2006/08/24 - 2006/08/26
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crosswordさん
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いつも通勤途上に読んでいる日経新聞の文化欄に、遠藤周作氏没後10年の記事(2006.7.22)が出ていました。文学館が人気で、長崎にあるとのこと。『沈黙』の舞台となったトモギ村は、長崎市内から50分の外海地区がモデルと書いてありました。あらためて『沈黙』を読んで、この夏に長崎に行ってみようかと思った次第です。ほかにも理由はたくさんあったのですが、長崎は様々な人物と歴史に触れる機会となりました。
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外海と書いて「そとめ」と呼びます。なかなか行けないコースのため、長崎バス観光の定期観光バスを利用することにしました。この日の利用者は、私も入れて4名。名古屋からのご夫婦と長崎の女性でした。ガイドさんの案内で、一本柱鳥居、浦上天主堂、如己堂を車窓から見た後、黒崎教会に到着です。
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黒崎教会は、明治30年にド・ロ神父の指導で敷地が造成され、32年から建設計画が進められました。完成は大正9年。レンガ造りの教会です。
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階段を登って教会へと入ります。あいにく内部の写真は撮っていませんが、ステンドグラスの美しさ、教会内部の温かさを感じました。
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簡素な構成の建物ながら、レンガが美しい教会です。
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この日は天気もよく、夏の日差しが眩しいばかりでした。
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黒崎教会の後、しばらくバスに乗って次は出津教会に向かいます。出津と書いて「しつ」と読みますが、なかなか読めないですね。
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出津教会もまた、ド・ロ神父による設計施工によるものです。明治15年の創建。外壁はレンガ、玄関は石造、内部は木造です。低い造りは台風の被害から守るためだそうです。
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ドロ神父記念館の屋根です。非常に特徴的です。
記念館では、神父のゆかりの品を多数展示していました。何でも幅広く出来た有能な人で、愛用のカレンダーや、当時はまだ日本にはなかったでしょう計算機!もありました。一行が揃ってハモンドオルガンを見ていると、シスターでしょうか、「一緒に唄いましょう」と、オルガンの伴奏で2曲「いつくしみ深き」と「神ともにいませり」を唄いました。 -
いまでこそ、車で外海まで簡単に行けますが、ド・ロ神父の時代は数多くの苦労が必要だったことと思います。ハモンドオルガンは母国フランスから運んだそうですが、どんなに大変な道のりだったことだろうか、容易に想像できます。
ド・ロ神父は宣教師として、また石版印刷を伝えるために、28歳で来日。74歳で亡くなるまでの46年間を日本で過ごし、そのうち33年間をこの外海で生活しました。
質素で貧しい生活の中で、人々の魂と肉体を救うために全身全霊をもって自らを捧げ、数多くの事業を行いました。 -
この道もまた、ドロ神父が数え切れないほど行き来したことでしょう!
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ひとりの人間が一生かかって出来ることは限られています。しかし、それでも多くのことを成すことも可能です。肝心なのは「one+α(アルファ)」、このアルファの部分が何であるかのように思います。
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「伝える」
願いをこめた流れ星が
夜空を駆けていく
目指した場所までは遠くて
ため息こぼれる
たしかな想いは届くはず
胸に誓うよ
永遠に果てしない道も
乗り越えていくと
たどり着くまで
そのときまではきっと
あきらめないから
祝福の鐘を空に鳴らし
大切な人に届けよう
重ねた手にはずっと
光続ける 誓いを
(平原綾香『誓い』より) -
眺めのいい場所です。
どんな想いをもって、毎日この景色をロ・ド神父は眺めていたことでしょう。もしかして、そんな余裕さえなかったかもしれません。
ドロ神父、いままで名前さえもここ長崎に来るまで聞いたことがありませんでしたが、今回の訪問で非常に興味を覚えました。
ド・ロ神父がこの生涯を閉じたのが74歳、そして遠藤周作氏は73歳。時代の接点はありませんでしたが、ふたりには何か共通のものがあるような気がします。少なくとも長崎の地をいとおしく思っていたことは間違いないでしょう。
私もまた、ふたりの人生に触れることで、何かスピリチュアルなものを感じさせられたような思いです。 -
遠藤周作氏の「沈黙の碑」があります。
そこにはこう刻まれています。
人間がこんなに哀しいのに主よ、
海があまりにいのです
そして後方の高台には、
記念館が見えます。 -
遠藤周作氏が「沈黙」の舞台、外海で静かに語りかけているようでした。
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遠藤周作文学館です。午前9時〜午後5時まで開館。一般個人350円。周りはただ海が左右に大きく拡がるのみです。すばらしい眺めに感動!
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文学館内は写真撮影できませんでしたので、雰囲気を少し...。書斎コーナーでは実際に使っていた書斎がそのまま持ち込まれ、時計とスタンドも、在りし日の写真のままです。展示は、純文学・歴史小説・戯曲とテーマごとに分かれ、遠藤周作氏の生涯と足跡が、写真と作品で詳細に綴られていました。
一番奥の部屋はすごく居心地のいいところでした。そこから見る海は、碧さがどこか違っているように感じました。くつろげる空間です。 -
順風満帆な人生を歩んできたような遠藤氏ですが、病気の患いからしんどい時もあったようです。しかし、後に書かれていたことは、「その病気さえも意味があり、すべてが相働きて万事益とされる」ということでした。
...その通りだと思います。
「祈りは果たして叶うだろうか」という人生の問いがあります。夢は「叶う」もの、そして祈りは「応えられる」もののように思います。すぐに応えられる祈りもありますが、時間の経過のなかで、応えが見出されていくものもあります。そして応えられないというのも、ひとつの応えのような気がします。
いまはわからないことも後々になって、意味あることとしてすべてが結びついていくような、そんな風に思います。 -
文学館からは出津文化村も一望できます。すばらしい景観の場所です。
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バスは最後の下車スポット、女神大橋で停車し、しばらく休憩です。ここで記念写真を撮りました。バスガイドさんの写真も撮って、後日送付しましたが、気に入っていただけたのでしょうか(笑)!
あっという間の外海観光でしたが、歴史と人物に触れるすごくいい時間でした。またあらためてゆっくりと周ってみたいと思いました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ばばろあさん 2008/05/17 22:46:53
- 懐かしい道
- crosswordさん
こんばんは!
久しぶりにお邪魔させていただきました。
遠藤周作文学館を訪ねた時のことを、昨日のように思い出し、表紙の「伝える」に胸がジーンとなりました。
ドロ神父が歩いた道と表現されているのを読んで、私もあの道を歩いた時、何かとても温かい懐かしい気持ちを凄く感じたのを今でも憶えていて。
crosswoardさんの表現力の豊かさに、心洗われて、旅にまた出たくなりました。
ばばろあ♪
- crosswordさん からの返信 2008/05/18 09:00:43
- RE: 懐かしい道
- ばばろあさんへ
おはようございます!
また、書き込みありがとうございます。
お褒めの言葉に恐縮です(笑)。
ばばろあさんの写真によく似たものが
いくつかあったりして、ニッコリです!
遠藤周作文学やドロ神父が歩いた道は
私にとっても懐かしいものです。
こころに深く刻まれる旅になりました。
そんな思いを持って、一気に書いたので
熱く語ったのかもしれませんね〜!
旅の余韻もまたいいものです。
crossword
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