棚田をめぐる旅:山菜迷人さんの旅行ブログ

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棚田をめぐる旅

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棚田をめぐる旅

 稲作の適地は水はけが良く、水利が良い土地である。日本列島は、南北に背骨のように山岳地帯が連なり、他国の人から滝と称される幾筋もの急流河川が河口部に沖積平野を形成する。そこに人が住み、村が形成され、都市へと発展していく。農業用水を築く技術を獲得する以前、自然の傾斜を利用し、川の水や湧水を上の田んぼから順番に下の田んぼへと水を流して米を作っていた。収穫量を増やすために山の上の方まで田んぼが作られていき、棚田が形成された。灌漑工事や用水路の整備が可能になると、平野部にも水田が整備されるようになり、収穫量も飛躍的に向上する。
 日本の土質は、火山灰の影響や降水量が多いことによって酸性が強く、土壌の鉱物成分から植物にとって細胞毒性があるアルミニウムイオンが溶出しやすい。また、火山灰起源の粘土鉱物アロフェンが土中のリン酸を不可逆的に吸着して不溶化するので、畑作農耕には不向きな面がある。一方、山地から流出した栄養塩類や施肥した肥料など水に溶けた養分を蓄える水田という形態は、日本の自然状況に適している。

 日本では弥生時代に米作が大陸から伝わり、同時に豊穣を田の神に祈るという信仰が始まった。『日本書紀』や『古事記』に「稲霊(いなだま)」すなわち「倉稲魂(うかのみたま)」、「豊受媛神(とようけびめのかみ)」、穀霊神の「大歳神(おおとしのかみ)」の名がみえる。田の神は、地方ごとに様々な呼び名があり、東北地方では「農神(のうがみ)」、甲信地方では「作神(さくがみ)」、近畿地方では「作り神」、但馬や因幡では「亥の神(いのかみ)」、中国・四国地方では「サンバイ(様)」、瀬戸内海沿岸では「地神(ちがみ)」などと呼ばれている。
 また、起源の異なる他の信仰と結びついており、東日本では恵比寿、西日本では大黒を田の神と考える地方が多く、さらに、土地の神や稲荷神と同一視されることもある。山の神信仰は古くより、狩猟や焼畑耕作、炭焼、杣(木材の伐採)や木挽(製材)、木地師(木器製作)、鉱山関係者など、おもに山で暮らす人々によって、それぞれの生業に応じた独特の信仰や宗教的な行為が形成され伝承されてきた。一方、稲作農耕民の間には山の神が春の稲作開始時期になると家や里へ下って田の神となり、田仕事にたずさわる農民の作業を見守り、稲作の順調な推移を助けて豊作をもたらすとする信仰があった。これを、田の神・山の神の春秋去来の伝承といい、全国各地に広くみられる。
 この春秋去来の伝承は、日本古来の、「死んだ祖先の魂が山に住む。」と考えられてきたことと結びついている。その信仰を基底に屋敷近くの山林に祖先を祭る祭場を設けたのが屋敷神の端緒である。また、古代にあっては一般に、神霊は一カ所に留まらず、特定の時期に特定の場所に来臨し、祭りを受けた後、再び山に帰るものと信じられていた。こうして祖霊信仰、屋敷神、農耕神の三神は、穀霊神(年神)を中心に互いに密接なかかわりを持ちながら日本文化の形成に大きな役割を果たしてきたのである。

 そんな日本文化の源流をたどってみようと、県中央部に広がる棚田を訪ねたてみたのであった。
 久米南町北庄の棚田は『日本の棚田百選』に選ばれ、その広さでは日本一の面積を誇る。谷、尾根筋に棚田が広がり、天然米生産組合が中心となって、誕生時小学校との交流事業「田んぼの学校」や「棚田まつり」などが行われている。棚田が町おこしのキーになっているのが良い。「耕して天に至る」と評される棚田のある風景がこうして守られていくのだ。
 北庄から少し足を伸ばし、美咲大垪和の棚田を回る。途中、灌漑用のダムだと思われる滝谷池があり、白鳥が泳いでいた。滝谷池を通り大垪和に入ると紅そば亭がある。ここはこの辺りでは唯一食事ができるところで、大垪和西地区や地元の境地区の農家で作られた蕎麦を原料とし、農薬の使用を控えた野菜を使用した野菜の天麩羅(300円)、田舎風の牛蒡・鶏などの具材の入った境蕎麦(800円)、もりそば(700円)、棚田そば(かけそば、600円)、そして一昨年夏鮮烈にデビューしたそばアイス(200円)など、蕎麦打ち職人からお店のお姉さんたちの地元言葉と地元にこだわった店になっている。
 ここから左回りに棚田見学コースという看板がたっており、その道案内にそって車で一回り。途中、谷底から360度に広がる棚田を見上げ、少し農道を歩いてみる。日中日陰となる側の棚田には雪が残ってい、日当りの良い側の斜面は陽光を浴びて下から温かさが立ちあがってくる。冬と春が同居しているような感じがした。山沿いの曲がった道の向こうから、昔ながらのお百姓が牛を引きながら現れそうな、ずっと昔から変わらずに存在し続けている、古き良き日本の原風景がそこに広がっていた。こういう風景に身を置くと、自分自身が細胞レベルで生まれ変わったような気分になるから不思議だ。そういう人を再生する力が、棚田のある風景には備わっているような気がする。
 元気をもらった棚田のある風景。今度は、生命が生まれる春、ぐんぐんと命が成長する夏に来てみよう。

旅タグ(β) 〜関連のあるスポット・キーワード〜

大垪和の棚田 美咲 紅そば亭
旅タグとは?
エリア: 中国 >>岡山県 >>津山・美作・湯郷・奥津 >>赤磐・美咲・吉備中央
テーマ: 花・自然・動植物
時期: 2009年01月04日〜01月04日
投稿日: 2009年01月06日
写真: 全20枚
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棚田に漂う野焼きの煙返事を書く

by airpentaroさん | 2009年02月21日 00:11

Hanaさん、こんばんは!

懐かしい風景ですね。

懐かしいのは、忘れてしまった記憶があるからなんでしょうね。

遠い昔、土から生まれる恵みに感謝して、日常生活の中から文化を生み、育んできた・・・。

夏も楽しみにしています。

またお邪魔します☆(^∀^)ノ~~

RE: 棚田に漂う野焼きの煙返事を書く
by 山菜迷人さん | 2009年02月24日 09:29

ご訪問ありがとうございます。

日本の棚田百選をめぐる旅なんてのを机の上で計画してみたりしていますが、仕事に追われ、具体化はままならず、せめて県内でも回ってみようかと思ったしだいです。

若芽がでて、ぐんぐん伸びていく春から夏の季節。自然のエネルギーをもらいにまた、訪ねてみようと思います。

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夏に来たら・・・返事を書く

by がんもさん | 2009年02月18日 20:46

緑の段々が見れるのでしょうね。
でも野焼きの畑も風情がありますね。
青空に延びる1本の木の写真も何だか忘れられません。
こんな手間がかかりそうな土地にも
耕す人がいる・・・すごいことですね。

              がんもより

RE: 夏に来たら・・・返事を書く
by 山菜迷人さん | 2009年02月19日 09:06

棚田の四季、それぞれに面白さがあると思いますね。

でも、生活するには大変だと思います。JRはありませんし、基本的には、自家用車がないと街にも出られない、そんな山里の暮らしに、憧れる気持ちもありますけどね。

人間のおおらかさ、人間のたくましさ
それらを包み込んで余りある自然の大きさ、好きです(*^_^*)

ご訪問ありがとうございます。がんもさんも良い旅を!!

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私は夏に行きましたが返事を書く

by 吉備津彦さん | 2009年01月13日 17:56

 冬の棚田も風情があって良いですね。

RE: 私は夏に行きましたが返事を書く
by 山菜迷人さん | 2009年01月15日 09:29

>  冬の棚田も風情があって良いですね。

訪問ありがとうございます。

本当にそうでした。旅行記はもう少し続きまして、美咲町大垪和の棚田の記事と写真を追加する予定でして、なかなか進まずに・・・です。

玄冬と呼ばれる年代に入り、冬枯れや雪が降り積もったモノトーンの風景が好ましく思える今日この頃です。もちろん、若葉が萌えだす新緑の季節や、たくましく成長を遂げる夏も大好きなんですが。

吉備津彦さんも良い旅を続けてください。ではまた。

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山菜迷人さん
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