでをみにまとへ<br />はつねうれしきうぐひすの<br />鳥のしらべをうたへかし<br /><br />ねむげの春よさめよ春<br />ふゆのこほりにむすぼれし<br />ふるきゆめぢをさめいでて<br />やなぎのいとのみだれがみ<br />うめのはなぐしさしそへて<br />びんのみだれをかきあげよ<br /><br />ねむげの春よさめよ春<br />あゆめばたにの早(さ)わらびの<br />したもえいそぐ汝ながあしを<br />かたくもあげよあゆめ春<br />たえなるはるのいきを吹き<br />こぞめの梅の香ににほへ<br />


    ねむれる春ようらわかき
    かたちをかくすことなかれ
    たれこめてのみけふの日を
    なべてのひとのすぐすまに
    さめての春のすがたこそ
    また夢のまの風情(ふぜい)なれ

    ねむげの春よさめよ春
    さかしきひとのみざるまに
    若紫の朝霞
    かすみの袖そでをみにまとへ
    はつねうれしきうぐひすの
    鳥のしらべをうたへかし

    ねむげの春よさめよ春
    ふゆのこほりにむすぼれし
    ふるきゆめぢをさめいでて
    やなぎのいとのみだれがみ
    うめのはなぐしさしそへて
    びんのみだれをかきあげよ

    ねむげの春よさめよ春
    あゆめばたにの早(さ)わらびの
    したもえいそぐ汝ながあしを
    かたくもあげよあゆめ春
    たえなるはるのいきを吹き
    こぞめの梅の香ににほへ

  • 地図からすればこの空き地かなと思われる。

    地図からすればこの空き地かなと思われる。

  •    椰子の実<br />名も知らぬ遠き島より<br />流れ寄る椰子の実一つ<br /><br />故郷の岸を離れて<br />汝(なれ)はそも波に幾月(いくづき)<br />旧(もと)の樹は生ひや茂れる<br />枝はなほ影をやなせる<br /><br />われもまた渚を枕<br />孤身(ひとりみ)の浮寝(うきね)の旅ぞ<br /><br />実をとりて胸にあつれば<br />新(あらた)なり流離(りゅうり)の憂(うれい)<br /><br />海の日の沈むを見れば<br />激り(たぎり)落つ異郷の涙<br /><br />思ひやる八重の汐々(しほじほ)<br />いづれの日にか国に帰らん<br />

       椰子の実
    名も知らぬ遠き島より
    流れ寄る椰子の実一つ

    故郷の岸を離れて
    汝(なれ)はそも波に幾月(いくづき)
    旧(もと)の樹は生ひや茂れる
    枝はなほ影をやなせる

    われもまた渚を枕
    孤身(ひとりみ)の浮寝(うきね)の旅ぞ

    実をとりて胸にあつれば
    新(あらた)なり流離(りゅうり)の憂(うれい)

    海の日の沈むを見れば
    激り(たぎり)落つ異郷の涙

    思ひやる八重の汐々(しほじほ)
    いづれの日にか国に帰らん

  • 揚羽屋のとなりは、やはりレトロな建物でした。<br /><br />藤村の詩集などあまり読む機会もないと思いますので、うんざりするほど、載せてみました。<br /><br />ひとりよがりな内容で大変失礼いたしました。

    揚羽屋のとなりは、やはりレトロな建物でした。

    藤村の詩集などあまり読む機会もないと思いますので、うんざりするほど、載せてみました。

    ひとりよがりな内容で大変失礼いたしました。

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  • morimoriさん 2014/11/07 14:34:29
    なるほど!
    pedaruさんへ

    御無沙汰しております〜!
    再度のご訪問&ご投票どうもありがとうございました!
    また、コメントもどうもありがとうございました、とても嬉しかったです♪

    pedaruさんは文学を愛しているのですね!どうりで言葉の選び方や、文章の組み立て方がお上手だと思っておりました。

    さて、pedaruさんの「一人旅」も拝見させていただきましたよ〜。
    廃校の小学校巡り、私も小学校時代を思い出しながら読ませていただきました。なんだかんだいっても、やはり小学校時代は思い出がたくさんありますよね!とても味わい深い一人旅をされたのだと思います(*^_^*)。

    五島列島の旅は、本当に穏やかな心休まる時間を頂きました。
    飛びぬけて、煌びやかな観光スポットが点在するという場所ではないとは思いますが、愛すべき場所だと思います。五島の他の島々も魅力的な場所があるようです。

    pedaruさんも是非!一人でも充分に楽しめると思いますし、ご家族ご友人と一緒でも楽しい一時がおくれると思いますので、機会があれば訪れてみてください☆

    一人旅は時に心細くなったり、寂しくなったりもしますが、現地の方々が親切に話しかけてくれたり、自分から話しかけたりして、なんとか楽しくやっています♪御縁のありがたみをとても感じます。
    でも、もうそろそろ、私もパートナーが欲しいです(^_^;)

    また旅行記拝見させていただきますね♪

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/11/10 06:06:49
    RE: なるほど!

    morimoriさん お早うございます。

    丁寧なメッセージを有難うございました。

    > pedaruさんは文学を愛しているのですね!どうりで言葉の選び方や、文章の組み立て方がお上手だと思っておりました。

    いいえ、愛しているのは妻だけです。(笑)訥弁ですので、苦労してコメントを書いています。ですから時間がかかります。いいのかな?こんなに4トラに時間を掛けて、と思うことありますよ。

    メジャーな観光地を選ばずに、五島列島を旅するmorimoriさんのセンスに好感が持てます。

    pedaruも一人旅をしてmorimoriさんのような一人旅の若い女性と言葉を交わし、旅の楽しみなど語り合い、別れ際には、「おいっ お姉ちゃん、悪い男にゃ気をつけるんだよ。」なんて、旅の達人フーテンの寅さんのようなセリフを言ってみたいと思います♪

    pedaru

  • hot chocolateさん 2014/10/31 01:10:29
    藤村・・・
    pedaruさま、こんばんは〜

    (かつての)pedaru青年は、やはり詩人だったのですね。
    そうでなければ、旅行記の大半を詩で埋め尽くすことはない・・・と。
    実は、私も高校生の頃は、(少しは)詩や文章を作る文学少女でした。
    その当時は、文学に憧れるってありましたよね。
    今では、旅行記を書くのも一苦労です。情けなや〜。

    島崎藤村は、押しも押されもしない文豪ですが、う〜ん、彼の人となりはどうなのでしょうね〜。

    hot choco

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/11/01 07:07:49
    RE: 藤村・・・

    hot chocolateさん お早うございます。

    実験的に書いた旅行記、やたら詩を書き写して、・・・その分自前のコメントを省略できる、よこしまな考えで書き上げた旅行記です。

    pedaru青年は当時、結核など患い、啄木をはじめ多くの文学者が同じ病気で死んでいったことなど思って、文学青年を気取ったこともありました。

    ところが病気が癒えて健康を取り戻すと、知的生活から縁遠く文学って何?・・のような暮らしぶり、反省をしています。気づくのが遅すぎました、この間も、墓石の相談をしてきましたよ。幾許も無い余命を、旅をしながら終えられたら本望です。(芭蕉かっ)

    このところ旅行をできずに投げやりになっているpedaruより
  • ろこままさん 2014/10/21 12:42:07
    イケメンの文学青年〜
    pedaruさん、こんにちは。

    イケメンの文学青年。。。だったのでしょうね〜
    若かりし日のpedaruさんを想像しながら、拝読させていただきました。

    お写真に詩を添えて。。。素敵ですね〜
    文学にも疎いろこままですが、浸らせていただきました〜

    知らない事ばかりですが。。。
    教えていただけて。。。
    ちょっと触れられる。。。のって、嬉しいですね〜

    奥様の歌声を聴きながらの素敵なお出かけ、藤村の詩と共に楽しませていただきました。

    懐古園の城門の前に写ってるのは、pedaruさんですか〜
    今回のomakeも。。。素晴らしいですね〜
    実際、眺めて、ため息ついてみたいです〜

    。。ろこまま。。

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/10/22 06:21:02
    RE: イケメンの文学青年〜

    ろこままさん お早うございます。

    写真と詩にはギャップがありますが、お構いなしに沢山載せてしまいました。
    この所、どこへも出かけず、停滞気味ですので、前に書きかけの藤村を引っ張りだしてきました。
      詩集を見ながらの入力は、今使われていない字などがあって、面倒でしたが、自分のコメントを入れるよりは楽かなー?と、

    > イケメンの文学青年。。。だったのでしょうね〜

    ろこままさん、イケメンはあなたのご主人と決まっているじゃぁありませんか〜

    pedaruはむしろイクメンでした。三人の子供の子育ては妻と半々でした。
    恋愛時代の文学青年の夢破れて、ただの自分勝手なおやじに成り果てた夫ですが、子育てだけは今でも感謝していると子供に話しているらしいです。

    懐古園の門前に佇む姿は私めです。不鮮明な映像にして、pedaruのイメージを壊さないようにしています。

    pedaru
  • わんぱく大将さん 2014/10/19 23:37:37
    初恋の思いで
    pedaruさん

    全くpedaru氏の旅行記とは違うことを書きますが(いつものこって)
    昨日は、初恋の人に会いに行った感覚でした。 バルセロナから電車で1時間少し、南下したタラゴナ。そこからタクシーで15分、山の中の小さな村にはいって行きました。 そう、ジュジョールの作品を見に。

    先日は彼の改装した家でしたが、そこでもらった情報で、その村から近くでもあり、公開してることを知り、前もってTELして昨日、出かけていきました。朝の10時。15分前に、ジョセぺさんが鍵をもってやってきてくださいました。TELのお声の感じで、もう70は超えてらっしゃると。 ゆっくりわかるように人の目を見てお話される方で、かなりの知識がおわりになる方だとお見受けいたしました。

    教会の扉をあけていただいて、電気をつけていただき、目に前に拡がるのは、ジョセぺ・マリア・ジュジョール、爆発の世界でした。写真はxとなっていましたが、私ひとりだったので撮ってもいいとおっしゃってくださって。私の写真がいかに安っぽいかを知らされた時間でもありました。 ああ、ここにもガウディの精神ととジュジョールの作品が生きている。

    先ずは説明をしていただいてから一応写真に収めていきましたが、 私の腕はわかってましたが、彼の精神を映し出すことはできませんでした。
    彼らの前では1000年、いやそれ以上早いと、言われそうでした。
    初恋の人に出合って、嬉しいのと自分が小さく見えるのというのが自分でわかって、雷ににうたれて軒下で震えて雨宿りしていた子犬のような感覚でした。 それなのに、いつまでもたたずんでいたい。 一人だったらそうしていたい感覚でしたが、黙ってそれを見つめてくださってるジョセぺさんにも遠慮があって。 それでもわかっているのに、振り向いてしまう。。。
    藤村の詩を読んでいると昨日のことをこのように分析してしまいました。

    タクシーが来るまで、ジョセぺさん、私の隣にいてくださって。
    勿論教会には少しばかりですが献金はさせていただきました。 ジョセぺさんにお礼のお金を渡したらいいのか? それが失礼なような気がして、眼鏡をみたら、おとしより特有の眼鏡があんまりきれいでない。 カメラをもってる以上、レンズ拭きの布はもってるので、失礼ですが、眼鏡のレンズを磨かせていただけませんか? と。(おまえは眼鏡やか?!)
    お返しする時に、”より、私が美人にみえまっせえ〜”の冗談でも言おうかと思いましたが、いやいや、この方に失礼なと思い辞めました。

    また、会いに行くと思います。 旅行記ですか? それは公開しない約束で帰ってまいりました。 ご自身とお友達だけで見てくださいと。インターネットに載せないでほしいと。 わかるような気もしました。
    教会のことなので献金がないとやっていけないのは、どこの村でもあるようですね。 神様に助けていただいて、 お礼がないのはおかしな話です。
    生まれてきたのも、生活できるのも、仕事があるのも、いいことも、悪いことも神様、死んでいくことも神様なのですが、 人間苦しい時の神頼みだけのようになっています。 これは私やな。

     大将

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/10/21 06:18:39
    RE: 初恋の思いで
    わんぱく大将さん お早うございます。

    ジュジョールがいかに大将さんの中で大きな存在かが、良くわかりました。

    初恋の相手に会いに行く、どんな気持ちか・・・想像してみました。静かに、静かにと、ときめく心を抑えて、辿り着いた教会の建物、山の中の小さな村、訪れた先には、鍵を手にした老人が出迎えてくださる。

    ひとけのない教会の佇まい、逸る心を抑えて、目にするジュジョール、大将さんの文から映画のワンシーンのようにその光景が見えてきました。

    宝物のように心に残るシーンですね。こんな経験の積み重ねが人生を豊かにしていくのですね。・・・・私の宝物はどこでしょうか?・・・はい、自分で探します。

    pedaru

    わんぱく大将

    わんぱく大将さん からの返信 2014/10/21 08:13:01
    RE: RE: 初恋の思いで
    > わんぱく大将さん お早うございます。
    >
    > ジュジョールがいかに大将さんの中で大きな存在かが、良くわかりました。
    >
    > 初恋の相手に会いに行く、どんな気持ちか・・・想像してみました。静かに、静かにと、ときめく心を抑えて、辿り着いた教会の建物、山の中の小さな村、訪れた先には、鍵を手にした老人が出迎えてくださる。
    >
    > ひとけのない教会の佇まい、逸る心を抑えて、目にするジュジョール、大将さんの文から映画のワンシーンのようにその光景が見えてきました。
    >
    > 宝物のように心に残るシーンですね。こんな経験の積み重ねが人生を豊かにしていくのですね。・・・・私の宝物はどこでしょうか?・・・はい、自分で探します。
    >
    > pedaru

    pedaruさん

    鍵をもって現われた人が若いにいちゃんやったら、こんなに思わなかったかもです。 生まれてこのかた何十年この村で暮しただろうジョセぺさん。
    もしかしてジュジョールファミリーに会っていらっしゃるかもしれないのではと思うお話しぶり。 ジュジョールを ずっと、セニョール ジュジョールと呼ばれていたことから、それが覗えました。

    村になかった教会を作りに来てくれたおっちゃん。 えっ? 神さんの住む宮を作ってはるんか、って子供心に尊敬のまなざしが、それがいまだに続いているような。こういう方がいつまでも長生きして、その時代の様子を伝えていっていただきたいなと思いましたね。

    ジュジョール・ブルー、どれが本物なのか。 内戦で本当に多くのオリジナルの教会が破壊されてしまったのが残念です。SG ファミリアもそうでしたが。

     大将
  • rinnmamaさん 2014/10/19 17:45:05
    男性はロマンティスト?リアリスト?
    pedaruさん、こんばんは

    いつも歌詞を口ずさんでいらっしゃいますが、ここまで詩に傾倒される
    という事は・・どちらでしょう?

    明治村に清水医院という建物があります。
    木曽の須原という所にあった建物を移築したものです。

    藤村の姉・園子が入院していた医院です・・

    夜明け前・初恋などは知っていても、このように詳しく知りません・・
    文学者の一面もお持ちとは・・・
    ますます、近寄りがたいpedaruさんになりそう・・

    本嫌いの私は足元にもおよばないな〜と、再確認いたしました^^
    rinnmama

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/10/20 07:45:13
    RE: 男性はロマンティスト?リアリスト?

    rinnmamaさん お早うございます。

    > いつも歌詞を口ずさんでいらっしゃいますが、ここまで詩に傾倒される
    > という事は・・どちらでしょう?

    私は詩に傾倒している訳ではありません、どちらかと言うと傾倒しているのは現金です。年とともにお小遣いが少なくなっているので・・・・

    のっけから藤村の詩の世界からは真逆の話になり、夢のない話ですみません。

    全国的にレトロな建物の中に、必ず味のある医院がありますね。当時はモダンな建物だったのでしょうね。マイナーな所ですが、伊勢崎にも秩父にも行徳にもあります。好きな建物のひとつです。

    > ますます、近寄りがたいpedaruさんになりそう・・
    なにをおっしゃるウサギさん、いやrinnmamaさん、近寄りがたいのはpedaruの足の臭さからでしょう。(大将さんの名セリフかっ)

    pedaru



  • norisaさん 2014/10/19 16:06:14
    なつかしい懐古園
    pedaruさん

    こんにちは。

    昨年のこの時期、軽井沢経由で小諸におじゃましました。

    今回懐かしい画像、新しく発見した画像、楽しませて頂きました。
    全編を流れる詩の数々、pedaruさんの作と偽ってもよさそう(笑)

    やはり藤村はロマンあふれる詩人。
    一方なかなかの発展家のようでもあります。
    真の姿はいまでは想像するしかないですがーー。

    藤村記念館は懐古園でもかなりひっそりとしたたたずまい。
    秋に訪れるのが良さそうですねーー。

    norisa

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/10/20 07:26:43
    RE: なつかしい懐古園

    norisaさん お早うございます。

    私も藤村の事を調べてみましたが、色々あって、pedaru妻など、作品さえ評価できない気分だと言います。いつも言うことですが、人間て弱い生き物です。時には迷い、間違う、・・・これって自己弁護?・・・
    pedaru妻なら、まなじりを決して向かってくること間違いなしです。はい、

    夫婦円満なnorisご夫妻を手本として、日々精進しているpedaruです。はい、

    pedaru
  • 前日光さん 2014/10/19 14:32:30
    藤村のような「言葉」でくどかれたら。。。
    pedaruさん、こんにちは〜^^;

    朝から七五調のフレーズで、頭がいっぱいです。
    今の中学生の教科書には「初恋」は載っていないようですね。
    高校の現代文にも、ここ十年(二十年くらいかな?)ほどは、「千曲川旅情の歌」も載らなくなりました。

    とてもとても残念です。

    難解な現代詩が優先され、かつての文語定型詩は時代の流れの中で消滅しつつあります。
    少し前までは、高校一年生に、「ほら、あの藤村の初恋」と言えば、ああと納得の表情が返ってきたのですが、今や文語詩は「古くさい」というレッテルの下に軽視されつつあります。

    実は私は個人的に「文語定型詩」が大好きなんです!
    千曲川旅情の歌などは、今でも暗記しているくらいに好きな詩の一つです。

    女性の心理がなぜそんなに分かるの?という藤村の詩に
    「おきく」があります。
     くろかみながく やはらかき をんなごころを たれかしる
     をとこのかたる ことのはを まこととおもふ ことなかれ
           
                〜中 略 〜

     こひするなかれ をとめごよ かなしむなかれ わがともよ
     こひするときと かなしみと いづれかながき いづれみじかき

    特に最後の「恋するときと哀しみと いづれか長きいづれ短き」というフレーズにはヤラレましたぁ〜
    高校時代の友達に、ひどい文学ミーハーがいまして、その友とずいぶんいろいろ語り合ったことがあって。
    その中にこの詩も出てきました。
    北杜夫の小説やトーマス・マンの「トニオ・クレーゲル」といった作品についても、いろんな話で盛り上がりました。

    藤村は、顔立ちとしては好みではないのですが、しかし彼にあの「言葉の魔術」でくどかれたら(あり得ないことは承知の上で)、これは参ってしまうと思います。
    同じく北原白秋も、魔術使いですね!
    言葉に弱い人間なので、こんな風に言葉を駆使する人が傍にいたら間違いなく彼の言葉の海にドップリ浸かってしまいそうです。

    小諸城趾や藤村記念館、実は軽井沢に行った時に立ち寄ったのですが、パソコンを買い換える段階で、その時の写真が消滅してしまったのです(T_T)
    堀辰雄記念館の方は残っていましたので、旅行記を作成できたのですが。

    一方的に文語詩の話や藤村の話ばかりしてしまいましたが、藤村の素晴らしい詩が散りばめられた旅行記、堪能させていただきました<(_ _)>


    前日光    

    pedaru

    pedaruさん からの返信 2014/10/20 07:10:05
    RE: 藤村のような「言葉」でくどかれたら。。。
    前日光さん お早うございます。

    やたら詩を長々と載せて、不評を覚悟で出しましたが、・・・考えてみれば、不評の声は聞こえないのは当然ですね。「なんだ、こんなの書いて」とわざわざいう人はいませんからね。

    今の教科書には、藤村が載ってないとはショックです。われわれ旧かなづかひで書いていた世代は(ウソ、ウソ、そんなに古くない)当然のように受け止めていましたね。

    確かに、ストレートに意味が伝わってこないというもどかしさはありますが、あの格調高さは味わう価値がありますね。「浜辺の歌」や「さくら貝の歌」 なども自然に入ってきますが、味わい深い文語調です。

    実は、最近藤村の詩などあまり感心がありませんでした。七五調はとかく形式に流されて、耳には心地いいが、スーっと抜けていく感じがあって、あまり評価していませんでした。しかし、何度も読み進んでいくうちに、深いところで、心打つものがあることに気づきました。

       >  こひするときと かなしみと いづれかながき いづれみじかき
    確かに、う〜んと うならせる言葉ですね〜

    「壮年」という詩がありますが、これが面白いのです。
    若者が老人のことを、醜いものだというようなことを言うのに対して、自分にも若い時はあった、お前たちも老いは必ずやってくるのだよ・・・というようなことを歌っています。甘い恋の歌だけではありませんね。

    この旅行記、少なくとも何人かには関心を持たれたのかな〜と、喜んでいます。
    有難うございました。

    pedaru

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