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その他の観光地人気旅行記ランキング55位(61件中)

森の心(4)

旅行時期 2005/02/24 - 2007/03/15 (2007/03/06投稿

コンパートメントでUAE美人と向き合いながら朝食ボックスのコーヒーを飲む。流れる窓の外は寒そうだ。レッドアロー号はもうすぐペテルブルクに到着する。<br /><br />雪の降り続く街を歩きまわると、寒さで顔と足が耐えられない。香港ヌーンデイガン的な大砲音がペトロパブロフスク要塞から響く。雪のせいで動けなくなったように見えるオーロラ号を通り過ぎる。プローシャチ・レーニナ駅近くのカフェでひと息ついて、エカテリーナ宮殿「琥珀の間」の話を思い出していた。「部屋全部が琥珀なんですよ」と、しきりに「見たい見たい」と言っていたツーリスト。「琥珀の間」自体は気になるものではなかったが「ローカル列車の切符を買ってそこまで行く」という旅には惹かれる。エルミタージュとクンストカーメラくらいしか予定を立てていなかったので、行ってみてもいい。手元のガイドブックには「現在、琥珀は全てなくなっている」と書いてある。古い。<br /><br />ローカル駅のカッサで切符を買い、どの列車なのか、どの駅で降りるのか、何番バスに乗ればいいのか、どこで降りるのか、と人に聞いて確かめることのくり返し。ロシア人のたくさんの親切に連れられてエカテリーナ宮殿に到着した。観光客の行列。順番を待っている身体に雪が積もっていく。宮殿内をひとめぐりした後も雪は相変わらずだった。帰りの列車では、雑誌売りや物売り、さらには車内弾き語りフォークデュオまで登場し、楽しく過ごすうちにペテルブルクに戻ってきてしまった。

コンパートメントでUAE美人と向き合いながら朝食ボックスのコーヒーを飲む。流れる窓の外は寒そうだ。レッドアロー号はもうすぐペテルブルクに到着する。

雪の降り続く街を歩きまわると、寒さで顔と足が耐えられない。香港ヌーンデイガン的な大砲音がペトロパブロフスク要塞から響く。雪のせいで動けなくなったように見えるオーロラ号を通り過ぎる。プローシャチ・レーニナ駅近くのカフェでひと息ついて、エカテリーナ宮殿「琥珀の間」の話を思い出していた。「部屋全部が琥珀なんですよ」と、しきりに「見たい見たい」と言っていたツーリスト。「琥珀の間」自体は気になるものではなかったが「ローカル列車の切符を買ってそこまで行く」という旅には惹かれる。エルミタージュとクンストカーメラくらいしか予定を立てていなかったので、行ってみてもいい。手元のガイドブックには「現在、琥珀は全てなくなっている」と書いてある。古い。

ローカル駅のカッサで切符を買い、どの列車なのか、どの駅で降りるのか、何番バスに乗ればいいのか、どこで降りるのか、と人に聞いて確かめることのくり返し。ロシア人のたくさんの親切に連れられてエカテリーナ宮殿に到着した。観光客の行列。順番を待っている身体に雪が積もっていく。宮殿内をひとめぐりした後も雪は相変わらずだった。帰りの列車では、雑誌売りや物売り、さらには車内弾き語りフォークデュオまで登場し、楽しく過ごすうちにペテルブルクに戻ってきてしまった。

写真 5枚

テーマ:
鉄道・バス等
交通手段 : 
エリア:
リトアニア > その他の観光地
エリアの満足度:
評価なし
  • 500_11880552

    8年前のガイドブックによるとモスクワに蝋人形館があった。行くと閉まっており、残念と思いつつモスクワを後にしたのだが、雪の降り止まないネフスキー大通りで怪しげな呼び込みが配っているチラシを見て「これは!」と思った。横道にそれて目的の建物へ入ってみる。暗幕で仕切られた小さな部屋、十数体の蝋人形に出迎えられて終了。これで80ルーブル。蝋人形館はウサン臭ければウサン臭いほどいい。

    ロシア最後の日。ネフスキー大通り横断歩道信号待ち。「おみやげ?」と男が箱を見せながら近寄ってくる。「要らない」と断っていると後ろから相棒が走ってきてバッグに手を掛けた。典型的な手口に「なるほどコレがそうか」と、ひとり感心する。もうひとつの手口。男4人の集団が横に並び背後から迫ってきた。バッグのチャックは開いていた。

    もうすぐロシアを離れる。ペテルブルク、ビテプスキー駅のカフェで絵葉書を書く。モスクワの深夜、ポスト探しでうろついていて浮浪者に囲まれた事を思い出し、夜なので駅構内を出ないように気を付けるが、ポストは見つからない。仕方ない、時間切れだ。カッサにあった青い箱に投函しておこう。形は似ているが明らかにポストでないことはわかる。いい人がみつけてくれるよう願い、ヴィリニュス行きの列車に急ぐ。

    車内表示はロシア語と違う言葉で書かれていて、社内販売しているチョコレートなどもロシアのそれではない。価格表示は「Lt」。「ロザリオの丘に行きたい」という思いだけでリトアニアに向かっているが、国のイメージがまったくない。しかし、コンパートメントでカウナスの人の親切に出会って、リトアニアに対しての期待は大きく膨らみ、ロシアを思い返すことなどなかった。最初に出会う人によって、その国に対する第一印象は大きく変わる。

  • 500_11880532

    ヴィリニュス駅に着いた朝。ザックを駅構内のロッカーに置いてバスステーションに向かう。中継地点のシャウレイ行きバスは一日に数本だけ。ロザリオの丘へ行くのは明日でもあさってでもいいのだが、気持ちが昂ぶっていたせいで、すぐにバスチケットを買ってしまった。

    天気は好い。久しぶりに青空を見た気がする。今までいた国のものとは違った朝食を摂り、バスに乗り込む。立派なダブルデッカーだったが、見掛け倒しで乗り心地はかなり悪く、15分も揺られていると気分が悪くなっていた。3時間以上揺られ、シャウレイのバスターミナルで乗り継ぎ、「おじいさんの家へ遊びに行く」という男の子に、降りるバス停を教えてもらうことにした。

    景色がほとんど見えないバスの汚い窓。男の子は背伸びしたりキョロキョロしながら「ここかな?まだかな?」と外を確かめている。「ここ、ここ」と言われてバスを降りた。道路と深く積もった雪。何も見えない。「?」の顔をしてバスを振り返ると、男の子がうなずき、運転手が丘へ続く道を教えてくれた。「アチュウ!」と叫んだものの、丘らしきものがどこにも見えない雪の平野に取り残されて不安になる。

    「こっちだ」一緒に降りた青年が話しかけてきた。ふたりで雪の道を進む。少しだけ小高くなっている場所をかなり遠くにみつけた。「お前はあの子供と知り合いなのか?」「初対面の人間の情報をなぜ信じるんだ?」と早口で話す英国人ツーリスト、アダム。「Pope」など何度聞き返しても「ポ」にしか聞こえない。早口早足で20分。丘までの道の途中には看板が一切無く、素朴な十字架がひとつ立っているだけ。

    そしてたどり着いたロザリオの丘は、これを「丘」と呼ぶものなのかというくらいの「盛り上がった土」だったが、無数の十字架はツーリストを無言にさせた。真っ白い世界で一か所に集まっている十字架たちは、静かに時を刻む。膝まで埋まる雪の小道、十字架の隙間を歩きまわる。

    「ここに来たかったのだ。ここに来たのだ」

  • 500_11880533

    シャウレイ行きのバスはあと一本あるはずだが、それに乗ったところでシャウレイ発ヴィリニュス行き最終バスに間に合うのだろうか。日が暮れ始めて気持ちが焦る。

    アダムは「バスの時間はわからないが、もっと見てから帰る」と言うので、来た道をひとりで急ぎ出した。この時「ヒッチハイク」が頭にあったので、彼と別れた状況は不安ながらも好都合ではあった。旅立つ前の日本で、ヒッチハイク小旅行をしていたので問題ないだろう。

    しばらく道を進んだところで、男が仕事を終えて小さいトラックに乗って帰ろうとしているのをみつける。言葉はあまり通じないが話はわかってもらえた。助手席に乗ると男は「5 minutes」と言って、倉庫にUターンし出した。倉庫に連れ戻されることで少し不安になったが、木材を1本忘れただけらしく、荷台に積み直して出発。彼のお陰でヴィリニュス行き最終バスに間に合い、夜10時に戻ってこれた。電灯が少なくて暗く、危ない時間になっている。駅に近い宿をみつけて眠る。

    翌日からはユースホステルに移る。ツーリストが集まる宿では話が尽きないのだが、特にオーナーのリヴィとは気が合った。初対面だが懐かしさをおぼえ、話していると何か通じるものを感じた。

  • 500_11880534

    ある夜、寝袋を担いだリヴィに「カントリーサイドの家へ行こう」と誘われた。ウラジオストクからヴィリニュスまでのオートバイ旅を終えてきたリヴィの友人が運転手。リヴィの息子も一緒で、雪の道路を車で走り出す。

    この時「カントリーサイド」という言葉を何とも思っていなかったが、時速100キロで2時間飛ばしてから、車の高さほどの雪が積もった小道に曲がってさらに進み始めた時、「カントリーサイド」の意味がわかったと思った。

    しかしまだ甘かった。真っ暗な森の中、民家の灯りを見たのは2軒だけ。雪道を迷いつつ、30分ほど走って車は停まった。周りにはたくさんの木と深い雪。この先は車で進めない、つまり歩くのだ。リヴィを先頭に進み出す。太ももまで雪に埋もれた足を引き抜きながら。夜空と木と雪と、冷たい空気しかない。リヴィは何を目印にして歩いているのだろうか。彼はしばらく進むと立ち止まり、空を見上げ、目を閉じているかと思うと、突然方向を決め、また歩き始める。これのくり返し。自分の息切れ以外は何も聞こえない。雪に音が吸い込まれていく。

    しばらく歩いて足の感覚がなくなってきた時、やっと「カントリーサイド」の意味を身をもって知った。「はぐれたら死ぬ」とも思った。彼を信じてついて行くしかない。身体は冷え切っている。

    それから30分くらい歩いただろうか。久しぶりに光を見た感じがする。灯りのともった小屋をみつけた。たどり着いたのだ。もう凍える夜を歩かなくていい。リヴィの友人たちが出迎えてくれ、酒で身体を温める。

    小屋はおとぎ話の世界だ。電気が一切無く、暖炉は部屋を暖めている。薪をくべてお湯をちんちん沸かし、床には木工細工の置物が転がっている、、、そうだ!ひと安心してからリヴィに聞きたいことがあったのだ。雪で覆いつくされた森の中で、どうやって道がわかったのだろうか。少し微笑んでから彼は答える。

    「わからない。難しい質問だ。それは、、、森の子だから」

  • 500_11880541

    「シベリア鉄道」という森の大動脈を走り抜け、リトアニアの森の奥、彼らの言う「Heart of Forest」まで流れてきた。ここは、雪の積もる静かな森のあたたかい小屋。

    毛布を借りて横になると眠ってしまった。長かった旅の話でもしているのだろう、ぽつぽつと聞こえる彼らの言葉を耳にしながら。夢の中でまた夢を見るように。

    (了)

    http://www.jic-web.co.jp/study/jclub/info.html

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