1973/01 - 1973/01
638位(同エリア642件中)
ソフィさん
私のアフリカ行き準備で、ついソフィと遊ぶ時間が少なくなっていたある日、箱入り娘のソフィは、自由な天地を求め、生まれて初めて広い社会に出た。
しかし最後は野犬収容所に拾われ、見るも無残な姿で戻ってきた。
その惨めな姿を見ては、哀れさを感じるばかりで、怒る気もしない。
自由とは、それなりの代償なくしては、得られないものなのかもしれない。
彼女は一度は自由を謳歌したのだろうが、いざ帰る段となって道に迷い、飢えと戦いながら必死で帰るべき家を探し回ったのだろう。
痩せ切っていたところを見れば、ゴミ箱あさりさえ不如意だったに違いない。
野犬狩りの人に聞けば、どこかの玄関口で動けなくなり、ションボリしていたとのことだった。
いや彼女にとっては、一生に一度の大冒険をやり遂げ無事帰還し、誇らしささえ感じているのかも知れない。
そう思うと、「良かったな」と祝福してやりたい気もする。
大冒険の成果の一つは、新たな懐妊だった。
生まれて初めての、これで恐らく終わりだろう自由な愛の交歓は、どのようだったろう。
今度生まれた子供も、前回と同じ3匹だった。
みんなそれなりに可愛く、欲しいと希望される方が多くて、喜んで貰われて行った。
私にとっては、全日本チャンピオンとの間に生まれた子供と同じ様に可愛いくて、別れが辛かった。
貰い手の方々は、血統書の代わりに、ソフィの履歴が欲しいと言われた。
そこで書いたのが、「愛犬ソフィの物語」の始まりである。
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