2012/02/12 - 2012/02/12
62位(同エリア7077件中)
旅猫さん
今年から始めた月に一度の鎌倉散策。今回は、鎌倉駅から歩き始め、最後は鶴岡八幡宮へと向かうことにした。小町通の喧騒は苦手なので、裏道を辿ることにしたおかげで、静かにのんびりと歩くことができた。そして、最後に立ち寄った鶴岡八幡宮では、ちょうど正月ぼたんが見ごろを迎えていた。
(2022.02.17 投稿)
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
PR
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10時18分発の特別快速で大船駅へ向かい、11時51分発の横須賀線の始発電車の乗り換えた。そして、鎌倉駅に着いたのは昼前だった。
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鶴岡八幡宮を訪れる以外は決めていないので、とりあえず駅前にある大功寺を訪れてみることにした。境内では、早春を彩る福寿草の花が咲いている。大功寺は、元は大行寺と呼ばれていたそうだが、源頼朝がこの寺で戦評定を行ったところ、勝利したため、改称されたそうだ。
大巧寺 寺・神社・教会
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花の寺として知られているが、目に留まったのは、猫柳のような植物だった。枝に札が掛かっていたので見てみると、シデコブシの花芽だった。
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本堂には、難産に苦しむ女性を護る『産女霊神』が本尊として祀られていて、今でも『おんめさま』の愛称で親しまれているそうだである。その本堂の前にあった手水鉢に水が落ち、広がる波紋が美しかった。
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大巧寺の裏手に出ると、鎌倉駅前の賑わいが嘘のように静かになる。住所的には、小町通りと同じなのだが、まるで別の街のようである。近くの民家の窓越しに、猫の絵がこちらを眺めていた。
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鎌倉を歩く時は、いつも地図を持たないので、適当に歩いて行く。そして辿り着いたのが蛭子神社だった。かつては夷三郎社と呼ばれていたそうだが、後に本覚寺の境内に移されて夷堂となり、明治の神仏分離で現在地に遷座したそうだ。蛭子は『えびす』とも読み、恵比須様のことでもある。小町の鎮守だが、誰も居なかった。境内の東側には滑川が流れていて、その水が思いの外綺麗であった。
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蛭子神社の参道入口には、丸いポストが立っている。鎌倉の街には、古いポストが良く似合う。
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神社の北側の路地に入る。その界隈には、鎌倉らしい民家がそこかしこにあり、なかなか風情がある。
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路地裏には、青竹の緑が美しい建仁寺垣のある民家もあった。日本情緒を感じさせてくれる風景があるのは、さすが古都鎌倉である。
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滑川に朱色の橋が架かっていたので渡ってみる。その橋には、琴弾橋という美しい名前が付けられていた。すぐ近くの小御所山(二代将軍源頼家の子、一幡の館があったことに由来)にあった『琴弾の松』に由来するそうである。その松は、山に風が渡ると琴を弾くような音をさせたと云われている。橋からの風景も、とても風情があった。
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橋からの風景を楽しんでいると、人力車がやって来た。琴弾橋に立ち寄るとは、渋い選択である。半被に『鎌倉』の文字が粋である。
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琴弾橋近くの住宅地を散策。その中に、椿を生け垣に使った家があった。よく見てみると、赤ばかりの中に一輪だけ白い花が咲いていた。たった一輪なのに、他の花が霞んでしまうほど気高く咲いている。源氏の都に相応しい気品である。
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近くには、舗装されていない道もあった。どこか懐かしい感じがして心が和む。鎌倉には、そこかしこに未舗装の道が残っているのが嬉しい。
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この界隈にも古い民家が残っている。引かれたカーテンに窓の棧の影が映り、美しい模様を浮かび上がらせていた。
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琴弾橋を渡り返し、八幡宮の方へと歩いて行く。すると、すぐ右手に日蓮上人辻説法跡と言う場所があった。日蓮上人は、この辺りで毎日辻説法を行っていたそうである。その先の左手にあった妙隆寺は、千葉氏の屋敷のあった場所で、日親上人所縁の寺だそうだ。鎌倉は、鎌倉時代の史跡が多く、戦国時代や江戸時代の史跡はほとんど無い街である。
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少し歩くと、右手に道が分かれている。その道に入ると、大正13年(1924)に架けられたアーチ構造の優雅な姿を持つ東勝寺橋に出る。その橋の上からは、滑川の深い谷が望めた。自然豊かな鎌倉の一面が見られるお気に入りの場所である。
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橋を渡ると、その先に東勝寺跡がある。3代執権北条泰時により創建された寺で、元弘3年(1333)の新田義貞による鎌倉攻めの際、15代執権北条高時以下一族郎党が果てた場所と云われている。現在、その跡には、寺があった痕跡すら感じることができない。
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さらに奥へと進むと腹切りやぐらがある。最後の執権北条高時をはじめ、一族や郎党が自害した場所と云われていて、供養塔が建っている。ちなみに、釈迦堂切通の近くにかつてあった釈迦堂谷奥やぐら群からは、以前、刀傷を受けた頭蓋骨などの人骨が多数発掘されたそうだ。五輪塔には、元弘三年(1333)五月二十八日と刻まれたものがあったらしく、北条一族の戦死者を葬った場所と云われていたそうである。現在は、宅地造成により破壊されてしまい、残念である。
※腹切りやぐらは、現在立入禁止となっています。 -
当ても無く歩いていると、宝戒寺に出た。そこは、鎌倉時代に北条執権邸があった場所で、足利尊氏により、北条高時の菩提を弔うために建立されたと云われている。
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その参道では、まだ水仙が咲いていた。
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水仙の咲く参道では、石仏もひっそりと佇んでいる。
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宝戒寺と言えば、秋に咲く萩の花で知られているが、境内には椿も多い。多くの品種が植えられていて、結構見応えがある。この日も、美しい花を咲かせていた。
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宝戒寺の門前には、鶴岡八幡宮へと続く道が走っている。さすがに観光客の姿が増えたので、少し離れることにした。立ち寄ったのは、お気に入りの自家製ハムとソーセージの店。今回は、カニクリームコロッケを昼食代わりに購入した。もちろん、帰りがけにもう一度立ち寄り、ソーセージなどを土産として買い込んだ。
アルトシュタット グルメ・レストラン
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近くに源頼朝の墓があるので、久しぶりに立ち寄ることにした。実は、この2月11日に、心無い人により墓の一部が壊されてしまったのだ。訪れてみると、確かに上部が無くなっている。他にも、頼朝の墓の前にある白幡神社の境内にある狛犬も壊されて無くなっていた。なぜこのようなことをするのだろうか。なお、墓と呼ばれているが、実際には江戸時代に島津家によって建立された供養塔である。
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その傍らに、3歳で生き別れ、二度と会うことが出来なかった同母弟である源希義の高知市にある墓所の土と石が置かれている。源希義は、兄頼朝挙兵後、平家方の奇襲を受けて討死したと云われている。平成6年、835年の時を経て、双方の墓の土を交換して兄弟を再会させたそうである。
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最後に、鶴岡八幡宮を訪れる。流鏑馬が行われる馬場は、人影も疎らであった。観光客の多くは、段葛か小町通を歩いてまっすぐ境内を進むので、この辺りは結構空いていることが多いのだ。
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この季節、境内では正月ぼたんを観ることが出来る。せっかくなので、観て行くことにした。今年は寒さが長引いているので、いつもより花持ちが良く、ちょうど満開に近い状態だった。
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個人的には、観賞用の花より野に咲く花のほうが好きなのだが、菊や牡丹は風情があるので、観賞用でも悪くは無い。
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牡丹園には、色々な品種があい、結構見応えがある。大きな花を付けているが、どれも花弁が繊細で、儚げである。
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牡丹を鑑賞した後、一応拝殿へと向かう。ここは、鎌倉でも一番人が来る場所であろう。さすがに、多くの参拝客で賑わっていた。
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かなり混み合っていたので参拝は諦めた。源実朝暗殺の舞台とも云われる石段脇の大銀杏の跡を、石段の途中から眺める。かなり痛々しい姿になっているが、子孫が元気に育つことを祈るばかりである。
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段葛を歩いて鎌倉駅へと戻る。壇葛は、頼朝が、懐妊した北条政子の安産を祈願して築いた参道である。今は、いつも渋滞している車道に挟まれて喧騒の中にある。そんな道を歩き、今回の鎌倉散策を終えることにする。
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この旅行記へのコメント (10)
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- rokoさん 2012/04/04 17:41:58
- 古都鎌倉散策
- 旅猫さん こんにちは
鎌倉散策 いいですね、
先日たまたまテレビで古都鎌倉が放送されていて、その魅力にどっぷりつかってました。
今年から毎月一度散策されることになったのですね♪
旅猫さんの解説が素晴らしいです、ほんとによくご存じで。
椿、白の椿気品があっていいですよね、大好きです。
いきなりカニクリームコロッケにはビックリ(^^)v
気持のこもった写真の数々、堪能させていただきました。
いつか鎌倉をのんびり歩いてみたいです。
roko
- 旅猫さん からの返信 2012/04/09 22:13:56
- RE: 古都鎌倉散策
- rokoさん、こんばんは。
お返事が遅くなりすみません。
鎌倉は、日本の町で唯一住んでみたい街です。
何とも言えない落ち着いた風情があって、好きです。
大きな街じゃないし、山と海に囲まれて自然も豊かだし。
毎年、年に数回は訪れているのですが、今年は毎月一回以上歩くことにしました。
季節の違いによる表情の違いも感じたくて。
鎌倉は、色々な花が季節によって咲き競うので、それも楽しみ。
明日は、休暇を取って桜に会いに行こうと思っています。
白い椿って、とても清楚で美しいですよね。
痛みやすい花びらだからこそ、傷ひとつない花はんとに美しいです。
カニクリームコロッケが売っている店は、手作りハムとソーセジの店なんです。
私のお気に入りです。
旅猫
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- 前日光さん 2012/03/24 22:42:45
- さすが旅猫風鎌倉記(^-^)
- 旅猫さん、こんばんは。
鎌倉旅行記に訪問させていただきました。
月に一度の鎌倉詣でですか。
いいですよねぇ、鎌倉。
やっぱり落ち着いた風情が漂っていますね。
しかも旅猫さんのコメントがまたシブイです。
時々白黒写真になっていますが、それがまたすばらしいですね。
今回の車の白黒写真は、レトロ感が漂っています。
牡丹も水仙も美しいですが、お地蔵さんに木の葉の影が映っていて、
とても静かな感じがして、これがまたすごくいいです。
鎌倉に思い入れの強い旅猫さんですが、その思いが静かで深くて、ああ、旅行記ってこんな風にさり気なく書けたらいいなと思いました。
とても参考になりました。
前日光
- 旅猫さん からの返信 2012/03/24 23:21:02
- RE: さすが旅猫風鎌倉記(^-^)
- 前日光さん、こんばんは!
最近、平日だけではなく、週末も忙しいので、
前日光さんの旅行記もあまり読みに行けなくてすみません。
忙しいと言っても、週末に出かけてばかりいるだけなのですが(^^;
おかげで、旅行記がたまるばかりです。
今年は、最低月に一度は鎌倉に行くことにしたのです。
毎年、年に数回は行っているのですが。
鎌倉は、京都よりも個人的には好きです。
武家の都らしい、落ち着いた風情が魅力ですね。
そして何より、歩いて回れるのが良いです。
鎌倉は、白黒写真も似合うんですよ。
そこで、今年は白黒も少し載せようかなと。
あの車の写真はお気に入りです(^^)
宝戒寺で出会会ったあのお地蔵さんは、人が多い参道脇にあるのに、とてもさりげなく佇んでいました。
> 鎌倉に思い入れの強い旅猫さんですが、その思いが静かで深くて、ああ、旅行記ってこんな風にさり気なく書けたらいいなと思いました。
> とても参考になりました。
素敵なコメントをありがとうございます!
そう言っていただけるととても嬉しいです。
旅猫
-
- 三匹の子猫さん 2012/03/24 13:45:28
- 只、美しいの一言。
- 旅猫さん
いつも、旅行雑誌の1ページを読むような感覚で拝見させていただいております。
今回の牡丹はまた格別に美しく旅猫さんらしいシブい解説がこの牡丹たちにの品格と相まって素敵です。
こちらは東北で、まだ雪が舞うようなお天気の上に、牡丹の花を見ることが出来るのは6月頃と非常に遅いため、大好きな花の一つであるこの花をこんなに早く見ることが出来ましたことに感謝いたします。
遅くなりましたが、いつも私の旅行記に訪問、そして投票していただきましてありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
三匹の子猫
- 旅猫さん からの返信 2012/03/24 15:38:10
- RE: 只、美しいの一言。
- 三匹の子猫さん、こんにちは!
こちらこそ、いつもありがとうございます。
旅行雑誌のようとは嬉しいです。
実は、牡丹の花を撮ったのは初めてなのです。
風景の中ではあるのですが、花としてはお初。
大きい花なので、結構難しいですね。
三匹の子猫さんは東北にお住まいでしたか。
昨年の震災では、さぞや大変だったことでしょう。
個人的には東北は大好きな地域なので、心が痛みました。
この一年、私にできることはと言えば、
東北へ旅をして少しでもお金を落とすことぐらいでした。。。
正月牡丹は、冬牡丹のひとつで、1月2月に咲く牡丹です。
普通の牡丹は、関東でも4月から5月ぐらいですよ。
この度は、コメントをありがとうございました。
旅猫
- 三匹の子猫さん からの返信 2012/03/24 16:37:24
- RE: RE: 只、美しいの一言。
旅猫さん
そうだったのですか〜。
牡丹が好きな割にはちっとも知りませんでした〜。(笑)
良いこと知りました。ありがとうございます。
牡丹は初めて撮ったとは思えないほどに、牡丹の気高さが表現されていて綺麗に撮れていると思います。
三匹の子猫
- 旅猫さん からの返信 2012/03/24 17:07:55
- RE: RE: RE: 只、美しいの一言。
- > 牡丹は初めて撮ったとは思えないほどに、牡丹の気高さが表現されていて綺麗に撮れていると思います。
お褒めいただきありがとうございます(^^)
旅猫
-
- たらよろさん 2012/03/12 21:54:55
- 鎌倉行きたい〜〜
- こんばんは〜旅猫様。
鎌倉の街並み、、
お寺さん、何度見てもいいですね〜
やっぱり鎌倉のお寺さんは、京都とはまた違った風情があって、
もちろんお花や海も楽しめて、
素敵な町です。
今年もそんな鎌倉に少しでもいいからいければいいなぁ〜〜〜
コメント楽しみにしていますね。
たらよろ
- 旅猫さん からの返信 2012/03/16 00:02:15
- RE: 鎌倉行きたい〜〜
- たらよろさん、こんばんは!
お返事が遅くなってしまい、ごめんなさい。
鎌倉は、何度行っても飽きません。
もう、数えきれないほど足を運んでいるのに。
大好きな街です。
海があるのもいいですね。
そちらからだと、そう気軽には来られませんよね。
でも、訪れたくなる魅力がありますよね。
コメント、週末には何とかしたいものです。
旅猫
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