2007/07/17 - 2007/07/17
382位(同エリア456件中)
まみさん
2007/07/17(火)第10日目:マラムレシュ地方観光2日目(w/現地ガイド)
【宿泊:Pension Prisacaru(ヴァド・イセイ村)】
サプンツァの陽気な墓とアトリエ見学、農家を訪ねる(スタン氏の奥さんの家だった)、サプンツァの建築中の木造教会見学、シゲッツ・マルマッツィエイ散策&野菜市場、水力粉曳き機、水力を利用した木造洗濯機のあるお宅を見学
マラムレシュ地方めぐりを、大枠の日程と行きたいところをリクエストし、あとはお任せの形で現地ガイドに依頼したとき。
地元民家を訪れることもできるかもしれない、と期待しつつも、実現の可能性はあまり考えていませんでした。
ガイドのニコラエさんも、明日のボティザの司祭宅訪問以外は特に予定していたわけでもなかったようで。
スタン・マリアさんのお宅を訪ねることができたのは偶然でした。
「陽気な墓」とその制作者のアトリエの見学をすませて車に戻る途中。
庭先に、それはそれはオールドファッションな糸紡ぎの道具がある家を見つけました。
まるで「眠れる森の美女」に出てきそうな。
私が糸紡ぎに見とれ、写真を撮ろうか迷っていると、ガイドのニコラエさんが、中を見学してみたいなら、ここの住民に話をしてみようか、と言ってくれたので、お願いしました。
すると、なんとそこは、「陽気な墓」の創始者の故イオン・スタン・パトラシュ氏の奥さんスタン・マリアさんのお宅でした。
マリアお婆さんは、マラムレシュの伝統的な生活のままに暮らしていました。
庭にあった糸紡ぎも、実際に糸を紡いでいる途中のものでしたし、機織りも、このサプンツァ村では、いやマラムレシュでは、まだまだ現役でした。
案内してもらった家の中は、民俗博物館で再現されていたような部屋そのものでした。まさしくマラムレシュ地方の伝統のリビング。
そして、民俗博物館でしか見たことがなかった機織り機。
どうやって使われるのか、博物館ではさっぱり分かりませんでしたが、マリアさんはその機織り機を使って、実演してみせてくれました。
その手際をみたニコラエさんが、このスピードでできるなんて、相当なベテランだと言っていました。
それでも近代化の波は、マリアさんのお宅にも着実に訪れているようで。
お嬢さんたちの写真を見せてもらったとき。
上の娘さんは伝統的な衣装で結婚式を挙げていましたが、下の娘さんは真っ白なウェティングドレスでした。
重労働な機織りを娘たちはやりたがらなかったし、嫁にいく娘たちに代々母親が持たせていた手作りの毛織物の数々も、下の娘さんにはいらない、と断られてしまったそうです。
「これも人生だ」と言うマリアさんから、あきらめと、いくばくかの強がりが感じられたのは考えすぎ?
手作りの毛織物を私が買わなくても、「仕方がない、これも人生だ」と言っていました。
ごめんなさい、マリアさん、うちは化学繊維の安物に毒されていて、手織りのものは合いそうになくて。
旅はまだ半ばであることを考えると、まだおみやげを買い集める気分にもなってなくて……。
毛織物の収入代わりには全然ならないですが、マリアさんとマリアさんが飼っているウシの写真を、帰国後、日本から送りました。
「一方で、村人たちは陽気な墓が引き起こした騒動に、まったく関心を寄せていない。世界中から押し寄せるたくさんのツーリストをよそに、村では普段通りの暮らしが営まれている。
小さな木造家屋のベランダに老女が座り、カラフルな膝掛けが物干し網で日光浴。ほうけた馬に曳かれた二輪馬車が、表の道をコトコトと通り過ぎて行く。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より)
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庭先にあった、糸紡ぎの道具
むむっ、あれはもしや、糸紡ぎの道具ではないかしら───と、足を止めてじっと見ていたら、ニコラエさんが「ここのお宅を見学したい?」と聞いてくれました。 -
母屋のポーチ軒下のトウモロコシとブドウ
-
手作りの織物ぎっしりのリビング
糸紡ぎの棒と飾りの陶器皿と
娘の嫁入りのために作ったが受け取ってくれなかったので余っているそうです。
だから売り物だとか。 -
手作りの織物のリビング
古風なランプと -
機織りするマリアさん
たて糸をそろえ直し、足踏みに足を置いて。 -
機織りするマリアさん
始める前にニコラエさんと話をするマリアさん -
機織りするマリアさん
するどい腕さばき!
糸巻きを、2層のたて糸の間に通します。 -
機織りするマリアさん
糸巻きを持ち替えて。
足では足踏みでたて糸を交差させ。 -
機織りするマリアさん
糸巻きをたて糸の間に通して横糸を入れる瞬間。 -
機織りするマリアさん
左手で横木のようなものを引き寄せて。 -
機織りするマリアさん
ぐぐっ…と横糸をしっかり詰めます。 -
機織りするマリアさん、正面から
カッタン、コットン、規則正しい音が続きます。
機織り機の後ろにあるのはベッドのようですね。
羊とともに生きるマラムレシュの人々は、いまでも伝統的な方法で毛織物を作ります。
羊毛加工は、羊飼いたちが羊の毛を刈る5月から始まります。
羊毛は洗濯・乾燥し、毛を梳いた後、農閑期が来るまで貯蔵されます。
そこから女性たちの活躍です。
糸巻き棒に糸を紡ぎ、機織り機で織り、専用の洗濯機(川の水を利用した大きな桶の木造洗濯機@)で生地の目をつめます。
そして、チェルギ((cergi)=毛の長いブランケット)、カーペット、バッグ、パヌラ((panura)=冬の防寒着用の分厚い布)、スマネ((sumane)=冬のロングコート)、グベ((gube)=冬のショートコート)など、生活に必要なさまざまなものが作り上げます。
ブランケットや布地はたいてい、市場で買って来る工場で作られた染料で染色されますが、バッグやカーペットは自然の野菜や草木を材料とする染料が使われます。
たとえば、イラクサから緑を、タマネギからオークルを、クロウメモドキから茶色を。
あるいは、茶色はクルミの殻から、赤はタマネギの皮から、黄色はカバノキの樹皮、黒はオークの樹皮、緑はプラムの樹皮。
自然の染料を使った手作りの毛織物といえば、サプンツァもそうですが、明日、訪問するボティザの司祭の奥さんの手作りの毛織物は世界的に有名だそうです。
(その毛織物は、買う代わりに写真を撮りましたので(だってそのときは写真でいいと思ったから。。後日、シゲット・マルマッツィエイの民俗博物館で見かけたときは、ちょっと惜しいことをしたと思いました)、明日こと7月18日の旅行記「(4)ボティザの司祭宅とカーペットと木造教会」を乞うご期待!)
模様は地域ごとに特徴がありますが、共通してよく用いられるモチーフに、女性が手をつないで踊っている後姿があります。ホラ(hora)といって、「生命のダンス」のモチーフだそうです。
(情報源:RomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブック)
http://www.romanianmonasteries.org/buymaramuresbook.html -
機織りするマリアさんの手元
白一色の布ですが、きれいな格子模様が凹凸で入っています。
糸つむぎと機織りは女性のみの仕事です。
それにまつわる古くからの信仰やタブーの一つに、たとえばイースター前の木曜日(聖木曜日)までに終わらせなければいけないというのがあります。
いまでもこういった信仰やタブーを守らない女性は、コミュニティで軽蔑されてしまうそうです。
またグループで機織りをする場合(機織り機の前に並んで3人座っている写真がマラムレシュガイドブックにありました@)、年齢順に織る(機織機を動かす)ことになっているようです。
(情報源:RomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブック)
http://www.romanianmonasteries.org/buymaramuresbook.html
ちなみに迷信やタブーの話。
ルーマニアの人は比較的、迷信やタブーを気にする方だと下調べのときに情報を得ていたので、自分が信じていないからといって、旅先の人や他の人の信じるものを軽く扱わないように気をつけようと思ったものです。
3週間という旅行期間では特にそういうのを感じさせる場面はありませんでしたが。
また、みやこうせい氏の著書「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア」(未知谷社)でも最初に紹介されていたエピソードが「悪魔が出た〜」と村中でちょっと騒ぎになった話でした。
それを真に受ける人たちが多いからこそ騒ぎになったわけですが、別にそのときに限ったことではないらしく、そのあたりからマラムレシュの人々の迷信やタブーもよく信じる素朴な人柄が紹介されていたわけですが。
ちなみに、そのエピソードに登場していた「サプンツァのスタン婆さん」って、ひょっとしたらマリア・スタンんのこと!?
みやこうせいさんの著書がますます身近に感じられるようになりました@
「人々の悪魔への熱中ぶりは特記に値する。サプンツァに悪魔が出たという話はシゲットかいわいで知らぬ人とてない。馬鹿なつくり話だと一笑に付せばそれで終りだが、今なお、マラムレシュには、点々と、妖怪に出会ったという人が存在する。マラムレシュの主なる四つの谷沿いの村には、かつて呪術をこととする半魔女が必ずいた。今でも数人の呪術師の存在が知られている。そして、呪術師に望みを叶えてもらおうとする人が若者を含めて現にいくらかはいる。
悪魔による?投石事件?は決して偶然ではなく、過去にも幾度かあった。国境を越えてウクライナのザカルばーと地方(そこは、もとマラムレシュの一部だった)でも降石事件や投石事件がいくつもいい伝えられている。それが幻想で被害妄想によるものであるとはいえ、識字率の低かった農村のこと。自然を畏れ、妖怪の存在を神とともに信ずる民が、何かの拍子で?悪魔?にとり憑かれたとて不思議ではない。その当時の記憶やいい伝えが人々に仄(ほの)かにでも潜在していればこそ、投石事件も半ば冗談と畏怖の念を交えながら、人の口に頻繁に上ったのであろう。」
(「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア」みやこうせい著(未知谷社)より) -
マリアさんのウシ
牛を見せてくれました。
マラムレシュの典型的な家屋らしく、敷地内の母屋の向かいに家畜小屋がありました。
マリアさんとウシの写真を撮って、送って欲しいといわれました。
毛織物を一つも買ってあげられなくて気が引けていたので、ちょっとほっとしました。 -
マリアさんとウシ
「早くエサちょーだい。何やってるの?」
薄暗いし、ウシたちは動くので、なかなかピントが合わず、何枚も撮り直しました。 -
マリアさんとウシ
手前のウシがぼけてしまいましたが、マリアさんはこれが一番きれいに撮れました@s
こんな風にふらっとお宅に上げてもらえるのも、現地の人のことをよく知っているガイドがいてこそでしょう。
それからルーマニア人が人なつこく、その中でもさらにマラムレシュの人はさらに人なつこく、ホスピタリティのあるおかげでしょう。
どちらにも改めて感謝!
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