寝台特急「日本海」

2012/02/14 - 2012/02/15

3月16日で廃止となってしまう寝台特急「日本海」に、
始発の大阪から終点の青森まで乗車してきました。

寝台列車の醍醐味は、列車の音を聞きながらベッドで眠れること、
そして朝起きると、違う土地を走っている事ですね！
冬の青森行き「日本海」は、その醍醐味を満喫させてくれました。


うえのんの旅行記
http://heartland.geocities.jp/ywkkt705/

エリア 青森市内(青森)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: JR特急
• 旅行の手配内容: 個別手配

1両しかないＡ寝台車の下段に乗りたくて、指定券が発売になる1ヶ月前の午前10時に、ＪＲ四日市駅に3回足を運びました。

駅員さんに頼んで10時にキーを叩いてもらっても、結局Ａ寝台の下段は確保できず、確保できたのは第二希望のＢ寝台の下段でした。

「日本海」には食堂車や車内販売はおろか自動販売機すらないので、夕食の弁当とお茶・酒とつまみ・夜食のおにぎり・朝食のサンドイッチとコーヒーなど、しっかり買い込んで乗車しました。

17：41「日本海」入線
この写真を撮る私の背後と向かい側のホームには、たくさんの鉄道ファンが写真を撮っていました。

昔はここ大阪から、九州や山陰や関東に向けて多くのブルートレインが走っていましたが、みんな廃止になってしまいました。
来月「日本海」が廃止になると、もう大阪でブルートレインは見られなくなります。

青い車体に光る日本海のテールマークと赤いテールランプ

寝台特急ほど旅情を感じさせる列車はないと思います。
雪国の青森まで、約15時間の旅が始まります。

いよいよ乗車、そしてこれが我がＢ寝台の下段。
このベッドが明日まで自分のものと思うと嬉しくてたまりません。Ａ寝台じゃなくて残念ですが、、、

そしてＢ寝台の上段。
黄色いセーフティネットが付いていて、子供でも転がり落ちないようになっています。昔はこんなの付いてなかったと思っていたら、後になって分かったのですが、付いているのはこの車両だけでした。

検札に来た車掌さんに「タバコはどこで吸えますか？」と聞いたら、「この通路でどうぞ！」とのことで、たまたま喫煙車でした。
中国の寝台列車でもデッキでしか吸えないのに、、、そんな事からも「ブルートレインって昔の列車なんだなあ」って感じました。
通路の折りたたみ椅子を出して座り、暮れゆく車窓を眺めながら一服しました。

京都を過ぎると日も暮れました。
弁当を食べてのんびりしていると、列車は後ろから来る特急を先に行かせるため、近江塩津に停まりました。
窓に顔を当てて外を見ると、早くも外は雪景色になっていました。

さてさて、先頭のＡ寝台目指して探検です。自分が乗っているのは最後尾の車両なので遠い道のりです。

編成はＡ寝台１両とＢ寝台が７両、繁忙期はＢ寝台が増結されるそうです。

飲料水
ブルートレインと共に滅びゆく設備ではないでしょうか？
これが最後かもしれないという思いで一杯飲みました。

Ａ寝台に到着

1ヶ月前の9時45分に駅に行って、駅員さんに頼んで10時丁度にキーを叩いてもらったのに取れなかったＡ寝台の下段。悔しいですが下段に寝ている方々は勝者です。おめでとうございます。私の分も頑張って下さい。

まだ空いているベッドがあったので写真を撮りました。

これがＡ寝台の下段、ベッドの幅が広いですね！
そして大きな窓を独占できるのが贅沢です。

そしてＡ寝台の上段、ベッドの幅は下段同様に広いのですが、窓が明かり取り程度のものしかなくて、とても車窓は楽しめません。これはイヤです。

探検を終えて一杯やりました。

ところで、廃止になる理由が利用客の減少と車両の老築化なのですが、なるほど、ガタガタガタガタっという音が度々鳴るのです。どうも減速する時に鳴るみたいですが、かなり大きな音で10秒も20秒も続きます。残念ながらもう限界なんですね！

音がうるさいとか言いながらも、酒が入った私は福井（20：25）を過ぎてから寝てしまいました。加賀温泉（20：52）では起き上がりましたが、金沢（21：29）では起き上がることもなくそのまま寝続けました。

金沢を出ると長い車内放送がありました。
明朝まで放送をしないこと、通路の照明を暗くすること、盗難に気を付けること、それからこの先の停車駅と到着時刻の案内などでした。

夜中に目が覚めました。
長いトンネルを走っているので、親不知あたりかと思っていたらその通りで、トンネルを抜けると並行して海の上を走る北陸自動車道が見えました。
そして列車は糸魚川（23：20）に停まりました。

読書灯の明かりで本を読んで過ごしました。新津（1：28）ではホームや線路にたくさんの雪があって、雪国に来たことを実感しました。

ちなみに車内はポカポカです。毛布1枚では寒いのではないかと心配で、最初は私服のままで寝たのですが、暑くて途中で備え付けの浴衣に着替えました。それでも暑くて毛布から足を出して寝ました。

目が覚めると外は明るくなり始めていました。
車内放送も始まり、定刻通りに運行しているそうで、列車は鷹ノ巣（6：53）に停まりました。

朝食は昨日買い込んだＢＬＴサンドとコーヒーです。

積雪は市街地で50?ほど、山間部で100?ほどでしょうか？車掌さんに聞くと例年より多いと言っていました。

大館（7：17）は雪に埋もれていました。
雪景色が珍しい私にすれば、雪が多いほど嬉しいのですが、ここで生活する人には大変なことなんでしょうね。

司馬遼太郎の『街道をゆく-41-北のまほろば』を持ってきて読みました。津軽の地理・歴史・人物を解説した内容の濃い本です。

それから出発前に、ネットで太宰治の『走れメロス』の文を見つけたので、印刷して持ってきて読みました。

樹氷ではありませんが、樹氷のように木々が雪化粧をして、とても美しい景色が続きました。
多くの人がカメラを持ち出して景色を撮っていました。

弘前（8：00）も雪に埋もれていました。

雪の弘前城を見に行きたいのですが、今回の旅にはその時間がありません。またの機会にお預けです。

弘前公園 (弘前城) 公園・植物園

大阪から14時間58分、距離にして1023.4?走って、終点の青森（8：45）に到着しました。

ホームでたくさんの人が写真を撮っていますが、ここまでの沿線でも三脚を構えて写真を撮っている人がたくさんいました。

昭和23年に大阪-青森を走る急行が登場して、昭和25年に「日本海」の名が付けられ、昭和45年に特急に格上げされた「日本海」の歴史が今終わろうとしています。

豪華な個室寝台に乗って食堂車でコースを食べる夜行列車の旅も魅力的ですが、これと言って何の設備もない開放寝台の旅にも旅情は十分にあり、心に残る良い思い出になりました。
もう乗れないと思うと悲しいですが、ここまで頑張ってくれたことに敬意を表したいと思います。
寝台特急「日本海」お疲れ様でした。

この旅行記へのコメント （7）

• マプトさん 2019/10/15 14:39:12

  函館行き

  私は、大阪から函館行きに乗ったことがありました。そんな時代を懐かしく思います。

• nana-papaさん 2012/06/13 11:22:40

  こんにちは！

  うえのんさん
  
  はじめまして！
  寝台特急「日本海」旅行記楽しく拝見させていただきました。
  学生の頃、寝台特急「富士」に九州から東京まで多分20時間くらいかかったと思いますがその頃の記憶が甦ってまいりました。
  車内もあまり変わってなく懐かしく拝見いたしました。
  朝目覚めたら知らない風景を走る・・・いいですね!!!
  
  青森までは約１５時間。寝台車なのでゆっくりと心地よくおやすみになれたんじゃないでしょうか。ワンカップもあったし（笑）
  同じ旅も先日ロンドンまで１２時間おおよそ1万キロの旅でしたがこちらはとても疲れました。さらに２時間かけてバルセロナへ行ってきましたが、寝台車の旅のようなのどかさや時間がゆっくりと流れる事もなく時代の変化を感じた次第です。また旅行記楽しみにしております。　nana-papa

  うえのんさん からの返信 2012/06/13 23:24:20

  RE: こんにちは！

  メッセージありがとうございます。
  
  ブルートレインは子供の頃からの憧れでした。その憧れが次々に姿を消してゆくのはとても残念な現実です。手が届かなくなる前に、という想いの旅でした。
  
  ちなみに、グラナダ・コルドバには行ったことがありますが、まだバルセロナには行ったことがなく、もしバルセロナに行く時は、パリから夜行列車を利用したいと計画だけは立てています。
  しかし子供が中学生になり、家計が厳しくなってきましたので、海外旅行はしばらく行けないかもしれません。
  頑張ってマイルを貯めています。
  
  うえのん

• susanaさん 2012/03/17 19:55:52

  ニュースで見ました

  うえのんさん、はじめまして。
  高野山の旅行記へ投票いただきまして、ありがとうございました。
  
  「日本海」の最終日、今日のニュースで見ました。
  鉄道ファンの方たちの熱気を少し感じました。

  うえのんさん からの返信 2012/03/21 23:41:57

  RE: ニュースで見ました

  昨年、司馬遼太郎の「空海の風景」を読んで、
  中国の西安（かつての長安）まで行ってしまいました。
  
  高野山には行ったことがないので、
  行かなければと思っています。
  
  うえのん

• norisaさん 2012/02/23 19:41:36

  こんばんわ！

  うえのんさん、
  
  こんばんわ！
  寝台特急の詳細が分かって参考になりました！
  ありがとうございました！
  
  norisa

  うえのんさん からの返信 2012/02/24 20:34:09

  RE: こんばんわ！

  書き込みありがとうございます。
  
  私もnorisaさん同様、寒さが大の苦手なのですが、雪が降ると寒さを忘れて舞い上がってしまいます。勝手なもんです。
  
  morisaさんの四国の旅行記を懐かしく拝見しました。私はマリンスポーツはしませんが、足摺岬の崖の上から下をよーく見ると、泳いでる海亀が見えたのを思い出しました。