市ヶ尾横穴古墳群（横浜市青葉区市ヶ尾町）

2013/01/19 - 2013/01/19

　横浜市青葉区市ヶ尾町にある市ヶ尾横穴古墳群には、A群12基、B群7基に分類された19基の横穴古墳（横穴墓（おうけつぼ））が残されている。しかし、「Ａ−12号横穴」の手前のB群側にも埋もれたアーチ状の掘削跡が見られ、おそらくは横穴古墳であろう。したがって、20基の横穴古墳が造成された可能性が高いと思う。
　市ヶ尾横穴古墳群は山腹法面（のりめん）をモルタルで覆い、横穴の保存方法は、入口を開口している4基（Ａ郡、Ｂ郡とも各2基づつ）、入口を鉄枠で閉じガラスをはめ、手動のワイパーを取り付けてあるもの、入口をブロックで塞いであるもの、埋もれて放置してあるものの4方法である。しかし、窓枠を設置しても内部に照明がある訳でもないので、ガラス越しには何も見えない。
　A群前の平地には広場を残し、B群登り口側にはトイレも設置されているが、資料館のような建物は一切なく、学芸員が居る訳でもない。そのためか、多くの説明看板が設置されている。しかし、横穴が何基あったのかも疑われるような史跡保存であるから、Ａ−9号横穴のように、天井が丸くドーム状になっているのだが何の説明もない。それでも、説明看板の図からはＢ−6号横穴の天井もドーム状になっていると推測される。同時期の終末期古墳では、上円下方墳として知られる国史跡武蔵府中熊野神社古墳玄室の天井がドーム状の形をした石室（現在ではWeb上にはこの記載が少ないが、市広報誌2012年3月21日号にここの展示館の展示室に石室が復元され公開中の記事（http://www.city.fuchu.tokyo.jp/koho/h24kouho/files/120321kouho_HP[1].pdf）がある）との関連が気になるところだ。
　市ヶ尾横穴古墳群は本郷台駅横の七石山横穴古墳群（栄区）と同様にがっかりするものであったが、上郷フィールド・アスレチック内（栄区上郷町）にある横穴古墳群を「深田やぐら群」としている現状の研究者のレベルを考慮すると妥当な感じもする。しかし、満足できるレベルからは程遠い。横浜や鎌倉には普通に見られるのだが、適切に紹介して文化財を活かすことが出来ていない悪い例であろうか。
（表紙写真は市ヶ尾横穴古墳群Ａ−9号横穴のドーム状天井）

エリア 港北・長津田・青葉(神奈川)

「神奈川県指定史跡　市ヶ尾横穴古墳群」の標柱。後ろは外装がタイル貼りのトイレ。

「市ヶ尾遺跡公園」の表札。

「県史跡　市ヶ尾横穴古墳群」の標柱。

市ヶ尾横穴古墳群の道標。

Ｂ−6号横穴とＢ−7号横穴。

Ｂ−7号横穴。壁で塞がれている。

Ｂ−6号横穴。

「Ｂ−6号横穴」説明看板。天井がドーム状に表記されている。

Ｂ−5号横穴。

「Ｂ−5号横穴」説明看板。

Ｂ−4号横穴。

Ｂ−4号横穴。

「Ｂ−4号横穴」説明看板。

Ｂ−3号横穴。

Ｂ−3号横穴。壁で塞がれ、鉄枠の窓ガラスには手動のワイパーが取り付けられているが、照明がないために中は見えない。

「市ヶ尾横穴古墳群からの展望」。丹沢山地に富士山の頭が覗いている。

「Ｂ−3号横穴」説明看板。

「Ｂ群横穴墓」説明看板。4枚分の大きなものだ。

「Ｂ−2号横穴」説明看板。

Ｂ−2号横穴。

Ｂ−2号横穴。

「Ｂ−1号横穴」説明看板。

Ｂ−1号横穴。これもガラス窓に手動ワイパーだ。

Ｂ群横穴墓。

Ｂ群横穴墓。

「Ｂ群横穴墓」標識。

市ヶ尾横穴古墳群の道標。

Ｂ群とＡ群との間に埋もれている。これは横穴古墳であろう。

「市ヶ尾横穴古墳群の保存整備について」看板。8枚分の大きなものだ。4枚分だけ写真撮影した。

Ａ−12号横穴。

「Ａ−12号横穴」説明看板。2枚分の大きなものだ。

Ａ群横穴墓。

Ａ群横穴墓。

Ａ−10号横穴とＡ−11横穴。

Ａ−9号横穴。

Ａ−9号横穴。

Ａ−9号横穴のドーム状天井。

「Ａ−9号横穴」説明看板。

「Ａ−8号横穴」説明看板。

Ａ−8号横穴。

Ａ−8号横穴。

Ａ−7号横穴。

Ａ−6号横穴。

「Ａ−6号横穴」説明看板。

Ａ−5号横穴。

Ａ−4号横穴。

Ａ−3号横穴。

Ａ群横穴墓。

Ａ群横穴墓。

「Ａ−2号横穴」標識。

「Ａ−1号横穴」標識。

下の広場の「注意」看板。

Ａ群横穴墓。

下の広場。

広場の上にＡ群横穴墓。

Ａ群横穴墓。

「ゴルフ・たき火禁止」看板。

「お願い」看板。

「横穴部と前庭部」看板（左側）。大看板だ。

「横穴部と前庭部」看板（中央）。

「横穴部と前庭部」看板（右側）。

「市ヶ尾横穴古墳群」看板（左側）。

「市ヶ尾横穴古墳群」看板（右側）。