ライオンベラーの冒険 野生への道 8 マサイマラ国立保護区2日目1 06夏:ライオンベラーさんの旅行ブログ
2日目の朝です。
準備をして外に出るとジェフさんが迎えに来ていました。
今日はどんな動物と出会えるのでしょうか?
さあ、ゲームサファリに出発です!
(この旅行記は1準備編http://4travel.jp/traveler/wanyamapori/album/10119910/からの続きです。)
(表示されている旅行日は整理の都合上のもので、実際は8月22日のものです。)
朝になりました。
ゲームドライブ(サファリドライブ)は、6時半の出発です。
動物は早朝と夕刻にアクティブ(活動的)になるので、その時間帯に1日に2回出発します。
というよりも、実際には夜中中活動しているけど、その時間帯だけ陽が昇っているために、観察できるということなのかも知れません。
いずれにしても日中は動物たちは、どこかで寝ているので、観察には適さないようです。
朝食はドライブ後の、8時半からになります。
ホテルの玄関に出て行くとジェフさんがいました。
他のツアー客も皆、出発しようとしています。
今日はどんな動物と会えるのでしょうか。
楽しみです。
ホテルを出ました。
早朝の夜明け直後の風景です。
「あそこはバルーンでしょ!」
ジェフさんが言いました。
「ああー、バルーンが揚(あ)がって・・・揚がっ・・・ああ、あれは・・・大きいですねえ・・・!」
「はっはっは。」
「うわあ、すごい!」
これが、観光用のサファリバルーンです。
今、ここで申し込めば乗れるそうです。
出国前の案内にもありました。
乗ってみたかったけど、5万円ほどするので、予約はしませんでした。
これに乗るとしたら、旅行費用の総額が跳(は)ね上がってしまいます。
出国前に冷静に値踏みして、乗らないことに決めていました。
絶対に乗りたくないぞ!
・・・でも、乗ってみたい・・・。
いやいや、乗りたくないぞ!
冷静に考えて決めたことだから、今ここで衝動的になってはいけないと自分に言い聞かせました。
絶対に乗らないぞ!
ジェフさんは、会社か自分の儲(もう)けになるのでしょうか、
ほれ、ほれ、乗りたいか、乗りたいか・・・
というような気持ちが伝わってきます。
とりあえずは話題を変えることにしました。
「今日は・・・火曜日ですね!」
「そうです。」
「ええーと・・・22日ですか?」
「何?」
「22日ですか・・・、イシリニナ(二十)・・・」
「トゥェンティトゥー! 二十二日!」
「イシリニナムビリ?」
スワヒリ語で22は"ishirini(20)na(と)mbili(2)"といいます。
「イシリニナビィリ(二十二)!」
"mbili" は "ムビリ" ではなくて "ビィリ" というようです。
「ビリ?」
「イシリニナビィリ!」
「イシリニナビィリ?」
「はい。」
「ビリ?」
「ビィリ!」
「ビィリ・・・! ビィリ・・・!」
スワヒリ語を習うことができました。
日本にもこんな先生がいてくれたらいいのに・・・と思いました。
少し行くと、ヌーがいました。シマウマもいます。
たくさんいます。
「ヌーとシマウマです。どうぞ!」
ジェフさんが車を停めてくれました。
ヌーがあちこちでグォーッ、グォーッと鳴いています。
このグォーというのは”これは〜”というときの”これ”のように後の音”ォーッ”の方が高くなります。
声はウシのような声ですが、カエルのような大合唱です。
グォーッ、グォーッ、グォーッ、グォーッ・・・
インパラもいました。
十数羽でしょうか、鳥がインパラやシマウマの上を右から左に一直線に飛んでいきます。(写真)
また少し行くと、今度はハゲワシです。
かなりの数です。
彼らがこのサバンナで倒れた動物たちの掃除役です。
どんな動物の肉でもきれいに貪(むさぼ)り食ってしまいます。
上空では地上のにおいを嗅(か)ぐことはできないので、目で獲物(えもの)を見つけなければなりません。
だから鳥類は皆、目がいいはずです。
と、いうことは当然、私たち人間も、その視界に入っているはずです。
でも全然関心がないようです。
専(もっぱ)らヌーの方ばかりを見ています。
彼らは死肉を食らうので、今ここで、突然人間が死ぬようなことはないということを学習してしまっているのでしょう。
ヌーならこれだけの数がいれば、中には病気で倒れるものもいるだろうし、また、肉食動物が襲うこともあるだろうということを経験から知っているのだろうと思わ
れます。
ここにいると否応(いやおう)なく、動物の食う食われるの関係を感じずにはいられません。
この一面の草をヌーやシマウマ、インパラ(次の写真)のような草食動物が食べます。
しかし、これだけ多くの動物たちが食べても、草は次から次へと生えてきます。
まさにサバンナは多くの命を育む大地なのです。
そして、その草食動物をライオンなどの肉食動物が食べます。
しかし、ここではその肉食動物の姿はほとんど見当たりません。
昨日1頭のヒョウと3頭のライオンを見ただけです。
肉食動物が1ヶ所に10頭以上も集まるというようなことはほとんど無いようです。
草食動物に比べて肉食動物の数はかなり少ないということがよく分かります。
そもそも肉食動物はどのくらいの草食動物を食べるのでしょうか?
もし、ライオンが1頭のシマウマを捕獲したとすれば、通常はそれを数頭で分けるのでしょうが、そのあと数日は、次の狩をしなくてもいいようです。
と、すればライオン1頭あたりが捕獲する草食動物の数は、シマウマに換算すると、多くても1年間に100頭以下だと思われます。
当然、病気や老衰(ろうすい)で死んでしまうシマウマも多いでしょう。
そのようなシマウマもライオンの餌(えさ)になるとしたら、捕獲されるシマウマの数はずっと少なくなるでしょう。
しかし、それでもライオンは毎年何十頭もの草食動物の犠牲の上に生存しているということになります。
人間の場合はどうでしょう。
私たちが1年間に食べる牛や豚や鶏などの肉の量は、魚なども含めると、1日に200g程度でしょうか。
年間で700kgとすると、牛に換算すると10頭程度
でしょうか。
そうすると、ライオンは人間の10倍もの量の動物を食べているということになります。
最も、人間でも菜食(さいしょく)主義の人たちはシマウマやキリンやゾウやサイと同じように動物の肉を食べません。
動物愛護の視点からすると、肉食の量を減らした方がいいように思いますが、健康上はどうなのでしょうか?
しかし、将来的にはそのへんのジレンマが解決され
るように思います。
現在、発達している再生医療の技術を食肉にも応用すれば、生き物を殺さなくても良質の食肉が得られるようになってくるように思われます。
そうすれば、動物愛護とグルメと健康と、さらには飢餓などの問題も一挙に解決されてしまいます。
また、もしそのような再生肉が簡単につくれるようになれば、野性の肉食動物にもそれを与えると、草食動物が食われるといったようなことはなくなるでしょう。
しかし、鳥類や魚類まで人工の肉を与えるとすれば技術的には相当難しくなってしまいます。
「一寸の虫にも五分の魂」といいますが、昆虫なんかも捕まらないように必死で逃げます。
そのように、動物愛護の世界は際限なく続いていくようです。
その辺の解決方法はもっとずっと遠い将来の哲学者や技術者に委(ゆだ)ねるしか仕方がないでしょう。
しかし、食う食われるの関係を解消したとしても、ま
た新たな問題が起こってきます。
捕食者がいなくなると、草食動物の数が増え過ぎて、今度は餌をめぐる争いが激しくなってきます。
そしてもし、草のような餌までも人間が作って与えるとすると、地球上の生き物の数が際限なく増え続けていくでしょう。
動物がのんびり平和に過ごすためには、自然死する動物の数と生まれてくる動物の数が同じにならなければなりません。
ということは、今度は産児制限の工夫をしていかなければならないということになります。
それができれば、地球上の生き物の数や種類のバランスを自在に適正なものに調整していけます。
そうすれば、地球は人間にとっても動物にとっても住みよい星になります。
話がそれてしまいましたが、サバンナの風景に戻ることにしましょう。
しかし、それにしてもこのヌーはすごい数です。
「全部ヌーです!」
と、ジェフさんが言いました。
右を向いても左を向いても全部ヌー。
グォー、グォー、グォー、グォーの大合唱です。
グォー、グォー、グォー、グォー・・・
グォー、グォー、グォー、グォー・・・
あ、また上空にバルーンが見えました。
ジェフさんは無言でしたが、さあ、どうですか、乗りたく
なりましたか・・・
といっているような気がします。
実際は、旅を十分に楽しんで帰って欲しいという気持ちなのかも知れませんが、5万円は高い。
ケニアで5万円だとすると、日本では50万円ほどの価値になるでしょう。
もし、ひとりの観光客が気まぐれで50万円の遊びをすれば、会社は一度に20〜30人分の日当を得ることになります。
しかし、私の方も乗りたくない事情があります。
それは、もちろん私にとって、5万円の出費は痛いということもありますが、それは理由の7割ほどで、実際には、他にも乗りたくない理由があるのです。
それは、”怖い”ということです。
この気球が何らかのトラブルで落下したとき、もし、重力だけの力で落下するとすれば、例えば遊園地のフリーフォールのようなスピードになってしまいます。
そうすれば、どのような工夫をしても助からないということになってしまいます。
だから、安全性に確信がもてないうちは絶対に乗り
たくないのです。
ジェフさんは全く無理に勧めたりしませんが、私が
「落ちませんか?」
というと、
「ははは、大丈夫ですよ。」
と、ごく当然の答えが返ってきました。
またヌーがたくさんいるところにやって来ました。
車の前を横切って行きます。
集団で横切れば、車も突っ込んでこないことを理解しているのでしょうか。
それとも、群れから離れないようにすることに必死なのでしょうか。
このヌーの大群が、隣の国のタンザニアのセレンゲッティ国立公園(このマサイマラと連続している)に移動するときの様子を思い出しました。
よくテレビ番組でやっています。
そして、彼らがワニがいる川を渡るときもまさに、このようにして渡っていくようです。
そのとき何頭かのヌーはワニに食われますが、残りの大半は川を渡りきります。
ワニは一度に1頭しかヌーを食べることが出来ないからです。
今、目の前に、そのような番組で見たヌーの群れがいるのだと思うと、気持ちが昂(たかぶ)ってきます。
ああ、タンザニアに川渡りを見に行きたい・・・・。
サバンナの夜明けです。
先ほどから動物やらバルーンやらはよく見えているのですが、太陽の明るさでピントが合っているのでしょうか、写真はこんな感じになりました。
赤道のすぐ近くなので、一年中この太陽の方角がほぼ真東になります。
実際には、ここはごくわずか赤道の南なので、今は8月なので、正確にはこの太陽の位置のごくわずか左が真東ということになるでしょう。
そして、この太陽が何と、私たちの頭上を通過するこ
とになります。
春分の日や秋分の日は、太陽は真東から昇って、真昼に頭上を通って、夕刻に真西に沈みます。
北半球の夏至の日は、ここでは太陽は頭上より少し北を通り、冬至の日は、頭上より少し南を通ります。
このように、ケニアでは、太陽はいつも真上付近を通ります。
たくさんのハゲワシがいます。
彼らは今日も一日、このサバンナで動物の死肉を食べ続けるのでしょう。
これまで毎日、死肉にありついてこれたからこそ、今こうして存在できているということになります。
ということは、今日1日このサバンナに、彼らすべてを支えるだけの新たな死骸(しがい)が生じるということになります。
あ、サイがいます。
クロサイだそうです。
サイはナクル湖で見ているので、これで2度目です。
そのとき、シロサイとクロサイの違いを説明してもらったけど、よく分かりませんでした。
どうやら口が尖(とが)っている方がクロサイで、口がまっすぐなのがシロサイのようです。(帰国後にももう一度確かめました。)
ケニアの動物ビッグファイブ(五大動物)ということをよく聞きます。
ジェフさんにも何度か尋(たず)ねられました。
ううん・・・と意外に迷ってしまいます。
身体の大きさからすると、ゾウが入っていることは間違いありません。
当然、キリンも入っていると思うのですが、何とキリンは入っていません。
ライオンはどうでしょうか?
ライオンよりもサイやカバの方が大きいので、この2頭は入っているはずです。
ところが何と、サイは入っているけどカバは入っていません。
そして、ライオンは入っています。
これで3頭です。
そして、ヒョウも(かろうじて?)入っています。
後の一頭は何でしょうか?
ヒョウやライオンよりも大きくて、キリンやカバではありません。
私も、既にここ、ケニヤで見ています。
答はバッファロー(水牛)です。
ゾウ、サイ、バッファロー、ライオン、ヒョウをケニヤの動物ビッグファイブというそうです。
私はもう既に、ここでこのビッグファイブを見終わっています。
これはもしかすると、大きいベスト5ではなくて、強い動物のベスト5なのかも知れません。
面白いことに、この中のライオンとヒョウ以外の3頭は草食動物です。
しかし、彼らは1対1では、ライオンやヒョウには負けないのです。
少し走ると、あああ・・・、ライオンがいました。
ジェフさんは、そっと近づきましたが、ライオンは知らん顔です。
車のすぐ左、数メートルほどのところにいます。
信じられないような状況です。
そのライオンの悠然(ゆうぜん)とした姿に見とれてしまって、危険性などまったく意識していませんでした。
まるで、道端で大きな犬をみているような、そんな感覚でした。
しかし、今になって思うと、この車の屋根は車体の1メートルぐらい上に付いていて、ライオンが登ってくると十分車内に入り込めてしまいます。
危険といえば本当に危険な状況であったといえます。
しかし、本当にそのときは、ごく自然に上から上体を乗り出して、カメラを回していました。
ジェフさんが平然と落ち着いていたので、まったくそれを信頼していました。
実際にはライオンが襲ってくる確率はどのくらいある
のでしょうか?
ほとんど0(ぜろ)に近いのでしょうか?
それともジェフさんは少しでもその兆候(ちょうこう)を感じたとき、素早く発信させる自信があるために落ち着いていたのでしょうか?
いずれにせよ、結果的には彼(ライオン)は、私たち人間にはまったく関心を示しませんでした。
「きれいですね。」
と、ジェフさんが言いました。
そう言われれば、なるほどそうです。
本当に”きれい”という表現がぴったりです。
スワヒリ語では英語の good、butiful、fineなどはすべて nzuri(ンズリ)を使うようです。
ジェフさんはこれを日本語に直すときに nzuri=きれい と覚えているのかも知れません。
「貫禄(かんろく)ありますねえ、オスは。」
と私が言いました。
「多分・・・このオスは8歳ぐらいでしょう。」
とジェフさんが言いました。
後でビデオをよく見ると、風はこのライオンの正面から吹いていました。
もしこちらから吹いていると、私たちの匂いを感じて、もっと私たちに対して反応したのでしょうか?
しかし私たちの話し声は聞こえていたはずです。
そして、車が遠ざかって行くとき(この写真)も、ほとんど反応しません。
やはり、人間には慣れてしまっているのでしょうか。
これだけ毎日毎日、観光客が来るので、当然のことかも知れません。
現地のスタッフ達も、彼ら(ライオン)が逃げたり、懐(なつ)いて近寄って来たりしないように、十分に気をつけて接してきたのでしょう。
あ、前方からサファリカーがやって来ました。
おそらくジェフさんが無線で呼んだのでしょう。
彼らは常に無線で、動物がいる位置を仲間に教え合っています。
怖いという感覚を意識する暇(ひま)などありません。
とにかくビデオカメラを回し続けました。
ライオンは時々こちらを見ながら、それでも悠然(ゆうぜん)と歩いて行きます。
緊張します。
「この若いオスは3歳ぐらいです。」
「3歳ですか?」
このたてがみのないライオンはてっきりメスだと思っていたけど、どうやら若いオスのようです。
最初のたてがみのあるオスは8歳でした。
最後の1頭も歩いて来て、3頭がそろいました。
その向こうには、先ほどのサファリカーがいます。
そして、その向こう側には、最初の8歳のオスライオンがいます。
ここにいるライオンはこの4頭です。
何を言っているのかよくわかりません。
私たちの車の後ろに彼ら(ライオン)がいます。
ジェフさんは車のエンジンをかけ、そっと車をバックさせて、彼らに近づきました。
彼らは驚いて、こちらを見ています。
大丈夫なのでしょうか?
車の影から先ほどの8歳のオスライオンが現れました。
3歳のライオンたちの方へ向かって、まっすぐに進んできます。
ネコのようにまったく足音を立てずにすっすっすっすぅとまるで忍者のように進んで来ます。
「・・・でしょ?」
「え?」
「・・・でしょ?」
「え? 何?」
「リスペクトでしょ?(小さなライオンはこの大きなライオンを尊敬しているでしょ?)」
「ほぉ、ほぉ。」
威嚇(いかく)するというよりも、服従を求めるようなまなざしでにらみ続けています。
「おっきいオスはキングでしょ、ちっちゃいはフェイスダウン(顔を伏せている)でしょ。」
「はぁ、はぁ。」
30秒以上はにらみ続けたでしょうか。
もう一頭の小さなライオンは伏(ふ)せてはいますがそっぽを向いています。
それを見た大きなライオンがそちらに近づいて行きました。
それでも彼は知らん顔です。
気付いていないのでしょうか?
威嚇するというよりは、服従(フェイスダウン)を促すようなまなざしです。
じっとにらみ続けます。
(「9 マサイマラ国立保護区2日目2http://4travel.jp/traveler/wanyamapori/album/10202977/に続く」)
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