2009/07/16 - 2009/07/16
131位(同エリア177件中)
まみさん
2009/07/16木 コロミーヤ観光
・シェフチェンコ公園
・フルシェフショホ通りの教会2つ
・市場散策
・ピーサンキ(イースターエッグ)博物館
・レジ・ウクラインスキー通りの教会
・フツル(ウクライナの山岳民族)民族芸術博物館
夕方二等列車でリヴィブに戻る(窓の開かない車両で蒸し暑くて地獄の4時間半)
【リヴィブ泊:ホテル・ウィーン】
コロミーヤの念願のピーサンキ(イースターエッグ)博物館では、展示室は大きく3つに分かれていました。
第1室目は、チケット売り場のテーブルがあり、ロビーも兼ねていました。
ソファがあって、私も1時間あまりの密度の濃い鑑賞&撮影のあと、少しそこで休みました。
いや、1時間あまりで100枚以上撮っていたから、鑑賞するヒマがあったといえるかなぁ、と我ながらちょっと反省@
それでも、私のペースはゆっくりでしたので、あとからやってきた見学者にたくさん追い越されました。
見学者はウクライナ人らしきグループや家族連ればかりで、外国人は私以外いませんでした。
もっとも、おとなりのポーランド人やロシア人がいても、私には見分けはつきませんけどネ。
第1室目に飾られていたイースターエッグは、いろんなタイプや変わったものが集められたショーケースが1つ、それからいかにもウクライナらしいのかなと思っているタイプが売り物みたいにぞろぞろ陳列されたショーケースが確か4つくらいありました。
第2室目は、建物の卵部分の2階です。
卵をヨコにカットした形になるので、要するに円形の部屋でした。
ここにはとりわけ傑作品が展示されていたのでしょうか。
円形の壁に沿ってぐるっとショーケースがあり、1つ1つ丁寧に離して展示されていました。
近付けて陳列してある方が、写真は撮りやすいんですけどネ。
部屋全体の明かりが少し落とされた中で、ショーケースの中の卵だけが浮き出るように照らされていました。
中央には、たぶんイースターの民族衣装をまとったと思われる人形たちが飾られていました。
ここまでの写真を前編の旅行記にアップしました。
後編にアップした写真は、第3室で撮ったものです。第3部というべきかしら。
第2室が卵の黄身なら、第3室はその回りを囲む白身の部分の廊下と、たぶん卵を支えている周りの建物の一部の2階部分。
後者はさらに3室に分かれていました。
ここには、イースターエッグだけではなく、広くイースターに関するものが展示されていました。
おそらくとても伝統的で、もしかしたら都市部ではもう廃れたか珍しくなってしまった風習を紹介しながら、同時に民俗学的な記録の意味もあるのではないかと思います。
私はあまりイースターに詳しいわけではないので、展示の意味がわからなくて残念でした。
分からなくても興味深いものばかりでしたし、撮影できるということでテンションは数割増でしたけどネ。
他に、イースターエッグを並べた壁絵や、卵を使っていないアート、切り絵や絨毯などもありました。
下に下りる階段には、刺繍の絵が掛けられていました。
下りたところには売店コーナーがありました。
これだけたくさんのイースターエッグを見た後では、1つくらい買わずにはいられません@
いままで東欧旅行で、たとえばハンガリーでもルーマニアでもイースターエッグを記念に買って帰っているくらいですから。
結局、1個にしぼれず、2個買ってしまいました@
関連の写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/16662528/
関連の旅行記
「2009年ウクライナ・ハイライトその8:ウクライナでゲットしたもの」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10361990/
※2009年ウクライナ旅行の旅程一覧はこちら。
簡易版「2009年ウクライナ旅行プロローグ(旅程一覧)地図付」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10359084/
詳細版「2009年ウクライナ旅行の詳細旅程」(もう1つのブログ「まみ’s Travel Diary」より)
http://mami1.cocolog-nifty.com/travel_diary1/2009/07/2009-2271.html
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ウクライナらしい山男(?)と美しい模様の飾り皿
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2階のさまざまな展示より
あっ、この博物館のイラスト! -
お手玉みたいにカラフル@
「赤い色は、死後の世界の神を象徴する色であるだけでなく、天上や地上の火の色、すなわち太陽や稲積、かまどの火なども表し、力や権力、勇気、愛、情熱、喜び、幸福、健康、美、希望などを意味するといわれています。キリスト教伝来以降のイースター・エッグとしてはもちろん、イエスの流した血の色としての重要な意味をもっています。
黄色は太陽のほか、月、星、実った穀物なども意味し、収穫、豊穣、富、知恵などの象徴です。情熱の赤と知恵の黄色が混ざったオレンジ色は、忍耐力や持久力、野心、大望を意味します。」
(「スラヴ世界のイースター・エッグ」(ユーラシア選書・東洋書店/栗原典子・著)より) -
白地のピーサンキに惹かれて
いろんな色が使われていて、模様がほんっとに細かいです@
「卵の地の色である白は純粋さ、清らかさ、清廉潔白などを意味し、他のどの色にも染めることもできるため、無限の可能性も表しています。青は、空、空気、水を象徴し、神秘や健康などの意味をもっています。緑は、春、自然の再興の象徴であり、若さやいきいきとした生気、無垢、動植物の豊富さなどを意味します。茶色は、母なる大地を表し、豊作の象徴、紫は高貴な色で、信仰や新年、信頼などを意味します。」
(「スラヴ世界のイースター・エッグ」(ユーラシア選書・東洋書店/栗原典子・著)より) -
動物シリーズ
とりわけ羊さんが可愛いです@ -
とうもろこしの皮の人形と人の顔の卵も@
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花を見つめるシカの模様のピーサンキと
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お馬さんのピーサンキに注目
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バスケットに入って、卵の生産者たちと一緒に
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クリスタルの台に入ったピーサンキ
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ピーサンキがクリスタルに反射して
パンフレットにも写真があったことから察するに、博物館自慢の展示方法の一つのようです。 -
なかなか自由な絵柄のピーサンキたち
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まるで童話の挿絵のよう
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赤い服の天使たちが描かれたピーサンキと、手前の鱗模様、左奥の教会の絵のピーサンキ、それから、それから……どれも気に入った!
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飾り棚にたくさん
「卵への彩色は、とりわけ赤と黄色によるものがもっとも古いと考えられているようです。赤い色は死後の世界の神の色であり、死者の幸福を神々にお願いするための副葬品としての卵の色にも古代から使われていたらしく、黄色は太陽の色であり、人間の生活に欠かせない太陽を崇めるためにその化身である卵を黄色に彩色したのかもしれません。いずれにせよ、卵への彩色、すなわちピーサンキやクラーシャンキ(単色染め)作りには、赤や黄色は現在でも非常によく使われる色として受け継がれています。」
(「スラヴ世界のイースター・エッグ」(ユーラシア選書・東洋書店/栗原典子・著)より) -
卵の形の額絵と
「スラヴ民族が抱く卵のイメージには、大きく分けて二つあります。一つは卵は太陽の化身であるとするイメージで、長い冬の後ふたたび太陽が輝きはじめる春の訪れとも結び付けられています。また、黄身を太陽、白身を月の象徴として崇める信仰もあったようです。
もう一つは、卵を世界のはじまりとする考え方です。この世の全ては一つの大きな卵から生じ、殻が空に、薄皮は雲に、白身は水、黄身は大地となったという伝説、石しか存在しなかった地上に神が遣わした鶏が産んだ卵がかえると、中から川が流れ出し、草花や木々が茂り、自然の豊かさがもたらされたという伝説などがあります。」
(「スラヴ世界のイースター・エッグ」(ユーラシア選書・東洋書店/栗原典子・著)より) -
心惹かれるピーサンキと額絵
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伝統的な模様の布と
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再現された、伝統的な農家の家(たぶん)
とりわけ目を引くのは、伝統的な模様のテーブルクロスと、イスの背もたれやテーブルの模様、カラフルなストーブに、壁のイコンなど。 -
糸車の見えるアングル
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イースターツリー
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壁の卵や布と
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ぜいたくに卵を使った、壁飾り!?
きっとお守りの意味もあるでしょう。 -
卵と毛糸で作った壁絵
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壁絵と伝統的パターンの布
壁絵のシカの形もとってもキュート! -
イースターの冠
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壁絵と伝統的パターンの布
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美しい切り絵
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よく見ると左右対称!
2つに折ってハサミを入れたものを広げる、という作り方をしたのでしょうか。
だとしたら驚異的! -
これも左右対称
伝説かなにかをテーマにしたのかしら。 -
トナカイと魚のモチーフのある絨毯
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馬の模様のある力強い絨毯
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売店にて
この売店で買ったピーサンキの写真はこちら
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/16662528/
関連の旅行記
「2009年ウクライナ・ハイライトその8:ウクライナでゲットしたもの」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10361990/ -
刺繍作品:エルサレムの前のイエス
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刺繍作品:両手を広げた「オラント(祈り)」の聖母マリア
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刺繍作品:聖ソフィア大聖堂!
実物の写真はこちら。
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/16840633/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/16840649/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/16840662/
関連の旅行記
「2009年ウクライナ旅行第2日目(2)キエフ:予想以上の美しさにドキドキ───聖ソフィア大聖堂とそこから見た黄金ドームの聖ミハイル修道院」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10367606/ -
教会の絵のある(でもミュージーアムと書かれている)飾り皿と布
「ソ連の時代、宗教、とりわけロシア正教会(ウクライナやグルジアの正教会も、その領土がロシア帝国に併合されるとともにロシア正教会に併合されました)は、ロシア皇帝の権力の下、民衆搾取の一端を担い、革命運動の弾圧に加担したとして迫害の対象とされたのです。これにより多くの聖職者や信者たちが正当な理由もないままに処刑されたり、収容所に送られたりしました。また革命後はすべての土地が国有化され、教会もまた国有財産となり、その処遇はソ連政府によって決定されましたが、多くの教会は様々な理由をつけて閉鎖され、博物館や倉庫にされたり、由緒ある教会も含めかなりの数が破壊されたりしました。
信仰や宗教活動の自由はソ連では禁止されていたわけではなく、憲法にも信教の自由に関する条文が含まれていました。しかしながらソ連の体制下では、宗教書等の出版はもとより宗教儀礼のために教会を使用することにさえ政府の許可が必要であり、「自由」とはほど遠いものでした。
(中略)
これに反して教会に通うということは、並大抵のことではありませんでした。信者と露見すればソ連内での地位を築くのに不可欠な共産党員になることもできず、子供の場合、高等教育への進学の道すら難しくなったということです。人々は信仰をひた隠しにせざるを得なかったのです。
このような状況下ではもちろん、イースターのお祝いも自由に楽しむことはできませんでした。各地で作られ続けてきたイースターエッグの生産は、外貨獲得のためのお土産用を除いて中止され、(中略)当然のことながら、イースター・エッグを贈り合うこともあからさまにはできませんでした。
ウクライナのピーサンキの伝統も危機に立たされました。多くの民族を抱えていたソ連では、諸民族の友好という名目の下、各民族の特性を示すものは民族間の対立をもたらすものとして敵視されました。ロシアには残されていないピーサンキ作りの伝統は、ウクライナ民族の特性の誇示として、許されないものだったのです。
こうしてイースターの風習やイースター・エッグ作りの伝統は、次第に廃れていってしまいましたが、信仰の灯火を完全に消すことはできませんでした。イースターの日に焼かれる特別なケーキ「パスカ」は各家庭で作られ続けただけでなく、「春のケーキ」という名前をつけて売られていたということです。そしてイースター前には毎年、市場や店から卵が姿を消しました。イースター・エッグを作るために、皆が買い占めるからです。そしてウクライナでも、家庭の中でピーサンキを作る伝統が細々と残されてきました。
(中略)
ソ連諸国内で自由にイースターを祝うことが少しずつ許されはじめたのは、1980年代、ペレストロイカの流れの中でのことでした。
(中略)
以来、失われつつあった信仰を取り戻すべく、様々な取み組みがおこなわれています。
(中略)
そしてウクライナでも、ピーサンキ作りをやめてしまった家庭に育った子供たちのために、ピーサンキ作りの教本が出版されたり、ピーサンキ作りの技術だけでなく、それに込められた民族の伝統を教える教室が開かれたり、イースターが近づくと教会や学生団体がピーサンキ作りの会を組織したりして、伝統復活のための努力がおこなわれています。」
(「スラヴ世界のイースター・エッグ」(ユーラシア選書・東洋書店/栗原典子・著)より)
「2009年ウクライナ旅行第12日目(4)コロミーヤ:象嵌木細工や緑の陶器がすばらしいフツル(ウクライナの山岳民族)民族芸術博物館・前編」につづく。
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10431025/
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この旅行記へのコメント (2)
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- のんほさん 2010/04/18 00:17:14
- ツボです!
- フォークロア好きのわたしにはたまりません。
どの絵柄もすてき!
春の訪れを喜ぶ寒い国の人々の気持ちが感じられます。
ことしの夏はインドデビューを考えていますが、こんなすてきな博物館があるなんて、ちょっと決心が揺らぎそうです。
- まみさん からの返信 2010/04/20 08:17:27
- RE: ツボです!
- のんほさん、こんにちは。返事が送れて失礼しました!
私もフォークロア好きで、いま東欧旅行にハマってます。
詳しいわけじゃないんですよ。
フォークロアは別に東欧にしかないわけじゃないんですが、似たような傾向でありながら少しずつ違うのをじっくり味わってる最中です。
そうですねー、いまのところ、東欧の、列強や民族の抗争に翻弄されつつ必死で自分たちを守ってきた、素朴といっても涙と粘り強さの歴史に裏付けられた強さと、厳しい冬を耐えなくてはならない人々の春を迎えるあふれている気持ちに裏付けられたようなフォークアートに惹かれます。
なんて、そこまで深読みできてたかな?
ただ、前に東欧の絵画の中に南欧の絵画が紛れていたときに、南欧の、太陽なんて自分たちのもの!といわんばかりの明るさに、ちょっと引いた覚えがあります。
東欧のしっとりしたかんじと、春でも夏でも穏やかな描き方に浸ったあとだったからなおさらかもしれませんね。
> ことしの夏はインドデビューを考えていますが、こんなすてきな博物館があるなんて、ちょっと決心が揺らぎそうです。
ふっふっふっふ。
もっと東欧凝り仲間が増えると嬉しいな。
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