2010/09/19 - 2010/09/19
162位(同エリア189件中)
まみさん
剥製にされた動物たちには気の毒だと思うけれど、自然博物館は動物の剥製が展示されているのが常で、期待してしまいます。
ハバロフスクの国立極東博物館では、ウラジオストクのアルセーニフ博物館と同じように、シベリアの動物の剥製は生息地の様子を示すジオラマの中に生き生きと展示されていて、とても面白かったです。
入口を入ってまず目を引いたのは、巨大な恐竜の復元予想模型と、マンモスの復元模型@
その後には豊かなシベリアの鉱物資源の紹介がなされていました。
鉱物の結晶を眺めるのが大好きな私にとって垂涎ものの結晶がたくさん展示されていました。
結晶そのものの展示数は多くはないと思いましたが、いろんな種類の鉱物がありました。
いや、考えてみたら、ダントツのすばらしいコレクションを持つウィーンの自然史博物館も、その他の自然博物館も、あれらのほとんどは当時の王侯貴族や学者がよそから集めたものでした。
極東博物館で展示されていた結晶コレクションは、あくまでシベリアで採掘できる鉱物の結晶の紹介であるところが全く違っていました。
でも、その後にずらっと続いた動物の剥製のジオラマ展示が、極東博物館の中で一番私の興味を引きましたし、ハイライトといえるでしょう。
1つだけあった水槽には魚たちが泳いでいました。
アムール川に生息するチョウザメもいました。
黒の宝石といわれる珍味キャビアの親がチョウザメですが、泳いでいるチョウザメを追いかけて写真を撮っていると、チョウザメたちもとても美味しそうに見えてきてしまいました。
2階の展示は、一度目はさらっと通り過ぎてしまい、拍子抜けしました。
キッズルームがあって、子供たちが楽しそうに遊んでいました。
主にクマをモチーフにしたような、ちょっと古い手作りおもちゃの展示が少しと、子供が描いた戦車などの絵がありました。
実際に戦車を目のする目にあったからこそ、子供たちの絵のモチーフになったということを考えると、胸が痛みます。
シベリア・クマの子供たちを観測したVTRがありました。収録されていた全部で3匹の子グマたちは非常に可愛らしかったです。
雪の上を走って来るシーンでは、短い足で全力疾走する愛らしさだけでなく、凍った地面でずっこけているところでは思わず笑い出してしまいました。
同じ木に登ろうとして争っているところもありました。
木の枝をくわえて、その先端あたりをしきりに折ろうとしているところもありました。すごく不器用そうではらはらしてしまったのですが、ひょっとしたらあれは口の中がかゆいせいか、歯みがきなのでしょうか。
撮影者と子グマがなじんでいるシーンもあったので、隠しカメラを仕込んで撮影したわけではなさそうです。どんなチャンスがあって撮影したものなのか、ちょっと不思議。
親グマは映っていませんでした。
原住民の生活や衣装などの展示は少ししかありませんでした。
これまで東欧を旅行して民俗博物館はたくさん回ってきたので、物足りませんでした。
ただ、館員の女性が、展示の民俗衣装の刺繍パターンを指さして、民族や部族の特徴の相違点を教えてくれました。
私にはそれほど大差ないと思えた刺繍パターンの違いでしたが、見る人によっては非常に豊かな情報が満載された貴重な資料だなということがしみじみと分かりました。
その館員さんのおかげで、一度目はさらっと通り過ぎた展示の一部は、アムール川をロシアと中国の清との国境に定めた1858年の愛琿(アイグン)条約(あるいは18360年の北京条約)の調印に関するものだと気付くことができました。
館員さんは、英語はごくごくカタコトで、ほとんどロシア語で話しました。
だから私には一生懸命話してもらった内容のほとんどは聞き取れなかったのですが、たった一言二言のキーワードだけで、それまで私にとってなんの意味ももたなかった品々が、突然意味を持ち始め、あざやかな存在感とともに豹変して衝撃的でした。
まさしく目からウロコというやつですが、私にとってその衝撃は、「光あれ」と暗闇に一条の光が差したときの衝撃も同然に思えました。
<日程>
9月16日(木):行くだけ〜!<ウラジオストク泊>
9月17日(金):ウラジオストク<シベリア鉄道寝台車泊>
9月18日(土):ハバロフスク1日目<ハバロフスク泊>
9月19日(日):ハバロフスク2日目<ハバロフスク泊>←第4日目
9月20日(月):帰るだけ〜!
「シベリアの歴史、自然を知るなら国立極東博物館
1896年、ロシア地理学会のアムール川流域支部によって設立された博物館。極東や沿岸地方の歴史、風俗、自然に関する資料がたくさんある。マンモスの牙、古代先住民の生活様式や映画『デルス・ウザーラ』の展示などもある。」
(「’07〜’08年版 地球の歩き方 シベリア」より)
「国立極東博物館
インツーリストホテルの近くに建つ赤レンガの古い建物です。旧館1階にはマンモスの牙、カルーガ(アムール川のチョウザメ)、動物や鳥の剥製、ステラと呼ばれる海牛の全身骨格などが展示されています。2階には北方少数民族の民族衣装や生活・宗教上の用品などが展示されています。新館には極東地域の歴史(極東開拓)やロシア革命などに関する展示もあります。」
(在ハバロフスク日本国総領事館のハバロフスク市内案内より)
http://www.khabarovsk.ru.emb-japan.go.jp/j/
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赤レンガでアカデミックな国立極東博物館の建物
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みんなが触ったり写真を撮ったりしていたカメさん
触るとラッキーになる、とか、何かいわれがあるのでしょうか。 -
国立極東博物館の入口
入場料は300ルーブル、写真代100ルーブルでした。
(2010年9月現在、1ルーブル=約3円で換算) -
一歩足を踏み入れて、早速、恐竜に出迎えられる@
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そして振り返ると、マンモスの復元模型も!
こんなのを見てしまうと、もともと博物館で写真を撮るつもりがなかった人でも、写真代を払って撮影したくなるのではないでしょうか。
私はもともと写真を撮りたいと思ってきていましたけどネ。 -
シベリアで採掘できる鉱物コレクション・その1
自然博物館のコレクションと思ったら、そうたくさんあるわけではありません。
でもこれは、シベリアで採掘できる鉱物のコレクションなのです! -
シベリアで採掘できる鉱物コレクション・その2
展示の解説は読めないけどワクワク!
シベリアは、宝石になる石もたくさん採れますから@ -
暗闇で蛍光色を放つフローライト(蛍石)の大きな結晶
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金塊!
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砂漠のバラ
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ブドウ状のマラカイト(孔雀石)の立派な結晶
サンクト・ペテルブルクの教会に、内装としてマラカイトがたっぷり使われたところがあった覚えがあります。
イサク教会だったかしら。 -
川岸にたたずむアムール虎
国立極東博物館の動物の剥製は生息地らしき背景を整えた丁寧なジオラマ展示となっていました。
写真の撮り甲斐があります@
背景はアムール川でしょうか。 -
つぶらな瞳のアムール虎
アムール虎はわかったのですが、あとの剥製の動物たちは、日本語ですら名前はほとんど分からないので、分からないなりに視覚的に楽しもうと開き直ることにしました。
生息地の様子を再現したジオラマ展示はなかなか面白かったですから。 -
獲物をくわえた、オオヤマネコかな
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イタチ科の動物だと思うけど……?
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頭が赤い、キツツキの仲間?
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おめめパッチリのアシカ、あるいはアザラシの仲間
バイカル湖の水深の深いところに棲むというバイカルアザラシではないかと思います。
これは、動物の名前を調べようと図書館で借りた動物図鑑に載っていました。 -
水槽の魚の撮影にチャレンジ!
ロシア語でカルーガと呼ばれる魚です。
ラテン語ではHuso dauricus。ダウリア・チョウザメです。
キャビアの親ですね。 -
こちらはアムール・チョウザメ!
チョウザメにもいろいろ種類があることを初めて知りました。
ロシア語ではアショートル・アムールスキー。
ラテン語ではAcipenser schrenckii。 -
このお魚、上下逆さに泳いでるの!?
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くちびるが面白い魚〜!
水槽の魚を撮るのは大変です。
動物園の動物以上によく動きます。
狙いを定めた魚の写真をぜひ撮ろうと、時間をかけて頑張ってしまいました@ -
冬には尾の先を残して真っ白になるというオコジョかな
ふたたび剥製撮影です。 -
ちょいと鋭い顔をした、アライグマの仲間?
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精悍なシベリアのクマと、翼を広げたミミズクかフクロウ
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ハスの花咲く池の中にシラサギかな
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水辺に棲む……カワウソの仲間かな?
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大河を渡る勇壮なワシの姿
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灰色の鳥と、ネズミかリスの仲間
その視線の先にあるものは……? -
フクロウとアザラシとウミネコかな
アザラシとウミネコはともかく、フクロウが生息するのはこういうところかな? -
2階にはキッズルームと、こんなスペースが
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壁のステキなイラストマップ
虹の下に、白い万里の長城があるのはわかります。
ウラジオストクやハバロフスクの位置は虹がかかっているあたりかしら。 -
海を越えて日本の様子
どことなく中国チック -
子供のおもちゃが展示されたショーケースより
2階のキッズルームのとなりの展示です。
展示の意味はよく分かりませんでしたが、興味引かれるものはありました。
この大きな鉛筆のおもちゃは、たぶんマトリョーシュカではないと思います。 -
子供のおもちゃのショーケースにはクマちゃんがたくさん
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ブタみたいなクマさんたち
とても愛らしいですけどネ。 -
パソコン・クマと……餅つきクマ?
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パソコン・クマちゃんを後ろからみたところ
クマちゃんの腕にひもがついています。
これはちょっとしたら、動くおもちゃなのかもしれません。 -
作りかけ?
これは動くおもちゃの作り方の実物展示のようなものでしょうか。
まだ制作途中と思われるクマちゃんたち、意外に可愛いです。 -
子供の絵の展示もあり
たぶん、「生きて私たちのところに帰ってきたのね」と書かれてあるのだと思います。
文法無視して調べたのでちょっと怪しいけれど。
花火が上がっています。
村じゅうで凱旋の祝いをしたのかもしれません。
男性の手がまだ武器を持ったままで、女性をしっかり抱きしめられずに手が泳いでいるところがなんだか意味深だと思うのは考えすぎでしょうか。 -
村を蹴散らす戦車の絵
この絵を描いた子は実際にこういう光景を目にしたのでしょうね。 -
15歳の男の子が描いた絵
ちなみにこのおもちゃや絵の展示スペースにはVTRがあって、シベリアのこぐまのドキュメンタリー映像が流れていました。
それに気付いたのは、映像を見ていた女の子が楽しそうに笑っていたからです。
雪原を走るこぐまがずっこけるところは、私も思わず笑ってしまいました@ -
シベリア原住民の刺繍
2階をさらに進むと、原住民の生活道具や民芸品を展示した部屋がありました。 -
シベリアの原住民の男の子の様子が描かれた、大きな箱のフタの裏
フタの裏に、絵本か何かの切り抜きを貼り付けたのかもしれません。 -
中国系の民族の宝物?
馬とそのそばに倒れる人々の小さな彫刻付きです。
とても美しい器ですが、何にどうやって使うかよく分かりません。 -
サモワールとお茶セット
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サモワールのそばのキャンディー
角砂糖かと思ったのですが、包装紙にコンフィェクティと書かれてあるので、たぶんスイーツでしょう。
包装紙のイラストはシベリアの大自然を描いたものではないかしら。 -
洗濯道具と刺繍の布
1番左にある道具は、アイロン用の板だと思います。
これはずっと何か分からなかったのですが、2007年にルーマニアを旅行したとき、マラムレシュ地方とブコヴィナ地方を案内してくれた現地ガイドから教えてもらいました。
アイロンの間にあるのは、たぶん洗濯物をたたいて汚れを落とす道具だと思います。 -
美しい模様の糸つむぎの道具
これだけでは糸つむぎの道具だと分からないですが、これまで回ってきた東欧の民俗博物館の中に、糸もちゃんとセットされたものがあったので、糸つむぎの道具だと分かりました。
この板の部分は、糸を通す穴や引っ掛けるところがあれば用はすんでいまい、こんなに美しくする必然性はもちろんないですが、20世紀初頭くらいまでの東欧の地方の村落の民芸品はこのように美しく飾られているものが多かったようです。 -
アムールスキー将軍と中国でのアムール合意
アムール川をロシアと清の間の国境に決めた1858年愛琿(アイグン)条約(1860北京条約)の調印の場面の絵だそうです。
歴史の教科書の資料に使われそうな絵です。
真ん中の目立つ男性は、ハバロフスク一の目抜き通りにその名を残すムラヴィヨフ・アムールスキーです。
東シベリア総督で、1858年の愛琿条約でロシアの国土を極東に拡大したり、日本と樺太の国境線を決めたりした政治家です。
───ウィキペディアフリー百科事典からの受け売り。 -
アムール合意でサインしたペンと筆と硯と、おそらくその合意書
さきほどの絵もこの書類とペンの展示も、館員さんがひとこと言ってくれなかったら、意味が分からずにスルーしてしまうところでした。
ロシア人の館員さんは硯をめずらしがって自慢していました。 -
アムール合意でサインしたペンや筆や合意書のショーケースにあった説明
ロシア語のみなので分からない〜(泣)。
ここにある日付と、館員さんが「アムール協定」と言ってくれたので、それをヒントに調べました。
* * * * * *
国立極東博物館には15時50分に入場して、17時10分まで見学しました。
明日は8時15分のフライトでハバロフスクから成田に帰国するため、6時にはホテルを出なくてはなりません。
なので、まだ明るいけど早めにレストランで夕食をとって、ホテルに戻ることにしました。
というわけで、このあとに撮った写真は夕食写真くらいです。
その写真はこちらのハイライト写真集にアップしました。
「2010年秋ふらっと極東ロシアへ4泊3日の旅ハイライトその2:食事とおやつとレストラン編」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10502729/
翌日の9月20日は帰宅するだけの日となったので、写真は特になしです。
もっとも、余ったルーブルを使って空港で買ったお菓子などの写真は、搭乗を待っている間に撮りました。
というわけで、私にしては珍しい極東ロシアへの弾丸旅行の旅行記はこれにて完了です。
─THE END─
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