2008/03/23 - 2008/03/23
944位(同エリア2841件中)
まゆままさん
ウィーンの芸術家であるフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーデザインの舞洲工場(ゴミ焼却所)と舞洲スラッジセンター(下水処理場)へ。
この度「環境アートフェスティバルin舞洲」なるものが開催されることを知り、その中で普段の工場見学では立ち入れない場所へも行けるというプラントツアーが先着30名限定で行われると知り、これは行かねば〜と思ってしまった。
3年ほど前にフンデルトヴァッサーの建築見たさに工場見学を応募して一度訪れていたが今回はその限定ツアーとスラッジセンターの見学を!とやってきた。
が、限定ツアーは惜しくも満席になってしまい、その代わりに通常のツアーを案内してもらうことに。
「技術、エコロジーと芸術の調和」をコンセプトに自然を大切にする考え方が取り入れられたヴァッサーデザインの両工場の建物を十分味わうことができた!
舞洲工場見学案内
http://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec04/kengaku.html
舞洲スラッジセンター見学案内
http://www.city.osaka.jp/toshikankyo/contents/07_osaka/maishima/index.htm
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
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舞洲工場はとてもゴミ焼却施設とは思えぬ雰囲気。
これは大阪市が建設するにあたり、ゴミ焼却所や下水処理場というのは付近の住人に嫌がられるといったマイナスイメージがあるが、実は人が生きていく上でとても大切な機関、仕事であるということから、そういったイメージを払拭し、市民にもっと親しみをもってもらうためエコロジストでもあったフンデルトヴァッサー氏にデザインを依頼したのだそう。 -
舞洲工場北面
ちなみに舞洲工場のデザイン料は6600万円、総工費は609億円。
スラッジセンターのデザイン料は6000万円、総工費は900億円。
スラッジセンターの方が高いのは中の設備費にお金がかかっているのだそう。
金額が大き過ぎてなんかピンと来ない〜〜 -
自然界に直線や同一物が存在しないことから、各所の形状には意識的に曲線が採用されるとともに
建物は自然との調和の象徴として多くの緑に囲まれている。 -
壁面の赤と黄色のストライプは工場の内部で燃焼する炎をイメージし、表現しているのだそう。
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ヴァッサーは建築物において自然との調和を具体化する最も重要な手法が植栽であると考えている。
ヴァッサーは「人間がこれまで効率性や機能性を重視するあまり、本来自然の領土として残しておかなければならない土地を無断で占拠して無味乾燥な建物を建ててきた。今や人類は自然との調和を考えずして将来とも生存しつづけることは不可能であり、占拠した場所はもう一度自然に返すべきだ」という強い思いを持っていた。
したがって、全ての建築物において人間の使わないスペースなどに植栽を施すことによって自然の領土として返し、建物と自然との調和を図ろうとしている。
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舞洲工場正面玄関の門
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表札もかわいく曲線でデコレートされている。
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正面玄関の門柱
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玄関を入ったところの案内板もうねってるな〜
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玄関を入ったところの装飾
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地面も曲面となり波打っている
フンデルトヴァッサーの全ての建築作品にあるように、建物の床や廊下、屋外の歩道は、自然の丘のようにうねりのある床に仕上げている。
なぜなら、自然の丘には定規で引いたような直線や平らな地面は存在しないからである。
人は、このうねった床を歩くことによって自然との調和への思いをより深くすることができるのだそう。 -
2階の渡り廊下
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煙突は120メートルの高さがあり、30億円。
煙突一本、さ、さ、30億円〜!?
高いのか?安いのか?もう金銭感覚麻痺状態・・
当初は天辺に展望室とレストランを作る予定だったが、果たして人が来るのか?という問題とさらに60億かかるというのでお流れになったという。 -
ここは舞洲工場の中枢部。
ここで一日450トンのゴミを燃やせる焼却炉2つの管理を行っている。 -
巨大なクレーンがゴミをつかんで焼却炉へ投入する迫力のシーン
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クレーンを操作する部屋。
こちらの舞洲工場の特徴は
臭気を含んだ空気が外部へ出るのを防ぐ為、ゴミピット内の空気は燃焼用空気として焼却炉内へ送り込み高温焼却により臭気を分解している。
600度以上の温度で燃やすと臭気は出ないのだそう。
又ゴミ焼却によって生じる熱エネルギーを蒸気と電気に変え、工場内で使用するだけでなく電力会社へも送っている。家庭の5万軒分、年間6億7千万円ほどになるという。 -
舞洲工場の模型
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舞洲工場のお手本にもなったウィーンのゴミ焼却施設「シュピテラウ工場」の模型
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ウィーンのごみ焼却施設「シュピテラウ」から舞洲工場の完成記念に送られたレリーフはヴァッサー氏の手形付き。
ヴァッサー氏は2001年の工場の完成を待たず、2000年に亡くなっている。
舞洲工場、舞洲スラッジセンターはヴァッサー氏の遺作となった。 -
こちらは大阪キッズプラザ内にあるヴァッサーデザインの「こどもの街」の写真。
以前一度子供を連れて行ったことがあるが、ヴァッサー氏の作品は明るくにぎやかなデザインとやわらかい曲線で設計されているので子供の遊び場がとても合ってるような気がした。 -
これはウィーンにあるヴァッサーデザインの市営住宅、ヴァッサーハウス完成当時の写真。
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完成から10年後のヴァッサーハウスは自然界に緑を増やそうというヴァッサー氏の意図通り樹木が育ち、生い茂った状態に。
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ミラーガラスは太陽や月、星の光や自然の姿も写し出し、人々に夢やロマンを与え、暖かさや楽しさを写し出す役割を果たしている。
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2階の外には遊歩道があり多くの草木が植わっている。
建物を建てると自然を破壊するので、それを補う為に工場の周辺ならびに建物緑化を積極的に行っていて
1万6千本の木が植栽されている。 -
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壁面の格子模様は工場壁面の単調さに変化を与えるもの。
黒の格子の線は木の幹から枝が分かれるが如く、さまざまな曲線にして変化をもたせてる。 -
金のボールは一個百万円。
輸入した鉄のボールに金沢の金箔を貼って仕上げたもの。
この金のボールが建物に約100個使用されている。
金は全ての人にとって憧れの金属である。
金は、晴れた日はもちろん、雨の日でもその輝きを失わず、遠く離れた場所からでもその輝きが見える。
そしてこの金の輝きは人々に未来への希望を与えるものだとのこと。 -
スラッジセンターの煙突が映り込む舞洲工場のミラーウィンドウ
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窓からちょろちょろと控えめに伸びる樹木。
10年後にはこの舞洲工場もウィーンのヴァッサーハウスのようにモリモリとした緑で覆われるようになるのか?! -
3階から2階へ下っていくジグザグの遊歩道
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ジグザグの遊歩道を上から見るとこんな感じ。
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2階の渡り廊下の天井の上もちゃんと緑化されている・・
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セラミックは日本ではなかなか出せない鮮やかな色ということでドイツから輸入したもの。
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あちこちで使われている煉瓦はイタリア製のものを無料で譲り受けたそうだが輸送料に高くついたのだそう。
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建物内部の装飾は入り口入ったところとこちらの渡り廊下くらい。
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こちらはゴミ収集車がゴミの重量を測る計量塔。
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計量塔の屋根を上から見るとやはりここも緑化されていた。
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年を経て蔦がいい具合に絡まってきている。
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煙突の根元の方。
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こちらは舞洲工場のすぐ近くにある舞洲スラッジセンター(下水汚泥処理施設)
舞洲工場と同じくフンデルトヴァッサーデザインの建物。 -
こちらの外壁のストライプもやはり炎をイメージ。
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ヴァッサーの建物は天井や壁を透明な青色にグラデュエーション塗装した事例が多く見られる。
壁面の透明な青色は人々がこの青色の壁に沿って歩く時、あたかも自然の青い大空のもとにいるような自然を感じ取る場所になっている。
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柱は自然の木と同じ役割を果たすと考えている。
人は木の下にいれば雨や露を凌ぎ、またある時は強い日差しを遮って心地よい木陰を作るなど人に安心感や安らぎを与えるもの。
まさに建物における柱もこの木と同じ役割を果たすべきであり、そのためにも一本一本の柱は、それぞれ異なったデザインにより異なった形や色のセラミックタイルなどで飾って美しくあらねばならないとヴァッサー氏は考えていた。 -
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こちらのミラーウィンドウには舞洲工場の煙突が映り込む。
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煙突の根元の方はらせん状に植栽され、無機質で単調な壁面に生き生きした表情を与えている。
又らせん状の植栽帯は雨水がその傾斜によって頂部から下部まで自然に流れ落ちながら潅水を行う世界でも初めてのもの。 -
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エントランス付近
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エントランス付近。
玄関ではスリッパに履き替えるのだが靴箱などはない。
ヴァッサー事務所により建物のデザイン上、余計なものは一切置いてはいけないことになっているらしい・・
入り口にはスリッパだけがずら〜っと並べられていた。 -
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1階のトイレ、エレベーター付近の壁やドア。
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舞洲スラッジセンターは主に臨海部の8カ所の下水処理場の汚泥を集中処理する施設。
汚泥を脱水した後、溶融炉で焼却、溶融し、そこでできた溶解スラグは建設資材として建設会社へ売却し有効活用されている。 -
自然界には同じ物は一つとしてない、ということから樹木を表す柱は一つ一つ、違うデザインになっている。
ヴァッサー氏による柱のデザイン画 -
フンデルト・ヴァッサー氏による舞洲スラッジセンターのデザイン画
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トイレの手洗い場。
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バルセロナのグエル公園を思い出させるようなベンチ・・
座ってみると、椅子の角が丸くカーブを描いていて思ったより座り心地がいい! -
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スラッジセンターのすぐ横には自然と共生をテーマに造られた市民の憩いと安らぎの場である開放緑地がある。
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1300度で溶融して出来上がった溶融スラグは無臭で自然界の砂と形態が似ている。
溶融スラグの保管倉庫。
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この旅行記へのコメント (10)
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- ぬいぬいさん 2008/04/17 08:15:46
- すごい これ清掃工場?
- まゆままさん おはようございます
大阪にもありますね すごいのが
見てみたい 大阪遠征計画しないと・・・
- まゆままさん からの返信 2008/04/17 21:47:12
- RE: すごい これ清掃工場?
- ぬいぬいさん、こんばんは〜
そうです、これは大阪のゴミ処理場と下水処理施設です〜
この施設はウィーンのガウディとの異名をとるフンデルトヴァッサーの作品ですが、土曜日も要予約で見学やってますよ〜
ぜひ遠征にいらしてください!
私もご紹介されてた日本のガウディ、梵寿鋼の作品、東京遠征して見たいなあと思いますがぬいぬいさんのようになかなか身軽に動くことできませんね〜
とりあえず近場からじっくり廻って行きます・・
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- wiz さん 2008/04/12 18:33:42
- 百水 @オーサカ!
- まゆままさ〜ん、
ついに登場ですね! 百水の大阪ゴミ処理場!
Webでは何度も色々な方のレポートを見ていたのですが、
4トラで初めに?見れるのは、まゆままさんだと思っていましたよー。
前にお話していた時たしか見学はしたことがあったのを聞いていましたが、
今回はしっかり内部を写真に収めてきましたね〜 嬉しいです。
この写真、クンストハウス(ウィーン)の中もこんな感じあったなぁ〜
と、思い出しました! あ、あとトイレの写真も〜(笑)
セラミックタイル や、 柱 のあの感じ、ある意味強烈ですよねー(苦笑)
でもいつも自然との共存とか考えているんですよね〜。
フンデルトヴァッサーハウスも緑と共存していますもんね!
ウィーン郊外Bad Blumauには温泉施設 SPAもありますね!
http://www.hundertwasser.at/english/architektur.htm
(↑クンストハウスウィーンのweb内です!)
- まゆままさん からの返信 2008/04/12 22:05:00
- RE: 百水 @オーサカ!
- そう言えば百水は雅号でしたね。
フンデルト・ヴァッサーを日本語にそのまま訳して百水ってなかなかできてますよね〜
内部ですが、内部はエントランス付近と渡り廊下、ジグザグの遊歩道くらいで後はごく普通の造りなんですよ。
まあ、全てをこてこてに装飾すると更に一体いくらお金がかかるの?
って感じになりますよね。
クンストハウスの中は普通に歩くところもかなり激しく波打っていた記憶があるんですが
さすがに舞洲工場では波打ちは端っこの方くらいでしたよ〜
つまづいたら危険だからか?!
セラミックの色合いはとてもきれいでした〜
柱の形や色合いが皆違うのが面白いですよね。
ウィーン郊外にはスパがあるんですね!
ヴァッサー氏デザインのスパ、癒されそうですね〜
いつもいろいろとサイトの紹介ありがとうございます〜
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- まみさん 2008/04/09 12:36:14
- フンデルトヴァッサー大好きです
- まゆままさん、こんにちは。
舞洲とあるのに、ウィーンかしら、なんて思いながら眺めていて、大阪と知ってびっくり!
素敵ですねぇ。
ごみ焼却場や下水処理場とは思えないです。
いや、どちらもリサイクルには重要な施設だから、フンデルトヴァッサーの関心も高かったのかもしれませんね。
- まゆままさん からの返信 2008/04/09 20:45:29
- RE: フンデルトヴァッサー大好きです
- まみさん、はじめまして!
書き込みと投票ありがとうございました!
まみさんはフンデルトヴァッサー、大好きなんですね。
私も昔、ウィーンへ訪れた時にヴァッサー氏のことを知り、
ヴァッサーハウスとクンストハウスは見に行ったのですが、
こんな市営住宅があるなんて・・と初めて見た時にはとても衝撃的でした。
今となってはウィーンのごみ処理場シュピテラウも見ておけばよかったと悔やまれますが・・
日本には、ヴァッサー氏がデザインした建物は三つだけで
その三つともが大阪にあるということで、
全国からヴァッサーファンが見学に来ると市の職員の方は自慢されてました。
ゴミ処理場や下水処理場なだけに、ヴァッサー氏のデザインによって
そのあまり良くない?イメージが払拭されて、ゴミや汚水が又
再生されてよみがえっていくいいイメージがわいてくるような気がします〜
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- たらよろさん 2008/04/04 00:29:02
- まさかここをご紹介くださるなんて・・・
- こんばんわ〜〜
ご無沙汰しております。
以前、WTCの展望台から見えた不思議なアラブっぽい建物に
なんだろうって思って調べてみて
ごみ処理施設ということはわかっていたのですが、
まさか内部をご紹介くださるなんて
めちゃ嬉しいです。
近くでみれば見るほど不思議な建物ですね。
色鮮やかというかはちゃめちゃというか・・・
是非、一度行ってみたくなりました!!
本当にありがとうございました。
たらよろ
- まゆままさん からの返信 2008/04/04 15:29:23
- RE: まさかここをご紹介くださるなんて・・・
- たらよろさん、こんにちは〜!
書き込み&投票ありがとうございました〜!
舞洲工場、たらよろさんも気になっていた建物だったんですね。
それは喜んでいただいてうれしいです〜
窓からにゅっと突き出た木々やインパクトのある金のボール、ぐにゃりとうねる床、
不思議感をかもし出すミラーガラス、色鮮やかなモザイクで出来た柱などなど、近くで観察すると更に楽しさ倍増ですよ〜
残念ながら建物内部の装飾はほんの一部だけですが
ゴミをつかむ巨大なクレーンなど一は見の価値あり?です〜
内部見学は要予約ですが機会があればぜひ又お訪ねくださいね〜
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- crosswordさん 2008/03/30 07:29:42
- 奇抜なデザイン!
- まゆままさんへ
面白い建物ですね〜。
いまもかどうかわかりませんが、USJと間違って
迷い込んで行ってしまうという人の気持ちも
十分理解できます(笑)!
高速からしか見たことがなかったので、前から
気にはなっていたのですが、中までデザインが!
トイレも、ここまで...見事ですね。
私はついていけませんが、結構好きです〜。
さてそろそろ桜の季節ですね。
お互いにいい写真が撮れればいいですね。
crossword
- まゆままさん からの返信 2008/03/30 20:19:23
- RE: 奇抜なデザイン!
- crosswordさん、こんばんは〜!
書き込みと投票ありがとうございました〜!
ほんとに、この建物は日本ではありえないような奇抜なデザインですよね〜
一見、派手に飾り立てたような建物ですが、
一応ひとつひとつに意味が込められてるようで、
自然界の木に見立てた柱も木にはひとつとして同じ物はない
ということから全部違うデザインになっていたり・・
緑化を積極的に行うなど、
ゴミや下水の処理施設とは思えないような自然と一体となったデザインがいいですね〜
柱などに使われてるセラミックもドイツからの輸入ということで
独特なきれいな色が出ていて、見ていても楽しさがあふれてくるような建物でした。
ウィーンにはヴァッサー氏が作った市営住宅もあり、
見に行ったことありますが、住むとなると果たして住み心地はどうなのかな??
と思ってしまいます・・
桜、いつも満開の頃雨が降りますが、今年はどうでしょうね〜
楽しみですね〜〜♪
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