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【ブリュッセルで集合】<br />2007年3月23日からベルギーの首都、ブリュッセルへ行ってきました。今回は2年前から毎年推薦され、勧誘されていた二次救急医療教育資格取得のための講習会参加のためです。丸二日間の講習会とヨーロッパ救急蘇生学会参加とセットで、860ユーロもするそうですが、幸いこれは日本旅行医学会が払ってくれました。いつの間にかどんどん円安、ユーロ高が進み、1ユーロは160円もしますから、14万円近くします。<br /><br />今回の格安航空券はエアーフランスでパリに行き、AF の便名が付いたノンストップ特急列車に乗り換え1時間半程度でブリュッセルです。1車両丸ごとエアーフランスが借りているようです。シャルルドゴール空港から直接出ているので便利です。どうもブリュッセルは飛行機で直接行くのは不便なかわりにパリからも近く、日航ではアムステルダムから無料のバスサービスで2時間というのもあるようです。<br /><br />夕方にはホテルに落ち着き、専務理事の篠塚先生に携帯電話し、有名なグラン・プラスの広場で待ち合わせ、日本から参加の女医さん二人(循環器内科医と心臓外科医)とも合流し、4人でまずビアホールへ。ドイツ同様にビールで有名なベルギーですが、下戸の私も味見だけはさせてもらいました。特に、赤い色のチェリー味のビールにはビックリしました。しかも、名前が Bellevue で、偶然シアトル郊外に高校留学中の次男の住んでいる市の名前と同じです。それから、聖カトリーヌ教会近くのレンガ河岸の高級レストランへ行きました。私以外は皆フィッシュ・スープとオマールえびを注文しましたが、私は迷わずムール貝のワイン煮を頼みました。20年以上も前のムール貝の味がいまだに忘れられないからです。でも、ウェイトレスのおばさんからはシーズンオフだからと言われましたが、めげずに注文しました。大失敗!!確かに、シーズンオフと言われただけあって、昔の夢は破れました。後で名物だと聞いたフライドポテトと一緒に出ますが、あまり合うとも思えません。フライドポテトはイギリス英語では、chips ですが、アメリカ英語では French fries です。でもホテルに置いてあったガイドブックには、本当は Belgian fries だと主張していました。ベルギー人自体が国の名物料理はムール貝とポテトと言っているのを聞いたことがあります。ベルギーのフライドポテトの特徴は、ケチャップでなくもう少し凝った色々なソースが選べて、それをつけて食べるようです。<br /><br />翌日からは早速講習会ですが、いきなり今夜は夏時間への切り替えで一時間早くなります。一年前も私は夏時間の切り替えの時にヨーロッパにいました。さすがに篠塚先生は知っていましたが、女医さん二人は知らなかったようで、明朝一時間遅刻しないように教えてあげました。みんなホテルはばらばらですが、全員歩いて帰れる距離で、治安も悪くなく、女医さん二人も夜遅く夫々歩いて帰って行きました。<br /><br />【救急蘇生講習会】<br />今回は我ながらよく勉強しました。少し緊張もしました。1ヶ月以上も前に150ページもの英語のテキストが送ってきて、メールにて100問以上の参考問題も送ってきました。泌尿器科医の私にとっては地獄で、学生時代に戻って心電図の勉強のやり直しや、最新の心肺蘇生のやり方を勉強しなければなりませんでした。2日間はほとんど実習だけらしく、自分で予習しておかないととてもついていけそうにないからです。<br /><br />翌朝は、会場の製薬会社UCBの研修室へ行き、2日間の講習が始まりました。このブリュッセルの町は、めぼしい所には地下鉄で行け便利な町でした。日本からはもう一人、金沢大学の先輩にあたる脳外科医の先生が参加し、全部で5人です。全員で講習会受講者は23人で、多くはヨーロッパのベルギー人、オランダ人でした。6人ずつのグループに分けられ、私は篠塚先生と同じグループでした。篠塚先生は外科医で元々救急蘇生が専門ですので、当然の如く優等生でした。マネキンと心電図のモニターを使い、予想通りの実践的な講習でした。一般の人でも知っていて損はないと思うので具体的に書きますと、2002年に改定された最新の救急蘇生法は、脈が触れない場合はまず心マッサージを30回続けます。100回/分のかなり早いペースです。それから2回のマウスツーマウス等の人工呼吸です。そして、それを繰り返します。もちろん、我々は専門的に心電図をモニターして、心室細動や無脈性心室性頻脈の時には除細動(いわゆる電気ショック)を行います。これをバカチョンにして、素人にも使えるようにしたのが、今はやりの AED(automated external defibrillator; 自動体外式除細動器)です。音声に従って操作すればよく、器械が自動的に心電図を判読して、適応がなければ放電せず、中止するように指示してくれるという「優れもの」です。今は、自動車学校で救急処置を講習するそうで、このAEDの使い方も教えるそうで、いい事だと思います。先日も、野球部の高校生がこのAEDで助かったという成功事例がニュースになっていました。<br /><br />ところで、何故「日本旅行医学会」が救急医学会や麻酔学会でもないのに、わざわざヨーロッパまで「二次救急医療教育資格」を取得しに来るのか、私自身疑問でした。一つの目的は我々「旅行医学会」の医者が添乗員等に救急医療を教えるためです。そして、そこが真面目な篠塚先生の真骨頂で、教える以上は我々医者も「世界標準」の救急医療技術を習得する必要があるという考えからです。<br /><br />この夜は、講習会主催の夕食会があり、ベルギー料理を堪能しました。金沢の先生はちょうど春休み中の大学生の子供二人を連れてきていました。私が金沢大学の後輩なので喜んでくれましたし、私としても久しぶりに金沢の話題で盛り上がりました。講師の一人のイタリア人の先生とも色々イタリアについての情報交換ができました。<br /><br />翌日も、午前中は実習です。実習用のマネキンはよくできていて、私は久しぶりに気管内挿管の練習ができました。さぁ、いよいよ午後は試験です!まずは筆記テストで、正誤問題です。何とか、3/4程度は解けました。そして、一人ずつの実技テストです。先生二人がたまたま一度も実技の講義を受けてない先生だったので嫌な予感がします。問題もアナフィラキシーショックで、何回も練習した電気ショックになるパターンと少し違います。何か、調子がでません。案の定不合格でした。ガックリ!でも、再試をしてもらえるそうです。学会に補助金まで出してもらってベルギーまで来て、不合格ではヤバイなぁとあせりました。でも、再試は例のイタリア人の先生を含む講義を受けた先生で、問題も肛門からの大量出血で心室細動になり、除細動が必要になるという何回も実習したパターンでした。何とか「合格!」できました。あ〜っ、よかった。<br /><br />合格認定証をもらう時に、リーダーの先生から「この先生は泌尿器科医なのに、合格した」と妙なほめられ方をしました。確かに、他の先生は研修医にしろ、ほぼ全員、麻酔科なり、救急医療なり、心臓なりが専門でした。このリーダーの先生の講義も受けましたが、イギリス人で私には新鮮なきれいな「イギリス英語」でした。口癖が &quot;Are you happy?&quot; です。最初はどういう意味か不明でしたが、どうも「わかりましたか?」という意味で言っているようだとしばらくして気がつきました。これが、イギリス英語なのか、この先生の特殊な使い方なのかはイギリス英語には疎い私にはわかりません。<br /><br />日本人5人は全員無事に合格して、気持ちよくみんなで篠塚先生推薦のタイ料理を食べに行きました。ブリュッセルにもカジノがあるとチェックしていた私ですが、夕食後全員行きたいと言うので、連れて行くことにしました。ところが、ヨーロッパは結構うるさいので、写真付きの身分証明書(パスポートなど)が要ります。私は、そういう予感がしていたのでずっとパスポートを携帯していました。篠塚先生と金沢の先生の男性二人は持ってないので、入れませんでした。結局、女医さん二人を連れてカジノへ入りました。いつものようにきりのいい100ユーロのチップを買い、ブラックジャックを始めました。今回は調子がよく20分足らずで2倍になりました。でも、女医さんが見てるいので余り早く終わっても悪いと思って続けました。そう、ご想像通り結局は負けてしまいました。しかも、女医さん二人は途中でスロットマシーンをして、一人はビギナーズ・ラックか結構勝っていました。<br /><br />ベルギーはフランス語圏とオランダ語圏が混在しています。公用語は両方で、地下鉄の地名も全て両国語で書いてあり全く違う名前(発音)も多いです。もちろん似た名前のもありますが。時々、共通のものがありますが、それは人名の時だけだそうです。女医さんが気になっていて、聞いたらしいです。語学に興味のある私には、オランダ語はちょうど英語とドイツ語の中間で面白いです。英語の I はドイツ語で Ich、オランダ語で Ik です。同じ順番で、You are here.  Sie sind hier.  U bent hier.ですし、Thank you. Danke. Dank u.です。<br /><br />【ブリュッセル市内観光】<br />翌2日間は、学会ですが救急が専門でない私にはあまり興味がなく、少しは聞きに行きましたが、少しは観光もしてのんびりしました。慣れない試験勉強の疲れがどっと出ました。25年前に来た時にも Manneken Pis(小便小僧)は見ましたが、今回は何かの機会に使うかもしれないと泌尿器科医の私は20枚くらい写真を撮りました。デジカメなので、後でいいのを選べばいいし気楽です。そして、余り有名でない Jeanneke Pis(小便小娘)ができていると知り見に行きましたが、目立たない所にあり、しかも門が閉じられているのでいい写真が取れません。女の子がしゃがんでおしっこしているポーズです。小便小僧と同じで、若いのでちゃんとおしっこは尿勢よく出ています。<br /><br />この日は、男性3人だけで王立美術館にあるレストランで食事の約束をしていました。まず、篠塚先生と私が落ち合い、夕暮れ時の公園を横切ってレストランへ向かっていました。「事件」はその時起こりました。みすぼらしい若者が「自分は旅行者だ。」と言って、地図を持って近づいて来ました。白人ではなく、小柄な中近東風でした。英語もへたくそでした。すると、二人連れの男がやって来て、「警察だ!」と言うのです。こんな所で、見ず知らずの男に声を懸けられたら気をつけろと言うのです。麻薬密売人かもしれないと言うのです。でも、この二人連れは私服ですし、どうも警察には見えない。私は最初からかなり警戒していました。<br /><br />財布を見せろと言うのです。仕方がないので、右の後ろポケットのユーロ入りの財布を見せました。私はクレジットカードを抜かれないようにとずっと睨んでいました。すると、麻薬がどうのこうのといい、札束を取り出してくんくんと鼻でかいだりするのです。でも、何とかちゃんと財布には戻していました。大金は持っていません。他にはと言うので、左の財布も出し、日本円が少し入っているほうも見せました。同様に札束を抜き出し、くんくんやります。私は警戒していつでも飛びかかれるようにして見ていました。篠塚先生も同様に、もう一人から取調べを受けていました。他には、持ってないかと腹の辺りを触られます。腹巻タイプの財布入れでも探っているのでしょうか。さすがに、抗議のために腹で押し返してやりました。結局、取調べは無事に終わり、気をつけなさいということでした。我々は煙に巻かれたような不思議な体験でしたが、やはり窃盗団だろうと結論を出しました。我々がかなり警戒していたのと、大金(現金)を持ってないから、彼らなり(もちろん3人はグルだと思います)にリスクを計算して、盗むのを辞めたのだろうというのが、我々二人の結論です。危なかった!<br /><br />最後の日の昼食は、グラン・プラス近くの北側のレストラン街で性懲りもなく、ムール貝を頼みました。最初の晩の高級店ほどはまずくなく、値段は高級店の半分でしたからまぁまぁでした。でも、やはり旬でないのは事実のようです。それでも、観光客相手のレストランでは一年中ムール貝を出すのでしょう。何せ、名物ですから!そして、最後の夜は一人でカジノへ行き、250ユーロくらい勝ち、初日の負けを取り戻しました。夜は、篠塚先生のヒルトンホテルへ、代わりに居候です。いい加減な私は、最後の夜のホテルが取れていなかったのですが、それを篠塚先生に言っていたので、急遽パリに戻ることになった篠塚先生の部屋に泊まることになりました。ラッキー!<br /><br />(2)へ続く<br /><br />http://www.kanoya-travelmedica.com 参照<br /><br />旅行好きを仕事にするため、「空飛ぶドクター」を目指しています。そんな私が「海外旅行時の健康管理」に関する本を4月21日から出しました。悠飛社(03-5327-6052)坂本泰樹。「機内にお医者さんはいませんか?」空飛ぶドクターの海外旅行と健康管理。<br /><br />

救急医療講習会の旅(1)

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2007/03/23 - 2007/03/30

2695位(同エリア2809件中)

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7

空飛ぶドクター

空飛ぶドクターさん

【ブリュッセルで集合】
2007年3月23日からベルギーの首都、ブリュッセルへ行ってきました。今回は2年前から毎年推薦され、勧誘されていた二次救急医療教育資格取得のための講習会参加のためです。丸二日間の講習会とヨーロッパ救急蘇生学会参加とセットで、860ユーロもするそうですが、幸いこれは日本旅行医学会が払ってくれました。いつの間にかどんどん円安、ユーロ高が進み、1ユーロは160円もしますから、14万円近くします。

今回の格安航空券はエアーフランスでパリに行き、AF の便名が付いたノンストップ特急列車に乗り換え1時間半程度でブリュッセルです。1車両丸ごとエアーフランスが借りているようです。シャルルドゴール空港から直接出ているので便利です。どうもブリュッセルは飛行機で直接行くのは不便なかわりにパリからも近く、日航ではアムステルダムから無料のバスサービスで2時間というのもあるようです。

夕方にはホテルに落ち着き、専務理事の篠塚先生に携帯電話し、有名なグラン・プラスの広場で待ち合わせ、日本から参加の女医さん二人(循環器内科医と心臓外科医)とも合流し、4人でまずビアホールへ。ドイツ同様にビールで有名なベルギーですが、下戸の私も味見だけはさせてもらいました。特に、赤い色のチェリー味のビールにはビックリしました。しかも、名前が Bellevue で、偶然シアトル郊外に高校留学中の次男の住んでいる市の名前と同じです。それから、聖カトリーヌ教会近くのレンガ河岸の高級レストランへ行きました。私以外は皆フィッシュ・スープとオマールえびを注文しましたが、私は迷わずムール貝のワイン煮を頼みました。20年以上も前のムール貝の味がいまだに忘れられないからです。でも、ウェイトレスのおばさんからはシーズンオフだからと言われましたが、めげずに注文しました。大失敗!!確かに、シーズンオフと言われただけあって、昔の夢は破れました。後で名物だと聞いたフライドポテトと一緒に出ますが、あまり合うとも思えません。フライドポテトはイギリス英語では、chips ですが、アメリカ英語では French fries です。でもホテルに置いてあったガイドブックには、本当は Belgian fries だと主張していました。ベルギー人自体が国の名物料理はムール貝とポテトと言っているのを聞いたことがあります。ベルギーのフライドポテトの特徴は、ケチャップでなくもう少し凝った色々なソースが選べて、それをつけて食べるようです。

翌日からは早速講習会ですが、いきなり今夜は夏時間への切り替えで一時間早くなります。一年前も私は夏時間の切り替えの時にヨーロッパにいました。さすがに篠塚先生は知っていましたが、女医さん二人は知らなかったようで、明朝一時間遅刻しないように教えてあげました。みんなホテルはばらばらですが、全員歩いて帰れる距離で、治安も悪くなく、女医さん二人も夜遅く夫々歩いて帰って行きました。

【救急蘇生講習会】
今回は我ながらよく勉強しました。少し緊張もしました。1ヶ月以上も前に150ページもの英語のテキストが送ってきて、メールにて100問以上の参考問題も送ってきました。泌尿器科医の私にとっては地獄で、学生時代に戻って心電図の勉強のやり直しや、最新の心肺蘇生のやり方を勉強しなければなりませんでした。2日間はほとんど実習だけらしく、自分で予習しておかないととてもついていけそうにないからです。

翌朝は、会場の製薬会社UCBの研修室へ行き、2日間の講習が始まりました。このブリュッセルの町は、めぼしい所には地下鉄で行け便利な町でした。日本からはもう一人、金沢大学の先輩にあたる脳外科医の先生が参加し、全部で5人です。全員で講習会受講者は23人で、多くはヨーロッパのベルギー人、オランダ人でした。6人ずつのグループに分けられ、私は篠塚先生と同じグループでした。篠塚先生は外科医で元々救急蘇生が専門ですので、当然の如く優等生でした。マネキンと心電図のモニターを使い、予想通りの実践的な講習でした。一般の人でも知っていて損はないと思うので具体的に書きますと、2002年に改定された最新の救急蘇生法は、脈が触れない場合はまず心マッサージを30回続けます。100回/分のかなり早いペースです。それから2回のマウスツーマウス等の人工呼吸です。そして、それを繰り返します。もちろん、我々は専門的に心電図をモニターして、心室細動や無脈性心室性頻脈の時には除細動(いわゆる電気ショック)を行います。これをバカチョンにして、素人にも使えるようにしたのが、今はやりの AED(automated external defibrillator; 自動体外式除細動器)です。音声に従って操作すればよく、器械が自動的に心電図を判読して、適応がなければ放電せず、中止するように指示してくれるという「優れもの」です。今は、自動車学校で救急処置を講習するそうで、このAEDの使い方も教えるそうで、いい事だと思います。先日も、野球部の高校生がこのAEDで助かったという成功事例がニュースになっていました。

ところで、何故「日本旅行医学会」が救急医学会や麻酔学会でもないのに、わざわざヨーロッパまで「二次救急医療教育資格」を取得しに来るのか、私自身疑問でした。一つの目的は我々「旅行医学会」の医者が添乗員等に救急医療を教えるためです。そして、そこが真面目な篠塚先生の真骨頂で、教える以上は我々医者も「世界標準」の救急医療技術を習得する必要があるという考えからです。

この夜は、講習会主催の夕食会があり、ベルギー料理を堪能しました。金沢の先生はちょうど春休み中の大学生の子供二人を連れてきていました。私が金沢大学の後輩なので喜んでくれましたし、私としても久しぶりに金沢の話題で盛り上がりました。講師の一人のイタリア人の先生とも色々イタリアについての情報交換ができました。

翌日も、午前中は実習です。実習用のマネキンはよくできていて、私は久しぶりに気管内挿管の練習ができました。さぁ、いよいよ午後は試験です!まずは筆記テストで、正誤問題です。何とか、3/4程度は解けました。そして、一人ずつの実技テストです。先生二人がたまたま一度も実技の講義を受けてない先生だったので嫌な予感がします。問題もアナフィラキシーショックで、何回も練習した電気ショックになるパターンと少し違います。何か、調子がでません。案の定不合格でした。ガックリ!でも、再試をしてもらえるそうです。学会に補助金まで出してもらってベルギーまで来て、不合格ではヤバイなぁとあせりました。でも、再試は例のイタリア人の先生を含む講義を受けた先生で、問題も肛門からの大量出血で心室細動になり、除細動が必要になるという何回も実習したパターンでした。何とか「合格!」できました。あ〜っ、よかった。

合格認定証をもらう時に、リーダーの先生から「この先生は泌尿器科医なのに、合格した」と妙なほめられ方をしました。確かに、他の先生は研修医にしろ、ほぼ全員、麻酔科なり、救急医療なり、心臓なりが専門でした。このリーダーの先生の講義も受けましたが、イギリス人で私には新鮮なきれいな「イギリス英語」でした。口癖が "Are you happy?" です。最初はどういう意味か不明でしたが、どうも「わかりましたか?」という意味で言っているようだとしばらくして気がつきました。これが、イギリス英語なのか、この先生の特殊な使い方なのかはイギリス英語には疎い私にはわかりません。

日本人5人は全員無事に合格して、気持ちよくみんなで篠塚先生推薦のタイ料理を食べに行きました。ブリュッセルにもカジノがあるとチェックしていた私ですが、夕食後全員行きたいと言うので、連れて行くことにしました。ところが、ヨーロッパは結構うるさいので、写真付きの身分証明書(パスポートなど)が要ります。私は、そういう予感がしていたのでずっとパスポートを携帯していました。篠塚先生と金沢の先生の男性二人は持ってないので、入れませんでした。結局、女医さん二人を連れてカジノへ入りました。いつものようにきりのいい100ユーロのチップを買い、ブラックジャックを始めました。今回は調子がよく20分足らずで2倍になりました。でも、女医さんが見てるいので余り早く終わっても悪いと思って続けました。そう、ご想像通り結局は負けてしまいました。しかも、女医さん二人は途中でスロットマシーンをして、一人はビギナーズ・ラックか結構勝っていました。

ベルギーはフランス語圏とオランダ語圏が混在しています。公用語は両方で、地下鉄の地名も全て両国語で書いてあり全く違う名前(発音)も多いです。もちろん似た名前のもありますが。時々、共通のものがありますが、それは人名の時だけだそうです。女医さんが気になっていて、聞いたらしいです。語学に興味のある私には、オランダ語はちょうど英語とドイツ語の中間で面白いです。英語の I はドイツ語で Ich、オランダ語で Ik です。同じ順番で、You are here. Sie sind hier. U bent hier.ですし、Thank you. Danke. Dank u.です。

【ブリュッセル市内観光】
翌2日間は、学会ですが救急が専門でない私にはあまり興味がなく、少しは聞きに行きましたが、少しは観光もしてのんびりしました。慣れない試験勉強の疲れがどっと出ました。25年前に来た時にも Manneken Pis(小便小僧)は見ましたが、今回は何かの機会に使うかもしれないと泌尿器科医の私は20枚くらい写真を撮りました。デジカメなので、後でいいのを選べばいいし気楽です。そして、余り有名でない Jeanneke Pis(小便小娘)ができていると知り見に行きましたが、目立たない所にあり、しかも門が閉じられているのでいい写真が取れません。女の子がしゃがんでおしっこしているポーズです。小便小僧と同じで、若いのでちゃんとおしっこは尿勢よく出ています。

この日は、男性3人だけで王立美術館にあるレストランで食事の約束をしていました。まず、篠塚先生と私が落ち合い、夕暮れ時の公園を横切ってレストランへ向かっていました。「事件」はその時起こりました。みすぼらしい若者が「自分は旅行者だ。」と言って、地図を持って近づいて来ました。白人ではなく、小柄な中近東風でした。英語もへたくそでした。すると、二人連れの男がやって来て、「警察だ!」と言うのです。こんな所で、見ず知らずの男に声を懸けられたら気をつけろと言うのです。麻薬密売人かもしれないと言うのです。でも、この二人連れは私服ですし、どうも警察には見えない。私は最初からかなり警戒していました。

財布を見せろと言うのです。仕方がないので、右の後ろポケットのユーロ入りの財布を見せました。私はクレジットカードを抜かれないようにとずっと睨んでいました。すると、麻薬がどうのこうのといい、札束を取り出してくんくんと鼻でかいだりするのです。でも、何とかちゃんと財布には戻していました。大金は持っていません。他にはと言うので、左の財布も出し、日本円が少し入っているほうも見せました。同様に札束を抜き出し、くんくんやります。私は警戒していつでも飛びかかれるようにして見ていました。篠塚先生も同様に、もう一人から取調べを受けていました。他には、持ってないかと腹の辺りを触られます。腹巻タイプの財布入れでも探っているのでしょうか。さすがに、抗議のために腹で押し返してやりました。結局、取調べは無事に終わり、気をつけなさいということでした。我々は煙に巻かれたような不思議な体験でしたが、やはり窃盗団だろうと結論を出しました。我々がかなり警戒していたのと、大金(現金)を持ってないから、彼らなり(もちろん3人はグルだと思います)にリスクを計算して、盗むのを辞めたのだろうというのが、我々二人の結論です。危なかった!

最後の日の昼食は、グラン・プラス近くの北側のレストラン街で性懲りもなく、ムール貝を頼みました。最初の晩の高級店ほどはまずくなく、値段は高級店の半分でしたからまぁまぁでした。でも、やはり旬でないのは事実のようです。それでも、観光客相手のレストランでは一年中ムール貝を出すのでしょう。何せ、名物ですから!そして、最後の夜は一人でカジノへ行き、250ユーロくらい勝ち、初日の負けを取り戻しました。夜は、篠塚先生のヒルトンホテルへ、代わりに居候です。いい加減な私は、最後の夜のホテルが取れていなかったのですが、それを篠塚先生に言っていたので、急遽パリに戻ることになった篠塚先生の部屋に泊まることになりました。ラッキー!

(2)へ続く

http://www.kanoya-travelmedica.com 参照

旅行好きを仕事にするため、「空飛ぶドクター」を目指しています。そんな私が「海外旅行時の健康管理」に関する本を4月21日から出しました。悠飛社(03-5327-6052)坂本泰樹。「機内にお医者さんはいませんか?」空飛ぶドクターの海外旅行と健康管理。

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