1996/09/19 - 1996/10/10
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パキスタンの北西部には、桃源郷と呼ばれる場所があります。
中国へと抜けるカラコルムハイウェイの途中にある「フンザ」です。
これは、13年前のパキスタン訪問の記録です。
↓ブログでも紹介しています。
http://search-ethnic.com/category/travel/middleeast-asia/pakistan
1996年9月、パキスタンを旅しました。
イランから陸路で入国し東へ、クエッタを通過し、ラワール・ピンディーへ。ここから北部辺境州へと向かい、ギルギット、カリマバード、アルチット、パンダールなど巡った後、ラホールからインドへと抜けました。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー
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イランとの国境、クイ・タフタンの町は雑然とした印象でした。911テロが起こっていない当時でも、国境特有の不穏な雰囲気、緊迫感のある空気がありました。
国境を越えたのは夕暮れのこと。
夕方まで国境がクローズしていたのです。
国境を越え、両替を済ませ、すぐに当日のクエッタ行きの夜行バスのチケットを購入しました(200ルピー 600円)。
バスは典型的なローカルバスで車内はもちろんパキスタンやイラン・アフガンらしき人たちで一杯。
そして、荷物が荷棚だけでなく通路にも足下にも屋根の上にも満載されていました。
バスはオレンジ色の街灯がぼんやりと照らすクイ・タフタンの町をゆっくりと出発します。
そして、そのうちスピードを上げ、漆黒の砂漠地帯へと突入していきました。
翌朝、バスはクエッタの町に到着しました。
クエッタはアフガン国境に近い町。街にはアフガンの香りが漂います。クエッタにはこれと言った見所はありません。
クエッタに着いて2日後の昼、列車でパキスタン北東部のラワール・ピンディーへと旅立ちました。
ピンディーまでは38時間、片側5人掛けの硬いシートに座りながらの38時間はきつかった。
そして、ピンディーに着いた二日後の晩、北部山岳地帯のギルギット行きの夜行バスに乗り込みました。
バスの一番後ろの6人掛けシートにぎゅうぎゅうになりながらの16時間です。
これもかなりきつかった。
【写真はパキスタンのデコレーショントラック】 -
パキスタンはイスラムの国です。
お隣のイランでは女性が全て黒いチャドルを纏っているので驚きましたが、ここパキスタンでは、そもそも街で女性の姿をほとんど見かけません。
しかし、文化圏的にはインドに入っているようで、食事も街角で流れる音楽も、インドによく似ていました。
ギルギットは、パキスタン北部の中心都市。
パキスタン北部から中国ウイグル自治区のカシュガルまでを結ぶカラコルム・ハイウェイの途上にあります。
ギルギットでは日本食が食べられるという宿「ツーリストコテージ」に宿泊しました。
【写真はギルギットの牛】 -
イチオシ
ギルギットからスズキと呼ばれるワンボックスの乗り合いタクシーに乗り、インダス川沿いを数時間走ると、茶色の山々の間から徐々に白い峰が姿を現し始めます。
辺りはとても美しい風景。
川沿いには緑鮮やかな段々畑が一面に広がっているのが見え、針のように尖ったポプラの木々もそこら中に林立しています。
円い帽子を被った人々が歩き、牛もゆらゆらと畑をうろついています。
7,000m級のパミール高原の山々を望む谷。フンザ、カリマバードの村です。
この辺りの標高は約2,500mほどです。
↓ブログの記事です。
http://search-ethnic.com/hunza
【写真は、カリマバードの風景】 -
カリマバードでは、ハイダーインという宿に泊まりました。
ハイダーインからは、7,788mのラカポシ山や段々畑の谷間を流れるインダス川が見渡せます(トップの写真)。
ハイダーインには、北の中国からやってきた旅人、東のインドからやってきた旅人、私のように西のイランからやってきた旅人など、様々な旅行者が集まっていました。
ハイダーインは典型的な日本人宿だったのです。
ここで旅人たちと旅の話の花を咲かせました。
極上の風景を眺めながら、いつ果てるともなく……。
【写真は、かつてのこの地域の藩王の王宮、バルチットフォート】 -
私が訪れていた時、この地域におけるイスラム教イスマイリ―派の指導者、アガー・ハーンが来訪するということでこの村はちょっとした騒ぎになっていました。
どうやらバルチットフォートの修復完成の式典があるようです。
村には電飾や旗など様々な飾りつけがなされ、山肌にも「Welcome Our Imam」という巨大な文字が描かれていました。
メインストリートではバグパイプや太鼓の練習もしていました(写真はその様子です)。 -
カリマバードから徒歩30分、アルチットの村はあります。
写真の右端の中ほどに建物が見えますね。あれはアルチット・フォート、かつての藩王の居城です。
高度が高く空気が澄んでいるため、目視では近そうに見えるフォートですが、実際は結構な距離があります。
アルチット・フォートは1974年までフンザの王が住んでいたという城だそうですが、私には荒れ果てたボロボロの廃墟にしか見えませんでした(96年当時)。
現在はイスラム教イスマイリ−派の指導者、アガー・ハーンによって城は改修されているといいます。
↓ブログの記事です。
http://search-ethnic.com/hunza -
城の中は子供たちの格好の遊び場となっていました。
彼らとしばらく駄弁り、風景を眺めます。
この辺の民族はパキスタン南部とはずいぶん違っています。
一説によるとここの人々には、かつてインダス川西岸まで侵攻したとされるアレキサンダー大王の末裔の血が混じっていると言われていて、青い目や金髪の人も珍しくはないそうです。 -
ギルギットに戻った私は、西へ、シャンドゥ−ル峠の途中にあるパンダール湖を目指しました。
ギルギットは北西部山岳地帯の交通の要衝となる町です。
北東へ向かうとフンザやグルミット。南へ向かうとラワール・ピンディーや首都イスラマバード。
そして、西へ向かうとチトラールやアフガン国境の町、ペシャワールがあります。
西へと向かう山道の途中にはパンダール湖という湖があります。
その湖では何と、釣りをすることができるのだそうです。 -
ギルギットを朝、ジープで出発しました。
荷物で埋め尽くされた荷台に8人が身を寄せ合うようにして座ります。
窮屈だし、砂埃がひどいし、ガタガタ道のため揺れがひどくケツが痛くなってくるし、そのうち雨まで降り出してくる始末。
悪路を進む6時間はかなりきつかったです。
夕方、私はガイドブックにさえ載っていないような村、ジャンドロートで宿泊しました。
↓ブログの記事です。
http://search-ethnic.com/pandar -
イチオシ
翌朝8時、私はパンダール行きの乗合ジープに乗り込みます。
このジープは昨日の車よりもさらに厳しく、20人近くが荷台に乗っていました。
座ることも出来ず、立って手すりに掴まりながらの道中です。
断崖絶壁の細い砂利道でガタガタ揺られ、立ちながらジープの荷台に乗るというのは結構な恐怖です。
山道なのでカーブが続きます。その度に車が横転しやしないかと思って冷や冷やしました。 -
5時間ほどでパンダールに到着しました。
私が訪れたのは10月。夏のシーズン中は外国人旅行者で賑わうこのルートも短いシーズンが終わってしまうと閑散としたものです。
宿のおじちゃんに釣り道具を借りて釣りに行きましたが、少しも釣れず、しかも凍えるように寒いので30分も持たずに引き返してきてしまいました。
だけど、夕食には魚がでました。塩焼きではなく揚げた魚でしたが。
【写真は、パンダールにいたロバ】 -
パンダールには2泊しました。
帰りは、早朝5時にギルギット行きのジープに1960年代にこの地域を旅したという70代のイギリス老人と共に乗り込みました。
イギリス人は一人では荷台に上がれないため、ジープの運ちゃんたちに抱えられて乗っていました。
こんな年でパキスタンを旅するなんて驚きです。
ジープは断崖絶壁のガタガタ道を約12時間掛けてギルギットに辿り着きました。
この後、私は体調を崩しました。
【写真は、パンダールにいた馬】 -
ギルギットに1泊し、バスでラワール・ピンディーへ。
ラワール・ピンディーはお隣の首都イスラマバードに通う人が住むような町です。
ピンディーに2泊して体調を整えた後、ラホールへ。
ラホールに1泊し、国境を越えてインドに入国しました。
ちなみに、ラホールは当時、泥棒宿が多いことで有名で、寝ている間に部屋に男が侵入し、お金や荷物を盗んだり、レイプされたりする被害が続出していたのだそうです(私は、安全だとされている宿YWCAに泊まりました)。
また、パキスタン〜インド国境は、役人が腐敗しているということで有名で、荷物チェックの際に荷物やお金をくすねたり、いろいろと難癖つけてお金を巻き上げようとしてくるのです(私は、話を聞いていたので何とかかくすねられずに済みました)。
【写真は、パンダールにいた羊】
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