2007/07/10 - 2007/07/10
102位(同エリア139件中)
まみさん
2007/07/10(火)第3日目:シナイア
【宿泊:Hotel Caraiman(シナイア)】
8:30発の特急列車でシナイア着10:00(時刻どおり)
ペレシュ城、ペリショール城、シナイア僧院、ケーブルカーでブチェジ山へ(1,400mポイントまで)、カロル1世通りを散策
私が日本人だからでしょうか。
日本人旅行者といえば、カメラと眼鏡───そのステレオタイプがルーマニアにも浸透しているのかどうか知りませんが。
ペレシュ城内の見学ツアーに加わる直前に、チケットもぎりのところの係員にわざわざ聞かれました。
写真を撮りたいか?───と。
ペレシュ城に入ってすぐに国籍を聞かれたのはそれを聞くためか、とまで、一瞬考えてしまいました(笑)。
もちろん、それは、私を何の言語の見学ツアーに参加させるか判断するためだったと思います。
しかし、写真を撮りたいかどうか、私だけがわざわざ聞かれた気がしなくもないです。
それは日本人だから?
というのは考えすぎ?
でも写真代を聞いて断りました。
というのも、去年(2006年)、ブカレストの国民の館の見学のとき、見学の最中に思ったほど撮影意欲をそそられず、パンフレットにはそれ以上に美しい写真があったので、高い写真代を払うほどのことだったろうかと思ったことがあったからです。
しかし、もし入ってからやっぱり写真を撮りたいと思ってしまったら───?
ツアーが始まってからでは後の祭りでしょう。
後悔するならどちらがマシか。
というわけで、「やっぱり写真、撮ります!」
と、ツアーに参加する直前に30レウを払いました。
(2007年7月現在、1レウ=約55円で換算)
ちなみに入場料は12レウです。
そして30レウ払った結果は?
それがこの旅行記です。
お城の中だけで50枚以上も写真を撮ったので、多少のセレクトはするにしても、1つの旅行記としてアップするのには多いため、2つに分けることにしました。
まず、最初なのでやたら写真を撮りまくった儀式の間と武器庫、それからカロル1世の書斎とライブラリーの写真を前半とします。
その後、ぱらぱらと撮った古い音楽ホール、謁見の間、フィレンツェ・ホール、リビング・ルーム、ムーア風ホール、トルコ風サロン、劇場ホールの写真を後半とします。
ちなみに、手ぶれをなるべく減らすためISO感度をHighにして撮影しました。そのせいで、画像が粗い写真が多いです(泣)。
手ぶれ写真と画質の粗さを天秤にかけるとしたら、後者に目をつぶるしかありませんでした。
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階段の手すり
壷のようなモチーフに注目!
ペレシュ城内の見学はガイド付のツアーでのみ、可能です。
そのツアーは決まった時間に出発するのではなく、ある程度の人数が集まったら出発するようです。
私がチケットを買って城の中に入ったときは、英語ツアーは出発したばかりでした。
専用のスリッパを履くように言われた後、しばらく座って待つことになりました。
しかし、先に出たツアーはまだ始まったばかりだったのか、すぐに私もその中にまぜてもらえました。
ただし、最初の城の歴史の概略説明は終わっていたようです。
でもそういう情報は後からガイドブックやパンフレットでいくらでも得られます。
それに、たぶん、カメラを手にした私は、その時点から説明をろくすっぽ聞かないで、撮影に夢中になっていたろうと思います。
この手すりを上ってハイライトの「儀式の間」に行きました。
残念ながら階段全体を撮るには、観光客がぎっしり過ぎました。
一度は撮ったのですが、あまり絵にならないと判断し、あとで削除してしまいました。 -
儀式の間(Hall of Honor)
城の中でも最も豪華なホールです。
3階分の吹き抜けなので、天井がとても高いです。
「これを建てたのがルーマニアで最も長く王位に就いていたカロル1世である。(中略)ペレシュ城は、ヨーロッパで最初にセントラル・ヒーティングと電気を備えたモダンな城でもあった。建設は1875年に始まった。ドイツ・ルネサンス様式で、敷地面積は3500平方メートル。400人以上の工芸家、何千人もの労働者、そして39年の歳月をかけてようやく完成したのは1914年。カロル1世の死に先立つこと数カ月前という際どさであった。
内装に関しては、王妃のエリザベータが中心になって監督した。チャウシェスクが政権にあった時代、160に及ぶ部屋は、世界各国の著名な政治家たちの隠退場所になっていた。彼らはルーマニアの独裁者にもてなされ、それぞれにあてがわれた部屋は各国の特徴を出して調度された。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より) -
儀式の間(Hall of Honor)
螺旋階段みたいな部分に注目@
チラッとしか写っていませんが、ガラス天井はステンドグラスで、寓意的な場面や紋章をモチーフにした模様となっていたようです。
ペレシュ城で買ったパンフレットによると。
ただしこのときは天井まで注目しなかったので、ちゃんと撮っていないのです。 -
儀式の間(Hall of Honor)
期待(?) していたような金キラさではありませんが、とても豪華な内装です。
パンフレットによると、この部屋のこういった木の装飾や家具の一部は、ペレシュ城全体の内装を主に担当したウィーンのベルンハルト・ルードヴィッヒ(Bernhard Ludwig)工房の手によるものだそうです。 -
儀式の間(Hall of Honor)
上ばかり見てますねぇ、私。
でも見学ツアーでこの部屋もいっぱいになりましたから(家具・調度品などには近寄れないようにロープが張ってあったので、見学者がいられる空間は部屋の大きさに反して狭かったのです。)、目線より上でないと、誰かしらがファインダーの中に入ってしまうんですよ。
そのせいで、つい上ばかり@
でももちろん、上の内装も見事だったせいでもあります。
あの手すりにバルコニーなど、見事ではないですか。 -
儀式の間(Hall of Honor)
今度は目線の高さに目を向け、目の前のテーブルの上の調度品と奥の「祈る人」のような彫像を中心に。 -
儀式の間(Hall of Honor)
白い彫像は、カロル1世ではないかと思うのですが。 -
儀式の間(Hall of Honor)
スカートをはいたおっちゃん、じゃなくて@ -
儀式の間(Hall of Honor)
キャンドル立てと、木象嵌の絵、かしら。 -
写真を撮る観光客
儀式の間(Hall of Honor)にて
さっきからパチパチやっている私もこんなかんじなのでしょう───と、勝手に仲間意識を感じて、こっそり撮ってしまいました@
やはり写真代が高いので、写真を撮っていたのはごく少数でした。
20人くらいいた見学ツアーの中で、私とこの男性くらいだったと思います。 -
儀式の間(Hall of Honor)
スカートをはいたおっちゃん、正面から。
じゃなくて@
階下を挟んで向かいの通路が見えています。
先発の見学ツアーが通っていたので、いずれ私たちもあそこに行くのでしょう。 -
儀式の間(Hall of Honor)
去り際に横から見渡す写真を。
このホールの内装は1911年にドイツ・ルネサンス様式で、カレル・リーマン(Karel Liman) によって整えられたそうです。 -
廊下
かなり画像が粗いのはご容赦くださいませ。
白漆喰でそっけなく覆われながらも天井を見ると美しい模様、そして、さりげなく配置された調度。気に入りました@ -
武器庫(Armories)
壁に飾られた武具の見事なこと!
これは飾り方のセンスも抜群だからではないでしょうか。
この城の武器庫というか武器コレクション室には、4000を超えるヨーロッパ・オリエントの武器コレクションがあります。
写真は、コレクションが展示されていた部屋の中でもメインの部屋です。
この部屋の前に、日本の弓や刀、鎧兜もありました。 -
武器庫(Armories)
槍をもった兵士の彫像。
暖炉とその上の武具による飾りを背景に。 -
武器庫(Armories)
戦士と馬の甲冑一式。
16〜17世紀のマクシミリアン様式だそうです。
ってどういうの?
───こういうの。
16世紀のマクシミリアンといえば、神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世のことでしょう。
こうした馬の鎧を含めて甲冑一式そろっているのは、ルーマニアではこれが唯一だそうです。
「甲冑の種類については、大きく分けると3種類。古い順にゴシック式、マクシミリアン式、ルネサンス式。
一番分かりやすいのはマクシミリアン式で、表面がトタン板のような感じで、凹凸のラインが幾筋も打たれている。(マクシミリアン式に限らず、甲冑の中心などに角度(鎬:しのぎ)が打たれているのは、強度を増すため。)」
出典URL
http://www.uraken.net/military/heiki/rot_knight/rot_knight.html
「15〜16世紀の重騎兵の甲冑で、別名コンプリート・シュート・オブ・アーマー(complete suit of armor。「完璧な甲冑」と言う意味)とも呼ばれていました。これらの鎧には、馬にも鎧を着せ完璧な武装が施されました。(中略)
しかし、この時代の鎧は完全に体を覆うために、それによる重量の超過は直接それを着用する者に跳ね返り、戦場での行動や時間に制限を与える事になってしまいました。この時代の鎧の平均的な重量は40kgにも達していたようです。そのため、鎧の軽量化が図られるようになりました。その中でも有名な物がマクシミリアン式甲冑と呼ばれる物です
マクシミリアンとは、神聖ローマ帝国の皇帝にして自らを「最後の騎士」と称したマクシミリアン1世(在位1493〜1519年)のことで、彼は自分専用の甲冑工場を建て、実用的な軽量化を施していました。そうして生み出されたのがマクシミリアン式甲冑です。
この甲冑の特徴は、表面を全て波形に加工したことで、これによって薄い鉄板に強度を与え、さらには剣や槍、矢と言った物の刃先をその溝に沿って受け流そうとしたものです。(中略)しかし軽量化を施したと言ってもその総重量は未だに35kgもありました。」
出典URL
http://www.ncn-t.net/ridwarn/yoroi2.html -
天井も美しい武器庫(Armories)
いかにもルネサンスな天井です。
紋章やらラテン語などがモチーフとして使われています。 -
シャンデリアと天井
武器庫(Armories)にて -
暖炉の上の浮彫り
武器庫(Armories)にて
これは「ニコポリスの戦い」の場面だそうです。
西欧諸国にとっては不名誉な戦いではないかと思うのですが、それをなぜテーマにするのか、不思議な感覚。
おごってはならない、オリエントは手ごわい!───という教訓でしょうか@
1396年のオスマントルコとハンガリー王ジギスムントが率いるイギリス、フランス、ドイツ、イタリアを含むキリスト教国の連合軍の戦いで、最後の十字軍といわれるそうです。
これに勝利したオスマントルコは、バルカン半島の支配を本格化させます。 -
武器庫(Armories)
ペレシュ城は、ヨーロッパで初めてセントラル・ヒーティングが備え付けられたお城です。 -
カロル1世の書斎のストーブと木製の美しい調度品
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書斎のストーブの上部
-
壁際の木製の美しい調度品
カロル1世の書斎にて -
重厚な天井
カロル1世の書斎にて
思わず、うぉぉ〜とうなりたくなります。 -
オリジナルのライティング・デスク
カロル1世の書斎 -
オリジナルのライティング・デスクと一段高くなった一角
カロル1世の書斎にて -
パンフレットより
カロル1世の書斎の全体像がもう少しよく分かる写真
こんな風に撮れればよかったんですけどね。
なにしろ、家具・調度品のそばには近付かないようにロープが張られていたので、20人近い見学者でぎっしりだったのです。
撮影のために自由に移動できず、いま自分がいるところで撮れる写真を撮るしかありませんでした。
そこで、敢えて「部分」に注目して、部屋の一部を切り取るように撮りました。
それに、むしろ「部分」の写真の方がパンフレットにあまり載っていないだろうし、ファィンダーへの切り取り方にオリジナリティを出やすいのではないかと、途中で「部分」の撮影に積極的になったのも確かです。
パンフレットによると、この書斎はハンブルグのヘインマン(Heynmann)工房によって内装が行われたドイツ・ネオルネサンス様式で、完成したのは1883年だそうです。
私が撮ったライティング・デスク2つの配置などがよく分かりますでしょうか。
ストーブはこの写真を撮っているカメラマンの背中あたりになります。 -
ライブラリー
豪華な図書室といって思い出すのは、ウンベルト・エーコの小説「薔薇の名前」のモデル説のあるオーストリアのメルク修道院の図書室や、ハンガリーのパンノンハルマ修道院の図書室や、フェステティッチ宮殿のヘリコン図書館です。
このペレシュ城の図書室はもう少しこじんまりしていました。
関連の旅行記
メルク修道院をハイライトとするドナウ川ツアーに行った日の旅行記
(ただしメルク修道院の写真は中の教会のみ)
「2003年夏のオーストリア旅行15日間【ウィーンその4】ヴァッハウ渓谷&クレムスとメルク修道院」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10043590/
「2006年ハンガリーとルーマニア旅行第5日目(3)ケストヘイ:フェステティッチ宮殿を見学」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10106818/
「2006年ハンガリーとルーマニア旅行第10日目(4):パンノンハルマ大修道院を訪ねて」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10114679/ -
ライブラリーの豪華な2階の手すり
ライブラリーではもう少し写真を撮ったのですが、一層と薄暗い部屋だったせいか、手ぶれが多くて、撮ったその場で削除したりしているうちに、写真を撮るのを断念してしまいました(泣)。
その2に続く。
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