1995/10/22 - 1995/10/23
2位(同エリア6件中)
北風さん
中東旅行の関門であるシリア入国。
と言うのも、この国のVISAを入手するには、日本大使館のLETTERが必要。
つまり最初にトルコの日本大使館に出向き「彼は悪い奴じゃないよ」なる手紙を書いてもらい、その後、トルコのシリア大使館にてVISAの申請を行う。
ただでさえ、めんどくさい手続きが多いのに加え、今回は「シリア入国の為に陸路移動中の日本人旅行者、クルド人ゲリラに誘拐される!」とのニュースが1ヶ月前に起きていた。
案の定、日本大使館では陸路入国は許可しないと言われた。
しかし、こんな事で尻込みはしない。
いや、ここまで陸路で旅した以上、引き下がるわけには行かない。
ということで、飛行機チケットを買った。
その足で大使館に行き、空路入国と言う事でLETTER入手!
その10分後、飛行機会社にてチケット・キャンセル!
さて、イランに続く臨戦態勢国、シリア、どういう旅になるんだろう?
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
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旅日記
『シリア国境にて』
山間のワィンディングで急ハンドルを切るたびに、ひびの入ったフロントガラスに異なる様相の岩山が迫る。
陽気なトルコ人のドライバーが、ゆでたピーナッツをほおばりながらカセットの曲に合わせて大声で歌いまくる。(なかなか器用だ)
シリア国境行きのバスは、俺の貸しきり状態だった。
トルコの国境沿いの町を発車すると、すぐに俺を助手席へと案内したドライバーと2人きりだ。
わけてもらったピーナッツを、口いっぱいにほおばり、相棒と2人で陽気にドライブ!
一見どこにでもある休日の過ごし方だが、さっきからちょっとした疑問が頭をよぎる。
「何故に乗客は誰もいないんだ?普通、国境行きのバスは商売人で溢れているはずだが?」
「ベン シリア イトメク イシュテヨルム」
(俺、シリアに行きたいんだけど)
と一応、ドライバーに言ってみた。
「OK.OK」と答えが返ってくる。
まぁ、いつか着くなら、現状を楽しもう!
アラブ的楽天主義に身を任せる事にする。 -
そして、それから40分後、バスは、かしましいブレーキを軋ませながら国境らしきところに停車した。
シリアのイミグレーションには、俺以外誰もいなかった。
おかしい、この国境はシリアのアレッポへのメインルートのはず、これほど閑古鳥が鳴いているはずはないのだが?
とりあえず、入国手続きのついでに
「今日は人が少ないね」と、管理官に尋ねてみた。
「お前はイスラエルが好きか?」と質問が返ってきた。
「いや、イスラエルじゃなくて、何故アレッポ行きの人が少ないのか聞いているんだ」
「じゃぁ、お前はイスラエルが好きなのか?」と、今度は怒声混じりに返答される。
どうも、会話がかみ合わない。まぁ、自己主張が強烈なアラブ人の上、お役人ならしかたない。
とりあえず、質問に答えねば。
しかし、「はい、この国の次に行く予定です」などと口が裂けても言えない。
何故なら、イスラエルとシリアが犬猿の仲なのは周知の事実。現在も即時戦争体制にある。
「イスラエルなんて嫌いだよ。この後、ヨルダンに行くだけさ」と、満面のジャパニーズスマイルと共に言ってみた。
「そうか、インシャ、アラー(神の御心のままに)」と納得され、即座に入国スタンプを押してくれた。
まだ、名前さえ尋ねられていないが、どうやら、入国審査は「イスラエルが好きか嫌いか」だけで決まるらしい。(俺はVISA代にUS$40も払ったんだぞ!)
パスポートを手渡される時に、「この道はアレッポに行かないから、ここは入国者が少ないんだ」と先程の質問の返答が届けられた。
・・・やはり、バスを乗り間違えたらしい。
じゃぁ、ここは何処なんだろう?
インシャ、アラー(神の御心のままに) -
<CRAC DES CHEVALIERS(クラーク・ド・シバリエ)>
未だにどこの国境から入国したのか不明のまま、とりあえずガイドブックに載っている観光名所「クラーク・ド・シバリエ」を目指す事にした。
(国境から一番近いはずの観光名所「アレッポ」は何故かバスの運ちゃんから却下された)
「ホムス」という大きな街にたどり着いた翌日、ここから日帰りで行ける「クラーク・ド・シバリエ」行きのバスを探すのだが、地元では、正式名称が違うらしく、いくら行き先を告げてもバスの運ちゃんに通じない。
どうにかガイドブックの写真を見せてたどり着いた場所には、はるか昔の800年前、十字軍の遠征の折に築かれた城壁がそびえていた。 -
城は小高い丘に建てられていた。
石畳の階段を登っているうちに、下界ははるか下方へと遠ざかっていく。 -
城の中に足を踏み入れると、レンガを積み上げた見事なアーチが迎えてくれた。
一体、どうやって積み上げたんだろう? -
いくつものトンネル状の石の回廊が続く。
道は急な勾配をもって、上へ上へと・・・ -
どれほど回廊をくぐりぬけてきただろう?
見事なレンガ積みの天井がどこまでも続いている。
この天井だけでも立派な芸術作品の気がするのだが・・・ -
とうとう頂上の教会にたどり着いたらしい。
石を積み重ねて、これほどの室内装飾ができるとは!人を威圧する雰囲気は、現代でも息ずいていた。
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