2012/06/17 - 2012/06/17
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世界攻略者さん
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世界各国には、現地ならではの乗り物があります。アジアで言えば、タイのトゥクトゥク、香港のトラム、コルカタの人力車など。もし中米でひとつ選ぶとすれば、それは間違いなくグアテマラのチキンバスでしょう。これは、スクールバスを改造した乗合バスで、グアテマラを旅した人なら一度は乗ったことがあるはずです。今回、そのチキンバスについて、詳しく語りたいと思います。グアテマラに行く時間もお金もない人も、ぜひこの旅行記を通して、脳内体験してみてください。
**情報は2012年6月のもの。1ケツァル(Q)=10円で計算。
==中米放浪記・番外編==
[1]アレナ・メヒコ - ルチャリブレ観戦記
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10686736/
[2]グアテマラ チキンバス入門 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10689725/
==中米放浪記==
[1]中米の楽しみ方
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10688306/
[2]メキシコ・シティ - 遺跡見学とピープル・ウォッチ
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10686493/
[3]トラコルーラ - エプロンの似合う田舎の定期市
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687397/
[4]サンファン・チャムラ - 神秘のドアを開け
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10689039/
[5]シナカンタン - 日曜朝に咲く教会脇の小さなスミレ畑
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687675/
[6]パレンケ vs ティカル どっちの遺跡対決
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687162/
[7]チチカステナンゴ - キラリと光る市場の脇役たち
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687114/
[8]サンフランシスコ・エル・アルト - キング・オブ・定期市
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687872/
[9]スニル/トトニカパン - 野菜と温泉の時間 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687621/
[10]ソロラ/サンティアゴ・アティトラン - 男の普段着対決
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687955/
[11]サンペドロ・ラ・ラグーナ - 山男、雨季に泣く
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687447/
[12]アンティグア - 元祖・沈没地の微妙な味わい
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10687243/
[13]サンファン・アティタン - パープルタウンにタイムトリップ
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10688519/
[14]トドス・サントス・クチュマタン - 秘境で生き残るアメカジ・ストリート
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10686652/
[15]カンクン - 雨季でも楽しめるリゾートタウン
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10688720/
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[目次]
イントロ
3つの特徴
スクールバス事情
ブランド
ペイント
改造
(手すり、シート、天井、窓、屋根、はしご、エンジン)
運転席
オンザロード
(バスターミナル、乗車、走行中、荷物
、車掌、物売り、運送)
まとめ -
[イントロ]
グラテマラ名物のチキンバス。名前くらいは聞いたことあるかもしれません。北米でお役御免になったスクールバスを、グアテマラ向けにカスタマイズしたもので、乗り降り自由な庶民の足として利用されています。恐らく国内バスの95%はこのタイプではないでしょうか。ちなみにチキンバスというのは、外国人から見た名称で、現地の人はスペイン語ではカミオネッタと呼んでます。
その名前の由来は諸説ありますが、鶏を持ち込む客が多かったからというのが最も有力。私はこの話を聞くまでは、単にバスの外見がニワトリっぽいからと勝手に解釈してました。ただ、これは間違い。というのも、車体が黄色いとは限らないからです。 -
アメリカやカナダで売り飛ばされたスクールバスは、メキシコを縦断し、はるばるグアテマラまでやってきます。ここで、第二の人生が待っているわけですが、ほとんどの場合、現地事情に合うように改造されます。その中で一番わかりやすいのが、車体のペイントです。 パキスタンのデコトラよろしく、地味なバスが一気にワイルドな外観に生まれ変わります。ただ単にそのまま使っていたら、アジアで見かける何々スイミングスクールの送迎バスと変わりません。この一連の改造あってこその名物なのです。
-
[3つの特徴]
では、なぜグアテマラ人はスクールバスに固執するのか。バスだったら何でもいいんじゃ? それは恐らく、スクールバスのデザインがグアテマラの交通ニーズに合ってるのだと思います。特に重要と思われる3つの特徴を挙げてみましょう。
特徴1: 後ろから乗り降りできること。
スクールバスは安全性を考え、後部に大きな緊急避難ドアがあります。これをグアテマラでは、普通に乗車口として利用しています。もともと緊急用のドアなので、開け閉めするのは乗客自身。車内が混雑しすぎて通路をまともに通れないこともあるため、後ろから乗り降りできないと非常に不便なのです。 -
特徴2: 中途半端に長い椅子
チキンバスの車内には、狭い通路の両側にちょっと長めのベンチ椅子が並んでいます。詰めればだいたい2.5人くらい座れる長さ。それで何が起こるかというと、混んでくると、その0.5人分のスペースに人が腰掛けます。隣のベンチにも3人座った結果、本来4人しか座れないところに一列6人も座れてしまうのです。チキンバスは運転が荒いため、立っているのはかなりしんどい。通路は塞がりますが、そのメリットは計り知れません。
ところで、このシートアレンジ、グアテマラ人が改造したのではなく、もともとそうなっているようです。アメリカのスクールバスを検索すると、やはり長い椅子と狭い通路の写真が出てきます。シートの背面に製造メーカーのロゴがそのまま残っているのを見ても、これがスクールバスの仕様なようです。一体何のメリットがあるのでしょう? -
特徴3: 改造のしやすさ。
スクールバスは比較的シンプルな形をしているので、改造しやすいというメリットがあります。大きなボンネットはエンジン交換が容易だし、フラットな屋根はそのまま荷物置き場として使えます。窓は小さく、室内に余分なものはなし。改造する側にとっては、素材がいいのです。
また、チキンバスの修理や改造などの産業がすでにできあがっているので、メンテも簡単。いまさら他のタイプのバスに乗り換えるメリットは見あたりません。
写真: チキンバス修理工場に並べられた交換パーツ。 -
[スクールバス事情]
アメリカのスクールバス事情について、少し説明しておきます。スクールバスは、その名の通り学校が生徒の送迎に使用するバス。とにかく安全第一で、政府の決めたデザインに従って製造しなければなりません。具体的には、車体の色(黄色)、ライトの色、側面のストップサイン(写真中央)、シート間隔など細かに規定されています。ある統計によると、スクールバスは自家用車の8倍安全ということです。
スクールバスのサイズや外観にはいくつか種類があり、大まかにタイプAからタイプDに分けられます。グアテマラで使用されるのは、基本的にタイプCのみ。フルサイズのスクールバスで、フロントガラスの前にボンネットがあるのが特徴です。
参考: School Bus (英語ウィキペディア)
http://en.wikipedia.org/wiki/School_bus -
では、米国のスクールバスは誰が作っているのでしょう。少なくともトヨタやホンダではないようです。アメリカには、スクールバスなどの専用バスを製造するメーカーがいくつかあり、それらの会社が自動車メーカーからエンジンやシャーシの提供を受け、車のボディを組み立てています。現在、最大手なのが、ブルーバードという会社。グアテマラで見かけるチキンバスのほとんどは、このメーカーのものです。
ブルーバード製の場合、乗車口の上に必ずツバメのような鳥のマークがペイントされています(写真)。そして、面白いことに車体を別の色に塗り変えた時でも、このマークはちゃんと残すのです。グアテマラ流のリスペクトです。
写真: Ford B700 (1985-1998)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ford_B-Series -
ブルーバード製のバスでは、車内に製造情報ブレートがそのまま残っていることがあります。これを見れば、もともとどの国で使用されていたのかわかります。普通はカナダかアメリカですが、この写真のものはメキシコで使われていたようです。このプレートには様々な情報が書かれています。それによると、このバスは1998年製造で定員が65人。えっ65人?? チキンバスの座席は、たいてい9列から11列なので、普通に考えれば定員は40人程度です。ということは、あの中途半端に長い席は、実は「子供3人分」だったのか..。
実はブルーバード社は、かなり昔から中南米に進出していて、現地でバスを製造しています。ただし、チキンバスと呼ばれる二等クラスのバスは、基本的に北米で中古を買い付けて陸路ではるばる運んできたものです。なぜわかるかというと、アメリカでしか手に入らないエンジンを使っているからです。詳しくは、次の項で説明します。
参考: ブルーバード社
http://en.wikipedia.org/wiki/Blue_Bird_Corporation -
最後に補足ですが、中古のスクールバスは何もすべてグアテマラに来るわけではありません。耐用年数の過ぎたバスは市場で売りに出され、教会や観光地が「スクールバス」の看板を外して利用したり、農家がトラックとして使ったり、個人がキャンピングカーに改造したりします。そのうちごく一部が、中南米やアフリカに輸出され、現地のバスとして鮮やかな復活を遂げるのです。
写真: シェボレーBシリーズ(-1991)
http://en.wikipedia.org/wiki/GMC_B-Series -
[ブランド]
先ほど、スクールバスの車体を作っている会社とエンジンを作っている会社が別という話をしました。現在はすべて一社でまかなうところも出てきていますが、基本的には今も水平分業が続いています。グアテマラででよく見かけるタイプCのスクールバスの場合、トラック用のエンジンとシャーシを使うため、エンジン提供メーカーは限られています。具体的には、フォード、ゼネラルモータース(GMC又はシェボレー)、ナビスター・インターナショナルの三社です。
スクールバスの外観はどれも似たり寄ったりですが、正面部分だけは、各自動車メーカーの個性が出ています。そして、そこに張られた会社のロゴを見れば、どのメーカーがエンジンを提供したのかわかります。写真は、30年以上前のフォード製スクールバス。
写真: Ford B600 (1967-1979)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ford_B-Series -
フォードよりもっと頻繁に見かけるが、ナビスター・インターナショナル(旧インターナショナル・ハーベスター)というトラックメーカー。グアテマラを走るチキンバスの約半分は、このブランドじゃないでしょうか。10年ほど前、GMとフォードがタイプCのバスから撤退したため、こういう勢力図になっています。先ほども言いましたが、タイプCのスクールバスは、トラック用の車台の上にバスのボディを乗っけただけ。インターナショナルのホームページを見てみると、全く同じ外観のトラックが売られていました(笑)。
参考: ナビスター・インターナショナル
http://www.internationaltrucks.com/ -
インタナショナルのロゴは2種類あり、写真のようなボンネットの中央にあるものと、排熱口の下にアルファベットで「International」と書かれたもの。確か前者の方が新しいロゴなので、その分車体が新しいと言えます。ただし... これらの会社のロゴはグアテマラでは大した意味を持ちません。往々にて改造時にエンジンも取り替えてしまうからです。考えてみてください。車内は乗客満載、屋根の上は荷物満載、その上山道の多いグアテマラは、もっとパワフルなエンジンが必要なのです。
-
[ペイント]
チキンバスといえば、その個性溢れる車体ペイント。黄色く画一的なスクールバスからの鮮やかな転身です。我々乗客にとってはどうでもいい話ですが、バスのオーナーや運転手にとって外観で見栄を張るのは結構重要。結果、一部を除き、ほとんどのバスが改造時にペイントも施します。(近距離だと黄色いという話もある)
こういう感じの公共交通って他の国にもあるんでしょうか。まず思い浮かぶのがパキスタンのデコトラ(写真)。でも、これはバスではなくて輸送トラックです。同じパキスタン・カラチの市バスは派手に装飾されてますが、ボンネット型ではないため少しイメージが違います。カラフルって点に注目すれば、タイのトゥクトゥクもある意味似ています。スクールバスを再利用したバスはグアテマラ以外の国でも走っていますが、グアテマラほどのこだわりはないようです。 -
では、グアテマラの塗装職人たちは、どんな風にチキンバスをペイントしているのか、いくつか見てみましょう。この写真はバスの輪郭やラインをうまく活用した図柄。数でいえば、こういう複雑過ぎないものが主流です。
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これは、おもちゃのようなペイント。私は大好きですが、こういうシンプルなものはあまり見かけません。
写真: International 3800 (1989-2004)
http://en.wikipedia.org/wiki/International_3800 -
これは一つのアート作品のよう。バス全体をキャンバスに見立てて絵を描いています。ラッピング広告を思い出しました。
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車体に加え、フロントガラスにもペイントがされます。こちらは必ず何かの単語やメッセージが書かれます。このバス、よく見ると、ワイパーがカミナリになってますね。
写真: 行き先表示板の上に見える2つの四角がクラクションのスピーカー。ラッパ型のものもあります。 -
本当はフロントガラスにペイントされると視界が狭くなって不便なんですけどね。特に、前の写真のバスなどは、上下にペイントされているため、見える範囲が約半分になっています。
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[改造]
==手すり==
前にも触れましたが、チキンバスはグアテマラに来た後、必ず何らかの改造が施されます。ひとつづつ見てみましょう。まずは、座席の上の手すり。こんなものスクールバスには付いてませんでした。乗ればわかりますが、チキンバスは非常に乗り心地が悪い。一部の幹線道路以外は道路状態が良くないし、サスペンションもいまいち。カーブの多い山道を、運転手はほとんどスピードを落とさずに走り抜けます。遠心力で左右に振られるのを防ぐためにも、この手すりは必要です。逆にアメリカでこんな棒つけたら、かえって安全上問題ありそうでうす。 -
==シート==
椅子ですが、少なくともクッションは交換されているようです。アメリカのスクールバスの場合、衝突時の安全性を考えて、椅子の背面も同じようなクッションで覆われています。一方、グアテマラの場合、管理しやすいように片面だけ。しかも表面がツルツルなため、カーブの度にケツの踏ん張りが必要です。
シートピッチですが、1つの窓につき一つのシート。これは、ほぼ例外なく守られています。スクールバスの仕様だと、シートピッチは最大24インチ(64センチ)と狭め。これも、衝突時の安全性を考慮しての、おせっかいな規定です。一見狭そうですが、座席の下が空いているので、実質のレッグスペースは意外と広め。だから、慣れれば長距離でもそれほど疲れません。 -
==天井==
次に、頭の上を見てみましょう。まず、網棚を追加。安全上の考慮か、スクールバスに網棚はありません。さらに、天井に手すりのようなものがついています。これは、立った乗客がつかむにしては、ちょっと高すぎ。主に、混雑した車内で人をかき分けて通路を進む時に使います。車掌や物売りが走行時にこれでバランスを取りながら歩いているのも見かけました。写真のバスを見ると、天井の中央に穴を閉じたプレートのようなものがあります。非常口としては小さいので、エアコンの機械があった可能性があります。なお、チキンバスにはエアコンどころか扇風機もなし。改造する側としては、ノンエアコンのスクールバスの方がありがたいのです。 -
==窓==
続いて窓ですが、こちらは改造していません。ただし、窓枠の外に新たに平ぺったいフレームのようなものを追加しています。恐らく、屋根の荷物を支えるために補強しているのでしょう。スクールバス自体、小さな窓を柱で区切って強度を高めているので、十分頑丈だと思うのですが。
スクールバスの窓は、上半分が段階的に開くようになっています。ちょうと昔の日本のバスや電車のような感じです。下半分は開かないため、窓からの眺めは、あまり期待できません。眺めがいいのは、せいぜい一列目くらい。なぜ下半分が開かないかは、あえて説明する必要もないでしょう。 -
==屋根==
続いて屋根の上のスペース。スクールバスには、荷物を収納するトランク・スペースがありません。まっ、スクールバスですから、必要ないですよね。それでは困るので、チキンバスでは屋根にゴムシートと柵を取り付けて巨大な荷物スペースを造っています。車掌は、道端で乗り降りする客の荷物を素早く積んだり降ろしたりしなければなりません。こういう時、屋根の上で作業したほうがはるかに楽。トランク・スペースなど、仮にあったとしても使わないでしょう。
よく見ると、屋根が平らではなく軽くカーブしています。これも、車体の強度を上げるためのスクールバスの仕様。執拗なまで安全に執着するアメリカ人に、楽天的なグアテマラ人は首をかしげているかもしれません。 -
==はしご==
もちろん、屋根に登るハシゴも追加されます。この梯子は意外な形で走行中にも活用されます。それは、検札を終えた車掌が後ろのドアから出て天井に登り、前の乗車口の手すりを伝って車内先頭に舞い戻るのです。人ごみをかき分けて歩くくらいなら、こっちの方がまし。その気持ちよくわかります。 -
よくわからないのが、この梯子のようなベルト。数は少ないですが、バスによってはついています。何ですかねー。インドでよくみかける荷降ろし用のハシゴとはちょっと違うし..。
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==エンジン==
前にも触れたように、エンジンは交換されている可能性があります。ボンネット式のため、保守も簡単。アメリカのスクールバスにはボンネットのないタイプのものもありますが、グアテマラではほとんど見かけません。 -
これは、給油の光景。アメリカののスクールバスは、90年代の半ばまでに、ほとんどがディーゼル車に切り替わりました。そうなると、やはりチキンバスも大半はディーゼル・エンジンかな。10トン以上ある車体に乗客が加わり、とんでもない燃費になっていることは容易に想像できます。それにも関わらず運賃は激安。
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[運転席]
続いて、運転席回りを見てみましょう。左座席にマニュアル・トランスミッション、さらに乗客を見る大きなバックミラー、と特に変わったものはありません。写真中央にあるレバーを引いてドアを開けます。 -
計器類はハンドルの真下。ハンドルが邪魔で、走行中は見れたもんじゃありません。これらは最初から付いてたものなのかな。マイル表示をしていることから、オリジナルと推測されます。
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運転席の左側にあるのが、スイッチ類。この辺りの内装はバスにより様々です。このバスはスイッチの数が多いのですが、使っているのは方向指示器とクラクションくらい。よく見ると、「扇風機」とラベルされたスイッチもありますが、もちろん使ってません。
その脇にあるのが、カーオーディオ。たいていパイオニア製です。運転手の数少ない裁量項目が、車内でかける音楽の選択。多くのドライバーが、昔のアメリカン・ポップスなどを好んでかけています。ジャンル的にはイージー・リスニング。 -
液晶テレビ付きのバスを見つけました。これ本当に使う気あるの?チキンバスの揺れじゃ、とれも見れたもんじゃないと思いますが。壊れた液晶をもらってきて、ただ飾っているだけかもしれません。
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[オンザロード]
==バスターミナル==
では、実際にバスに乗り込み、チキンバスを体験してみましょう。まずは、町のバスターミナルへ。グアテマラ・シティなどの大都市を除き、バス乗り場=チキンバス乗り場。比較的わかりやすい場所にわかりやすい形で存在します。バスターミナルといっても、多くは広場や大通りにバスが並んでいるだけ。待合室やチケット売り場などはありません。フロントガラスの上に掲げられた行き先や経由地を見て、自分の乗るバスを選ぶのです。幸い、バスの車掌は親切なので、呼び込みをしている男性に目的地を伝えれば、最適なバスを教えてくれるでしょう。直行バスがない場合は、同じ方角のバスを紹介され、どこどこで乗り換えるよう指示されます。
写真: International 3300 (2005 - ) -
==乗車==
バスが出発してしばらく経った後、車掌が席を回って集金を開始します。そこで、行き先を伝えて言われた金額を払います。バス会社によってはレシートをくれますが、普通はもらえません。運賃はだいたい、近距離だと3Q(30円)、長距離だと20Q-40Q(200円-400円)くらい。
もし途中乗車したなら、空いている席を探して奥まで進みます。2人埋まっていても、一言断って3人座りにしましょう。これはごく普通の行為で、相手が女性でも遠慮はいりません。チキンバスに立って乗車するのは、あまり現実的とはいえません。ずっと座席の上の手すりにしがみつくことになるでしょう。 -
==走行中==
チキンバスは、市内交通としてはそれほど使用されず、主に町から町への中長距離の移動に使われます。短いもので15分、長いもので5時間くらいの距離です。一日中走行している訳ではありませんが、スクールバスで子供の送迎をしていた頃よりは、はるかに酷使されているはずです。チキンバス自身も、「あー、あの頃は仕事が楽でよかった。」と昔を懐かしんでいるかもしれません。
気になる乗り心地ですが、つるつるの硬い椅子、背もたれは固定、混めば3人座りと決していい環境ではありません。カーブでは左右に大きく振られるので要注意。チキンバスよりワンランク上の一等バスと比較すると、騒音・振動がひどい気がします。エンジンの走行音と振動、カクカクしたギアの切り替え、外部の騒音などなど。こう並べてみると、とんでもないバスのようですが、慣れれば問題なし。普通に長時間乗れますし、現地人と肌を密着して座るのは、結構楽しいものです。 -
==荷物==
前に述べたように、チキンバスには床下の荷物スペースがありません。よって、大きな荷物がある時は屋根の上に置きます。積み下ろしは車掌がやってくれるので、だた荷物を手渡すだけ。ごくたまに荷物を盗まれたという旅行者の話をネットで見ますが、これは一体どういう状況で起こったのでしょう。基本的に、屋根の上の荷物を扱うのは車掌だけ。彼に騙そうという意図がなければ、なかなか盗難は置きません。特に旅行者のバックパックは特徴的なので、間違えて下ろす可能性は限りなくゼロに近いといえます。
車掌の大半は真面目そうな人ですが、どうしても自分で管理したい人は、一応、荷物を車内に持ち込めます。置き場としては、一番後ろの席の椅子の下がベスト。他の席の下だと、走行中に前へ後ろに荷物が移動してしまいます。または、前のシートと自分の足の間。基本的に3人座れれば、この辺は大目に見てくれます。2人分の料金を払って席を占領するという手もありますが、混雑した車内ではちょっとマナー違反です。 -
==車掌==
車掌という仕事は、職業として低くみられがちですが、私にとっては尊敬の対象です。まず、長時間乗り心地の悪いバスの上で働く体力に加え、誰から運賃を徴収したか覚えておくし記憶力も必要です。特に、お釣りを後回しにした乗客を覚えておくのが結構大変です。しかし、これだけなら他の国の乗合バスとたいして変わりません。チキンバスの場合、荷物の上げ下げも車掌の仕事。途中下車が多いためその頻度も高く、何かに追われるように一瞬で仕事を終えます。そんな仕事内容のため、彼らは結構いい体しています。持久力と瞬発力を兼ね備えてクライマーのような体つき。そんな文武両道の彼らは、私にとって隠れたヒーローなのです。 -
==物売り==
チキンバスに乗っていると、停車中または走行中に、物売りの人たちが乗り込んできます。その商品は、果物や水、おかし、新聞などの定番商品に加え、薬などの怪し物も。ケチャップ片手にピザを売りに来た男性もいました。
ズケズケと当然の権利のように乗り込んで来るのですが、これが乗客にとってすごく便利。指定席でもないチキンバスで席から離れずにすみます。価格はほとんどは50円以下なので、懐にもやさしい。
写真: フルーツ売り。果物をぶら下げた棒は、天井や座席の手すりに一時的に引っ掛けることもできます。 -
前から入って後ろに抜ける、これ基本! 物売りにとっても、バックドアは欠かせません。
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==運送==
バス会社によっては、荷物の運送も請け負います。 -
これは、ウエウエテナンゴでの光景。到着したバスがメキシコ国境行きのバスに荷物を載せ替えています。バスとバスの間隔は、たったの15センチ!よく考えれば、やってること自体は飛行機と変わりません。
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[まとめ]
アメリカ人がチキンバスに乗ると、ノスタルジーを感じることもあるようです。スクールバスに乗るのは、基本的に両親が送迎してくれない子供たち。不便で本数の少ないスクールバスに、あまりいい思い出はないかもしれません。そのスクールバスがグアテマラで再生し、庶民の足として毎日イキイキと仕事をしています。例えるならば、日本のプロ野球を戦力外通告された選手が、台湾に渡り大活躍しているような感じ。それを見て嬉しく思わないはずがありません。
グアテマラを満喫しようとすれば、チキンバスへの乗車は欠かせません。多くの見所が、山間部の田舎町にあるからです。チキンバスに乗らずして、グアテマラを旅したと言うなかれ。この旅行記が、これからグアテマラに向かう人たちの参考になれば幸いです。 -
[リンク集]
==中南米旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=10285&level2=&level3=&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
==派手な乗り物==
パキスタンのデコトラ
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444759/
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