2007/07/22 - 2007/07/22
382位(同エリア456件中)
まみさん
2007/07/22(日)第15日目:午前ドラゴミルナ修道院(w/現地ガイド)&午後スチャヴァ
【宿泊:Hotel Gloria(スチャヴァ)】
・ドラゴミルナ修道院とミサを見学
《午後:スチャヴァ観光》
カトリック教会、歴史博物館、聖デメトリウス教会(入れず)、民俗博物館、ドムニツェロール教会、ミラウツィ教会
歴史を知っているのと知らないとでは、歴史博物館での楽しみは当然ながら大きく左右されます。
その点、私のルーマニア史の知識は穴だらけです。
ましてや、モルドヴア公国ともなると、もっと穴だらけです。
また、どこの歴史博物館でたいてい展示が詳しいという2つの大戦以降の近現代史は、
もともと私は苦手です。日本史ですら、ザルです。
ルーマニアも、第二次世界大戦中はあちこちで激しい戦線を展開したようですが……残念ながら私にはそこまで細かいことはチンプンカンプン。
さらに、ルーマニアの地方都市の博物館では、英語併記もあまり期待できません。
もっとも、あまり解説が詳しくも、読む気力はないでしょうね。
なのに、なぜ歴史博物館もスチャヴァ観光の候補に入れたかというと、楽しめるところをかいつまんで楽しめばいいや、と思ったからです。
展示物や図表や復元図を見て得るものはあります。
歴史の中でも古代や中世の世界は想像力をかき立てられる余地があります。
実際の事物を見て、その想像の限界やギャップを確かめるのも楽しい作業です。
歴史博物館はたいていそうですが、スチャヴァの場合も、目から歴史に親しみをもてるようないろんな工夫がされていました。
百聞は一見にしかず。
でも歴史博物館へ向かう歩みが速まったのは、ロウ人形展示の写真のある看板を見たからですね、やっぱり。
シュテファン大公前後のモルドヴァ中世宮廷を再現させたロウ人形のある「王座の間」です。
一部屋でしたけどね。
かいつまんで楽しめばいいと思っていても、だからこそ当たり外れの大きい歴史博物館めぐりですが、スチャヴァの歴史博物館は当たりでした。
ロウ人形はもちろん、古代から近代までの遺跡や遺構や現在に残る城塞を再現あるいは復元した石膏模型の展示も面白かったです。
これはたくさんありました。
砦の発展の歴史がひと目で分かって面白かったです。
また、ブラン城やシビアの城壁など、実際に見てきたところの模型などは大変興味深かったです。
それに、面白い展示物があったら写真を撮ろう!───などと思って回っていると、楽しさも倍増するものです。
見学が終わった後、「ここは私にとって当たりだった」という感想を抱けるのは、それも大きな要素かもしれません。
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歴史博物館の看板
歴史博物館はもともと行く候補のところでしたが、この看板のろう人形の写真を見て、ますます行きたくなりました。
Vizitati Atractia Muzeului Nostru SALA TRONULUI!
イタリア語あたりから連想すると「来たれ! 我らの博物館の目玉、王座の間」とでもなるでしょうか。
「紀元前から現代までのモルドヴァの歴史を、豊富な資料で説明する博物館。名君シュテファン大公については特に詳しく、大公の宮廷生活をロウ人形などで再現。なかでも王座の間は一見の価値がある。第一次、二次世界大戦でのルーマニア軍の奮闘の様子もよくわかる。」
(’07〜’08年版「地球の歩き方」より) -
歴史博物館の建物
バロックとルネサンスの影響が見られる建物です。
オーストリアやハンガリーでよく見かけた気がします。
入場料は3レウ、写真代は5レウでした。
(2007年7月現在、1レウ=約55円で換算) -
シュテファン大公の絵のステンドグラス
他にも何人か、モルドヴァ史上の重要人物らしき人たちのステンドグラスがありましたが、誰か見当がついたのはシュテファン大公のみでした。
(見当がついていれば写真を撮っていました。)
「ルーマニアは古くからの面影を残した新しい国である。13、14世紀に成立したモルドヴァ公国とワラキア公国が合併してルーマニア公国(後に王国)という国ができたのは1859年。更にアルデァル(トランシルヴァニア)も合併して現在のルーマニアの形になったのは第一次大戦戦勝後の1920年のことであった。
現在のルーマニアを構成するモルドヴァ、ワラキア、トランシルヴアニアはそれぞれ別々の歴史をたどってきた。モルドヴァとワラキアはルーマニア人の民族公国として、トランシルヴァニアはハンガリー王国の一地方として(一時期は独立したエルデーイ公国として)歴史を生きてきたのである。
(中略)
モルドヴァとワラキアは長い間トルコの影響下にあったが、宗教的にはルーマニア正教会か、ルーマニア正教の典礼を維持しつつもローマ法王に帰属するギリシア・カトリック教徒(帰一教徒)であった。正教美術は絢爛豪華で、モルドヴァの教会、修道院群は貴重な人類遺産と言えよう。」
(「東欧の郷愁」菊間潤吾・監修(新潮社)より) -
おそらく大要塞の復元模型
大要塞はスチャヴァの旧市街よりやや外れにありますが、「地球の歩き方」で紹介されているスチャヴァの数少ない観光スポットの中では筆頭に紹介されている場所です。
ただし、私の中では行きたい候補の順位では下の方でした。まずは博物館や教会めぐりがしたかったので。
そのため、結局、行きそびれてしまいました。
「大城塞(Zidurile Cetatii)
モルドヴァ公国初代の大公ペトゥル1世がスチャヴァを都と定めた1388年、彼はここにゴシック様式の城塞を築いた。その後歴代の君主が強化を図り、シュテファン大公の代に円形の見張り塔が建てられ、現在あるような難攻不落の大城塞が完成した。
壁の厚さは所により2〜4mにもなり、1476年のオスマン朝のメフメト2世の攻撃にもこの要塞だけは陥落しなかったという。」
(’07〜’08年版「地球の歩き方」より) -
フニャディ・ヤーノシュやヴラド・ツェペシュやその祖父ミルチャ老公時代の武器の展示
やじりと日本の忍者の武器みたない「まきびし」。いや、「カルトロップ」と呼ぶらしいです。
騎馬隊の突撃を防ぐ為に用いられる鉄製の道具で、地面に散布して使用したようです。
右下は何でしょう。
参考URL
「カルトロップ(caltrop)」ウィキペディアフリー百科事典英語版(写真付)
http://en.wikipedia.org/wiki/Caltrop
★フニャディ・ヤーノシュ
オスマントルコの侵入を食い止めた、むしろハンガリーの英雄ですが、トランシルヴアニア公 (在位1441-1456年)でした。当時トランシルヴァニアはハンガリーの一部でした。
彼の名前は、ルーマニア語では、イアンク・フネドアラとなります。まるで別人の名前です。
フニャディ・ヤーノシュは1446〜1452年までハンガリー王国の摂政を務めました。
ちなみに、その息子マーチャーシュ・コルヴィアヌスは中世ハンガリー王国の絶頂期を築き上げた王です。ドラキュラのモデルのヴラド・ツェペシュの義兄弟でもありますが、彼はヴラド・ツェペシュの功績をジャマに思っていたようです。
★ヴラド・ツェペシュ
ドラキュラのモデルのワラキア公(在位1456-1462年と1476年)です。その串刺しの刑がオスマントルコのスレイマン大帝の度肝を抜き、その悪評だけが西欧に伝わってドラキュラ伝説が上塗りされたのですが(吸血鬼伝説は昔から東欧にありました)、ルーマニアではむしろ、オスマントルコの侵入を食い止め、国内の近代化を進めようとした英雄です。
同時代人のモラヴィア公国の英雄シュテファン大公も、彼をとても高く評価していました。
でも、義兄弟のマーチャーシュ・コルヴィアヌスに幽閉されたり、挙句の果てに、オスマントルコに懐柔された弟の手引きや国内の旧体制維持を望む貴族たちの裏切りによって、命を落とした悲劇の英雄です。
★ミルチャ老公(Mircea cel Batran)
ワラキア公国に自立をもたらしたバラサブ1世の孫であり、ヴラッド・ツェペシュの祖父です。
ミルチャ老公は、私にとって、ブラン城の歴史を調べているときに、少しばかりなじみになった名前です。ヴラド・ツェペシュやシュテファン大公以外に知っている名前が出てきた〜!とちょっと感動して書きとめておきました。
ミルチャ老公の出身であるバサラブ一族はワラキア公国きっての名門でしたが、ヴラド・ツェペシュの父(ヴラド3世)あたりは、たしかミルチャ老公の庶子で、バサラブ家の分家筋だったと思います。
そんな裏話を小耳に挟んだおかけで、この名前は記憶に残りやすくなりました。
ブラン城の歴史のコメントがある写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/11917545/
関連の旅行記
「2006年ハンガリーとルーマニア旅行第18日目(2):ブラン城」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10132498/
ドラキュラの語源となったヴラド・ツェペシュとその父についての説明がある写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/12708890/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第5日目(1):シギショアラ再訪1日目」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10180032/ -
フニャディ・ヤーノシュやヴラド・ツェペシュやその祖父ミルチャ老公時代の武器
左側は槍先ですね。右側は……これで石つぶてを武器にして投げたりするのかしら。 -
牛(オーロック)の頭と太陽と月と星の紋章が描かれたモルドヴァ公国の旗
ボグダン・ヴォーダは牛(家畜牛の先祖にあたる野生の牛「オーロック」)を追ってブコヴィナ地方までやってきて、初めて町を造りました。
その逸話から、ブコヴィナ公国の紋章に牛が取り入れられたそうです。 -
火の車と火の馬に迎えられて天に昇る預言者エリヤの絵
ブコヴィナ地方のどこかの修道院のフレスコ画の複製だと思います。 -
タタール人(モンゴル人)との戦いで使われた大砲の玉(15世紀頃)
単純な物理的な力技で戦った時代ですね。 -
Sala tronului(王座の間)のロウ人形による展示(向かって右側)
シュテファン大公の宮廷を再現したロウ人形とのことですが、その時代を中心に、モルドヴァ公国の著名人を時代のロウ人形が集まっていたようです。
人形の名前は、分かる人物や興味が沸いて後で調べられそうだと思った人物だけメモしてきました。
王座にいるのは、もちろん、シュテファン大公(Stefan cel mare)です。
その右側は、シュテファン大公の息子の一人のボクダン3世(Bogdan al III-lea, fiul lui Stefan)です。
1番左の人物は、「Mitropolitul Theoctist」とありました。大司教テオクティストかな?(でも、それ誰?) -
Sala tronului(王座の間)のロウ人形による展示(向かって左側)
女性は、シュテファン大公の奥さんのマリア・ボイキツァ(Maria Voichita)です。
こうしてわざわざ人形が展示されているからには、単にシュテファン大公の奥さんだったというだけでなく、重要な人物だったに違いありません。
それとも紅一点、花を添えたかっただけかな。
羽根帽子の男性の左側は、ルカ・アルボレ(Luca Arbore)。アルボレ修道院の創健者です。
羽帽子の男性は「Spatarul Clanau」とありましたが、誰か分かれません。
うーん、こうしてみても、名前を見てもピンと来る人物はほんのちょっとしかいません。 -
ブコヴィナ地方のローカルな楽器コブサ(Kobsa/Cobza)
「5つの修道院」の外壁のフレスコ画に描かれていた楽器です。
といっても、角笛のブチューンの方はよく覚えてるのですが、この弦楽器はどこに描かれていたかなぁ。
「最後の審判」のフレスコ画に描かれていたはずなのですが、実際に見学しているときには気が着きませんでした。 -
ブコヴィナ地方のローカルな楽器ブチューン(Bucium)とブコヴィナ地方の伝統衣装
ブチューンも、「5つの修道院」の外壁のフレスコ画で大活躍の楽器です。
「最後の審判」のときに天使が死者に甦るよう呼びかけるために奏でる楽器として。
ブチューンを吹く天使はたくさん描かれていましたから、よく覚えています。
伝統衣装の上着は、ヴォロネツ修道院の前の屋台のみやげ屋で売られていたものとそっくりです。
関連の写真
ブチューンが描かれたフレスコ画
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/13190152/
みやげ屋の屋台の伝統衣装
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/13190171/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/13190175/
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/13190176/
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「2007年ルーマニア旅行第13日目(5)ブコヴィナ地方:青のヴォロネツ修道院」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10205799/ -
ブコヴィナ地方の女性の伝統衣装
上着の刺繍は男女とも良く似ていてはっきりとした性別の差はあまり見られません。
宮殿の写真は、どこだったか残念ながら不明。
その下の写真は、ブコヴィナ地方の主な産業が林業なため、森林が伐採で自然破壊が進んでしまったことを示しています。 -
モルドヴッツァ修道院の外壁のフレスコ画の有名な「コンスタンチノープルの包囲」の複製画
色合いがちょいと違うし、絵柄は、中世風を真似ねても最近っぽさが抜けていませんが。
でも、なつかしさもあって、写真を撮りました@
モルドヴィツッア修道院の「コンスタンチノープルの包囲」のフレスコ画の写真
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/pict/13274993/
関連の旅行記
「2007年ルーマニア旅行第14日目(2)ブコヴィナ地方:イエロイッシュなモルドヴィツァ修道院」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10210632/
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