2010/10/23 - 2010/10/23
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Weiwojingさん
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湘南と言えば、かっては財界人、文化人、皇族の別荘や邸宅があったところとしてい知られています。もちろん今でも大磯や鎌倉、葉山等に数多く存在しますが、戦前の名建築と言われたものがかなり解体されたり、マンションに変わったり、細分化されたりして一般住宅になってしてまいました。
平塚もかっては海岸沿いに多くの別荘がありましたが、今ではほとんど残されていません。わずかに所々に見られるだけです。今回そのような残されている別荘時代の残り香りを求めて小さな旅をしてみました。
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JR平塚駅南口から歩いて10分も歩くと、湘南らしい街の雰囲気が感じられるようになります。あるマンションの一角に「小平浪平別荘跡」と刻まれた記念碑があります。小平浪平は日立の創業者です。
石碑には、
小平浪平別荘跡地
八十九初酪渋沢元治
昭和七年村井弦斎より
此の地五千余坪を譲り受け
別荘を松林に建て松籟に耳をすませ
ここで大日本の構想を練った
昭和二十年七月の空襲で焼けた。
昭和三十九年建立
と書かれています。 -
記念碑のそばにはこのような花が咲いていました。
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海岸(太平洋)に向かって歩いて行くと、湘南らしい光景が見えてきました。黒松があちこちに大きな枝を広げています。
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さらに海岸に向かって歩いて行くと、そんなには大きくはありませんが、「村井弦斎公園」があります。村井弦斎とは一体何者だとお聞きになるかもしれませんね ( 1枚目の写真にも彼の名前が出ていますが )。
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公園内にはたくさんの老黒松が茂り、ここがかつて別荘だったことを示しています。村井弦斎の別荘があったところなのです。
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公園の真ん中に村井弦斎別荘跡を示す記念碑が立っています。碑には次のように書かれています。
今や我家の食道楽趣味は暫く
田園趣味に進み
行きぬ 出ては栗果の
露滴らんとするを摘み 入っては珍膳を
具へて冨岳の暗嵐に對す 悠々たる
清興 人生の幸福此の中にあり
於対岳楼 弦斎 -
弦斎公園の道路をはさんだ南側にひっそりと建つ「旧藤田家住宅」です。この家は元々東京原宿にあった團伊玖磨( 1924〜2001 )の家で、彼の祖父琢磨( 1858〜1932 )が建てたものです。長男の伊能は大学で建築学を教え、その教え子に藤田経世がいましたが、この家を彼に譲り、ここに移築されたそうです。
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移築されたのは洋館部分で、木造平屋建て、桟瓦葺切り妻屋根、色モルタルスコッチ仕上げ、大谷石布基礎を特徴としています。隣の和館は1934年( 昭和9 )年の完成です。
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広大な別荘地がわずかに残されています。この周辺にはたくさんの別荘があっものと思われますが、今では細分化されて一般の住宅やマンションに変わり、かつての面影を見つけるのは大変難しいです。
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昔、湘南の海岸線には黒松の林が至るところに植えられていました。黒松林は防風・防砂林として畑や家々を風や砂から守るために必要なものでした。海岸近くに建つ別荘建築には黒松の林はなくてはならないものでした。しかし、現在ではわずかに残っているだけで、このような松林は珍しくなっています。
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平塚でまとまった松林があるのは恐らくここだけでしょう。かつてはこの辺はどこまでも続く松林が続いていたものと思われます。
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このお宅の入口には大変立派な「門かぶり松」が生い茂っています。かつては別荘を守るために何十本もの黒松が植えられていて、それらは別荘地の残り香と言ってもよいでしょう。しかし、今ではもうほとんど見ることができません。
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文部省からヨーロッパへの留学許可を得ながら、病気のために出発できなかった高山樗牛は治療のために鎌倉、大磯、興津等を点々とし、最後に平塚へ来ました。平塚へ来る時はいつも翁屋( 現在では、おきな屋 )へ泊まることになっていました。しかし、杏雲堂で治療を受けていましたが、療養のかいなく亡くなりました。
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おきな屋はかっては宿屋でしたが、その後食堂として営業していました。しかし、現在は店を閉じています。
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扇の松通りには、文字通りその名前のついた大きな「扇の松」があり、この通リのランドマーク的存在です。道路まで大きく張り出した枝ぶりは大変見事です。
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「扇の松」の向かい側には老舗の和菓子屋「松屋」があります。この店では何と言っても「松ぽっくり最中」がよく売れているそうです。
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道路際には長い塀が続き、その中には竹の生い茂る森のようなお屋敷があります。
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2時間以上歩いたのでかなり疲れました。昼食時間もかなり過ぎていましたが、遅めの昼食として駅近くの割烹に入りました。この店にはあらかじめ予約を入れておき、特に今回村井弦斎ゆかりの場所を歩いてきたので、彼にかかわりのあるものを注文しておきました。
それがこのポタージュスープです。滋養と強壮に富むスープだそうです。他の料理は普通の和食でしたので、あえて写真は撮りませんでした。 -
店のご主人が手にしているのは弦斎の『食道楽』です。この本には彼が勧める食に関す様々な提言が書かれていて、同時に、西洋料理から採り入れたレシぺ等も載っています。
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後日、神保町で弦斎が書いた『食道楽』を見つけました。4冊本ですが、これは復刻版です。
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この旅行記へのコメント (2)
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- nomo1215さん 2010/11/01 18:30:59
- 平塚の旅行記・・・。
- Tamegaiさん
こんばんは・・・。
ちょうど同じ時期に私も平塚に行ってました。
私の場合は、旅行ではなくちょっと親戚の集まりだったのですが。
車で行ったので首都高から厚木ICで降りて行きました。
何年かぶりの平塚でしたがあまり変わっていないな〜〜。
と思いながら車を走らせました。
Tamegaiさんのこの旅行記を拝見し、こんな所もあるんだ・・。
と思っています。
年内にまた行く機会があるので、時間を作って
足を延ばして行ってみたいと思います。
参考になる旅行記に感謝です・・・。
nomo1215
- Weiwojingさん からの返信 2010/11/02 05:12:59
- RE: 平塚の旅行記・・・。
- nomo1215さん、こんにちは。
同じころ平塚に行かれたのですか。私は平塚には何度か訪れた
ことはありますが、海岸のある別荘地の方には初めてでした。
ある講座で平塚にもかつては別荘地が広く存在していたという
ことを知り、今回歩いてみたわけです。大磯や葉山のような
立派な別荘地と比較すると、あまり残ってはいませんが、でも
所々に残っていて、かつての様子を偲ぶことができます。
私が歩いたところはせいぜい2時間もあれば歩きまわれますので、
機会があればぜひ足を延ばしてみてください。街歩きはとても
楽しいですね。思わぬ発見や再認識されることなど多くあります。
今後のnomo1215さんの平塚旅行記を楽しみにしています。
ありがとうございました。
Tamegai
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