2008/07/01 - 2008/07/01
408位(同エリア472件中)
ちゃおさん
< 石砂の 蛭も忌まわし ふくら脛 >
静寂の山。「天涯孤独」と言ったら大袈裟な表現になるが、今日の石抄山登山は丁度そんな感じだった。
奥多摩辺りの山では、今日は自分一人だ、と思って登山していても、必ず誰かに遭遇し、結局一人ではなかったんだと、がっかりもし安心もするが、今日こそは登りも下りも誰一人とも遭遇しなかった。敢えて遭ったと言えるのは蛭(ヒル)の数匹。
今日、7月1日(火)は富士山山開きの日。それにあやかった訳ではないが、全国的に晴れの予報で、朝8時自宅を出る。梅雨の合間の晴れ間。第3回目の東海自然歩道、山歩きをする。
高尾で一旦電車を乗り換え、中央線藤野駅に着いたのは9時15分。自宅を出てからおよそ1時間で着くのだから、イメージと違って、案外近い距離にある。
処が、バスの時刻を見ると途中乗り換えのやまなみ温泉行きは、朝の8時25分が出た後は、9時台は1本もなく、次のバスは10時40分。これではやまなみ発11時のバスに間に合いそうにない。仕方なく、約4キロの道をやまなみ温泉まで歩く。
前回、石老山を下りた、篠原からやまなみ温泉まで歩き、温泉から藤野駅までバスで帰ったが、今日はそのバスの道を歩くのだから、二つ合わせて、丁度全部を歩いたことになる。これこそ本当の東海自然歩き。
道々藤野の町並みを見ながら歩くこと約1時間、温泉場のバスセンターに到着。11時発、篠原行きのバスにはまだ1時間近くある。センターには留守番の小母さんがいて、この周辺の山の事情、山を越えた反対側のバス事情、等を聞くが、余り山に登ることもなく、殆ど知らない状況だった。
然し話して気がついたのは、これから向う篠原バス停について「シノバル、シノバラ」というような発音で、当初何を言っているのか理解できなかったが、そうか、この部落の方言で「原」を「バル、バラ」と呼ぶんだな、丁度沖縄とか鹿児島で「マエバル(前原)」「ヨナバル(与那原)」等呼んでいるが、それと同じかも知れないと思う。
「原=バル」は日本の古語かも知れない。江戸時代までは各地方で、そのように呼ばれていたが、標準語の普及と共に「原=ハラ」と呼ばれるようになり、いまだ「バル・バラ」と呼んでいるのは、極く限られた地方の県、このような田舎位にしか残されていないかも知れない、と思った。
又、これから登る「石砂山」にしても、地元の人は「イシザレサン」と呼んでいて、「イシスナ」とは言わない。
これは「ザル=抄」から転訛して「ザレ=砂」になったのかも知れない。そんなこんなで1時間も退屈せずにす過ごすことができた。
このセンターからは丁度11時に3方向にバスが同時に出て、1台は藤野駅へ、他の1台は山中湖方面の東野へ、それとこの篠原行きのバスであるが、当方以外の客は全くいない。多分毎日、このように無人の空気を運んでいるのだろう。今日は何日ぶりの乗客かも知れない。
バス代100円を支払って、イザ、石砂山へ。天然記念物「ぎふちょう」の生息地とのことで、あちこちに立て札が立っている。集落の外れから登山道が始まるが、頂上までは僅か2.2キロ。登山口からは1.9キロに過ぎない。1時間も歩いたら到着できそうな距離だ。
しかし、交通の便が悪いのか山を歩いている人には行き当たらない。人口減の為、山を守る人もいなくなっているのか。小鳥の鳴き声、時々聞こえる仏法僧の低い鳴き声、空を横切り飛行機のエンジン音のみ林間にこだまする。静か過ぎる位の山歩き。初夏の緑が目に鮮やかだ。
頂上直下の約300m、高度差にして約150mが急坂だったが、それ以外には困難な箇所もなく、本当に1時間も掛からずに頂上に到着する。山頂588mからは天気予報に反し快晴ではなく、曇った空に周辺の山並、集落はよく見えない。
お昼を食べようと、登山靴を脱ごうとしたら、足元に枯れ葉のようなゴミ見たいなものがついている。取り払ったら何かヌルっとした感じで、足から離れない。
ヒヤー〜、叫び声こそ出さなかったものの、ヒルが足にくっついて放れない。急いで靴を脱ぎ、靴下を抜いて、靴下で取り払う。何かぞくっとした。もう既に大分血を吸ったのか、2−3cm位の大きさになっている。食いつかれたところから、ドロっとした感じの血が流れ出ている。それで安心してみていると、まだ小さなゴミのようなものが付いている。チクショウ!ヒルの子供だ!小さくて気が付かなかった、2−3匹張り付いている。慌てて叩き落とし、一安心。安心しついでに記念に写真を撮っておく。もう何年も山に登り、この近くの丹沢山系には「蛭ヶ岳」という蛭のいっぱいる山も登ったことはあるが、蛭に食いつかれたのは今日が始めて。全く気持ち悪い生き物だ。
蛭は体温に反応して人体に飛びつく、と、どこかで読んだ記憶があり、そうか熱に反応する前に急いで歩けば良いのだな、と昼メシを食べた後、歩幅を早めて下山する。これは正解で、下山路では蛭に襲撃されることも無かった。
途中、山の中腹に道祖神が倒れていたが、石が重く一人では元に戻せない。風とかで倒れるようなものではないので、誰かが人為的に倒したに違いないが、そう言えば、山頂に2−3日前のオレンジの皮が散乱していたが、同じ人物かも知れない。彼ももうちょっと山を歩くようになれば、山を愛するようになるかも知れない。
この道祖神から下山口までの約1キロ、綺麗な石畳が続いていて、誰が、いつ頃何の目的で造作したかは知らないが、こんな山の中の石畳、何かの目的があったのかも知れない。
2時には下山口の伏馬田へついたが、ここからの三ヶ木行きバスは1時17分が出た後は、4時22分まで出ていない。全くこの山は行きも帰りもバス便に泣かされる。
やむを得ず、三ヶ木へ向って6キロの田舎道、尤も国道であるから2車線の交通頻繁な道路であるが、を歩く。青野原の広々とした畑地が心を和ませる。こんな山奥にも、こんな田園風景が広がっている。交通不便ではあるが、住んでみたいような気持ちよさそうな田舎風景であった。
< 石砂の 森の山道 ただ一人 >
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 高速・路線バス
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藤野町、やまなみ温泉バスセンターより眺めた「石砂山」方面の風景。
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やまなみ温泉バスセンター。日中の乗客は皆無。これでは本数もいよいよ減ってしまう。
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これから山頂までの1.5キロの山道が続く。道は綺麗に整備されていて、危険な箇所はない
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登山口付近にあった「虎の尾」に似た、白い花。今が盛り。
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頂上直下、約300mの急坂が続く。
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石砂山(イシザレサン)、山頂。588m。
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東海自然歩道、案内板。
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周辺の景色は雲に隠れ、良く見えない。
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ヒルに食いつかれた左足。
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心無い登山者のゴミ棄て。
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心無い登山者の庚申塚の引き倒し。
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下山道、約1キロにわたって続く石畳の山道。江戸時代のものとも思えないが・・・
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津久井、青野原を流れる「道志川」の深い渓谷。
数年前の夏、この上のダムからの不意の放流で、多くのレジャー客が川の中州に取り残され、多くの人命が失われた。ヘリを飛ばす等、何とも方法が無かったのか・・。 -
青野原の「夢街道」
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