ホーチミン72時間の旅(2)ベトナムの子供の日の晩に地元の子供連れの家族に混ざって水上人形劇を鑑賞する。

2009/05/30 - 2009/06/03

ハノイで観た水上人形劇がホーチミンでも見られる！というのが今回ホーチミンを旅行先に選んだ理由のひとつでもありました。前回は約1か月のベトナム縦断旅行でしたが、沢山の人との出会いや美味しいものを食べたり、古代から近代までのベトナムの歴史を知ることも出来た旅でした。妻にとっては初めてのベトナム旅行で、南部に限られた旅でしたが同じようなことを感じてほしいなと思いました。初めての印象が良かったようで、この後も何度かに分けてベトナム各地を旅することになりました。日中にチケットを購入してあったので劇場にはスムーズに入ることが出来ました。この日はベトナムのこどもの日の日曜日でもあったので、劇場内は子供連れの家族でいっぱいでした。演目はハノイの劇場と大きな差はありませんでした。コミカルな農村の風景が演じられると妻のことを忘れて自分が魅入ってしまいました。鳳凰のカップルが子供を産む演目から、黎朝の初代皇帝黎利（レ・ロイ）が湖の宝剣を手にし、その剣によって明との戦いに勝利した還剣（ホアン・キエム）の物語に続きます。ただ楽しいだけの人形劇ではないので、あらかじめベトナムの歴史を知っておく必要もあります。楽しい観劇の後は夜風に吹かれながらホテルまで歩いて戻りました。

エリア ホーチミン(ベトナム)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: タクシー
• 航空会社: ANA
• 利用旅行会社: エアトリ

水上人形劇の劇場に到着しました。午前中にチケットを買いに来て、座席も選んでおきました。料金は65,000ﾄﾞﾝ（350円）でした。旅行会社に頼むと食事と送迎がついて3,000円くらいですので、自分で手配してタクシーで来て（ドンコイ通りから100円くらい）、好きな夕食にその分のお金を使った方がいいかもしれません。

水上人形劇のそもそもの始まりは、ベトナム北部の地域の農民たちが収穫の祀りの時などに池や湖を舞台に上演していたとされ、当時は村の寺院やパゴダの池などで上演されていたそうです。

この日はベトナムのこどもの日の夜なので親子連れが半分以上、観光客の方が少ないように思えました。パンフレットによると演目は17ありました。言葉は分からなくても意味や楽しさは充分に伝わります。

水上人形劇はベトナム語では「ロイ・ヌオック」と呼ばれて、1000年以上の歴史があります。古い石碑にも宮廷で水上人形劇が催された様子が描かれているそうで、王の前でも披露された格式ある芸能です。
水上人形劇はその名の通り水上を舞台にカラフルに色を塗られた人形たちが、物語や音楽に沿って縦横無尽に動き回る劇です。

伝統楽器の楽団による生演奏とともに物語が展開し、その音楽も舞台の魅力の一つになっています。

田植えの風景では水が撒き散らされるので、前の席は水を被りそうです。

舞台は全面が水になっていますが、茶色く濁っているのは水中の動きが見えないためです。

人形を操る演者は水を張った舞台の奥の緑色の薄い簾（すだれ）の奥に隠れて人形を操っています。人形の仕掛け部分は水の中に沈んでいるので、観客から見るとまるで水の上を自由自在に人形が動きまわるように見えます。

田植えのシーンは本当に人形が生きているように見えます。

ベトナムと言えば蓮の花ですね。蕾から花が咲くのが不思議です。

田植えの場面から「アヒル農法と狐狩り」に移ります。

狐がアヒルを捕まえて木に登ってしまいました。ちょっと狐っぽくない姿です。

ここから農家のおじさんとおばさんが狐を捕まえようと走り回ります。

狐はすばしっこいのでなかなか捕まりません。

コミカルな動きと動きの素早さに魅入られます。

ようやく狐を捕まえました。めでたし、めでたし。

竹笊で出来た小舟に乗った漁師が出てきました。このタイプの舟はハロン湾のカットバ島で乗ったことがあるので懐かしいです。キセルから立ち上るタバコの煙がどのような仕組みになっているのか分かりません。

魚捕りのつもりが人間を捕まえました。この魚を獲る竹製の網もカンボジアの伝統舞踊でも使われます。もっと大きなものはミャンマーのインレー湖でも使われています。

何とか巨大な魚を捕まえましたが、水中に沈んでしまいそうです。

左右で演奏しながらナレーションが入ります。

「凱旋帰郷」は 魔剣タンキエムを精霊から授けた黎利（レ・ロイ）がこれを抜き放つと不思議な力により明軍は戦意を失い、恐慌をきたして逃げ去ります 黎利はこの剣で明との戦争を勝ち抜いて後に黎朝大越国を建国します。

この場面は明との戦いからハノイの都に帰った軍勢を表したものです。

白馬に跨った姿が黎利（レ・ロイ）だということが分かります。

マンゴを積んだ女官が出てきました。

場面は獅子舞に変わりました。。

獅子の姿は中国の伝統的な姿をしています。

カラフルな色が可愛らしいです。

疲れ切って隅っこで休んでいます。

獅子の動きには子供たちも大喜びでした。

そして鳳凰のカップルが妖艶に水中を舞います。

鳳凰が舞い踊っている間に卵が生まれます。

そして雛が孵ります。

卵から雛が孵ってこどもは大喜びです。

龍頭船に乗った黎利（レ・ロイ）一行が戻ってきました。

魔剣タンキエムによって明との戦いに勝利した黎利は湖の上で金の大亀から平和になったので持ち主である竜王に剣を返すように啓示を受けます。

湖の上で大亀に宝剣を返しました。

ハノイ中心部のホアンキエム湖には実際に大亀が住んでいます。古城の祠堂には剥製が納められています。実際は亀ではなくシャンハイハナスッポンですが、体調2.1メートル、幅1.2メートル、重さ250キロもあったそうです。この伝説から湖は「ホアンキエム(還剣）湖」と呼ばれるようになったそうです。

ボートレースが始まりました。

これは登場人物も多いのですごい迫力です。

どうやって船や人物を操っているのか不思議です。人形それぞれがちゃんと船を漕いでいます

方向転換も楽々こなします。

演目的にはこれが一番迫力がありました。

一番のおすすめは「山女の踊り」だと思います。人形はイチジクの木から作られた手彫りで、手づくり感たっぷりです。ほのぼのとした表情がとてもユーモラスです。

漆などを塗り重ねているので水に濡れても大丈夫です。両手を広げると羽衣が開き、閉じると木製の乾いた音がカチカチなるのが可愛らしいです。

特にストーリーもありませんが、全員の動きが完全にシンクロしているので可愛らしさが倍増します。

水中には1枚の板はあり、その上に人形が立っていて、細かい動きや方向転換はひもなどで行われます。ただ観客からは水中の動きは全く見えないので不思議に感じます。

水上人形劇を観るのはこれが2回目でしたが、次の旅行でハノイへ行った際にももう一度見るくらい気に入っています。

ベトナムの水上人形劇とミャンマーの操り人形の素朴さには惹かれます。

この人形が欲しいのですが、売っているのもはお土産品の域を脱しないので買うに至っていません。

ソロの人形の動きは群舞より細かいように見えました。

女性の動きの艶やかさ感じさせます。

フィナーレを迎えました。

最後に演者が出てくると拍手喝采です。

ベトナムの水上人形劇は最高に楽しいと思います。改めて観ても楽しかった前回の旅行のことを思い出しました。

伝統楽器の演奏とベトナム北部の歌も良かったです。

出口には仙女がお見送りです。

かなり離れていましたが、このままブラブラホテルまで歩いて戻りました。早朝から深夜まで、充実した時間を過ごしました。